2022年6月6日更新会社・事業を売る

新型コロナで事業承継・譲渡が急増?買い手はいる?【失敗事例あり】

新型コロナの影響で経営に大きなダメージを受ける企業が急増する中、企業の事業承継・事業譲渡にも変化が見られます。本記事では、新型コロナによる事業承継や事業譲渡への影響、新型コロナ後の社会でも事業承継や事業譲渡に失敗しないためのポイントなどについて解説します。

目次
  1. 新型コロナで事業承継・譲渡が急増?
  2. 新型コロナ後の事業承継・譲渡動向
  3. 新型コロナ後に事業承継・譲渡の買い手はいる?
  4. 新型コロナによる事業承継・譲渡の失敗事例 
  5. 新型コロナ後でも事業承継・譲渡を成功させるには
  6. 事業承継・譲渡におすすめの相談先
  7. まとめ

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新型コロナで事業承継・譲渡が急増?

新型コロナウイルスが世界中に広がった影響で、今後は社会・マーケットの仕組みも大幅に変わるといわれています。その影響は日本の中小企業の事業承継事業譲渡にも大きな影響を与えることとなりました。

その大きな変化のひとつが、新型コロナウイルスの影響で事業承継・事業譲渡が急増する兆しが出てきていることです。

日本の中小企業のうち百数十万社が、数年以内に事業承継・事業譲渡の必要に迫られるとの試算があります。

しかし、新型コロナウイルスの影響により、事業承継・事業譲渡の緊急性は増しました。本記事では新型コロナウイルスによる事業承継・事業譲渡の現状について解説していきます。

新型コロナ後の事業承継・譲渡動向

帝国データバンクの試算では、新型コロナの影響により2020年に負債1,000万円以上で倒産する企業の件数は1万件を超え、休廃業は2万5,000件にのぼるとみられています。

また、東京商工リサーチは企業の休廃業を5万件にのぼると試算しています。特に、観光宿泊、飲食、アパレル、自動車関連マーケットの打撃は大きいものとなりました。

2020年6月現在は、もともと経営状態が芳しくなかった企業の休廃業・倒産が中心となっています。しかし、それらの企業が倒産すると経営状態の良い企業の休廃業・倒産に連鎖していく可能性が出てきます。

また、新型コロナウイルスの影響による経営者のモチベーション低下も休廃業につながる可能性が高くなります。

一方で、事業承継・事業譲渡の相談件数が増える傾向も見えてきました。後述するような理由から、今後さらに事業承継・事業譲渡は増えていく可能性があります。

【関連】M&A・事業承継は地方創生の最善策?動向・現状も解説!

新型コロナ後に事業承継・譲渡の買い手はいる?

新型コロナウイルスは企業経営に大打撃を与えていますが、事業承継・事業譲渡を検討する企業は売り手・買い手共に増えていく可能性もあります。ここでは事業承継・事業譲渡が増える傾向にある理由について解説します。

新型コロナによる事業承継・譲渡への支援

2020年6月現在、政府による新型コロナウイルスに関する事業承継・事業譲渡支援事業には以下の種類があります。

  • 経営資源引継ぎ補助金
  • プッシュ型第三者事業承継支援出張支援
  • 中小企業経営力強化支援ファンド

経営資源引継ぎ補助金は、第三者事業承継の際に士業専門家に支払う費用や、事業譲渡によって一部事業を譲渡した後の廃業費用などを支援する補助金です。

また、プッシュ型第三者事業承継支援出張支援は、支援機関側が企業に出向いて第三者事業承継・事業譲渡などの相談対応を行う支援策です。

そして中小企業経営力強化支援ファンドは、企業の倒産を防ぐため官民連携で創設されたファンドです。


これらの支援を含むさまざまな支援策が次々と打ち出されることで、第三者事業承継・事業譲渡を実施しやすい環境が整ってきています。

新型コロナで事業承継・譲渡の相談が増える理由

新型コロナウイルスによって事業承継・事業譲渡が増えていく主な理由は以下の通りです。

  1. 後継者不足がより深刻になる 
  2. 多くの中小企業の経営が悪化 
  3. 休業や廃業・倒産抑制に政府が支援

1.後継者不足がより深刻になる

従来から後継者不足で悩んでいる企業は多く存在しましたが、新型コロナウイルスの影響で後継者不足はさらに深刻さを増していく可能性があります。

新型コロナウイルスの影響で業績が悪化することにより、後継者候補は事業を継ぎたくないと考え、オーナー経営者も後継者に継がせられないと考えるケースが増えることとなります。

特に、後継者の育成には5年から10年は必要と言われている中で、経営者が高齢の企業では新型コロナウイルスの影響の重なり、後継者教育の余裕がなくなることも考えられます。

