2022年10月18日更新資金調達

ストックオプションでかかる税金は?税制適格ストックオプションも解説

ストックオプションとは、あらかじめ定められた価格で会社の株式を取得する権利であり、適格税制か非適格税制かによって、課税される税金が異なります。本記事では、ストックオプションで必要となる税金や、税制適格ストックオプションなどついて解説します。

目次
  1. ストックオプションに関する基礎知識
  2. ストックオプションにかかる税金の種類
  3. ストックオプションの税制の違い
  4. ストックオプションの適格要件
  5. ストックオプションにかかる税金と確定申告
  6. ストックオプションでかかる税金のまとめ

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ストックオプションに関する基礎知識

この章では、ストックオプションに関する基礎知識について見ていきましょう。

ストックオプションとは

ストックオプションとは、あらかじめ定められた価格で会社の株式を取得する権利です。これを従業員や役員に付与すると、将来株価が上昇した時点で株式を取得・売却すれば、株価が上昇した分の利益を得られるため、労働に対する士気の向上が期待できます。

つまり、直接的に現金は貰えませんが、将来的に現金となりうるものです。ストックオプションと新株予約権は正式には別物として考えられます。しかし、M&A用語では同じ意味の単語として使用されるケースもあるでしょう。

ストックオプションは将来を見据えた給与の形なので、従業員は数年後に自社の株式が値上がりするよう労働に励みます。会社としても一定の対価を受けながら、会社の利益を上げられる画期的なシステムです。

特に開業後直ぐは、高額な給与を支払えない会社がほとんどでしょう。しかし、優秀な人材には相応額の給与の支払いが必要です。そこで、ストックオプションを利用し、数年後に上昇した株価分の報酬を約束します。

仕組み上、開業後の会社やベンチャー企業が使用する割合が高い手法です。会社にとってもストックオプションはキャッシュアウトとしてカウントされないため、報酬を与える手段としてはかなり有効的な方法です。

ストックオプションはM&Aにおいても大きな影響をもたらす場合があります。M&Aにおけるストックオプションの扱い方に苦慮した際は、M&A仲介会社などの専門家に相談するとよいでしょう。

M&A総合研究所では、専門的な知識や経験の豊富なM&Aアドバイザーが、培ったノウハウを生かして案件をフルサポートいたします。

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ストックオプションに関する権利の行使

ストックオプションを保有していても、いつでも自由に株式を売却できるわけではありません。権利を行使するには、一定の条件を満たしている必要があります。なぜ条件が設けられているかというと、インセンティブとしての効力を保つためです。

会社側は、従業員の士気を高めて利益を獲得したいと考えます。インセンティブが減ってしまうと、従業員の意欲を削いでしまうでしょう。すぐにストックオプションが売却できてしまうと、従業員の確保も難しくなります。

特に、会社を立ち上げてすぐの状態では、従業員に支払える給与はある程度限界があります。ストックオプションを持っていても、税金や仕組みについてよくわからないから売却して手放したいと考えても、思うようにはいきません。

【関連】ストックオプションとは?行使時の会計処理や仕訳をわかりやすく解説| M&A・事業承継の理解を深める

ストックオプションにかかる税金の種類

この章では、ストックオプションにかかる税金の種類について見ていきましょう。

ストックオプションは、受け取った人が利益を得られるため、状況に応じて税金が課されます。従業員などが受け取ったストックオプションは、基本的に、権利行使の際、株価(時価)と権利行使価額との差額が給与所得となるため、所得税がかかります。ただし、これは税制非適格ストックオプションの場合です。

その後に株式を売却すると、売却価額と権利行使した際における時価との差が譲渡所得となるので、所得税がかかります。

ストックオプションの税制の違い

ストックオプションの税金の制度は、2種類に分かれています。税制適格ストックオプションと、税制非適格ストックオプションです。ストックオプションに限らず、税金の支払い方には適格と非適格があります。

このどちらに税制が該当するかによって、支払う税金が大きく異なります。税金を支払う対象となっている人は確認が必要です。非適格と聞くと、良くないものとして捉えられがちですが、そうではありません。

優劣は税金を支払う対象者によって異なります。どちらの税制による税金支払いが、自分にとって利益のある行為かを見極めなくてはいけません。

税制適格と税制非適格は以下で解説する違いがあるため、ストックオプションに限っては、基本的に税制適格でなければ保有している意味がないといえます。

税制適格ストックオプション

税制適格のストックオプションの場合、権利が行使されている段階では課税対象となりません。保有を開始してから数年後に株価が上昇し、それに伴い株式を売却した際に、譲渡所得として課税対象となります。

税制適格のストックオプションの場合は、保有および権利行使をした段階では税金の課税対象にはならない個人の財産と考えられるのです。ストックオプションの税金発生時期は、以下の3つに分類されます。

  • 権利の付与
  • 権利の行使(=株式の取得)
  • 株式売却

適格税制ストックオプションでは、権利の付与と権利の行使のタイミングでは税金が発生しません。つまり、ストックオプションにより取得した株式を売却しない限りは税金がかかりません。

