2023年9月22日更新会社・事業を売る

LBO(レバレッジド・バイアウト)とは?仕組みやスキーム、メリット・デメリットや事例をわかりやすく解説

LBOとはレバレッジド・バイアウト の略称であり、資金力の少ない場合も実施でき、ローリスク・ハイリターンの投資を実現できますが、金融機関・ファンドが悪用するケースもあるため注意が必要です。本記事ではLBO(レバレッジド・バイアウト )について解説します。

目次
  1. LBO(レバレッジド・バイアウト)とは?
  2. LBO(レバレッジド・バイアウト)の仕組みとスキーム
  3. LBO(レバレッジド・バイアウト)のメリットとデメリット
  4. LBO(レバレッジド・バイアウト)の成功事例・失敗事例
  5. まとめ
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LBO(レバレッジド・バイアウト)とは?

LBO(レバレッジド・バイアウト)とは?

LBOをはじめとするバイアウトとは、企業買収を意味する言葉です。一般的には、譲渡企業の株式の過半数を買収して経営権を得る行為をさします。ここでは、LBOの概要および、MBO・EBOとの違いをまとめました。

LBOとは

LBOとは「Leveraged Buyout(レバレッジド・バイアウト)」の略称であり、M&A手法(企業買収)の1つです。なお、「Leveraged Buyout」のLeveragedは、「てこの原理」を意味します。

LBOでは、買い手企業が金融機関などから資金調達を行ったうえで買収します。このとき担保にされるのは、売り手企業の資産や将来的に見込まれるキャッシュフローなどです。LBOにある最大の特徴は、自己資産を抑えながら企業買収を実施できる点にあります。

つまり、少ない投資資金で利益を大きくさせられるため、LBOはローリスク・ハイリターンで行えるM&A手法です。基本的にLBOは投資目的で使用されるケースが多いですが、新しい事業分野に進出するために使用されるケースもあります。

日本でLBOの使用が問題となった事例としては、2005年のライブドアによるニッポン放送買収(未遂)や、2006年のソフトバンクによるボーダフォン買収などが代表的です。前者は失敗事例ですが、LBOの知名度が高まるきっかけを作りました。

LBOは非常に大がかりなスキームで実施されるため、複雑なプロセスの遂行が必要です。したがって、実際にLBOを行う際には専門家からサポートを得ると良いでしょう。

M&A総合研究所では、LBO(M&A)に関する豊富な知識と経験を持つアドバイザーによるフルサポートを提供しております。

加えて、料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。

相談料は無料となっておりますので、LBO(およびM&A)の実施を検討している場合にはお気軽にお問い合わせください。

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MBO、EBOとの違い

LBOとMBO・EBOとの違いは、買収側の性質にあります。つまり、LBOでは第三者である企業が買い手となるのに対して、MBO・EBOでは自社内の人物が買い手となるのです。このうち、MBOでは自社の経営陣が、EBOでは自社の従業員が、それぞれ買い手となります。

なお、MBO・EBOも、LBOの1手法に過ぎません。MBOやEBOでは、経営陣あるいは従業員によって、自社株の取得を通じて自社の経営権獲得が目指されます。買収にあたって資金が必要となる場合、銀行・投資ファンドなどから融資・出資を受けて資金を調達する仕組みです。

また、MBO・EBOの主な目的は、経営権を移して経営を効率化させる点にあります。多くのケースで投資ファンドの融資を利用して自社株を買い取るため、譲渡後は自社の経営陣と投資ファンドの意思決定権が強まり、意思決定の迅速化を図れるのです。

【関連】MBOのメリット・デメリット

LBO(レバレッジド・バイアウト)の仕組みとスキーム

LBO(レバレッジド・バイアウト)の仕組みとスキーム

数あるM&A手法の中でも、LBOのように、自己資産を抑えながら企業買収が行える手法はそれほど多くありません。そのため、LBOに対する知識を深めて、専門家との連携をスムーズに行えるようにしましょう。

ここでは、LBOの仕組み・スキーム・PEファンドとの関係について説明します。

LBOの仕組み

LBOの仕組みにある大きな特徴は、「借入を行う際は、売り手企業のキャッシュフローや資産を担保にする」点です。LBOでは買収を行う企業ではなく、買収対象となる企業の資産を担保にしたうえで金融機関から現金を借り入れ、これを元手に買収を行います。

