2023年12月27日更新会社・事業を売る

株式移転とは?株式交換との相違点、メリット・デメリット、手続き、事例を解説

株式移転は、新設した持株会社へ自社の株を移行して経営統合するM&A手法です。株式移転は買収資金が不要のメリットはありますが、デメリットも存在します。本記事では、株式交換との相違点やメリット・デメリット、活用事例を解説します。

目次
  1. 株式移転とは?M&Aにおける意味・概要
  2. 株式移転の目的
  3. 株式移転のメリット・デメリット
  4. 株式移転の手続きとスケジュール
  5. 株式移転の事例
  6. 株式移転の仕訳と税務
  7. 株式移転でホールディングカンパニーを作るポイント
  8. 株式移転における親子会社の関係
  9. 株式移転のまとめ

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株式移転とは?M&Aにおける意味・概要

最初に、M&Aにおける株式移転の概要を解説します。株式移転とは、二つ以上の株式会社が、発行済みの株式全てを新規設立会社に取得させるM&Aの手法です。株式譲渡とは異なり、組織再編を目的としたM&Aでの活用が一般的です。

経営統合を目的として新設するため、完全親子会社の関係が構築されます。新設された会社が親会社となり、その傘下に入ることで既存企業が子会社となります。

つまり、株式移転は合併に近い効果を得られるM&A手法であり、経営統合の意思があるにもかかわらず、合併に抵抗がある企業の間で実施されるケースが多いです。

ホールディングカンパニーの多くは、株式移転によって設立されています。ホールディングカンパニーと聞くと大企業をイメージするかもしれませんが、大企業に限らず中小企業でも、新規事業参入や事業承継などを目的に実施する場合もあります。

株式移転の手続きは計画書作成や事前情報開示、株主総会での承認などが必要となり、合併と比べると多くの時間を要します

株式移転と株式交換の相違点

株式譲渡によって完全子会社関係になる点において株式移転と株式交換は同じですが、2つの手法には以下のような相違点があります。
 

株式移転 株式交換
親会社を新規に立ち上げる 既存の株式会社を親会社にする
株式の取得は新設会社のみ 親会社となる会社が株式を取得
新設企業の登記変更日に効力が発生 株式交換契約書に記載された日に効力が発生


上記の表のように、既存の株式会社や合同会社を親会社にする株式交換に対して、株式移転は親会社を新規に立ち上げます。

また、株式移転は子会社が独自に経営を進められるため、株式交換よりも組織を再編成しやすいといえます。

そのほか、効力発生日にも違いがあり、株式交換では株式交換契約書に記載された日に効力が発生します。それに対して、株式移転では新設企業の登記変更日が効力発生日となり、これまで個別に結んでいた契約の再締結が必要です。

株式交換は、組織再編のみならず、既存他社との経営統合を目的に行われることもあります。そのようなケースでは、まず条件に合う売り手をみつける必要がでてくるため、専門家に相談することをおすすめします。

株式交換などM&Aをご検討の際は、M&A総合研究所にぜひご相談ください。M&A総合研究所では、知識・実績豊富なアドバイザーが担当につき、丁寧にフルサポートいたします。

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株式移転の目的

株式移転が活用される主な目的としては、以下の2つがあります。株式移転に限らず、M&Aを行う際はまず目的を明確に定めておくことが大切です。

  1. 経営統合のため
  2. 持株会社体制移行のため

経営統合のための共同株式移転

共同株式移転は、2社以上の既存企業が共同で株式移転を行い、その全ての発行株式を新設会社に取得させる手法です。共同株式移転によって、新設会社が親会社、当事会社はその完全子会社になります。

共同株式移転は、業界での生き残りやシナジー効果獲得を目的とした実施が一般的です。

個別に経営していた企業同士が統合する際、同業種であっても経営方針や社風など、少なからず相違点があります。

共同株式移転はそれぞれの独自性を保ちつつ経営統合できるため、堅実に経営統合を成功させたい企業の間で用いられることが多いです。また、統合後もそれぞれの法人格は維持されるため、経営陣や従業員の抵抗感も少なく済みます。

ただし、必ずしも統合する会社同士が対等な関係であるとは限りません。一方が経営難で他方に救済を求める形の経営統合の場合、対等な関係をアピールするために株式移転を用いることもあります。

