M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2022年6月6日更新会社・事業を売る
M&AサポートにおけるM&A仲介業者の役割や売却事例/買収事例をご紹介
M&Aを成功に導くためには、M&A仲介会社・M&Aアドバイザリーなどによる専門家のサポートが必須です。M&Aにおいては法務、税務、財務など専門の知識や高い交渉力などが求められるため、専門家のサポートを受けながら手続きを進めることで成功率を高められます。
M&AサポートにおけるM&A仲介業者の役割
近年、さまざまな業界で見られるM&Aですが、その実行にあたっては高度な専門知識が求められます。自社だけでM&Aを進めることも不可能ではありませんが、M&Aの一連の手続きを自社だけで行うことはM&Aにおけるトラブルの原因につながります。
そもそもM&Aでは法務、税務、財務など専門的分野での手続きが必要になるほか、相手企業との交渉力も求められます。これらを自社だけで問題なく行うことは非常に難しいのです。そのため、M&Aを行う場合はM&A仲介会社・M&Aアドバイザリーなど専門家のサポートを受けるケースがほとんどです。
この記事では、M&AサポートとしてM&A仲介会社やM&Aアドバイザリーがどのような役割を担っているのかをご紹介していきます。
M&A仲介会社とは
まず、M&A仲介会社とはどのような会社をさすのか、特徴を整理しておきましょう。
M&A仲介会社とは、M&Aにおける売り手や買い手の立場に立ち、M&Aの一連の手続きを仲介する会社のことをいいます。
クライアントとなる売り手や買い手と契約を締結し、中立の立場でM&Aが円滑に進むようサポートを行います。
M&A仲介会社とM&Aアドバイザリーの違い
M&A仲介会社とM&AアドバイザリーはどちらもM&Aに精通した専門家が多く在籍し、M&Aの一連の流れをサポートするスペシャリスト集団です。しかし、M&Aアドバイザリーは売り手と買い手いずれかの立場でM&Aをサポートするのが基本であり、両方の立場から仲介するM&A仲介会社とは仕組みが異なります。
一方で、M&Aの一連の流れをサポートする会社を総じて「M&A仲介会社」と表現することもあります。この場合、M&Aアドバイザリーもこれに含まれ、M&A仲介会社には中立の立場でサポートをする「仲介型」と売り手と、買い手のいずれかの立場でサポートをする「アドバイザリー型」があります。
M&A仲介会社の形態として「仲介型」と「アドバイザリー型」の2つがしばしば挙げられるのは、こうした背景によるものです。M&Aが活発化し、M&Aサポートのサービスも多様化している現在では、M&A仲介会社とM&Aアドバイザリーの違いも曖昧になりつつあります。
ただ、「仲介会社」という表現を基本として考えると、原則的には売り手と買い手両方の立場でM&Aの手続きを仲介すると捉えておくと良いでしょう。
M&Aの一連の流れ
次に、M&Aの一連の流れを整理しておきましょう。M&A仲介会社が行うM&Aのサポートについて知るには、そもそもM&Aがどのような流れで進むのかを知っておく必要があります。M&Aの具体的な流れがわかれば、それぞれの段階でM&A仲介会社が担う役割がわかりやすくなるからです。
M&Aの流れを簡単にまとめると、以下のようになります。
M&A戦略の策定→対象企業を見つける→交渉→契約→統合 |
大まかに言うと、最初にM&Aの戦略を策定して方向性を決め、それに基づいてM&Aの対象企業を探して交渉を進め、交渉がまとまったら契約を締結して統合が行われるという流れで進めていくのが基本です。
例えば、ある企業を買収したい場合、M&A戦略として買収の目的や手法などを決め、買収したい企業を探してその企業と交渉を進め、交渉がまとまったら契約を結び、最終的にその会社を買収するという形で進めていきます。
ただ、実際にM&Aを行う場合は基本合意書の締結やデューデリジェンスなどの手続きもありますので、各プロセスにおいて専門的な知識や手続きが必要となります。
M&A仲介会社の役割
M&Aを検討する際には、どういった点でM&A仲介会社のサポートを受けられるのかを知っておくと良いでしょう。上記でご紹介したM&Aの流れをもとに、代表的なポイントを整理しておきます。
目的の整理やスキーム・方向性の決定