一般的にM&Aでは買い手企業が銀行から借り入れを行いますが、LBOでは反対です。そのため、LBOであれば資本が少ない企業でも自分より大きな企業の買収が狙えます。もちろん買収対象となる売り手企業が借入を行うため、その返済も売り手企業が請け負う決まりです。

上記を踏まえると、LBOは一見すると非効率的な企業買収の方法だと考えられます。企業買収を行うのであれば、買い手企業の自己資本のみで行うことがセオリーであるためです。

しかし、LBOでは、あえて資金を借り入れたうえで、より大きなリターンが望める企業を買収するため、借入の返済を考慮してもプラスのリターンを得られるケースが多いです。したがって、多くの自己資本を持たない会社からすると、LBOは有効な買収手段だといえます。

LBOのスキーム

LBOを実行する際の大まかなスキームは、以下のとおりです。

  1. SPCの設立
  2. 借入などの資金作り
  3. 買収の実行
  4. SPCと買収対象の企業の合併
  5. 借入の返済

1つずつ、順番に見ていきます。

①SPCの設立

LBOを始める場合、買収を行う企業の受け皿となるSPC(特別目的会社)の設立から始まります。

SPCの目的は、買収対象となる企業の株式の買い取りです。買収対象となる企業はSPCから対価として現金を受け取って株式を売却し、SPCに株式を移していくという流れとなります。

②借入などの資金作り

次に、買収に必要な資金作りのために借入などを行っていきます。買収対象となる企業のキャッシュフローや資産を調査したうえで、これらを担保に銀行などから資金を借り入れるのです。このときの調査は、入念に行っておく必要があります。

そもそも金融機関は、融資を行う際に企業の返済能力を何よりも注目しています。この段階で将来的なキャッシュフロー・資産に不安があるような企業はLBOできなくなる可能性が高いため、なるべくキャッシュフローや資産に高い価値が見出せる企業を買収対象に据えると良いでしょう。

こうした借入以外にも、社債の発行や自己資金の投入などにより資金を作るケースもあります。ここでの資金作りは、買収対象となる企業のキャッシュフローや資産の価値が高ければ高いほど順調に進みやすいです。

ちなみに、LBOの際は、なるべく借入する金額を増やして自己資金を減らしておくと良いでしょう。自己資金が高い状態でのLBOでは、数年後のキャッシュフローの金額自体は借入増加時よりも大きくなります。

しかし、利益率で考えると、借入金額を増やしておいた方が、利息分を差し引いてもより多くの利益獲得が期待できるのです。

③買収の実行

資金が集まり次第、買収を実行していきます。LBOでは集めた資金を使って株式を取得しますが、ここでは株式のすべてを取得しなければなりません。LBOで最大のリターンを得るには、経営権を完全に掌握できるよう株式の保有率を100%にすることが重要であるためです。

④SPCと買収対象の企業の合併

買収対象となる企業の買収が完了すると、SPCと買収対象となる企業の合併を行います。合併の目的は、買収対象となる企業を非上場企業に変更することです。買収対象の企業を非上場企業に変えることで、他企業のM&Aによる参入を防止できます。

合併の完了後は、買収を行った企業が自由に経営改善などを行い、リターンを獲得していきます。また、以下の記事では経営改善の手法について解説しているので、ぜひ目をとおしてみてください。

【関連】経営改善の手法とは?損益分岐点分析やKPI管理の活用

⑤借入の返済

LBOでは買収対象となった企業が借入を行うため、買収が終了すると返済が開始されます。

返済は、買収後や資産売却によって得た現金などを使って進めます。買収後に経営状態を改善できれば、返済は滞りなく進められるのです。

LBOを実施する「PEファンド」とは

数ある投資ファンドでも、とりわけPEファンドによるLBOの実施が目立ちます。PEファンドとは、非上場企業に投資し、経営支援などで経営に関与し企業価値を高めたうえで、IPO・売却により利益を得て投資家に還元するファンドのことです。