持株会社体制移行のための単独株式移転

単独株式移転は1つの法人が単独で行う手法です。まず親会社となる持ち株会社を新設し、その会社に自社の発行済み株式の全てを取得させます。

一般的には経営と所有の分離を目的とすることが多く、複数事業を手掛ける法人がホールディングス体制への移行のために用いられます。

共同株式移転では複数社が携わるため株主構成が変わりますが、単独株式移転は1社で行うので株主構成は変わりません。共同株式移転に比べると、グループ企業間の繋がりをより強固にすることが可能です。

株式移転のメリット・デメリット

株式移転にはメリットとデメリットの両方があります。株式移転を適切に実施できるようにそれぞれ理解しておきましょう。

メリット

株式移転の主なメリットには、以下の2つがあります。ここでは具体的なメリットをみていきましょう。

  • 買収資金が不要
  • 組織の内部統合が容易

①買収資金が不要

株式譲渡事業譲渡と違って、買収の対価として新設会社の新株を発行できるため、多額の資金を事前に用意しなくてもよいメリットがあります。

また、株式移転後も完全子会社は別法人であるため、基本的に相手の債務を引き継ぐ必要がありません。したがって株式移転は、会社のキャッシュフローに大きな支障が出づらい手法といえます。

②組織の内部統合が容易

合併を活用した経営統合では、異なる組織文化を持った各企業が一つになるため、雇用や給与体系の急な変更による従業員のモチベーション低下や、従業員同士の衝突などが生じてしまう可能性もあります。

しかし、株式移転では完全子会社が別法人として存続するため、経営統合にかかわる作業を焦って進める必要がありません。

雇用や給与体系が急激に変化することがないため従業員側のモチベーション低下や反発も起こりづらいので、組織の内部統合も比較的容易に行えます。

デメリット

株式移転のデメリットとしては、以下の2つが挙げられます。ここでは、それぞれのデメリットについて解説します。

  • 事務的な手続きに手間がかかる
  • 株価が下落する可能性がある

①事務的な手続きに手間がかかる

株式移転を行う場合には、株主総会の特別決議での承認や、債権者保護手続などの手順を踏む必要があり、最終契約日から効力発生日までに数ヶ月かかる可能性もあります。

特別決議では、議決権の過半数を持つ株主が出席し、そのうえで出席株主の3分の2以上の賛成が必要です。また、株主総会の召集は、原則として株主総会の1週間前までに、召集通知を株主に対して発送します。

そのほか、株式移転の場合、効力発生日の20日前までに株主に対する通知・公告も行わなければなりません。

一般的に株式移転において債権者保護手続は不要ですが、新設する完全親会社が完全子会社の新株予約権付社債を継承するケースでは、債権者保護手続が必要となります。

債権者保護手続では、債権者に対して個別催告と官報公告を行い、債権者が異議申し立てる期間(1ヶ月以上)を通知し、債権者が異議を申し立てた場合は、弁済もしくは相当担保の提供が会社法で定められています。

なお、新設完全親会社の登記申請日の前日までに債権者保護手続を完了する必要があり、間に合わない場合は株式移転が無効になります。

②株価が下落する可能性がある

株式移転を行う際、買い手が上場企業の場合、株価の下落リスクがあります。株価下落の要因となり得るのは、1株あたりの利益が下がることと、会社数が増えることで管理コストが増加しやすいためです。

株価の下落リスクがあると、株主としては株式移転に賛成しづらくなることも考えられるため、事前の対策が必要になります。

具体的には、株式移転を行う際に親会社が子会社を運営する仕組みをわかりやすく説明し、株主に売り上げが伸びるイメージを持ってもらうことが重要といえるでしょう。

株式移転の手続きとスケジュール

この項では、株式移転の手続きをスケジュールに沿って解説します。株式移転の手続きやスケジュールは下記のとおりです。

株式移転計画の策定

まず初めに、株式移転計画を策定します。株式移転計画には、下記の項目を最低限盛り込みます。

  • 親会社の商号、住所、事業の目的、発行可能株式総数、
  • 親会社が定款に定めている事項
  • 親会社設立時の役員構成
  • 親会社の資本金と準備金の金額
  • 株式移転の対価

