2022年10月5日更新会社・事業を売る

廃業による従業員の処遇は?解雇にせずM&Aで雇用を守る方法も解説

廃業を行うと従業員の処遇で困ることやさまざまなリスクがあるため、できる限り行いたくありません。そのような場合においてM&Aは従業員の雇用を守ることが可能です。本記事では、廃業による従業員の処遇と解雇せずにM&Aを行うことによるメリットを解説します。

目次
  1. 廃業による従業員の処遇
  2. 廃業を従業員に伝える方法
  3. 廃業により従業員を解雇するリスク
  4. 廃業を従業員に受け入れてもらうためのポイント
  5. 従業員を解雇にせずM&Aで雇用を守る方法
  6. 廃業ではなくM&Aを行うことによる従業員の処遇
  7. 廃業するならM&Aがおすすめの理由
  8. 廃業ではなくM&Aを行う際の相談先
  9. 廃業による従業員の処遇まとめ

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廃業による従業員の処遇

廃業による従業員の処遇で行う必要があることはさまざまありますが、ここでは下記の内容を解説します。

  • 解雇予告手当とは
  • 退職金の支払い
  • 未払金の支払い
  • 有給休暇の扱い

解雇予告手当とは

解雇予告では、従業員を解雇する際、30日以上前に解雇を行う旨を通知することが必要です。ただし、廃業などやむを得ない理由で従業員を解雇する場合は、30日以上前に解雇予告せずに解雇を行えます。その際に義務付けられている支払いが解雇予告手当です。

退職金の支払い

廃業する会社でも退職金の支払いは必要です。多くの会社では、従業員の退職金は労働条件通知書や就業規則の中に記載されており、その記載内容に従って退職金を支払わなければなりません。

退職金には非課税の枠があり、どれくらいの金額が非課税になるかは勤続年数によって異なるため注意が必要です。また、労働条件通知書や就業規則に退職金の記載がない会社は、支払いの義務がないため支給されないのが一般的となっています。

未払金の支払い

未払金とは、ある一定の時期において支払いの義務が残っているものを支払っていない場合に発生する債務のことです。廃業を行うための条件としては、まず債務を完済している必要があり、債務が完済できないと廃業できません

会社の債務というのは全て経営者の債務と思われがちですが、実際には会社と経営者は別であり、会社の債務を経営者が代わりに支払う必要はありませんが、経営者が連帯保証人になっている会社の債務は、弁済する義務があります。

融資の未払い金の場合は、金融機関に代わって債務者が保証協会に変わりますが、保証協会がついていない場合は国に認められた債権回収会社であるサービサーへの返済です。

有給休暇の扱い

有給休暇について、労働基準法では基本的に会社が買い取ることを認めていません。しかし、例外的に廃業や退職などやむを得ない場合で、退職日までに使いきれない有給休暇は、従業員が買い取りを希望する場合のみ会社が買い取れる場合があります。

ただし、会社と従業員双方の合意が必要です。有給休暇は従業員の権利であるため、基本的には従業員が申請すれば会社は拒否できません。したがって、廃業前に有給休暇消化を行いそのまま退職する場合もあります。

【関連】廃業手続きとは?廃業手続きの流れと費用| M&A・事業承継の理解を深める

廃業を従業員に伝える方法

廃業によって職を失い、転職活動を余儀なくされる従業員にとって、廃業は大問題です。誤った印象を与えるような廃業の伝え方をしてしまうと、トラブルに発展する可能性もあります。これまで会社を支えてくれた従業員に対し、経営者としてはできるだけ穏便に廃業の決断を伝えたいものです。

誤解や憶測が生じないよう、従業員を一堂に集めて全員同時に廃業を伝えましょう。その際には、廃業を決断した経緯や理由など、誠意をもって説明し経営者の立場・考えを理解してもらえるように努めるしかありません。

廃業を従業員に伝えるタイミング

廃業予定日とは、法務局に解散登記を行う予定の日であり、従業員にとってはその日が解雇日です。労働基準法では、解雇予告は30日以上前に行わなければなりません。ただし、従業員の有給休暇の消化や転職活動に要する期間、会社が事業活動をいつまで行う予定であるかも関係します。

廃業予定日近くまで事業を続けたくても、従業員が有給休暇に入ってしまえば事業活動はできません。このような点を総合的に勘案し、自社と従業員にとって望ましい時期を検討しましょう。

