2022年10月20日更新資金調達

普通株とは?意味や基本的権利、保有率別の権利を解説

普通株とは、他の種類株の基準となる株式のことです。普通株を所持していると、配当金の受け取り、残余財産の分配、議決権の獲得などの基本的な権利を行使できます。普通株の所持割合が高いほど、経営の内部に関与が可能です。今回は、普通株を詳しく説明します。

目次
  1. 普通株とは
  2. 普通株保有者の基本的権利
  3. 普通株の保有率別の権利
  4. 普通株と比較した種類株
  5. 普通株のまとめ

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普通株とは

普通株とは、他の種類株の基準となる株式のことです。通常、会社に対して投資をする際には、株式の種類を選択できます。株式の種類には、さまざまな権利が付いている種類株と、その基準となる普通株があり、株式と呼ばれる株式の多くは「普通株」をさします。

どちらを選択するかは基本的に株主の意向が尊重されますが、種類株式と普通株式の間では転換できない可能性があるため注意が必要です。本来、株式会社では、複数種類の株式を発行できます。そのなかで最もポピュラーな株式が普通株です。普通株は、市場に出回っている株式の大部分を占めている状況です。

そのため、株主は株主平等原則によって等しい待遇を受ける必要がありますが、会社法では定款によって権利が異なる株式を発行することを認めています。その際、普通株は、待遇の違う種類株式の基準値となる役目を果たします。

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普通株保有者の基本的権利

ここでは、普通株保有者の基本的な権利を説明していきます。普通株を保有していると、以下の権利を行使できます。

  1. 配当金の受け取り
  2. 残余財産の分配
  3. 議決権の獲得

①配当金の受け取り

投資している会社が通常よりも大幅な利益を生み出した場合、株主は「配当」の形でその利益の一部を取得できます。元来、投資家は、メリットを得られない会社には投資しません。利益を生み出す可能性がある会社の株式を購入して、より多くの配当を受けます。

②残余財産の分配

会社の解散などが原因で経営をやめる場合、株主は残った財産を受け取ることが可能です。会社側から見れば株主は債権者であるため、当然ながら会社の財産を受け取る権利があります。

しかし、債権者にも優先順位があります。普通株保有者の優先順位は、それほど高くありません。債務超過などで会社が解散する場合は、残余財産の分配を受けられない可能性もあります。

③議決権の獲得

議決権を獲得すると、会社経営に関わることが可能です。会社が経営方針を固める際、多くの場合は株主総会を開いて決定します。株主総会には、会社の意思決定機関に加えて、議決権を持っている株主も同席できます。

議決権は1株1議決権の原則にもとづき、普通株を保有しているすべての株主に与えられる権利です。しかし、誰でも決定権を持っているわけではなく、保有率によって行使する内容が変わります。

このように、普通株を所持しているとさまざまな権利を行使可能です。しかし、定款によって権力の度合いを調整している会社もあります。普通株の保有数によっても、行使できる権利が変化します。権利を行使する際は、事前に確認したうえで実施しましょう。

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普通株の保有率別の権利

株式会社の株式は、会社経営そのものです。出資してくれる株主に対して、経営に携わる権利が与えられることは当然といえます。普通株の保有率が高ければ、より会社の内部まで携われる仕組みです。ここでは、普通株の保有率別の権利を説明します。

①保有率100%

普通株を100%保有している場合、会社の経営は株主の思いのままに動かせます。株主が絶対的な存在となり、経営者よりも有利な立場になります

しかし、個人が株式会社に対して100%出資することは非常に困難です。会社経営を賄う金額であるため、非常に高額です。会社の普通株を100%保有するケースでは、その多くが買収合併などを実施します。

②保有率66%(3分の2以上)

株主総会には、特別決議があります。特別決議では株主総会のなかでも、特に重要な事項を決定します。普通株の保有率が66%を超えると、その特別決議に参加可能です。それだけではなく、特別会議の承認を単独で実施することも可能です。

普通株を66%以上保有すると、経営に直接関わる以下のような議題を決定できます。

  • 合併や分割などの組織再編行為
  • 事業譲渡に関する承認
  • 会社の定款変更
  • 新株の有利発行

③保有率50%以上(2分の1以上)

普通株の保有率50%以上でも、株主総会特別決議の議決権が得られます。しかし、3分の2以上の普通株保有者とは異なり、特別決議を単独では成立できません。単独承認はできませんが、株主総会普通決議を阻止する権利が与えられています