ベンチャーキャピタル・バイアウトファンド・事業再生ファンド・ディストレスファンドなど、複数種類が存在します。この中でも、LBOはバイアウトファンドにより実施されるケースが主流です。

PEファンドは、非上場企業の上場によって株式を市場に売り出したり、株式価値の向上によって取得費よりも高額で別企業に売却したりすることを目指します。

したがって、例えば、内部留保が多い・自己資本比率が高い・有利子負債が少ない・事業環境が安定しているといった特徴があり業績・キャッシュフローが安定している企業は、PEファンドによるLBO対象として狙いを付けられやすいです。

【関連】プライベート・エクイティ・ファンド(PEファンド)とは?種類とメリット・デメリット

LBO(レバレッジド・バイアウト)のメリットとデメリット

LBO(レバレッジド・バイアウト)のメリットとデメリット

ここではLBOのメリットとデメリットについてお伝えしていきます。

LBOのメリット

LBOのメリットは複数ありますが、代表的なものには以下の2つが挙げられます。

  1. 投資額を抑えて大きなリターンを得られる可能性がある
  2. 節税効果が期待できる

1つずつ順番に説明していきます。

①投資額を抑えて大きなリターンを得られる可能性がある

LBOの最大のメリットは、投資額を抑えつつ大きなリターンを得られる可能性があるという点です。LBOは買収対象となる企業に借入を行ってもらうため、返済は買収対象となる企業が負います。

そのため、M&Aを行う際にかかる負担を軽減できるため、資本が小さい企業でも大規模なM&Aが行えるのです。また、買収後に事業を展開する場合、経営改善などが順調に進むとキャッシュフローが高まり、獲得できるリターンが大きくなります。

たとえ融資の利息分の返済を考慮したとしても、借り入れをしてLBOを行った方が高いリターンが得られるケースも多いです。ローリスク・ハイリターンを求めるなら、LBOはうってつけのM&A手法だといえます。

また、M&Aの概要は以下の記事で詳しく解説しています。成功させるコツなども紹介しているので、併せてご確認ください。

【関連】M&Aとは?M&Aの意味から手続きまでをわかりやすく解説!【図解あり】

②節税効果が期待できる

LBOは、一定の節税効果が期待できる点もメリットの1つです。LBOは多くの借り入れを行ったうえで買収する手法であるため、買収後は利息の返済を行います。

このとき利息の返済は損金として算入させられるため、所得から差し引けば節税効果を期待できます。なお、節税効果が発生するのは、借入を債務として背負うことになる買収対象の企業です。

LBOのデメリット

LBOにはデメリットも複数あり、代表的なものは以下のとおりです。

  1. 経営改善が失敗すればリターンを得られない
  2. 借入の金利が高くなる
  3. 制約・条件が発生する

順番に説明していきます。

①経営改善が失敗すればリターンを得られない

投資ではなく事業の継続を目的にLBOを行った場合、経営改善が失敗すればリターンを得られない点がLBOの大きなデメリットとなります。そもそもLBOは、買収実施後のキャッシュフロー向上によって収益性がアップすることを前提に考えられたM&A手法です。

そのため、万が一経営改善が失敗すれば、想定していたリターンは得られません。こうした事態に陥らないよう、LBOのスキームには買収対象となる企業資産・キャッシュフローなどを調査するプロセスも含まれます。

とはいえ、経営改善は、必ずしも想定どおりに上手くいくとは限りません。この点を踏まえ、売り手の会社選びを十分に注意して行う必要があります。

②借入の金利が高くなる

LBO時に借入を行う際はLBOローンを利用しますが、このLBOローンは総じて金利が高い傾向があります。LBOローンには買収資金のためのタームローン・運転資金のためのコミットメントローンの2種類がありますが、いずれも一般的なローンよりも金利が高めに設定されているのです。

LBOローンでは、金融機関も一部のリスクを背負うために金利が高く設定されています。また、LBOローンの申請時には弁護士の協力が必要となり、これに伴う報酬・ローン契約書の作成費用・融資の手数料などもすべて負担しなければなりません。

これらの負担は、買収を行う企業が背負う点に注意が必要です。さらに、コミットメントローンであれば、返済の過程において、利息だけでなくコミットメントフィーの支払いも求められます。