廃業により従業員を解雇するリスク

廃業による従業員の解雇は、廃業後、さまざまなリスクがあるものです。ここでは以下2つの内容を解説します。

  • 情報・技術・ノウハウが流出する可能性
  • 訴訟リスクを抱える可能性

情報・技術・ノウハウが流出する可能性

廃業による従業員の解雇のリスクは、情報・技術・ノウハウが流出する可能性があることです。廃業による従業員の解雇によって、長年の間、積み重ねてきた情報・技術・ノウハウなどがライバル会社などに流出してしまう可能性があります。

特に、優秀な従業員の情報・技術・ノウハウは短期間で得たものではなく、優秀な従業員になるためには多くの時間やコストを費やしたものです。

廃業したもののもう一度、会社を経営すると決めても、従業員を育成するのは時間と費用がかかるとともに、以前までの情報・技術・ノウハウがライバル会社などに流出してしまっていると、もう一度会社を経営しても継続することは非常に難しくなります。

訴訟リスクを抱える可能性

廃業による従業員の解雇リスクのもう1つは、訴訟リスクを抱える可能性があることです。廃業により従業員の解雇が決定すると、従業員との関係性は以前までと同じというわけにいかず、場合によっては恨まれてしまう可能性もあります。

その際に、未払い残業代や会社が就業規則を守っていないなどの事実があれば、訴訟を起こされてしまうかもしれません。そのような状況にならないためには、普段から会社経営における法令順守を徹底的に行うよう浸透させておく必要があります。

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廃業を従業員に受け入れてもらうためのポイント

廃業をできるだけ従業員に受け入れてもらい、極力、円満に退職してもらうためのポイントして以下3点を説明します。

  • 給料未払いを回避する
  • 退職金を支払う
  • 従業員の就職先の斡旋・再就職サポート

給料未払いを回避する

経営状態が悪化したことにより、廃業を決断する会社も少なくありません。そのようなケースでは資金繰りも厳しく、給料の遅配や未払いが発生しがちです。給料が未払い状態で廃業を告知すると、従業員としては「このまま給料が支払われないのではないか」と考えるかもしれません。

そうなれば従業員と経営者の間は険悪な状態となり、法的手段を起こされる可能性すらあります。廃業を受け入れてもらうような状態にはならないでしょう。したがって、給料の未払いがあるのなら、それを解消してから廃業を告知すべきです。

退職金を支払う

労働条件通知書、または就業規則に退職金を定めているのであれば、廃業による退職金の支払いは会社の義務ですから当然、行わなければなりません。そのことを廃業を告知する際に、きちんと表明しておくのは、1つのポイントです。

また、労働条件通知書や就業規則に退職金を定めていない場合でも、何らかの退職金を支払える財務状態であれば、これを行うことによって、従業員が廃業を受け入れやすくなるでしょう。

従業員の就職先の仲介・再就職サポート

取引先や既知の同業者などに、従業員の就職を仲介できるのであれば、希望者に対し実践しましょう。従業員が現在持つスキルを活かせて、同業他社で今までと同程度の報酬が得られるのであれば、廃業への不満も起こりづらくなります。

他社への就職仲介が難しい場合には、従業員が行う再就職活動を極力、バックアップする体制を取りましょう。再就職先が決まれば、従業員も廃業を受け入れる気持ちになってくれるはずです。

従業員を解雇にせずM&Aで雇用を守る方法

従業員の雇用を守る方法としてM&Aは有効な手法です。ここでは以下の点を解説します。

  • M&Aへの認識の変化
  • 事業の売却によるメリットは多い

M&Aへの認識の変化

M&AとはMergers(合併)and Acquisitions(買収)の略語であり、企業の組織再編行為や会社・事業そのものの売買取引の総称です。しかし、以前のM&Aのイメージには、「身売り」や「乗っ取り」などのネガティブなイメージがありました。

現在は、M&Aの正しい情報が広く伝わり、その有効性も認識されたことから、大企業だけでなく中小企業においても経営戦略の1つとなっています。特に、中小企業の場合、後継者不在による廃業を避けるため、積極的に売り手となってM&Aを行う会社が増加中です。

事業の売却によるメリットは多い

M&Aを行う売り手は、以下のようなメリットを手にすることが可能です。

  • 廃業を避け事業承継が実現する
  • 事業・会社が継続・存続するため従業員の雇用が守られる
  • M&A手法の1つである株式譲渡を行えば債務は買い手に引き継がれるため個人保証からも解放される
  • 売却益を獲得できる