M&Aを行うには、まず具体的なM&A戦略を策定する必要があります。M&Aは事業の強化・拡大、新規事業への参入などを目的に行われますが、このようなM&Aを行うことの目的を整理して目的に沿ったスキームや方向性を決めておく必要があるのです。
戦略の策定段階からM&A仲介会社に相談しておくことで適切なスキームの選択やM&Aの方向性がより強固なものとなり、その後の流れをスムーズに進められます。
対象企業の選定と交渉
M&Aの対象会社を探す際にも、M&A仲介会社がさまざまな点でサポートをしてくれます。M&A仲介会社のネットワークを活用することで、自社だけでは見つけることができなかったような企業もM&Aの対象候補として検討できます。
また、対象企業に対する調査や交渉においてもM&A仲介会社が手厚いサポートを提供してくれます。例えば、買収の場合は売り手企業の財務状況などを調査する必要がありますが、調査・検証において専門的な知識が求められるため、自社だけで調査を進めることは非常に難しいです。
しかし、M&A仲介会社のサポートがあれば専門家の立場から調査を進めてくれるので、調査によって企業の客観的な評価が行われます。その結果、問題点の検証が行われるほか、適正な買収価格で買収できるようになります。
最終契約や統合
最終契約では、これまでの交渉をもとに最終的な内容を法律に基づいて契約書を作成する必要があります。契約締結後にはクロージングと呼ばれる対価の支払いや名義変更などが行われ、ここでも専門的な知識と手続きが必要となるケースが多いです。
そこで、M&A仲介会社のサポートがあれば適切な書類の作成や円滑なクロージングが可能になります。このように、M&A仲介会社は各プロセスにおいて重要な役割を担っているのです。
売り手と買い手の立場から役割を考える
M&A仲介会社・M&Aアドバイザリーは「仲介型」であれば売り手と買い手の両方の立場からサポートをしますが、M&Aでは売り手と買い手に分かれるため、M&Aサポートについてもそれぞれの立場に分けて考える必要があります。
立場が変われば受けられるサポートも異なるため、それぞれの立場によってどのようなサポートが受けられるかを確認しておきましょう。
M&Aサポートによる売却事例
M&Aにおける買い手と売り手どちらの立場になるのかによって、受けられるサポートが異なります。まずは売り手、つまり会社を売却する場合に受けられるM&Aサポートを見ていきましょう。
M&A戦略の策定
売り手は経営上の問題や後継者問題の解決を主な目的として売却を考えているため、その目的をもとにM&A戦略を決めることが重要です。ここで、M&A仲介会社・M&Aアドバイザリーが売り手の目的に沿った最適な手法の提案などを行います。
また、どのような会社に売却するべきか、売却後にどのような形で経営が進むのかといった点も含め、専門家の助言・提案を踏まえて具体的なM&A戦略を策定しましょう。
対象企業を見つける
売却によって経営を任せる以上、信頼できる会社を見つけなければならず、ただ自社を買ってくれれば良いというものではありません。しかし、売却後に適切な経営をしてくれる会社を探すのは自社だけで困難なことがほとんどです。
どのような会社が自社に適しているのか、その見極めが難しいのです。そこで、M&A仲介会社・M&Aアドバイザリーなどの専門家がサポートを行い、ネットワークなども活かして対象企業を具体的に絞っていくことで最適な企業の選定が可能になります。
交渉
対象企業が決まり、その企業が取引に応じたら具体的な内容を協議していくのですが、対象企業(買い手)との交渉では従業員の待遇や経営方針、売却価格などさまざまなことを交渉していきます。
しかし、交渉ではそれぞれの意向がぶつかり合って難航することも珍しいことではありません。そこで、M&A仲介会社・M&Aアドバイザリーなど専門家のサポートを受け、より良い条件で交渉をまとめる必要があります。
不利な条件での交渉は従業員の反発など後にトラブルとなる要素にもなりかねませんので、高い交渉力を持つ専門家のサポートは非常に重要です。
契約・統合
交渉がまとまると最終的な合意によって契約を締結し、取引が実行されます。そして、M&A業務の最終的な手続き(クロージング)によって買い手に経営権などが移転して統合の段階に進みます。