コミットメントフィーとは、未使用枠に対して一定の料率で発生し、一定金額の融資を実施する約束に対して発生する費用です。利息と併せて支払いが求められるため、返済の負担はより一層重くなります。

LBOは、良くも悪くもコストが多くかかります。節税効果が期待できたとしても、負担自体は大きいことを念頭に置いておきましょう。

③制約・条件が発生する

LBOを行う際、金融機関から制約・条件が求められる点もデメリットです。LBOは金融機関も一部のリスクを背負うため、融資する金融機関が貸し付けた企業に対して経営上必要な事項の報告を求めたり、監査が完了している決算書などの重要書類を提出させたりするケースが多くあります。

また、金融機関によってはEBITDA目標値を設定されることもあり、経営の自由度が低下するおそれがあるのです。経営の自由度が下がると思ったような経営改善が行えなくなり、リターンの回収に支障が出る可能性があります。

さらに、経営環境の変化・競合他社との競争などに対してフレキシブルに対応できなくなり、業績・収益力の低下につながってしまうおそれがある点にも注意しておきましょう。

【関連】EBITDAとは?倍率・意味・計算方法をわかりやすく解説

LBO(レバレッジド・バイアウト)の成功事例・失敗事例

LBO(レバレッジド・バイアウト)の成功事例・失敗事例

ここまでLBOの仕組みや特徴について紹介しましたが、情報だけではなく具体例があると実感を伴ってさらに理解しやすくなります。

そこで最後に、LBOの成功事例と失敗事例を3つずつ紹介します。いずれも実際にあったLBOの実例なので、ぜひ参考にしてください。

LBOの成功事例

はじめに、LBOの成功事例として、以下の3つを紹介します。

  1. ソフトバンクによるボーダフォン日本法人へのLBO
  2. リップルウッド・ホールディングスによる日本テレコムへのLBO
  3. KKRによるRJRナビスコへのLBO

それぞれの成功事例を順番に見ていきましょう。

①ソフトバンクによるボーダフォン日本法人へのLBO

はじめに、ソフトバンクによるボーダフォン日本法人へのLBO(2006年)を紹介します。

ソフトバンクは1兆7,000億円という高い金額でボーダフォンの日本法人の買収を行いましたが、このうち1兆円は、LBOにて調達した資金でした。

1兆円という大金を調達したためにソフトバンクが背負った有利子負債は莫大な金額となりましたが、ソフトバンクは買収したボーダフォン日本法人を足掛かりに携帯電話市場へ進出を果たしています。

ソフトバンクはボーダフォン日本法人が保有していた設備を活用しながら、iPhoneの発売・斬新な料金プランの設定などで市場を席巻し、さらなる成長を実現しました。ソフトバンクのLBOはスケールこそ大きいですが、LBOの有用性を示す事例として参考になります。

②リップルウッド・ホールディングスによる日本テレコムへのLBO

LBOの成功事例として代表的なものには、2003年にリップルウッド・ホールディングスが日本テレコムに対して実施したLBOも挙げられます。

リップルウッド・ホールディングスは、合計2,613億円という高い金額で、当時ボーダフォン・グループ(英)の傘下にあった日本テレコムの固定電話部門に対してLBOを実施しました。このとき、複数の大手金融機関が本件LBOのために融資を実施しています。

その翌年におよそ3,400億円もの価格で日本テレコムをソフトバンクに売却したリップルウッドは、短期間で大きな利益を得ています。

③KKRによるRJRナビスコへのLBO

最後に、1998年にKKR(Kohlberg Kravis Roberts)がRJRナビスコに対して行ったLBOを紹介します。

世界中に拠点を持つアメリカのPEファンド(バイアウトファンド)であるKKRは、250億ドルという高い金額で、当時全米有数の大企業だった食品・タバコメーカーのRJRナビスコに対してLBOを行いました。