一方、M&Aの買い手側では以下のようなメリットがあります。
  • 人材(従業員)の獲得
  • 事業規模の拡大
  • 事業エリアの拡張
  • 新規事業への進出

このように、M&Aでは売り手・買い手ともに多くのメリット享受が期待できるため、多数の企業がM&Aを実施する状況となっています。

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廃業ではなくM&Aを行うことによる従業員の処遇

廃業ではなくM&Aを行うことにより、従業員の処遇も変わるものです。ここでは以下3点を解説します。

  • 雇用が守られる
  • 従業員にとってはチャンスが生まれる
  • 従業員はM&Aの際に人的資産となる

雇用が守られる

廃業ではなくM&Aを行うことにより、従業員の雇用は守られます。廃業では従業員は解雇され、再就職先を探さなければいけません。再就職先がすぐに見つかる人もいれば、なかなか見つからず生計を立てるのが難しくなってしまう場合もあるものです。

しかし、M&Aにより事業もしくは会社が譲渡されて廃業を行う必要性がなくなれば、従業員の雇用も継続されるため引き続き働けます

従業員にとってはチャンスが生まれる

廃業ではなくM&Aを行うことで、従業員にとってはチャンスが生まれるでしょう。廃業ではなくM&Aを行った結果、従業員は働く会社が変わります。

その新しい会社で従業員の能力が今まで以上に評価を受ければ、待遇が良くなったり、昇格して役職に就いたりなど新たなチャンスが生まれる可能性があるのです。

従業員はM&Aの際に人的資産となる

廃業ではなくM&Aを行う際、従業員は人的資産です。現在、人口減少の影響もあり、ほとんどの業種で人材不足が叫ばれています。M&Aの買い手からすると、一定の経験・技術・ノウハウなどを持った従業員の獲得は、大きなメリットです。

人材獲得を目的にM&Aを実施する企業もありますから、従業員の在籍・存在がM&Aの売り手にとっても重要な意味を持ちます。

【関連】ビジネスマン必見!M&Aの基礎知識、代表的手法、メリット| M&A・事業承継の理解を深める

廃業するならM&Aがおすすめの理由

さまざまな理由によって会社の経営が難しくなり廃業を考えた場合は、廃業の選択よりもM&Aを選択することをおすすめします。廃業を選択してしまうと全てが終わり、あとには何も残りません。しかし、M&Aを選択することで事業や会社を未来へつなげることが可能です。

従業員も廃業してしまうと解雇ですが、M&Aを選択することで雇用が継続されます。新たな体制下でさらなる成長を狙えるなど、廃業よりもM&Aを選択した方が従業員にとってもメリットがあるのです。

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廃業ではなくM&Aを行う際の相談先

廃業ではなくM&Aを行おうとしても、どのような手続きを行ったらよいかなど、わからないことも多いのではないでしょうか。廃業ではなくM&Aを検討される場合は、ぜひ一度、M&A総合研究所にご相談ください。

M&A総合研究所は、主に中小・中堅規模のM&A案件を扱う仲介会社で、さまざまな業種で成約実績を有しています。知識・経験豊富なアドバイザーが多数、在籍しており、相談時からクロージングまで親身になってサポートする体制です。

料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」となっています(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。随時、無料相談をお受けしていますので、廃業ではなくM&Aを検討される際は、お気軽にお問い合わせください。

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廃業による従業員の処遇まとめ

廃業を行うのは経営者・従業員の双方にとって多くのリスクがあるものです。会社の経営を継続することが困難な場合は、廃業ではなくM&Aを選択することも非常に有効な手段になります。本記事の概要は以下のとおりです。

・廃業による従業員の処遇
→解雇予告手当、退職金の支払い、未払金の支払い、有給休暇の扱い

・廃業により従業員を解雇するリスク
→情報・技術・ノウハウが流出する可能性、訴訟リスクを抱える可能性

・廃業を従業員に受け入れてもらうためのポイント
→給料未払いを回避する、退職金を支払う、従業員の就職先の仲介・再就職サポート

・従業員を解雇にせずM&Aで雇用を守る方法
→M&Aへの認識の変化、事業の売却によるメリットは多い

・廃業ではなくM&Aを行うことによる従業員の処遇
→雇用が守られる、従業員にとってはチャンスが生まれる、従業員はM&Aの際に人的資産となる

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