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分割型分割とは?適格要件やメリット・デメリット、M&A手法における分社型分割との違いを解説

分割型分割とは?適格要件やメリット・デメリット、M&A手法における分社型分割との違いを解説

目次

    分割型分割

    M&A手法の一つである会社分割は、企業規模に関係なく様々な場面で活用されています。

    そんなグループ再編や事業再編等を目的に行われる会社分割には、分割型分割と呼ばれる手法があります。

    分割型分割とは一体どの様な手法なのでしょうか?

    この記事では、分割型分割について詳しく解説します。

    分割型分割とは?分割型分割の意味

    まず初めに、分割型分割の意味について解説します。

    ①会社分割とは

    会社分割とは、会社の持つある事業に関して有する権利・義務の全部または一部を、他社に包括的に移転するM&Aスキームです。

    一部の事業のみを他社に承継する点では事業譲渡と類似していますが、事業譲渡とは異なり事業の売買ではなく、グループ内再編や企業再生を目的に実行されるケースが一般的です。

    目的のみならず、課税される税金や手続き、様々な面に違いがあります。

    会社分割の中でも、分割した事業を既存他社に移転する手法を吸収分割、新しく設立した会社に移転する手法を新設分割と呼びます。

    上記の分類の他にも、会社分割の対価を誰に割り当てるかによっても、会社分割は「分割型分割」と「分社型分割」に分類されます。

    ⑵分割型分割とは

    分割型分割とは、承継会社(事業を引き継ぐ側)が対価として交付する株式を、分割会社(事業を切り離す側)の「株主」に割り当てる手法です。

    分割型分割は、税務上では「人的分割」と言われます。

    一方で対価を分割会社に割り当てる手法は、「分社型分割」と呼ばれます。

    つまり「新設分割」「吸収分割」と組み合わせれば、会社分割には4パターンある事となります。

    平成18年に施行された会社法により、「分割型分割」の規定は廃止されました。

    規定自体は廃止されたものの、「分社型分割+剰余金の配当」という形で、実質的には分割型分割の効果を得られます。

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    分割型分割の仕訳と税務

    一定の適格要件に該当する分割型分割では、譲渡損益を計上しないので非課税となります。

    この項では、適格分割型分割の税務仕訳について解説します。

    ①分割法人の税務仕訳

    適格分割型分割により資産や負債を移転した場合、税務上の「帳簿価額」によって資産と負債の引き継ぎを実施したと見なされます。

    つまり分割法人では譲渡損益を認識しない為、非課税で分割型分割を実行できます。

    分割法人では、移転する純資産に相当する額の資本金等の額と利益積立金額を比例按分により減少させる仕訳も必要です。

    減少する資本金等の額は、下記の計算式を用いて算出します。

    • 減少する資本金の金額=資本金の額×移転する純資産の簿価÷純資産の帳簿価額(①)

    減少する利益積立金の額は、移転する純資産の帳簿価額から減少する資本金等の金額を差し引く事で算出します。

    以上をまとめると、分割法人は下記の通り税務仕訳を行います。

    借方金額貸方金額
    諸負債簿価諸資産簿価
    資本金等の額①の金額
    利益積立金額貸借の差額


    ②承継法人の税務仕訳

    承継法人に関しても、税務上の帳簿価額によって資産と負債を引き継ぎます。

    資産と負債の引き継ぎに併せて、分割法人において減少した資本金等の額や利益積立金額に相当するだけの資本金等の額と利益積立金額を増加させる仕訳も行います。

    以上をまとめると、承継法人は下記の通り税務仕訳を行います。

    借方金額貸方金額
    諸資産簿価諸負債簿価
    資本金等の額簿価
    利益積立金額簿価


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    分割型分割のメリット・デメリット

    この項では、分割型分割のメリットとデメリットをそれぞれご紹介します。

    分割型分割のメリット

    分割型分割には、主に下記3つのメリットが存在します。

    ①現金不要で実行できる(買い手)

    分割型分割には、現金不要で他社の事業を取り込めるメリットがあります。

    現金が手元にない場合でも、株式を対価として事業を買収できる点は、分割型分割の大きなメリットです。

    ②契約や資産の引き継ぎが簡便(買い手)

    事業譲渡では、資産や従業員との契約を一つずつ引き継ぐ必要があります。

    一方で分割型分割であれば、契約や資産を包括的に承継できます。

    M&Aに要する手間を大幅に削減できる点は、買い手にとって魅力的なメリットです。

    ③事業再生やコア事業への集中を実現可能(売り手)

    事業の一部のみを売却できる為、売り手側は事業再生やコア事業への集中を実現できます。

    不採算事業を分割型分割により切り離せば、悪い部分を取り除く事となる為、事業再生を実現できます。

    不採算事業の切り離しを実行すれば、その分だけ経営資源に余剰が生まれる為、主力事業に集中可能です。

    分割型分割のデメリット

    分割型分割では、下記2つのデメリットが生じる恐れがあります。

    ①不要資産や偶発債務等を引き継ぐ(買い手)

