2024年4月9日更新会社・事業を売る

廃業(清算)を決める前にM&Aと比較検討!メリット・デメリット・決断タイミング・税金についても解説

会社の清算を考えた時、廃業とM&Aという選択肢がありますが、経営者としてはどちらを選択すべきなのでしょうか。本記事では、会社の廃業を検討している方に向けて、廃業(清算)とM&Aを比較検討しながらそれぞれのメリット・デメリットを解説します。

目次
  1. 廃業(清算)とは
  2. 廃業(清算)を選ぶ企業は増加傾向にある
  3. 廃業(清算)を決める前にM&Aと比較検討
  4. 廃業(清算)よりM&Aの方がメリットがある
  5. 廃業(清算)を決断するタイミング
  6. 廃業(清算)・M&Aでかかる税金
  7. 廃業(清算)・M&Aの相談先
  8. 廃業(清算)・M&Aのまとめ

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廃業(清算)とは

廃業(清算)とは、会社が自主的に経営や事業をやめることです。近年は、経営者の高齢化や後継者不在の影響で中小企業の廃業が増加しています。

現状のまま中小企業の廃業件数が増加すると日本経済への打撃が生じるため、廃業以外の選択肢を模索しなければならない状況です。その際の1つの選択肢としてM&Aが注目を集めています。廃業とM&Aで得られる結果は何が違うのか、本記事で比較検討しましょう。

破産との違い

破産とは、会社が債務超過に陥り経営が困難になった状態のときに行う、清算を目的とした債務整理手段のことです。一方の廃業は、経営状況にかかわらず、会社や事業を廃止します。黒字でありながら廃業する中小企業や個人事業主は少なくありません。

倒産との違い

倒産とは、経営状態の悪化により事業の存続が困難な状態のことです。倒産には破産のような法的な定義や手続きはなく、一般的に概念として用いられる単語に過ぎません。したがって、厳密には破産と倒産は似たイメージですが、全くの同義語でもないのが事実です。

いずれにしろ、経営状況の悪化を意味するわけではなく自主的に会社・事業を廃止することを示す廃業とは、意味が異なります。

休業との違い

休業は、一時的に事業を停止している状態を示します。事業は行っていませんが、会社組織は法的に以前のまま保たれている状態ですから、いつでも事業の再開が可能です。会社を消滅させてしまう廃業とは、その点で大きく異なります。

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廃業(清算)を選ぶ企業は増加傾向にある

帝国データバンクの「全国企業『休廃業・解散』動向調査(2023年)」によると、休廃業・解散件数は59,105でした。前年比2022年からみると10.6%増加しました。本章では、廃業する理由と廃業費用を考えます。

廃業(清算)する理由

廃業する理由は、後継者問題の影響が大きいです。日本政策金融公庫研究所の「中小企業の事業承継に関するインターネット調査」では、廃業予定の理由のうち28.6%が後継者問題によることが明らかになっています。

黒字経営で順調に業績を伸ばしている優良企業であっても、後継者不在によって廃業せざるを得ない状況に追い込まれているもようです。

コロナ禍も廃業の増加を後押し

2020年はコロナウイルスの影響で多くの企業が厳しい経営状況に陥り、廃業を決断するきっかけとなりました。

コロナウイルスの影響に対する対策として、国や地方自治体、金融機関などが企業の資金繰りを支援しました。この支援によって、一時的に廃業を避けられた企業もあります。しかし、中長期的な事業改善へはつながっていないため、今後も不安な将来を懸念して廃業を選択する企業が増えると予想されます。

廃業する企業の中には優良企業も見られる

清算や廃業を検討する会社は、意外にも経営状況が良いことがあります。例えば、多くの負債がないまま廃業を選ぶ会社は、財務の健全さが伺えます。しかし、後継者が見つからないというだけで、そうした健全な会社を閉めてしまうのはもったいないことです。

実際、日本政策金融公庫の「中小企業の事業承継に関するインターネット調査」によると、後継者がいなくて廃業を考えている会社の中には、競合する他社と比べて業績が「良い」または「やや良い」とされる企業が約3割も存在することがわかっています。

廃業(清算)にかかる費用

会社の廃業の際に必ずかかる費用は、7~8万円前後です。内訳は、法務局への登記費用や印紙代、官報公告などで、いずれも法的な手続きを踏むうえで必要になります。

その他に発生する可能性があるものとしては、専門家へ業務を依頼した場合の手数料や賃貸事務所の原状回復工事費、取引先との解約費用、施設・設備・在庫・原材料の処分費などです。これらは場合により、数百万円以上の費用がかかることも珍しくありません。
 

費用の項目 費用
解散登記 3万円
清算人選任登記 9,000円
清算結了登記 2,000円
登記簿謄本(2通) 1,200円
印鑑証明書 450円
官報公告 3~4万円
専門家への手数料 10~20万円
オフィスの原状回復工事 2~5万円(坪あたり)
取引先との解約金 規模による
施設・設備の処分費 規模による
在庫・原材料の処分費 規模による