書面の事前備置き

株式移転を実行する際、親会社側は株式移転に関する内容を記した書面を事前に備え置きます。書面に関しては、株主総会の開催日から起算して2週間前に備え置くケースが一般的です。

子会社側では、効力発生日から起算して6ヶ月後までに書面を備え置く必要があります。事前備置きする書面には、主に下記の内容を盛り込みます。

  • 株式移転計画の概要
  • 対価の相当性を説明する事項
  • 計算書類等に関する内容

株主総会の開催

株式移転の効力発生日前日までに株主総会を開催する必要があります。株式移転を実行するためには株主総会の特別決議を要します。出席議決権株式数のうち3分の2以上の賛成が必要になるため、株式移転の実行には株主の理解が必須です。

種類株式を発行している会社であれば、種類株主総会が別途必要になります。新株予約権付社債の承継など、一定要件に該当する場合には債権者保護手続きも実施します。

株式移転の登記申請

株主総会で株式移転を承認されたら登記申請を実施します。株式移転の登記申請は、親会社と子会社が同時に実施しなくてはいけません。

ただし、新株予約権の承継などが発生しなければ、子会社側の登記は不要です。登記申請には、株式移転計画書や役員の印鑑証明書などを要します。

書面の事後備置き

株式移転の効力発生日後、親会社と子会社は遅滞なく法務省令で定められた書面を作成します。作成した書面は効力発生日から6ヶ月間本店に備え置きます。

株式移転の手続きは以上です。株式移転を実施する際は事前にスケジュールを把握しましょう。

株式移転と株式交換における手続き面の相違点

株式移転と株式交換は、基本的な流れに違いはありません。ただし、一部において異なる点があります。

株式移転の場合、反対株主に対する買い取り請求手続きは、株主総会決議から2週間以内に株主へ通知、開始は公告を起点とします。一方、株式交換の場合は、株式交換の効力が生じる20日前までに通知・公告が必要です。

株式移転と株式交換は、いずれも債権者の利害への影響が少ないことから、基本的に債権者保護手続きの必要はありません。ただし、債権者保護手続きが必要になるケースも少なからずあります。

例えば、株式移転において完全子会社の新株予約権付社債の新株予約権が、完全親会社の新株予約権に転換される場合は、その回収リスクに客観的な影響があります。

したがって、新株予約権付社債を発行していた完全子会社では、当該社債権者を対象とした保護手続きが必要になります。

株式移転の事例

本記事では株式移転について解説していますが、実際にはどのように用いられているのでしょうか。

本章では日本国内で実際にあった株式移転の事例をご紹介します。

①菱洋エレクトロとリョーサンによる株式移転

 2023年10月、菱洋エレクトロとリョーサンは、共同株式移転を行いました。

これにより両社の親会社となる共同持株会社を設立、経営統合契約を実施しました。菱洋エレクトロは、半導体デバイス、 ICT製品などの販売などを行う企業です。リョーサンは、デバイスの販売、ソリューションの事業を展開している企業です。

今回のM&Aにより、両社の顧客とのリレーションや経営資源の活用を推進し、さらなる企業価値の向上を目指します。

②ココカラファインとマツモトキヨシHDによる株式移転

2020年1月、ココカラファインとマツモトキヨシHDは、共同株式移転による経営統合に基本同意しました。経営統合の実施は2021年10月になる見通しです。

近年、ドラッグストア業界は、ディスカウントストアやスーパーなど業種・業界の枠を超えた競争が激化しています。

このような状況下で生き残るため、ドラッグストア業界は健康・美容などの特化した高付加価値路線と、プライベートブランドをはじめとした価格の安さを追求する路線の二つに分かれました。

ココカラファインとマツモトキヨシHDは、いずれも健康と美容の分野に力を入れている企業です。両社は統合効果について協議し、大きなシナジー効果が見込めて実現性も高いとの判断から、今回の経営統合合意に至っています。

今後は健康・美容分野で存在感を発揮し、アジア展開にも力を入れて、将来的には「美と健康の分野でアジアNo.1」になることを目指すとしています。

②第四銀行と北越銀行による株式移転

2018年10月、第四銀行と北越銀行が株式移転を実施し、完全親会社となる「株式会社第四北越フィナンシャルグループ」を設立しました。

少子高齢化や日本銀行による超低金利政策などに伴い、地方銀行の預金や貸出規模は減少すると見込まれています。また、近年の地方銀行にとって、デジタル化やグローバル化への対応は大きな課題です。

