M&A・事業承継の理解を深める M&A総合研究所ポータル

2019年11月24日更新
この記事は、約3分で読めます。

現物出資とは?現物出資の消費税とメリット・デメリット

Medium
この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

現物出資とは、現金の代わりに現物を出資することで、会社設立に必要な資本金の代わりにできるというものです。現物出資の概要、現物出資の定款規定、現物出資できる現物の範囲、現物出資のメリット・デメリット、現物出資の手続き、現物出資における消費税について解説します。

目次
  1. 現物出資
  2. 現物出資の概要
  3. 現物出資のメリット・デメリット
  4. 現物出資の手続き
  5. 現物出資を行う際に注意すべきポイント
  6. 現物出資における消費税
  7. まとめ

現物出資

現物出資とは、現金ではなく現物を出資することで、会社を設立するために必要な資本金の代わりにできるというものです。

現物出資のみでも、1円以上の資本金があれば、会社設立を行うことが可能です。会社設立を考えている人にとって、現物出資は有効的な手段の一つだと言えます。

現物出資を使いこなすことができれば、会社設立に大きく役立てられます。しかし、現物出資は普通の現金出資とはプロセスが異なる部分があり、正確な知識を持っておく必要があります。

今回はそんな、現物出資の概要やプロセスや、メリット・デメリット、そしてリスクなどをお伝えします。

現物出資の概要

まずは、現物出資の概要をお伝えします。

現物出資とは

現物出資とは、その名の通り「現物による出資」のことを言います。

現物とは、動産(自働車やパソコン、OA機器など)や市場価値がある有価証券、不動産、そして営業権や商標権などの知的財産権などを指します。

現物出資は会社の設立の際に使われるものです。通常、会社の設立では発起人(経営者となる人)が現金を出資して資本金としますが、現物出資は現物を出資することで資本金として扱うことができます。

例えば、500万円の資本金を用意したいが現金が足りない場合、250万円の現金と一緒に250万円分の現物出費を行うことで、500万円を資本金にできるようになります。

現物出費は、以前から会社法で認められていました。しかし、実行する際には、裁判所から選任された調査役の調査や会計士、弁護士などの価値証明が必要でした。

そのため、現金が足りないから現物出資をしたいにもかかわらず、実行する前に手間や費用がかかってしまうため、現物出資自体やりづらいものになっていました。

しかし、会社法が改正されてからは500万円分以下の現物出資を行う際に、このような調査や価値証明が不要になりました。そのため今では、以前より気軽に現物出資ができます。

現物出資は会社設立の時だけでなく、会社を経営している中で増資をする際にも活用できます。以前より現物出資を行うハードルが下がったことにより、活用する機会は今までより増えたといってもいいでしょう。

一方で、現物出資は現物の価値を換算して行う出資であるため、不正が行われる可能性が高いものです。そのため現物出資は様々な規制が課されており、それらのリスクを把握した上で行う必要があります。

現物出資の定款規定

現物出資を行う際は、定款と発起人決定書(発起人が複数いる場合は発起人会議事録)に、その旨を明記しておく必要があります。現物出資について定款や発起人決定書を記載する際には、いくつか記載すべき事柄があります。

記載すべき事柄は、「出資者であり発起人である人物の名前と住所」、「出資する現物の詳細とその価額」、「出資する者に割り与えられる株式の数」です。

この際、出資する現物の詳細は商品名、製造会社、製造番号、出資した現物の数なども細かく記載しておく必要があります。

現物出資できる現物の範囲

現物出資できる現物の範囲は、意外と広くなっています。

現物出資できる現物は以下の通りです。

  • 動産(自働車やパソコン、OA機器など)
  • 市場価値がある有価証券
  • 不動産(土地や建物など)
  • 営業権・商標権のような知的財産権など無形固定現物

当然ながら、不動産や無形固定現物のような価値が大きいものであれば、現物出資の際の価値も大きくなります。

また、自動車やパソコンなど、事業でも使用するものについては、所有権移転登記手続きを行うことで会社の備品として使い続けることが可能です。

現物出資のメリット・デメリット

ここでは、現物出資のメリット・デメリットをお伝えしていきます。

現物出資のメリット・デメリットはそれぞれ複数あります。

現物出資のメリット

現物出資のメリットは以下の通りです。

①現金がなくても発起人になることが可能

現物出資で会社設立を行う場合、一番のメリットは現金がなくても発起人になれることだといえるでしょう。

現金だけで出資して資本金を作る場合、どうしても一定額以上の現金を用意する必要があります。しかし、現物出資であれば不足分の現金を補えるため、資本金を賄うことができます。

前述しましたが、現物出資の対象となる現物の範囲は広いため、不動産や有価証券があれば資本金にすることができます。

例えば、新しい会社のプランがあるのに現金がないという人。または、複数の有志で発起人になる際に、他の発起人より現金を用意できないという人には、現物出資は有効的だと言えます。

②資本金を増やせる

現金がなくても現物出資であれば資本金が増やせますが、これもメリットの一つです。

資本金は多ければ多いほど社会的信用が得やすいものであり、特に金融機関から融資を得る際には重要です。現金では限度があっても、現物出資でかさ増しすることができれば、資本金を増やすことができるため、経営者にとってはメリットがあります。

