2021年4月22日更新資金調達

中小企業の税制

中小企業が活用できる税制にはさまざまなものがあります。中には、新規で従業員を雇用した場合に優遇されるものや、従業員の給料を増やした場合に優遇措置を受けられる税制もあり、中小企業にとっては心強いものです。ここでは、中小企業の税制について詳しく説明します。

目次
  1. はじめに
  2. 中小企業に役立つ税制①エンジェル税制
  3. 中小企業に役立つ税制②法人税率の優遇
  4. 中小企業に役立つ税制③設備投資を実施した際の税制優遇措置
  5. 中小企業に役立つ税制④雇用促進税制
  6. 中小企業に役立つ税制⑤所得拡大促進税制
  7. まとめ

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はじめに

昨今、さまざまな経営課題がつきつけられている中小企業ですが、最近では税制を利用して経営を安定させている会社も存在します。税制の活用は中小企業の経営をより良い方向へ向かわせるうえで、今や必要不可欠であるといっても過言ではありません。

そこで、今回は中小企業の経営に役立つ以下の税制についてご紹介します。

  1. エンジェル税制
  2. 法人税率の優遇
  3. 設備投資を実施した際の税制優遇措置
  4. 雇用促進税制
  5. 所得拡大促進税制

中小企業に役立つ税制①エンジェル税制

創業したばかりの中小企業(ベンチャー企業)にとって嬉しい税制の一つにエンジェル税制があります。エンジェル税制とは、創立してから一定年数未満の中小企業に対し、投資した投資家に向けて、税制上の優遇措置を実施するものです。

投資家の立場からすると投資にメリットが生じるため、結果的に創業したばかりの中小企業の資金調達も活性化します。エンジェル税制には主に以下の2種類の優遇措置があります。それぞれで受けられる条件が異なるため注意が必要です。

エンジェル税制における優遇措置A

1つ目の優遇措置は「対象となる中小企業への投資額から2,000円を引いた分を、その年の総所得金額から控除する」ものです。この税制措置を受けるためには、以下の3つに当てはまる必要があります。

  1. 創業してから3年未満
  2. 新事業活動従事者が2人以上で、総人数の10%以上を占めている
  3. 一定の期間までのキャッシュフローが赤字

エンジェル税制における優遇措置B

2つ目の優遇措置は「対象となる中小企業への投資額すべてを、その年の株式譲渡益から控除する」ものです。この税制措置を受けるためには、以下の2つに当てはまる必要があります。

  1. 創業してから10年未満
  2. 創業してから2年以上経過している場合、試験研究費などが売り上げのうち、一定以上の割合を占めている

それぞれの優遇措置に共通する条件

さらに、エンジェル税制の対象となるためには、それぞれの優遇措置に共通して、以下の条件を満たす必要があります。

  1. 特定の株主グループからの投資額が全体で約83%を超えない
  2. 大企業の子会社、グループ傘下の会社など、大企業と特殊な関係を持っていない
  3. 未登録、未上場の株式会社であり、なおかつ風俗などに該当する会社ではない
ここまでの条件をクリアした中小企業が、エンジェル税制を活用できます。

控除対象となる投資家の条件

また、控除対象となる投資家にも以下の2つの条件があります。

  1. 金銭を支払うことで、対象会社の株式を所有している
  2. 同族会社(親族や家族が経営している会社)の場合、その会社の株式所有割合を計算して、50%以上保有する株主ではない

このように、エンジェル税制を活用するためには、さまざまな条件を満たす必要があります。しかし、創業したばかりの中小企業や経営が安定してきた中小企業にとっては、非常にメリットのある税制です。

※関連記事
同族会社とは?メリットやデメリット、税金や株式譲渡の際の注意点を解説します

中小企業に役立つ税制②法人税率の優遇

中小企業は、法人税率の優遇を受けられます。通常、法人税は23.2%と定められています。しかし、中小企業は800万円以下の所得については15%の税率になります。よって、中小企業は法人税の面で負担を軽減できます。ただし、800万円を超える場合は、通常と同じ法人税率となるため注意が必要です。

また、中小企業は、他の法人や事業関係者との交際費の全額、あるいは接待飲食費の半分を損金として換算できます。しかし、例外として、1人5,000円以下の飲食費は損金として換算されません。

もちろん、これらの優遇措置を受けられる中小企業は資本金1億円以下の企業に限られており、大企業のグループ傘下や子会社は該当しません。また、個人事業主でも使える制度であるため、活用することをおすすめします。