そのため、親族や従業員などに事業を継がせるのではなく、第三者への事業承継を検討する経営者が増えることになります。

2.多くの中小企業の経営が悪化

2020年6月現在は、中小の観光宿泊・飲食・アパレル百貨店・自動車関連企業をはじめとした幅広い業種のマーケット環境が大きな打撃を受けている状況です。

新型コロナウイルスの明確な収束時期が見えているわけでもなく、収束したとしてもコロナ後のマーケット環境は大きく変わるともいわれています。

そのような先行き不安から、第三者事業承継・事業譲渡を検討していたものの具体的な行動は起こしていなかった企業が、専門家に相談するケースは増えていくものと予測されます。

3.休業や廃業・倒産抑制に政府が支援

前述のように、政府は経営資源引継ぎ補助金、プッシュ型第三者事業承継支援出張支援、中小企業経営力強化支援ファンドといった支援策を打ち出しています。

その他にも、資金繰り、給付金、設備投資・販路開拓支援、経営環境の整備、税金・社会保険・公共料金などさまざまな面から、悪化するマーケット環境の回復を急速に支援してきました。

新型コロナウイルス発生前の第三者事業承継・事業譲渡支援策は利便性があまり良くなかったことから、利用率は高くありませんでした。

しかし、新型コロナウイルスをきっかけに政府の支援策は急速に充実してきています。これらの制度を利用した第三者事業承継・事業譲渡はコロナ前よりも増加するとみられています。

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新型コロナによる事業承継・譲渡の失敗事例 

ここでは、実際に新型コロナウイルスによって事業承継・事業譲渡に失敗した事例をご紹介します。

  1. 株式会社木挽町辨松(こびきちょうべんまつ)の廃業
  2. 新型コロナウイルスの影響で事業譲渡契約が破棄になった事例
  3. 事業承継を諦め廃業を決めた事例  

1.株式会社木挽町辨松(こびきちょうべんまつ)の廃業

東銀座の歌舞伎町前に本店を構える老舗弁当屋、株式会社木挽町辨松(こびきちょうべんまつ)が2020年の4月20日に廃業しました。

木挽町辨松は歌舞伎座や新橋演舞場で観劇する際の弁当として有名でしたが、近年は後継者がいないことや売上が落ち始めていたことなどから、経営者が廃業を検討していました。

関係者の協力もあって第三者への事業承継準備を進めていたものの、新型コロナウイルスが重なり第三者への事業承継の話は流れてしまいます。

新型コロナウイルスによる事業承継の破談が決定打となって、木挽町辨松は廃業することとなりました。

2.新型コロナウイルスの影響で事業譲渡契約が破棄になった事例

A社は買い手企業と事業譲渡契約を締結し、クロージングに向けて各種手続きを進めていくところでした。

しかし、事業譲渡契約後に新型コロナウイルスの影響でA社の経営状態が急速に悪化したため、A社は買い手企業に対して事業譲渡契約の解除を申し入れます。

買い手企業側も買収後のリスクを考えM&Aアドバイザーに相談したところ、事業譲渡契約後に業績の急速な悪化など不測の事態が起きた場合は、事業譲渡契約の解除ができる契約になっているとアドバイスを受けました。

その結果、買い手企業はA社からの申し入れに承諾し、損害賠償などを請求することもなく事業譲渡契約を破棄しています。

3.事業承継を諦め廃業を決めた事例

居酒屋を経営するDさんは、引退を見据えて近いうちに長男へ居酒屋を事業承継する予定で、税理士と共に準備を進めてきました。

Dさんの長男も居酒屋を継ぐつもりで、前職を辞めてから約5年間Dさんの居酒屋で修行を続けてきました。

しかし、新型コロナウイルスの影響でDさんの居酒屋は自粛をすることとなり、時間を短縮して営業を続けていたものの経営状態は急速に悪化します。

やむなく従業員を解雇するなどして急場は乗り切ったものの、増えていく赤字や先行きの見えなさから、これ以上長男に負担をかけるわけにはいかないと判断し、廃業を決めました。

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新型コロナ後でも事業承継・譲渡を成功させるには

新型コロナウイルス後の社会でも事業承継・事業譲渡を成功させるには、以下のポイントを押さえておく必要があります。

  1. 自社の強みを理解する 
  2. 業界需要の回復するタイミングをみる 
  3. コロナによる影響を分析する 
  4. 各種支援を知る 
  5. 事業承継・譲渡の専門家に相談する

1.自社の強みを理解する

自社の強みを把握しきれていなかったり、間違った把握をしていたりするケースは少なくありません。

逆に言うと、コロナ後のマーケット環境でも自社の強みを最大限生かすことができれば事業承継・事業譲渡が成功する確率は上げることが可能です。

特にコロナ後は諦め廃業が増えるとも言われていますが、事業承継・事業譲渡の準備をきっかけに自社の強みに気付くケースもあるので、まずは専門機関に相談して自社の強みを洗い出してみるのは有効な手段です。