また、現物出資に使った現物はそのまま会社の備品として使えるため、必要経費を浮かせることにもつながるでしょう。

③減価償却が可能

現物出資で減価償却現物となる現物を出資すれば、減価償却が可能となります。減価償却によって経費処理すれば、法人税の節税につながります。

そのため、現物出資の際に減価償却できる現物で出資し、経費を増やして節税を狙うという手法も使うことができます。

現物出資のデメリット

現物出資のデメリットは以下の通りです。

①実際にお金が増えるわけではない

当たり前のことではありますが、現物出資を行っても実際にお金が増えるわけではありません

そのため、現物出資でかさ増しした資本金と、実際に会社にある資金との間に大きなギャップが発生することになります。

ギャップが大きい状態は、会社の運転資金が充分でない可能性があります。よって、後々資金繰りに苦しむ可能性を考慮しなくてはなりません。

また、融資を受ける際にも、金融機関が自己資本が少ないと判断すれば、融資の額を下げてくる可能性もあります。ただ資本金を増やせばよいというわけではありません。

資本金を増やすことはできますが、実際に使える資金とはギャップがあることを、発起人はきちんと理解しておく必要があります。

②手続きに手間がかかる

冒頭でも触れましたが、現物出資は手続きに手間がかかります。

会社法の改正で以前より手続きは楽になっていますが、定款への記載や様々な書類の作成、さらに会社の所有物にするための所有権移転の手続きを行う必要があります。

具体的な手続きの流れは後述しますが、いずれも現金による出資をする場合には必要ないものが多いため、結果的に手間を増やすことになります。

また、手続きの過程で出費が発生したり、税金を払わなければならないこともあります。現物出資を行うにあたり、どれくらいの出費が発生するかをしっかり把握しておくことが必要です。

※関連記事

減価償却とは?減価償却費の計算方法や耐用年数をわかりやすく解説

現物出資の手続き

現物出資の手続きは、現金出資とプロセスが異なっています。

さきほどは現物出資を行う際には、定款に現物出資を行う旨を記載する必要があるとお伝えしました。しかし、これら以外にも必要なプロセスがあります。

現物出資の手続きの流れは、簡単に書くと以下のようになります。

  • 出資する現物の時価を調査(取締役か調査人が行う)
  • 定款に現物出資の旨を記載
  • 出資した現物の価額が相当だと取締役が証明する調査報告書を作成
  • 現物出資の出資者からの財産(現物)財産引継書を作成

②の定款に現物出資の旨を記載するについては、さきほどお伝えしました。ですので、ここでは①・③・④をそれぞれご紹介します。

①出資する現物時価の調査

まずは、現物出資で出資する現物の時価を調査します。

この時、調査を行う人は取締役か調査人かのどちらかですが、これは現物出資の際に、どれだけの価額を出資しているかによって変わります。

出資する現物の時価を調査する人が調査人になる基準は、以下の通りです。

  • 現物出資において出資する有価証券に市場価格があり、定款の認証の日の最終市場価額を超えている。
  • 定款に記載されている価額が相当であると弁護士、税理士、出資した現物に不動産があるなら不動産鑑定士の鑑定評価を受けていない。
  • 現物出資で出資した動産の価額の総額が500万円以下ではない。

正直なことを言えば、裁判所が選任した調査人が調査することになると、時間も手間もかかります。

時間に関しては、最大で数カ月はかかることもあるため、会社を設立するタイミングがかなりずれこんでしまいますし、長くなればその分費用もかかります。何より会社を設立する際に、発起人が無駄にエネルギーを浪費してしまう原因になるでしょう。

そのため、なるべく調査人が調査を回避できる範囲で現物出資をしておくことが、スムーズな会社を設立するうえで必要不可欠です。

ただ、弁護士や税理士、不動産鑑定士などに鑑定を依頼する際には、それに応じた報酬を支払わなければならないので注意しておきましょう。報酬の額は依頼する事務所によってバラバラなので、ホームページなどで事前にチェックしてから依頼することがおすすめです。

現物の調査に限らず、会社の設立に関する事柄や税務に対してもアドバイスをもらう際、より有益なアドバイスをもらうには、弁護士や税理士がどれだけの腕や知識を持っているかにかかっています。

リスクを負わないためにも、依頼する弁護士や税理士の実績や評判、経験している案件の数も事前に調べておきましょう。

また、会社設立の際に現物出資を利用することが難しいと判断した際は、M&Aを行うという手段もあります。

最近では、個人がM&A(既存の会社を買収して会社設立)を行うケースが増えており、そうすることで顧客や販路も早い段階で手に入れることができます。

M&Aを行うのであれば、M&A総合研究所にぜひご相談ください。M&A仲介会社であるM&A総合研究所には、公認会計士・弁護士が在籍しており、豊富な専門知識と培った経験を持つプロがM&Aをフルサポートいたします。

また、M&A総合研究所は完全成功報酬制のため、着手金、中間金、月間報酬がかかりません。「M&Aを行って会社設立したい」と考えている方は、ぜひご相談ください。相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。