本件LBOにおける買収金額は、現在もLBOを使用した案件として最高額と記録されています。

以下の記事では、M&Aの成功事例について紹介しています。成功の要因を知っておけば、自社のM&Aにも活かせますので、ぜひ目を通してみてください。

【関連】M&A成功事例とは?大手・中小企業、スタートアップやベンチャー企業のM&A成功事例を解説

LBOの失敗事例

次に、LBOの失敗事例として、以下の3つを紹介します。

  1. ダイセンホールディングスによるさとうベネックへのLBO
  2. TPG・LGPによるJ.クルーへのLBO
  3. カーライル・グループによるDDIポケットへのLBO

それぞれの失敗事例を順番に見ていきましょう。

①ダイセンホールディングスによるさとうベネックへのLBO

LBOの失敗事例としては、まずダイセンホールディングスによる大手ゼネコン「さとうベネック」へのLBOが挙げられます。

2012年、ダイセンホールディングスは、ネクスト・キャピタル・パートナーズという会社を仲介に投資会社「SBIキャピタル」から資金を得てLBOを実践しましたが、結果的に失敗してさとうベネックは黒字倒産に陥りました。

さとうベネックにはLBOで得た融資を返済できるだけの資金はなく、他の金融機関が貸し渋ったことが原因です。これは、LBOのリスクを象徴している事例といっても過言ではありません。

LBOは、一定以上のキャッシュフローや資産を持つ企業が買収対象でなければ成立しない手法です。しかし、金融機関やファンドが、融資目的・転売目的を持って実体を正確に伝えないままLBOを勧めるケースも少なくありません。

確かにLBOは資金力が少なくとも企業買収できる手法ですが、経営改善に失敗すればリターンは得られません。LBOの際は、買収対象の企業の内情をしっかり把握しておきましょう。

②TPG・LGPによるJ.クルーへのLBO

次に、2011年にTPGキャピタルとLGP(レナード・グリーン・パートナーズ)がJ.クルー(米有力ファッションブランド)に対して実施したLBOを紹介します。

TPG・LGOは、J.クルーに対して30億ドル(約3210億円)でLBOしました。ところが、このLBOがきっかけとなり、J.クルーは2014年に赤字に転落してしまいます。結果的には、6億7,780万ドル(およそ725億円)の損失を報告したのです。

上記の状況にコロナパンデミックの影響が積み重なり、2020年5月にJ.クルーは破産法を申請しています。

③カーライル・グループによるDDIポケットへのLBO

最後に紹介する事例は、2004年にカーライル・グループがDDIポケットに対して行ったLBOです。

カーライル・グループは、DDIポケットに対して合計2,200億円という高い金額でLBOを実施しています。本件LBOに伴いカーライル・グループの傘下に入ったDDIポケットは、2005年に商号をウィルコムに変更し、サービス名の表記も変えました。

ところが、LBO後の競争激化や規制緩和などの影響を受けて、ウィルコムの経営は悪化してしまいます。結果として、多額の負債を抱えてしまったのです。

その後は2010年よりソフトバンクによる経営再建が始まり、2013年に完了しました。翌年の2014年にはイー・アクセスと合併し、現在ではワイモバイルに名称を変えて運営されています。

【関連】M&A失敗の要因とは?失敗割合や失敗した会社の事例を解説

まとめ

まとめ

LBOは資金力が少ない企業でも大きな投資リターンを得られる可能性が高いM&A手法であり、活用すればローリスク・ハイリターンの投資を実現できます。

しかし、デメリットや金融機関・ファンドが悪用するケースもあるため、実行する際には慎重に検討するようにしましょう。本記事の要点をまとめると、以下のとおりです。

・LBOとは
→買い手企業が売り手企業の資産や将来的に見込まれるキャッシュフローなどを担保に金融機関などから資金調達を行ったうえで買収するM&A手法

・LBOとMBO・EBOとの違い
→LBOでは第三者である企業が買い手となるのに対して、MBO・EBOでは自社内の人物が買い手となる

・LBOを実施するPEファンドとは
→非上場企業に投資し、経営支援などで経営に関与し企業価値を高めたうえで、IPO・売却により利益を得て投資家に還元するファンド

・LBOのメリット
→投資額を抑えて大きなリターンを得られる可能性がある、節税効果が期待できる

・LBOのデメリット
→経営改善が失敗すればリターンを得られない、借入の金利が高くなる、制約・条件が発生する

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