2020年12月23日更新会社・事業を売る

M&Aにおけるバリュエーション

M&Aを成功させるうえで、買収価格の基準となるバリュエーションは非常に重要なプロセスです。M&Aの実務上用いられるバリュエーション手法には、さまざまな手法があり、用いられる場面や特徴が異なります。今回は、バリュエーションについて詳しく解説していきます。

目次
  1. M&Aにおける「買収価格」
  2. バリュエーションとは
  3. 買収価格決定までのプロセス
  4. バリュエーションの種類
  5. DCF法の計算過程
  6. まとめ
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M&Aにおける「買収価格」

近年、経営戦略の手段としてM&Aのニーズが高まっています。M&Aとは、企業の「合併と買収」のことをさし、M&Aを実施する際は「買収価格」を最も重視しているといっても過言ではありません。

当然ながら、売り手側は高く売りたいと考え、買い手側は安く買いたいと考えているものです。そのため、話し合いだけでは決められないケースがほとんどです。そこで、買収価格を決めるために「企業価値」という判断基準を使用します。

企業価値を算定するプロセスは「バリュエーション」と呼ばれ、いくつかの種類があります。ここでは、バリュエーションの方法ごとの特徴やメリット・デメリットなどについて詳しく解説していきます。

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バリュエーションとは

「バリュエーション」とは、企業価値評価をさします。企業価値は、事業や資産、収益性などその企業を構成するあらゆる要素を総合的に吟味したうえで評価されるものです。よって、バリュエーションで評価される企業価値はイコール株価ではなく、より多角的に企業の強みや弱みを分析しながら評価していきます。

バリュエーションで評価された企業価値は、買収価格の基準となる重要なものです。しかし、バリュエーションは、経営だけでなく、会計や税務などさまざまな専門的知識に長けていなければ正確に実施できません。

そのため、実際にバリュエーションを実施する際は、M&A総合研究所をはじめとする経営コンサルティング会社に相談することをおすすめします。M&A総合研究所では、M&Aの経験も知識も豊富なアドバイザーが交渉をフルサポートいたします。

また、M&A総合研究所は完全成功報酬制をとっており、成功報酬も業界最安値の水準で設定されているため、負担が少ないことも魅力の1つです。事前相談も無料で行っていますので、気軽にご相談ください。

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クロスボーダーM&Aにおけるバリュエーションの重要性

クロスボーダーM&Aとは、海外企業とのM&Aをさします。クロスボーダーM&Aでは、はじめから明らかにふさわしくない価格を提示してくるケースが増えています。そこには有利な状況で交渉を進めたいという狙いがあり、日本でのM&Aよりも格段に交渉が困難です。

そこで、バリュエーションで算出した公正な企業価値が大切になってきます。公正な価格を算出することで、M&Aの交渉過程をスムーズに進行できる可能性が高まります。クロスボーダーM&Aを実施する際は、必ずバリュエーションを実施しましょう。

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買収価格決定までのプロセス

M&Aの際、どのようにして買収価格が決まっているかご存じでしょうか?

「企業価値」と「買収価格」を同じものであると捉える方もいらっしゃいますが、その実はまったく異なるものです。「企業価値」は企業の価値を数値化したものである一方、「買収価格」はM&A取引において「いくらで買収するか」を表す価格になります。

ここでは、買収価格決定までのプロセスについてご紹介します。

  1. 企業価値を算出する
  2. バイヤーズバリューを計算する
  3. 買収価格を決定する

①企業価値を算出する

まずはじめに、適切なバリュエーションを使って企業価値を算出します。ここで算出した企業価値は、比較的公正な価格となります。企業価値はM&Aの対象となる会社が公開している情報に基づいて算定されますが、どのようなを内情を抱える会社をM&Aの対象にしたかによっても大きく変わるものです。

そのため、この段階から条件を合わせていきたい場合は、M&A総合研究所のM&Aプラットフォームをぜひご利用ください。M&A総合研究所には日本全国から多種多様な業界・業種のM&A案件が集まっており、理想的な売り手を見つけることができます。

また、豊富なM&A案件の中からAIがマッチングするという独自のシステムを持っています。そのため、買収ニーズを登録するだけで自動的に条件の合う案件が紹介され、効率的にM&Aの候補探しをすることができます。

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②バイヤーズバリューを計算する

次に、買い手側が「バイヤーズバリュー」を算出します。バイヤーズバリューとは、買い手側が妥当と考える買収価格をさします。

通常は、バリュエーションによって算出した客観的な市場価値に、買い手側のデューデリジェンス(売り手会社の事前調査)結果を加味することで算出します。デューデリジェンスの結果には、売り手側企業の潜在的なリスクや想定できるシナジー効果などが含まれます。

③買収価格を決定する

算出されたバイヤーズバリューに売り手側が了承すれば、M&Aの買収価格が決定します。一方、了承できない場合には、交渉よって調整を行います。ほとんどのケースでは、この最終的な「交渉」によってM&Aの買収価格が決定します。