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廃業(清算)を決める前にM&Aと比較検討

経営者を引退する際、廃業の選択肢しかない状況もありますが、大抵の場合はM&Aという選択肢が残されています。特に後継者問題で悩まされている企業は、企業価値が十分に高いことも多いので、M&Aでも高い評価を受けやすいです。

この章では、廃業とM&Aのそれぞれのメリット・デメリットを見ながら、どちらの選択肢が会社に利益をもたらすのか確認します。

廃業(清算)のメリット・デメリット

まずは、廃業のメリット・デメリットです。会社を消滅させる廃業を選択することで得られるメリット・デメリットはどのようなものがあるのでしょうか。

廃業(清算)のメリット

廃業の主なメリットは以下の2点です。

  • 会社の経営を終わらせられる
  • 一定の資産の残せる可能性がある

廃業のメリットは確実に会社を終わらせられる点です。廃業できるということは、弁済しきれない負債が残らないことを意味するので、そのまま会社を畳めます。経営者としての責務からも開放され、空いた時間を自由に使えますから新たな事業を立ち上げることも可能です。

また、一定の資産を残せる可能性があります。処分した資産で負債を弁済した後、現金が残れば株主への分配です。中小企業の場合は経営者が大半の株式を保有していることが多いので、自然と分配金も経営者の手元に多く残るようになっています。

廃業(清算)のデメリット

廃業の主なデメリットは以下の3点です。

  • 従業員の雇用を守れない
  • 取引先へ迷惑をかける可能性がある
  • 負債が残る可能性がある

廃業のデメリットは、従業員を解雇しなければならないことです。廃業すると会社が消滅して従業員の働き先がなくなるので、従業員の雇用を守れません。これまで会社に尽くしてくれた従業員を解雇するので、会社としても経営者としてもできる限り避けたい選択肢です。

取引先へ迷惑をかける可能性があることも注意しなくてはなりません。1つの会社が急に廃業したら、取引先の収益に大きな影響を与えることになるため、無計画に廃業すると信用を損なう結果になってしまいます。

やむを得ず廃業する場合は、なるべく早い段階で取引先への通達を行い、円満に取引を終了できるように努めなくてはなりません。また、負債を負ってしまう可能性もあります。

金融機関からの借入の際に個人保証・担保を提供している場合、経営者に返済する義務があるため、廃業後も負債が残ってしまうパターンです。最悪の場合は個人資産で弁済することになるため、経営者としての収入と個人資産が同時に消滅してしまうこともあり得ます。

M&Aを選ぶメリット・デメリット

廃業ではなくM&Aを選択した場合は、会社を存続させられます。M&Aで会社の形を保つことで得られるメリット・デメリットを見ていきましょう。

M&Aを選ぶメリット

M&Aの主なメリットは以下の4つです。

  • 従業員の雇用を守れる
  • 売却益の獲得
  • 廃業よりも簡単な手続きで行える可能性がある
  • 個人保証から解放される

M&Aを選ぶメリットの1つ目は従業員の雇用を守れる点です。M&Aの場合、買収先に従業員の雇用条件を引き継ぐよう交渉を行えます。M&Aの買い手は人材の獲得を目的とすることも多いので、よほど特別なM&Aでもない限り、従業員の雇用を守られるものです。

2つ目は売却益の獲得です。M&Aによる売却は、会社の価値に応じた売却益を獲得可能です。M&Aでは建物や土地などの有形資産以外に、ブランド力や人材、取引先などの無形資産も評価されます。資産を処分価格で現金化する廃業よりも、M&Aの方が高額の売却益を獲得できることが多いです。

3つ目は簡単な手続きで行える点です。廃業する場合は、煩雑な手続きが必要です。しかし、M&Aの場合は仲介会社などに依頼して専門家のサポートが受けられるため手続きも簡単です。

4つ目は、個人の保証を解除できる点です。経営者は通常、個人財産を担保に入れているケースが多くあります。個人保証がある場合、廃業後も続くことになりますが、M&Aをすると精神的なプレッシャーからも解放されるでしょう。
 

M&Aを選ぶデメリット

M&Aの主なデメリットは以下の2点です。

  • 買い手探しが難しい
  • 自力でM&Aのメリットを活かすのは難しい

M&Aを選ぶデメリットは、M&A先の選定が難しいことです。M&Aのメリットには、広範囲から買い手を探せることも挙げられますが、逆を返すと広範囲から探すだけのネットワークが必須であることも意味しています。

一企業が独自に保有するネットワークだと、M&A先が身近な取引先に落ち着くことも多く、M&Aが残念な結果に終わってしまうケースが多いです。また、M&Aを成約させるためにはM&A先との交渉も行うことになります。

当事者同士のM&A交渉は破談することが多いので、成約させることが難しいのが問題です。M&Aで幅広い選択肢から最善の結果を得るためには、M&Aの豊富な知識やネットワークを保有するM&Aの専門家に相談するなど、何かしらの対策が必要になります。