また、株式の売却時には、譲渡所得として税金がかかり、税率は20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)で統一されています。譲渡所得にかかる税金がいくらになるかは、ストックオプションの数や株価によって異なります。

非適格税制ストックオプション

税制適格ストックオプションと税制非適格ストックオプションの違いは、税金が課税される時期が増える点です。適格税制ストックオプションでは、権利の付与と権利の行使のタイミングでは税金が課税されません。

非適格税制ストックオプションでは、権利の行使時にも税金が必要です。権利の行使時には、ストックオプションを与えられたときの価格と現在の価格を比較して得られる金額を「給与所得」と考えます。

そのため、税制適格に比べると税金の種類が増えるだけではなく、課税の利率も大幅に上昇するのです。権利の行使と株式売却は別の工程となるため、当然税金もそれぞれ課税されます。

権利の行使時には、所得税と住民税の2種類の税金が必要です。所得税は最大で45%もかかる可能性があり、加えて10%の住民税がかかるので55%と半分以上が税金として引かれてしまいます。

「それでも残額が得られるなら税制非適格でも構わない」と考えるかもしれません。しかし、45%の残額は、個人に振り込まれるのではなく会社に入ります。その結果、個人の財産としては何も得られません。

【関連】ストックオプション税制とは?税制適格/非適格ストックオプションも解説| M&A・事業承継の理解を深める

ストックオプションの適格要件

前述のとおり、ストックオプションに関しては、適格税制である方が従業員はメリットを受けやすいです。ここでは、取得者、発行と行使、その他の3種類に分類し、ストックオプションの適格要件を解説します。

ストックオプションの取得者に関する要件

まずは、ストックオプションの取得者に関する要件について見ていきましょう。

対象者

当然ですが、ストックオプションを受けるためには、その会社または関連会社で働いている従業員や役員である必要があります。全く関係のない会社の従業員や役員が保有しているストックオプションは、税制適格の対象となりません。

株式の保有数

ストックオプションの他にも、会社が発行している株式を3分の1以上保有している場合は、適格要件に当てはまりません。すでに発行済み株式を3分の1以上保有していると、税制非適格として多く税金を支払う仕組みです。

ストックオプションの発行と行使に関する要件

次に、ストックオプションの発行と行使に関する要件について紹介します。

期間

税制適格のストックオプションにするためには、ストックオプションの権利行使期間が、付与決議日から2年から10年の間である必要があります。

価格

権利行使価格が発行時の株価よりも低い場合は、適格要件に当てはまりません。現在の株価が10,000円の場合に、権利行使価格が12,000円であれば問題ありませんが、8,000円の場合は税制非適格となります。

これは、ストックオプションの意義が、「株価の上昇のために努める」ものなので、発行時の株価よりも高く設定されていないと意味がないためです。

権利の行使の金額

権利行使の金額には上限が設けられています。行使価格ベースで年間1,200万円を超えてしまうと、税制非適格となります。

500万円分のストックオプションを行使したのち、同一年内にさらに800万円分行使し、1,200万円を超えた場合、最初に行使した500万円分についても税制適格とはならないので注意しましょう。

譲渡に関する制限

名義人以外の保有は認められていません。他者への譲渡も禁止されています。相続などで後継者に引き継ぐ際は、相続税などが必要になる可能性があるでしょう。

ストックオプションのその他の要件

その他に、会社法に違反しないように株式を売却する売却時には必要書類を税務署に提出するなどの要件が必要です。

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ストックオプションにかかる税金と確定申告

この章では、ストックオプションにかかる税金と確定申告について見ていきましょう。

確定申告の記載例

権利行使時にも所得税が課税されることはありますが、ほとんどの場合、給与所得として課税されるので、権利行使後に株式を譲渡した場合の確定申告について大まかに見ていきましょう。

まず、「特定口座以外で譲渡した株式等の明細」に詳細を記します。そして、所得金額の計算をします。次に、「確定申告書第三表(分離課税用)明細書」に記した内容をもとに、確定申告書第三表へ数字を転記してください。

第三表で計算した額を、税金の計算欄の㉛に記し、申告納税額を算出しましょう。納める税額があれば、100円未満を切り捨てた額が納税額です。

確定申告の注意点

ストックオプションにかかる確定申告は、権利行使後の株式を譲渡したときに必要になるケースがあるでしょう。源泉徴収口座ありの特定口座から譲渡した場合など、譲渡の事実があっても確定申告は必要のないこともあります。そのため、状況を整理することが大切です。

譲渡所得の確定申告を忘れてしまい申告漏れとなった場合は、無申告加算税が納付税額に課せられることもあるので気を付けましょう。申告加算税は、税務調査の前に自ら期限後申告すると軽減されます。申告漏れに気がついたら、すぐに申告をしてください。

ストックオプションでかかる税金のまとめ

税制が適格でないストックオプションは、多額の税金を支払う必要が生じる可能性があります。基本的に適格要件は前述のとおりですが、行使の条件などは会社によってさまざまなので、ご自身の目で確認しましょう。

会社にいわれるがままにストックオプションを保有しているものの、取り扱いについて詳しくない方も多いです。必要に応じて、専門家へ相談し、ストックオプションの税金に関する正しい知識を持ちましょう

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