しかし、買収価格が最終的な交渉で決定するからと言って、突然交渉からスタートしても買収価格は決まらないでしょう。なぜなら、最初の公正な判断基準であるバリュエーションの結果がなくては交渉ができないからです。つまり、バリュエーションの実施は、M&Aに必要不可欠なプロセスであると言えるでしょう。

また、最初のバリュエーションからデューデリジェンス、交渉までのプロセスは非常に困難であり、専門的な知識がなければスムーズに進行できません。そのため、M&Aの際は、専門家の力を借りることをおすすめします。例えば、M&A総合研究所では、M&Aの豊富な知識と経験を持つプロがフルサポートいたします。

さらに、M&A総合研究所では事前相談を無料で行っています。完全成功報酬制をとっており、着手金などもかかりません。成功報酬も業界最安値の水準で設定しているため、よりリーズナブルにご利用いただけます。M&Aをご検討される際には気軽にご相談ください。

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バリュエーションの種類

M&Aに使用するバリュエーションには、大きく分けると以下の3種類あります。

  1. インカムアプローチ
  2. マーケットアプローチ
  3. コストアプローチ

動画でも解説しておりますので、ぜひご覧ください。

①インカムアプローチ

インカムアプローチは、M&Aを実施することで想定される利益を基にしたバリュエーションです。ここでは代表的な2つの手法を紹介します。

  • DCF法
  • 配当還元法

上記の手法を使用すると、対象企業や対象事業の想定される将来的な収益性を考慮に入れた企業価値を算出することができます。本来、M&Aは将来的なシナジー効果や利益を期待して実施されます。そのため、M&Aの実務上、最も理にかなったバリュエーションと言えるでしょう。

DCF法

DCF法は、フリーキャッシュフロー(FCF)を基に算出するバリュエーションです。ここで言うフリーキャッシュフロー(FCF)は、M&Aによって将来的に獲得できると想定されるものを使用します。DCF法は、最も合理的で広く使用されている手法です。詳細に関しては、「DCF法の計算過程」をご覧ください。

配当還元法

配当還元法は、配当金額を基に算出するバリュエーションです。ここで言う配当金額は、M&Aによって将来的に獲得できると想定されるものを使用します。以下の計算式を用いて株価を算定します。

  • 配当還元価額=(年間配当金額÷10%)×(一株あたり資本金÷50円)

配当還元法は、配当金額が変動しやすい上場企業のM&Aには不向きな手法ですが、非上場企業のM&Aや事業承継においては広く用いられています。

②マーケットアプローチ

マーケットアプローチは、市場の取引価格を基に算出するバリュエーションです。マーケットアプローチには、代表的な以下の手法があります。

  • 市場株価法
  • 類似会社比準法(マルチプル法)
  • 類似取引比準法

マーケットアプローチは、他の手法と比べると客観的なバリュエーション結果になるという利点があります。一方で、市場の短期的な変化に影響を受けやすいという難点もあります。つまり、類似するM&Aであっても、市場次第で買収価格に大幅な変動があるということです。

市場株価法

市場株価法は、過去1ヶ月~3ヶ月程度(中期)の平均株価を基にしたバリュエーションです。短期的に算出してしまうと、外部要因などにより企業価値とは関係なく株価が変動する場合があります。そのため、市場株価法では中長期的な平均株価をベースにして算出しており、上場企業のM&Aで活用しています。

類似会社比準法(マルチプル法)

類似会社比準法(マルチプル法)は、評価対象会社と事業内容などが似通っている企業を基準にしたバリュエーションです。

市場株価法が上場企業のM&Aで利用される一方で、類似会社比準法は非上場企業がM&Aを行う際に用いられます。具体的には、類似会社のPERやEBITDAなどの指標を用いますが、M&AではEV/EBITDA倍率を多用しています。

EV/EBITDA倍率は、EV(企業価値)はEBITDA(営業利益+減価償却費)の何倍であるべきかを表します。そして、評価対象会社のEBITDAに対して、類似企業のEV/EBITDA倍率を乗算して算出します。

以下の動画で弊社M&Aアドバイザーが計算例を用いてマルチプル法について解説しておりますので、是非ご覧ください。

類似取引比準法

類似取引比準法は、これまでに実施されてきた過去のM&A事例と比較するバリュエーションです。ただし、この手法を使用するには、自社が行うM&Aと類似するケースを見つける必要があり、膨大な時間と手間がかかります。類似するM&A事例が見つからない場合には活用できないため、M&Aには不向きな手法であると言えます。

③コストアプローチ

コストアプローチは、財務諸表に載っている純資産を基にしたバリュエーションです。ここでは、コストアプローチの代表的な3つの方法を解説します。

  • 簿価純資産価額法
  • 時価純資産価額法
  • 再調達原価法

このバリュエーションは純資産額を基準にしているため、客観性と公正性を兼ね備えたバリュエーションと言えるでしょう。ただし、将来的な収益力を考慮できないという欠点もあります。本来M&Aは、将来的な収益やシナジー効果を期待して実施されるため、M&Aに限っては活用しにくいかもしれません。