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廃業(清算)よりM&Aの方がメリットがある

前章で見てきた廃業とM&Aのそれぞれのメリットをまとめると、廃業のメリットは消極的であるのに対し、M&Aのメリットは前向きなものが多いです。

また、M&Aのデメリットは対策が可能であることも考慮すると、廃業とM&Aの比較検討においては、M&Aの方が会社にとって良い選択肢であるといえます。

特に、後継者問題に悩みを抱えている企業は、M&Aを選ぶメリットの全てを得られる可能性が高いです。廃業を検討されている経営者の方は、一度M&Aという選択肢に目を向けてみると、新たな道が開けるかもしれません。

廃業(清算)を決断するタイミング

現在も廃業により数多くの優良企業が消滅していっています。こうした企業が実際に廃業を決断するタイミングはいつなのでしょうか。この章では、会社や経営者にとって大きな分岐点である、廃業やM&Aのタイミングについて取り上げます。

経営の状況・環境が変化しつづける

経営の状況・環境は常に変化しています。順調に業績を伸ばして黒字経営を続けていても、業界の動向が一変することで、いきなり経営状態が悪化することも珍しくありません。

一企業の力で解決するのが難しいと判断した場合は、廃業という選択肢を選ぶことも多いです。会社の経営は外部環境の影響が大きい点も、廃業件数が多くなる一因となっています。

廃業(清算)を回避するためのM&A

会社の廃業を決断する前の選択肢として、ぜひ検討したいのがM&Aです。M&Aによる売却の場合、M&A先の傘下に入ることで会社の廃業を回避できます。

会社を廃業すると個人保証・担保の負債を経営者が負う可能性もありますが、M&Aの株式譲渡であれば債務は買収側に引き継がれるうえに、会社の価値に応じた売却益を獲得可能です。

会社としても経営者としても多くのメリットが得られるM&Aは、廃業を決断する前に検討しておきたい選択肢といえます。

M&Aを行うタイミング

M&Aの行うタイミングはとても重要です。廃業とM&Aの選択で悩んでいるときは、できるだけ早く決断した方が良い結果が得られることが多いでしょう。

M&Aは、行動を起こしてすぐに成約はできません。買い手との長い交渉を経たうえで成約に至るので、早くからM&Aの専門家に相談して入念に準備を進めておく必要があります。

ただし、M&Aの準備にあまり時間をかけ過ぎると会社の状況が悪化してしまい、交渉が不利になってしまうかもしれません。なるべく有利な状態でM&Aの交渉を進めるためには、できる限り早い段階における行動が求められます。

廃業(清算)・M&Aでかかる税金

廃業を行ってもM&Aを行ってもm」どちらも課税を受けます。ここでは、廃業とM&A、それぞれで発生する税金を確認しましょう。

廃業(清算)でかかる税金

廃業で解散登記を行うと、まず、その段階で登録免許税3万円がかかります。解散日を決算日とする確定申告を行うので、決算内容に伴って法人税・法人住民税・法人事業税・特別法人事業税・消費税を納付しなければなりません。この4種の法人税の実効税率は約30%です。

また、解散後の残余財産の確定のために毎年、清算事業年度の申告を行います。そして、清算が終わった年度に、残余財産確定の確定申告を行う必要があり、その際に発生し得る税金は法人税・法人住民税・法人事業税・特別法人事業税・消費税です。

M&Aでかかる税金

M&Aにはさまざまな手法がありますが、中小企業のM&Aで最も多く活用されているのは株式譲渡です。オーナー経営者が所有する自社株式を、買い手に譲渡(売却)することでM&Aが成立します。この場合、オーナー経営者に課せられるのは、株式の譲渡利益額に対する所得税です。

株式の譲渡所得税は分離課税となっており、2022(令和4)年10月現在の課税内容は以下のようになっています。

  • 所得税15%
  • 住民税5%
  • 復興特別所得税0.315%(2037⦅令和19⦆年までの時限税)

株式の譲渡所得は以下のように計算します。
  • 株式の譲渡所得=売却額-(株式の取得費+M&A委託手数料などの諸費用)
株式の取得費とは、会社の創業者であれば資本金額が該当します。M&A委託手数料は支払った消費税を含めた金額です。

廃業(清算)・M&Aの相談先

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廃業(清算)・M&Aのまとめ

廃業とM&Aには、それぞれメリット・デメリットがあり、廃業とM&Aのどちらを選択するべきかは会社の状況次第で変わります。ただ、一度廃業してしまうと後には戻れません。

廃業を決断する前にM&Aを検討することで選択肢の幅を広げられるので、まずはM&Aに目を向けてみることをおすすめします。本記事の概要は以下のとおりです。

・廃業(清算)のメリット
→会社の経営を終わらせられる、一定の資産の残せる可能性がある

・廃業(清算)のデメリット
→従業員の雇用を守れない、取引先への迷惑、負債が残る可能性

・M&Aを選ぶメリット
→従業員の雇用を守れる、売却益の獲得

・M&Aを選ぶデメリット
→買い手探しが難しい、自力でM&Aのメリットを活かすのは難しい

・廃業を決断するタイミング
→廃業を決断するタイミングは経営状態が悪化した時が多い
→M&Aのタイミングは早い方が良い結果を得やすい

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