※関連記事
法人税の税率と計算方法

中小企業に役立つ税制③設備投資を実施した際の税制優遇措置

中小企業が設備投資を実施した際にも税制優遇措置を活用することが可能です。設備投資を実施した際の税制優遇措置にはさまざまなものがあります。

ここでは、その中から代表的なものを3つご紹介します。他にも中小企業の実情に合わせた税制優遇措置があるため、活用される際は一度調べることをおすすめします。

  1. 中小企業投資促進税制
  2. 機械装置導入による固定資産税の軽減
  3. 商業・サービス業・農林水産業活性化税制

①中小企業投資促進税制

中小企業投資促進税制の活用により、中小企業が特定の設備投資を実施した場合に、その際にかかった取得価額の30%を特別償却する、もしくは7%の税額控除を受けられます

この税制の対象となる設備とは、主にデジタル複合機や電子計算機といったIT機器、ソフトウェア、普通貨物自動車や船舶(船舶に関しては取得価額の75%が対象)などです。IT化や設備の充実を図りたい中小企業にとっては心強い税制となっています。

ただし、中古での購入やリースを用いたものに関しては、対象外になるため注意が必要です。

②機械装置導入による固定資産税の軽減

中小企業の経営能力向上計画に記載されている単品160万円以上の機械装置を導入した場合、固定資産税が軽減されます。

ただし、経営能力を向上させるための機械装置の導入が条件になります。3年度分の固定資産税を半分も軽減してくれるため、大変魅力的な税制です。

昨今は管理体制のIT化が盛んになっているため、その流れに乗りたいと考えている中小企業には活用したい方法だといえます。

③商業・サービス業・農林水産業活性化税制

こちらは商業・サービス業・農林水産業向けの税制です。この税制は、商業・サービス業・農林水産業のいずれかに属する中小企業が、器具製品、建物に付属する設備などの取得や制作をした場合、取得価額から30%の特別償却か7%の税額控除を受けられるというものです。

しかし、この税制では、アドバイス機関(商工会や都道府県中小企業団体中央会など)からアドバイスを受けているうえで、青色申告をしている中小企業が対象となります。したがって、アドバイス機関からアドバイスを受けていることを証明する書類が必要です。

中小企業に役立つ税制④雇用促進税制

中小企業が新規雇用を実施した際に受けられるものが雇用促進税制です。雇用促進税制は、2名以上を採用、総人数の10%以上増加させた雇用を遂行した中小企業において活用できます。

この雇用促進税制を利用できれば、雇用を増やしたフルタイムの従業員1人につき、40万円の税額控除を受けられます。ただし、この雇用促進税制を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 同意雇用開発促進地域に事業所が所在
  • 雇用保険適用事業所である
  • 事業主都合による離職が雇用年度、あるいは全事業年度にはない
  • 風俗などの事業ではない

特に「雇用保険適用事業所である」という条件は早い段階でクリアしておくことをおすすめします。雇用促進税制を活用したい場合は、雇用保険適用事業所番号を取得するために、ハローワークや労働局への問い合わせが必要です。

中小企業に役立つ税制⑤所得拡大促進税制

経営者が従業員の給与を増額した際に使用できる税制を所得拡大促進税制といいます。所得拡大促進税制の活用により、従業員給与の増額分の内、10%が税額控除として認められます。所得拡大促進税制は、中小企業に限らず、青色申告を提出している個人事業主や法人であれば活用できる税制です。

ただし、中小企業は、法人税額か所得税額の最高20%までが税額控除額の上限となりますが、それ以外の企業・法人に関しては10%までが上限になります。そのため、中小企業には有利な税制であるといえます。所得拡大促進税制の適用条件は以下の3つです。

  • 中小企業の場合、基準事業年度から給与などの支給額を2%~3%増加させている
  • 給与などが前事業年度以上になっている
  • 平均給与などの支給額が前事業年度より上がっている

申告時に添付する明細書とは?

所得拡大促進税制を受ける際には、法人税の申告時に以下の事項を記した明細書を添付する必要があります。

  • 税額控除の対象である雇用者への給与などの増加額
  • 控除を受ける金額
  • 控除金額の具体的な計算

申告自体は簡単ですが、適用条件を証明しなければならないため、ある程度手間がかかる方法です。

まとめ

中小企業が活用できる税制は、いずれも魅力的な税制ばかりですが、適用条件が面倒なものになっています。そのため、活用しようと思った際に「条件を満たしていないが故に活用できない」とならないよう前もって税制について知っておく必要があります。

要点をまとめると下記になります。

・エンジェル税制
→創立してから一定年数未満の中小企業に対し、投資した投資家に向けて、税制上の優遇措置を実施するもの

・法人税率の優遇
→受けられる中小企業は資本金1億円以下の企業に限られており、大企業のグループ傘下や子会社は該当しない

・設備投資を実施した際の税制優遇措置
→中小企業投資促進税制、機械装置導入による固定資産税の軽減、商業・サービス業・農林水産業活性化税制

・雇用促進税制
→2名以上を採用、総人数の10%以上増加させた雇用を遂行した中小企業において活用できる

・所得拡大促進税制
→従業員給与の増額分の内、10%が税額控除として認められる

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