    買い手における分割型分割のデメリットは、不要資産や偶発債務等を引き継ぐ点です。

    分割型分割ではある事業に関する権利や義務を一括で引き継ぐ為、不要資産や偶発債務等の承継リスクをゼロには出来ません。

    特に偶発債務は、後々買い手側に大きな損失をもたらすリスクを含む為、分割型分割の際には十分注意しなくてはいけません。

    ②株式の現金化が困難(売り手)

    売り手における分割型分割のデメリットは、株式の現金化が困難である点です。

    非上場企業から対価として株式を交付してもらった場合、その株式を現金化する事は非常に難しいです。

    現金が欲しい売り手側にとっては、分割型分割は不向きな手法です。

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    分割型分割の適格要件

    非課税でM&Aを実行する為には、適格要件を満たした上で分割型分割を実行しなくてはいけません。

    この項では、分割型分割の適格要件をご紹介します。

    完全支配関係内の適格要件

    完全支配関係(片方企業が他方企業の全株式を保有している)にある会社間での分割型分割では、下記が適格要件となります。

    ①金銭等不交付要件

    分割型分割の対価は、承継法人の株式または承継法人の親会社株式である事が適格要件となります。

    つまり金銭を対価とする場合には、適格要件を満たしません。

    ②案分型要件

    分割法人の株主が保有する株式数の割合に応じて、対価は交付されなくてはいけません。

    この適格要件は、分割型分割に特有です。

    ③継続保有要件

    分割型分割の前後で完全支配関係が継続することが、適格要件となります。

    支配関係内の適格要件

    支配関係とは、片方企業が他方企業の発行済株式の50%超を保有している関係です。

    支配関係にある会社間での分割型分割では、完全支配関係の適格要件に加えて、下記の適格要件も満たす必要があります。

    ※継続保有要件は、支配関係の継続となります。

    ①事業移転要件

    分割した分割事業の従業者のうち、約80%以上が引き続き当該業務に携わることが適格要件です。

    ②事業継続要件

    分割した事業が、分割型分割後も引き続き営まれる事も適格要件に含まれます。

    共同事業の適格要件

    支配関係ではない企業間であっても、下記適格要件を全て満たせば非課税となります。

    1. 金銭等不交付要件
    2. 案分型要件
    3. 継続保有要件
    4. 事業移転要件
    5. 事業継続要件
    6. 事業関連性要件
    7. 選択要件

    1〜5については、支配関係の適格要件とほぼ同様です。

    6の事業関連性要件では、分割する事業と承継法人が営む事業の間に関連性があることを定めています。

    7の選択要件では、「同等規模要件」もしくは「双方経営参画要件」のいずれかをクリアする事が適格要件となります。

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    分社型分割と分割型分割の違い

    この項では、分社型分割と分割型分割の違いをお伝えします。

    分社型分割と分割型分割には、前述の通り対価の割当先に違いがあります。

    分社型分割では対価を分割会社に交付する一方で、分割型分割では対価を分割会社の株主に交付します。

    上記が分社型分割と分割型分割の大きな違いですが、適格要件にも違いがあります。

    分割型分割では「案分型要件」が適格要件に含まれますが、分社型分割には「案分型要件」が存在しません。

    会社分割を実行する際は、あらかじめ分社型か分割型かを把握した上で適格要件を調べましょう。

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    新設分割と吸収分割の違い

    分社型分割・分割型分割におけるみなし配当

    最後に、分社型分割と分割型分割におけるみなし配当について解説します。

    みなし配当とは、会社法上は剰余金の配当または分配等に該当しないが、実態は利益配当であるとみなされる収益を指します。

    分社型分割と分割型分割では、みなし配当の発生に違いがあるので、それぞれ分けて解説します。

    ⑴分社型分割におけるみなし配当

    分社型分割では、対価が株主ではなく分割会社に交付される為、適格か非適格かに関係なくみなし配当は発生しません。

    分社型分割の実行時は、みなし配当に関する心配は不要です。

    ⑵分割型分割におけるみなし配当

    分割型分割に関しては、適格か非適格かによってみなし配当の発生有無が変わります。

    適格分割型分割では株式が対価として交付されるので、みなし配当は発生しません。

    一方で非適格分割型分割では、みなし配当が発生する可能性があります。

    対価として交付する金銭合計額が、当該法人の所有株式等に対応する資本金額を超える場合、その超える部分の金額は配当等の額と見なされます。

    つまりみなし配当の金額は、下記の計算式により算出できます。

    • みなし配当の金額=交付金等―株式に対応する資本金額

    株式に対応する資本金額に関しては、算出に際して複雑な計算が必要なので今回は割愛します。

    実際にみなし配当を計算する際は、税理士や公認会計士等の専門家にご相談する事をオススメします。

    会計に関する専門知識がない場合、独力で計算すると間違える可能性が高い為です。

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    まとめ

    M&Aにおける分割型分割では、買い手、売り手双方にメリット、デメリットがあります。

    買い手は契約や資産の引き継ぎが簡便であったり、事業の一部のみを売却できる為、売り手側は事業再生やコア事業への集中を実現できるいったメリットがある一方、買い手にとっては不要資産や偶発債務等を引き継ぐリスクや売り手にとっては株式の現金化が困難といったデメリットもあります。

    分割型分割について理解を深め、知識を身につけましょう。

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