一方、客観性には優れているため、小規模企業のM&Aで活用されています。また、M&Aを実行するかどうかを判断する目的でも用いられます。

簿価純資産価額法

簿価純資産価額法は、貸借対照表に載っている純資産を基にしたバリュエーションで、極めて簡単に実施できる方法です。一方、将来的な収益性については全く考慮していないため、M&Aのバリュエーションには不向きな方法です。

時価純資産価額法

時価純資産価額法では、資産を一度時価換算します。時価換算した資産から負債を差し引いて時価純資産を算出した後、時価純資産から営業債務(支払手形や買掛など)を差し引き、企業価値を算出します。

時価を基にバリュエーションを実施するため、より正確に算出することができます。ただし、将来の収益性を加味できない点は念頭に置いておきましょう。

再調達原価法

再調達原価法では、対象会社に属する資産・負債を再取得するために必要な費用(原価)を使用していきます。つまり、この手法で算出される数値は、その会社を再度設立するために必要な投資額を表しています。そのため、算出した数値によってM&Aが必要かどうかを判断することができます。

このように、どのバリュエーションが適当であるかは企業次第で大きく変動します。算定方法も複雑で、何を利用すればいいかわからない方もたくさんいらっしゃるでしょう。

M&Aに関することで悩んだら、まずはM&A総合研究所にご相談ください。M&A仲介会社であるM&A総合研究所は、専門的な知識や経験が豊富なアドバイザーが在籍しており、培ったノウハウを活かしM&Aをフルサポートいたします。

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インカムアプローチ

マーケットアプローチ

コストアプローチ

DCF法の計算過程

ここでは、DCF法の計算過程を解説していきます。DCF法の計算過程は、以下の流れで実施します。

  1. 予測期間中の各年FCF(フリーキャッシュフロー)を算出する
  2. ターミナルバリュー(継続価値)を算出する
  3. WACC(割引率)を計算する
  4. 予測期間中の各年FCFとターミナルバリューを現在価値に割り引く
  5. 計算した数値を足し合わせる

①予測期間中の各年FCF(フリーキャッシュフロー)を算出する

はじめに、予測期間中におけるそ各年のFCF(フリーキャッシュフロー)を計算します。FCFとは、株主と債権者の双方に分配できるキャッシュのことです。

  • FCF=税引後営業利益+減価償却費−運転資本増加額−設備投資額

②ターミナルバリュー(継続価値)を算出する

ターミナルバリューとは、キャッシュフローを計算できない期間に得られるキャッシュの合計(継続価値)をさします。その企業が今後も永久に続いていくものであると仮定して企業価値を計算します。

  • ターミナルバリュー=予測期間最終年度の次年度FCF÷(割引率-永久成長率)

③WACC(割引率)を計算する

次に、WACCと呼ばれる割引率を計算します。WACCとは加重平均資本コストのことで、株主にとっての資本コストと債権者にとっての資本コストを加味した割引率です。WACCを用いることで、FCFの現在価値を算出するこができます。

  • WACC ={株主資本総額×資本コスト+負債総額×負債利子率×(1−実効税率)}÷株主資本総額+負債総額

④予測期間中の各年FCFとターミナルバリューを現在価値に割り引く

現在価値は、各年FCFをWACC(割引率)を用いて除算して求めます。

  • 現在価値=FCF÷(1+割引率)

2年目以降は、(1+割引率)の部分に年数と同じ数を乗じます。

⑤計算した数値を足し合わせる

最後は、各年すべてのFCFにおける現在価値とターミナルバリューの現在価値を加算します。

このように、DCF法によるバリュエーションは、非常に合理的で広く活用されている一方、大変複雑な算出方法です。DCF法によるバリュエーションを実施したい場合は、専門家の力を借りることをおすすめします。

その際には、一度M&A総合研究所にご相談ください。M&Aアドバイザーが親身にサポートいたします。M&Aを実施する際には、その都度、M&A仲介会社、アドバイザリーに実務をサポートしてもらうのがベストです。

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DCF法による企業価値の算定

まとめ

買収価格の基準となるバリュエーションは、M&Aにおいて非常に重要なプロセスです。そのバリュエーション手法には、さまざまな手法があり、用いられる場面や特徴が異なります。

また、中小企業と大企業ではM&Aの意味合いが大きく異なるため、自社に合ったバリュエーションを活用する必要があります。さらに、必要に応じて複数のバリュエーションを併用することも考慮に入れなければなりません。

しかし、M&Aのバリュエーションには専門知識が必要です。M&A専門家に相談したうえでバリュエーションを実行することをおすすめします。

要点をまとめると、下記の通りです。

・バリュエーションとは?
企業価値評価のことで、事業や資産、収益性などその企業を構成するあらゆる要素を総合的に吟味したうえで評価されるもの

・買収価格決定までの流れ
企業価値を算出、バイヤーズバリューの計算、買収価格決定

・バリュエーション手法の種類
インカムアプローチ=DCF法、配当還元法
マーケットアプローチ=市場株価法、類似会社比準法(マルチプル法)、類似取引比準法
コストアプローチ=簿価純資産価額法、時価純資産価額法、再調達原価法

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