>>【※国内最安値水準】M&A仲介サービスはこちら

電話で無料相談
0120-401-970
WEBで無料相談
M&Aのプロに相談する

②調査報告書の作成

現物出資の現物が引き渡された際には、会社を設立した際の取締役が、現物の価額が相当であるかどうかを調査し、相当だった場合は取締役が調査報告書を作成します。

この際、監査役が設置されている会社の場合は、設立した際の取締役および監査役で調査を行い、調査報告書を作成します。

③財産引継書の作成

現物出資を行った発起人は、設立した際に割り当てられる発行株式を引き受けた後、そのまま現物を会社に納めることになります。

その際に、現物出資で出資された現物に対して財産引継書を作成します。

設立した際に取締役、あるいは監査役が設置されている場合は、設立した際の取締役および監査役が調査報告書に付属する書類として、設立登記申請書に添付した上で法務局に提出します。

この際、現物出資を複数の発起人が行った場合は、その発起人それぞれに財産引継書を作成していきます。

現物出資を行う際に注意すべきポイント

前述の手続き①にて説明した現物時価の調査を行う際には、注意すべきポイントがあります。

現物出資を行う際には、現金ではなく物で出資を行うため、実際の時価が第三者には査定できない場合があります。そのため、発起人が50万円の価値しかない物を、100万円として査定し、現物出資することもできてしまいます。

このように意図的に金額を増やした場合、会社設立時の現物出資財産等の価額が、定款に記載された価額に対して著しく不足する事になってしまいます。

よって、原則として、発起人及び設立時取締役は、会社に対してその差額(不足額)を支払う義務が発生します。

先程の例では、100万円として記載した額と、実際の時価である50万円との差額である50万円を、発起人及び設立時取締役が会社に支払わなくてはならなくなります。

このような事態を起こさないためにも、出資する現物時価の調査は念入りに行いましょう。

現物出資における消費税

現物出資を行う際に、留意しておきたいことは消費税です。

現物出資は税務上、資産を譲渡した対価として株式を受け取ったと解釈されます。そのため、消費税の課税対象になります。

もし、現物出資に消費税の課税対象となる動産や建物があった場合は、課税売上が発生する一方で、土地などの不動産のような非課税対象の現物だと非課税売上となります。よって、原則課税になっている場合、課税売上割合が変動していくため、仕入れ税額の控除に影響を与えることになります。

それに加えて、有価証券や金銭債券のような現物の場合は譲渡対価の5%が非課税対象となり、こちらも仕入れ税額の控除に影響を与えます。

この際、現物出資において資産の譲渡などによる対価の価額は、資産の時価ではなく、現物出資を行って取得した(割り当てられた)株式の時価があてはまる形になります。留意しておきましょう。

ただ、現物出資で会社を設立した場合、現物出資による資本金が1000万円以下の場合は消費税が免除されます。また、消費税の非課税対象になる不動産ですが、これを現物として出資した場合は消費税とは別に、登録免許税や不動産取得税が発生します。

この場合は消費税と違う税率で計算するため、注意しましょう。ただ、不動産取得税に関しては、現場出資で会社を設立した場合は、特定の要件を満たせば非課税となります。

その条件は以下の通りです。

  • 現物出資を行った会社が現物出資された会社の株式を90%以上保有している。
  • 現物出資された会社が現物出資を行った会社の事業の一部を引き継いでおり、その事業に関わる事業を今後も継続して行っている。
  • 現物出資をされた会社の取締役の内、1人以上が現物出資を行った会社の取締役、あるいは監査人であること。


このように、会社が現物出資で別の会社を設立しており、それらが相互に関係しており、なおかつ支配関係にある場合が不動産取得税非課税となる条件です。

まとめ

現物出資は現物で出資するため、現金がないという状態の人でも会社の設立ができる可能性が高くなります。

一定の節税効果もあるため、そのメリットは多いといえるでしょう。

しかし、税金や手続きの手間など、現物出資は現金での出資と比べて面倒な部分も少なくありません。

現物出資を行う際には、事前にそれらのデメリットやリスクを、しっかり踏まえておくことが重要です。

M&A・事業承継のご相談ならM&A総合研究所

M&A・事業承継のご相談なら専門の会計士のいるM&A総合研究所にご相談ください。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴をご紹介します。

M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴

  1. 業界最安値水準!完全成果報酬!
  2. M&Aに強い会計士がフルサポート
  3. 圧倒的なスピード対応
  4. 独自のAIシステムによる高いマッチング精度
>>M&A総合研究所の強みの詳細はこちら

M&A総合研究所は会計士が運営するM&A仲介会社です。
企業会計に強く、かつM&Aの実績も豊富です。全国にパートナーがいるので案件数も豊富。
また、業界最安値水準の完全成果報酬制のため、M&Aが成約するまで完全無料になります。
まずはお気軽に無料相談してください。

>>【※国内最安値水準】M&A仲介サービスはこちら

電話で無料相談
0120-401-970
WEBで無料相談
M&Aのプロに相談する
  • 02
  • 03
  • 04
  • 05
ご相談はこちら
(秘密厳守)