こうした背景から、第四銀行と北越銀行は統合を通して本部機能のスリム化を図るとともに、ノウハウの深化・拡充や戦略分野への投資により、地域経済の課題解決を目指します。

③楽天と連結子会社5社による株式移転

2018年7月に楽天は連結子会社5社の株式移転方式により、中間持株会社「楽天インシュアランスホールディングス株式会社」を設立しました。

対象となったのは、楽天生命保険株式会社、朝日火災海上保険株式会社、楽天少額短期保険株式会社、楽天インシュアランスプランニング株式会社、株式会社楽天アンセルインシュアランスの5社です。

従来は5社それぞれが別々に事業に取り組んでいましたが、楽天グループの理念実現のためには、意思決定の迅速化や管理体制の統一化が欠かせないと判断しました。

子会社を管理する持株会社を設立して5社が一体となることで、顧客ニーズに対応した保険サービスの提供を目的としています。

④メガネスーパーとビジョナリーHDによる株式移転

2017年7月、メガネスーパーは単独株式移転により、完全親会社「株式会社ビジョナリーホールディングス」の設立を決め、同年11月に完全子会社となりました。

めがね小売市場は、高齢化による老視の増加や、スマートフォンやケータイゲーム機が原因の視力の低下などにより、緩やかに拡大している状況です。

このような背景の中、メガネスーパーは事業拡大とを目的として、同業種や異業種企業との資本・業務提携を進め、2017年1月には株式会社メガネハウスの全株式を取得しています。

今回の株式移転は、メガネスーパーの純粋持株会社体制への移行を目的に行われました。設立された持株会社は、グループ全体の経営戦略の策定や経営資源分配を行うとともに、経営管理機能も担います。

⑤ドワンゴとKADOKAWAによる株式移転

2014年10月に、ネットワークエンターテイメント業を運営しているドワンゴと、出版・映像のエンターテイメント業を営むKADOKAWAが、共同株式移転を用いて株式会社KADOKAWA・DOWANGOを設立しました。

既存2社の経営権は、新設された株式会社KADOKAWA・DOWANGOに託され、各々が同じ管轄の企業として独自経営を実施しています。

ドワンゴとKADOKAWAは持続的な成長を図るべく、ドワンゴの持つ多様なサービスや高度なネットワーク技術と、KADOKAWAのエンタテインメント・コンテンツを連携させ、付加価値の高いコンテンツや新サービスの迅速な提供を目的とし、2011年5月より資本提携しています。

株式移転の仕訳と税務

株式移転ではお金の動きが伴いますが、どのような税務が必要になるのでしょうか。この章では、株式移転の仕訳と税務について説明します。

株式移転の仕訳

株式移転では、自身がどの立場であるかによって仕訳が異なります。以下5つのケースでどのような仕訳が必要なのかをみていきましょう。

  • 新設会社
  • 取得企業
  • 被取得企業
  • 取得企業の株主
  • 被取得企業の株主

新設会社

新設会社では、新株発行による資本金と資本剰余金の増加や、子会社株式を取得することを会計処理します。

仕訳は借方に子会社株式貸方に資本金と資本剰余金となり、取得企業の株式は、取得前日における取得企業の株主資本の適正な帳簿価格によって評価します。

被取得企業の株式は、被取得企業の株主が新設会社に対し保有する議決権比率と同じ比率を、被取得企業の株式が新設会社に交付したとみなして算定します。

取得企業と被取得企業

株式移転では、各企業の株主と新設会社で取引します。取得企業と被取得企業は取引当事者にあたらないため、原則として仕訳は発生しません。

取得企業と被取得企業の株主

株主に関しては、移転後の持分比率の変動や子会社・関係会社・その他有価証券のカテゴリに変更が生じた場合は仕訳が必要です。株式移転による変動がない場合は、仕訳の必要はありません。

株式移転の税務

株式移転は、税務事情も理解した上で行いましょう。法人税や所得税を計算するときは、適格要件を満たしているか否かで税務処理が変わります。ここでは、株式移転の税務に関する概要や、適格要件について解説します。