統合というのは、売り手と買い手の違いを素早く埋めることを意味します。人事システムや業務プロセスなどの統合作業のほか、風土・雰囲気の違いを早い段階で埋めることも必要です。これらの契約・統合の段階においても、M&A仲介会社・M&Aアドバイザリーなどの専門家がサポートを行います。
統合がスムーズに進まないとM&A後の事業展開に悪影響を及ぼしてしまう可能性が高いため、専門家のサポートによって効率的に進める必要があるのです。
M&Aサポートによる買収事例
次に、買収する側が受けられるM&Aサポートについて見ていきましょう。
M&A戦略の策定
買収する側は事業の強化・拡大などの目的を踏まえ、どの事業を強化するべきなのか、拡大するべき事業エリアはどこかなど具体的なポイントをおさえてM&A戦略を策定します。ここで、M&A仲介会社・M&Aアドバイザリーなどの専門家が業界動向などの専門的な観点も踏まえてアドバイスを行い、方向性も決めます。
対象企業を見つける
買収によって売り手を取り込む以上、リスクはどうしても高くなるため、自社の事業の強化・拡大につながるような対象企業を探しつつ、買収候補企業の財務状況などを調査・分析する必要があるのです。
基本合意契約を締結したあとに対象企業に対する本格的な調査・検証(デューデリジェンス)が行われます。対象企業を選ぶ段階でも財務状況などはしっかりと分析しておかなければなりませんが、このような対象企業の選定・分析も専門性が高いです。
そのため、M&A仲介会社・M&Aアドバイザリーなどの専門家がさまざまな点でサポートを行います。
デューデリジェンス・交渉
交渉により具体的な内容を協議し、双方が合意したら基本合意書を締結します。その後、対象企業に対する詳細な調査・検証(デューデリジェンス)が行われ、財務・税務・法務などの分野において問題点がないかを調べます。
デューデリジェンスによって問題点が発覚したら、買収価格の引き下げが行われるケースや、場合によっては買収そのものが取りやめになる可能性もあるため、デューデリジェンスは買収の実行を左右する重要なプロセスです。
そのため、M&A仲介会社・M&Aアドバイザリーなどのサポートが非常に重要な意味を持ちます。デューデリジェンスによって対象企業の価値を適正に判断したうえで、専門家のサポートのもと買収価格など最終的な交渉に挑み、より良い条件で買収できるよう進めていきます。
契約・統合
交渉がまとまったら最終的な契約の締結を行い、その後は取引の実行や統合における流れを先ほど紹介した売却事例のときと同様に専門家のサポートを受けて完了させます。
※関連記事
M&Aのプロセスとは?買収・売却におけるプロセスや注意点を解説
M&Aの契約書とは?契約手順に沿って意向表明、基本合意書、最終契約書を解説します
M&Aサポートの注意点
M&Aサポートを行うM&A仲介会社・M&Aアドバイザリーなどの専門家を選ぶ際には、それぞれの会社がどの分野に強みがあるのかなどについて事前に確認しておく必要があります。
専門家の中には大型案件に特化した会社もあれば、中小規模の案件に強みのある会社もあり、さらに特定の業界に特化している会社まであります。そのため、どのような業界に実績があるのかなどさまざまな観点から仲介会社・アドバイザリーの強みを分析することが大切です。
M&Aサポートしてくれるからといって、やみくもにM&A仲介会社・M&Aアドバイザリーなどの専門家に依頼すればよいというものではありません。自社の状況に沿った形でサポートを受けるためにも、それぞれの仲介会社・アドバイザリーの強みを調べ、自社に合った専門家に依頼するのがおすすめです。
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まとめ
M&Aにおいては法務、税務、財務といった専門分野における知識、高い交渉力などが求められるため、M&Aを最初から最後までサポートをしてくれるM&A仲介会社・M&Aアドバイザリーなどの存在は、M&Aを検討する会社にとって非常に心強い存在となります。
しかし、ただ専門家に依頼すれば良いというわけではなく、自社に合った専門家を探してより効果的なサポートを得ることが重要です。M&Aの一連の流れや専門家のサポートの流れを踏まえつつ、専門家が自社の状況・目的に沿ったサポートをしてくれるかどうかをしっかりと見極めましょう。
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。