2.業界需要の回復するタイミングをみる

事業承継・事業譲渡はマーケット環境の流れを読み、タイミングよく実行することが重要です。

コロナ後であっても、早めに準備を開始しいつでも事業承継・事業譲渡が実行できる状態にしておくことで、マーケット需要の回復タイミングを見計らってスムーズに譲渡が決まる可能性は高くなります。

適切なタイミングで譲渡するには、コロナ後はキー人材の雇用維持と取引先の維持、コンプライアンス面の整理、業務のオンライン化などの準備がキーワードになってきます。

3.コロナによる影響を分析する

前述のように、観光・宿泊業界や飲食業界、アパレル業界、百貨店業界のマーケットは新型コロナウイルスによる減益幅が他の業界よりも大きく出ました。そして自動車業界も大きな打撃を受けています。

一方で、EC分野や医療分野、ドラッグストア業界、コンビニ業界のマーケット環境は全体として増益になっています。

減益となった業界と増益となった業界が今後マーケット環境全体にどのような影響を与えていくかはしっかりと分析把握しておく必要があるでしょう。

また、政府と地方自治体による支援策や、従業員の働き方、業務のオンライン化など、新型コロナウイルスによって経営の方向がどう変わり、自社にそのような変化をもたらすかもしっかりと認識しておかなければなりません。

4.各種支援を知る

本記事でご紹介したように、現在政府による事業承継・事業譲渡支援策として、経営資源引継ぎ補助金、プッシュ型第三者事業承継支援出張支援、中小企業経営力強化支援ファンドがあります。

また、資金繰り、給付金、設備投資・販路開拓支援、経営環境の整備、税金・社会保険・公共料金に関する支援策も行われています。

さらに今後追加の支援策も出てくる可能性もあります。自社に適用できる支援策はすべて活用するくらいの姿勢で常に情報を取りに行くことも必要です。

5.事業承継・譲渡の専門家に相談する

新型コロナウイルスによるマーケット環境への影響は、戦後からこれまでの間経験したことのない種類のものとなっています。

事業承継・事業譲渡の専門家も新型コロナウイルス自体は初めての経験ですが、さまざまなマーケット環境の中でも事業承継・事業譲渡を成約に結び付けてきた専門家も数多く存在します。

このような未知の社会状況の中で事業承継・事業譲渡を成功させるには、専門家の知見と豊富な経験が必要です。

【関連】事業承継したい!M&Aにおける事業承継や成功事例や失敗事例を解説

事業承継・譲渡におすすめの相談先

新型コロナウイルスの影響を乗り越え事業承継・事業譲渡を成功させるためには、M&Aの専門家によるサポートが不可欠です。

M&A総合研究所は主に中小・中堅規模のM&Aを取り扱っており、さまざまな業種で成約実績を有しています。

豊富なM&A知識・支援実績を持つアドバイザーが多数在籍しており、ご相談からクロージングまでフルサポートいたします。最適なタイミングを逃さないようスピーディな対応を実践し、事業承継・事業譲渡成立を目指します。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」を採用しています。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)

無料相談は随時受け付けております。新型コロナウイルス対策としてテレビ電話やメールでのオンライン相談も可能となっておりますので、事業承継・事業譲渡をご検討の際はお気軽にご相談ください。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所

まとめ

本記事では新型コロナウイルス下での事業承継・事業譲渡について解説してきました。

新型コロナウイルスによって事業承継・事業譲渡が増えていく主な理由は以下の通りです。

  1. 後継者不足がより深刻になる 
  2. 多くの中小企業の経営が悪化 
  3. 休業や廃業・倒産抑制に政府が支援

2020年6月現在、政府による新型コロナウイルスに関する事業承継・事業譲渡支援事業には以下の種類があります。
  1. 経営資源引継ぎ補助金
  2. プッシュ型第三者事業承継支援出張支援
  3. 中小企業経営力強化支援ファンド

今回ご紹介した、新型コロナウイルスによって第三者事業承継・事業譲渡に失敗した事例は以下の2例です。
  1. 株式会社木挽町辨松(こびきちょうべんまつ)の廃業
  2. 新型コロナウイルスの影響で事業譲渡契約が破棄になった事例
  3. 事業承継を諦め廃業を決めた事例

新型コロナウイルス後の社会でも事業承継・事業譲渡を成功させるには、以下のポイントを押さえておく必要があります。
  1. 自社の強みを理解する 
  2. 業界需要の回復するタイミングをみる 
  3. コロナによる影響を分析する 
  4. 各種支援を知る 
  5. 事業承継・譲渡の専門家に相談する

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