株式移転の税務に関する概要

株式移転は、株式交換などと同様、組織再編税制が適用されます。税制適格要件に該当すれば非課税でM&Aを実行できますが、該当しない場合は譲渡益に対して課税されます。

株式移転の税負担を軽減するうえでも、極力税制適格要件を満たすことが望ましいといえるでしょう。

株式移転の適格要件

株式移転の税務は、M&Aの当事会社間の関係性が完全支配関係(100%親子関係)か支配関係(株式所有率が50%超〜100%未満)かによって、適格要件が異なります。それぞれの適格要件は下表のとおりで、要件をすべて満たせば非課税扱いとなります。

関係性 適格要件
完全支配関係 金銭等不交付要件
継続保有要件
支配関係 金銭等不交付要件
株式継続保有要件
従業員業務要件
事業継続要件

金銭等不交付要件は、完全親会社が完全子会社に対する株式移転の対価として、株式だけを交付することです。

ただし、完全子会社株主の単元未満株を現金で買い取る場合や、株式移転の反対株主からの買取請求に対し現金で買い取る場合は、株式以外を対価にしても例外的に適格株式移転の要件に該当します。

継続保有要件と株式継続保有要件は、株式移転の前から当事者間で完全支配関係(継続保有要件の場合)あるいは支配関係(株式継続保有要件の場合)、もしくは当事者に同じ親会社がいる兄弟会社関係で株式移転後も関係性に変化がないことです。

単独株式移転でも株式移転前後で親子関係に変動がない場合は、適格株式移転の要件に該当します。

従業員業務要件とは、完全子会社になる会社の約80%以上の従業員が、株式移転後も引き続き同じ会社で働くか、完全親会社で働き続けることです。「約80%以上」となっており、必ずしも80%を超えている必要はなく、80%を多少割っていても問題ありません。

事業継続要件は、完全子会社となる企業の中核事業が、移転後も引き続き中核事業として経営されることです。

以上の要件を満たしている場合、税務において完全子会社の資産の評価替えが行われません。要件を満たしていない場合は、完全子会社の時価評価対象資産の時価評価を行い、その結果生じた損益に対する税は完全子会社に課されます。

株式移転でホールディングカンパニーを作るポイント

この項では、株式移転でホールディングカンパニーを作るポイントについて解説します。

M&Aによるホールディングカンパニー設立

株式保有に特化したホールディングカンパニーの設立は、会社分割によるM&Aでも実現できます。ただし、株式移転によって設立する方が手続きしやすいです。

会社分割では基本的に債権者保護手続きが必要ですが、株式移転では原則不要です。ホールディングカンパニーを設立する目的であれば、株式移転の活用がおすすめでしょう。

株式移転でホールディングカンパニーを設立するメリット

ホールディングカンパニーを設立することで経営を効率化できます。持株会社化によって各子会社は事業の遂行に専念でき、親会社は大局的な意思決定に集中できます。また、ホールディングカンパニーの設立には、リスク分散のメリットもあります。

一つの企業で複数の事業を運営する場合、ある事業が経営不振に陥るとほかに悪影響が生じます。持株会社化により各企業を切り離せば、一企業の影響が全体に拡散することを阻止できます。

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株式移転における親子会社の関係

株式移転では、親会社と子会社の立場があります。会社法の第2条第3号には、「会社がその総株主の議決権の過半数を有する株式会社その他の当該会社がその経営をしている法人として法務省で定めるもの」と記載されています。

他社株式の過半数を有し議決権を掌握している方が親会社で、議決権を握られている方が子会社です。株式移転の場合、株式移転完全親会社、株式移転完全子会社と呼ばれます。

ホールディングカンパニーの子会社になると、経営の軸を変更しないまま存続されます。全ての株式が親側に集められるので、株主招集通知なども不要になり、経営が一体化しやすいのが特徴的です。

完全親子関係を知るためには、連結財務諸表が重要な役割を果たします。連結財務諸表とは、新設された親会社が傘下の財務状況やキャッシュフロー、企業の業績などをまとめて報告するものです。政府に提出することで支配関係を把握できます。

株式移転のまとめ

統合には不安がつきものです。社風や経営方針が変わり、退職を考える従業員が出てくることもあります。株式移転を活用すれば、経営統合を実現しながら自社の独自性を維持できます。自社にあった条件や、状況、環境に応じて株式移転を活用することが大切です。

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