株主総会の普通決議では、以下の事項を決定します。

  • 会社の取締役と会計監査人の選任や解任
  • 配当などの利益の分配方法

普通株を過半数所持していると、会社の決定機関や財務状況などを掌握できます。会社の株式を50%ずつ保有している株主が2人いる場合、権力は同じです。

④保有率33%以上(3分の1以上)

普通株保有率66%では、株主総会の特別決議での議決権がありました。一方で、保有率33%以上では、単独阻止できる権利を得られます。会社経営に関する変更の提案はできないために特別効力がないようにも思えますが、普通株を33%以上保有している株主の反対があった際には議決権を行使できなくなります。

⑤保有率25%以上(4分の1以上)

普通株を25%以上保有していると、経営そのものを掌握できません。しかし、相互保有株式の際に与えられる議決権に対しては停止を実施する権利があります。この権利は、主に取引実績がある会社同士で使用される権利です。一般的に普通株の保有率が25%を超えると、取得された会社は自動的に支配下に置かれます。

⑥保有率10%以上(10分の1以上)

自身が所持する普通株の発行会社に対して、解散を請求できます。基本的には使用されない権利ですが、何らかの事情があった際に権利を行使される場合があります。しかし、これはあくまでも解散を要求できる権利であり、実際に解散にまでは至らないケースがほとんどです。

⑦保有率3%以上(100分の3以上)

普通株の保有率が3%を超えると、会社に対してさまざまな請求を実施できます。例えば、株主の招集や、役員が不適任であると判断すれば、解任を求めることが可能です。会社が保有している帳簿の閲覧要求の申し立てを行うことも可能です。

一方、普通株保有率3%以上では、会社に対して異議の申し立てはできますが、直接的な決定権はありません

⑧保有率1%以上(100分の1以上)

普通株の保有率が1%であると、投資金額としては少額に感じるかもしれません。しかし、大手企業となれば、1%でも高額な金額です。

普通株保有率が1%以上の場合は、株主総会で議案を提示できます。この権限は普通株保有率1%以上の株主のほかに、保有数300を超える株主にも与えられています。

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普通株と比較した種類株

普通株とは、他の種類株式の基準値となる株式です。普通株と種類株式を比較すると、以下のような特徴があります。

①優先株と普通株

優先株とは、普通株所有者と比べて、配当や残余財産を優先的に分配してもらえる種類株式のことです。市場で出回る優先株の値段は、普通株よりも低いケースが一般的です。そのため、優先株を買ったほうがお得であると感じるかもしれません。

しかし、優先株には、議決権が与えられないデメリットがあります。議決権がない代わりに手頃な価格で手に入る点が、優先株の特徴です。会社の経営権を掌握したい場合、優先株ではなく普通株を選択しましょう。

②劣後株と普通株

劣後株とは、配当や残余財産に関して優先順位が低い種類株式のことです。普通株と比べると、配当や残余財産の分配に関して後回しとなります。会社が解散した際は、資金が返済されないケースがほとんどです。

一方、株式の発行値段が格安であるというメリットがあります。少ない費用で会社の議決権を得たい場合、普通株よりも劣後株を選択したほうがお得です。このように、保有する株式の種類は目的に合わせて選択できます。種類株の基準を決める意味でも、普通株は重要な役目を果たしています。

以上、普通株と種類株式の特徴を比較しました。ここまでに解説した以外にも、種類株式には以下のようなものが存在します。

  • 議決権制限株式:株主総会で議決権の一部または全ての権利を制限した株式
  • 譲渡制限株式:株式を譲渡する際に、会社の許可が求められる株式
  • 取得請求権付株式:株主が会社に対して株式の買取を請求できる株式
  • 取得条項付株式:一定の事由が生じた際、会社が株主に対して株式を強制的に取得できる株式
  • 全部取得条項付株式:複数の種類株式を発行する会社で、株主総会の決議により会社が該当する株式をすべて取得できる株式
  • 拒否権付株式:所有者に対して拒否権が付与される株式
  • 役員選任権付株式:種類株式総会で取締役もしくは監査役を専任できる株式

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普通株のまとめ

普通株はリスクとリターンが同等の株式であるため、経営権や配当に対してそこまで執着がないのであれば、普通株の購入をおすすめします。ただし、高いリターンを得たい場合は、高いリスクが伴います。優先株や劣後株にもメリットがありますが、購入する際には自身の目的を明確にしてから決断しましょう。

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