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調剤薬局の事業承継マニュアル!相談先や成功事例を解説!

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

調剤薬局の事業承継はほかの職種と異なり、後継者が薬剤師の資格を取得するかどうかという点においても難しいところがあります。調剤薬局の経営者は団塊の世代を迎えており、事業承継の問題を抱えています。今回は調剤薬局の事業承継マニュアルと題して解説します。

目次
  1. 調剤薬局の事業承継
  2. 調剤薬局の事業承継の流れ
  3. 調剤薬局の事業承継を考える理由
  4. 調剤薬局の事業承継を考える年齢
  5. 調剤薬局の事業承継の相談先
  6. 調剤薬局の事業承継の相談先を選ぶポイント
  7. 調剤薬局の事業承継・M&Aの成功事例3選
  8. 調剤薬局の事業承継におすすめのM&A仲介会社
  9. まとめ

調剤薬局の事業承継

調剤薬局の事業承継は、後継者になる人材に薬剤師の資格を保有させる必要がある場合もあります。調剤薬局では、薬剤師が常駐して病院の処方箋に基づいて薬剤を提供する必要があるのです。

そのため、事業承継の場合は次世代の店主が薬剤師の資格を保有していることを前提と考えるか、薬剤師を雇い入れるかの判断もしなければなりません。

調剤薬局はM&Aや会社売却が進んでいますが、事業承継はどのように進めていけばよいのでしょうか?調剤薬局について、さらに事業承継について詳しく見ていきましょう。

調剤薬局とは

調剤薬局とは医薬品医療機器等法に基づき、必ず調剤室を設け薬剤師が常駐して医師などの処方箋を元に医薬品を調剤する薬局のことを言います。2006年の医療法改正により「調剤を実施する薬局」は医療提供施設と位置付けられています。これによって薬局は医薬品の販売店舗ではなく、調剤と言う医療を提供する場所と言う認識になっています。

調剤薬局として開業するには、医薬品医療機器等法に従って6年間の営業許可を受けられます。経営者には特別な資格は求められませんが、管理者は薬剤師であることが求められます。調剤薬局は原則的に薬剤師の独占業務となっており、薬剤師は対面によってその薬剤の情報提供や服薬指導をしたうえで販売・授与を行います。
 

事業承継とは

事業承継とは、会社の経営を後継者に引き継ぐことを意味しています。誰に事業を引き継ぐかによって、次の3種類に分類することができます。

  • 親族内承継
  • 親族外承継(従業員・役員承継)
  • M&Aによる事業承継

中小企業にとって次の経営者を誰にするかという点においては、その後の会社の経営に大きな影響を与える可能性があるので重要な経営課題と言えます。

また事業承継は単純に「誰を後継者とするか?」と言う問題だけではなく、会社の経営権そのものの「自社株式を誰に引き継ぐか(所有承継)」「後継者教育はどのようにするか?」という問題も重要になります。
 

親族内事業承継

親族内事業承継とは、現経営者の子供や配偶者や親族に事業を承継することを指します。現在でも現経営者の子供に事業を承継させるパターンは多く、経営者から見ても「できれば自分の子供に事業を承継させたい」と考える傾向があります。

しかし、親族内承継は比較的時間がかかるとされており、準備を開始するなら現経営者の年齢が概ね60歳ごろがよいとされています。

後継者となった現経営者の子供あるいは親族が、会社の業務を把握して経営者としての資質を高める必要があるため、時間をかけて経営者教育を進めていく必要があります。現経営者が後継者を自分の子供にしたいと願っていても、後継者候補となる子供が事業を継ぐ気がないなどの問題もあり、近年では親族内承継が難しくなっているケースもあります。
 

親族外事業承継

親族外承継とは、現経営者の親族以外の人材を後継者とする事業承継の方法を指します。親族以外とは自社の従業員や役員、または外部から招聘(しょうへい)した人材を後継者候補とする承継方法です。

親族外承継には、会社の経営を後継者に任せながら現経営者が引き続き自社株式を保有し続けるケースと、自社株式ごとの経営権を後継者に引き継がせるケースがあります。現経営者が株式を保有しながら後継者に会社を任せる方法は、一時的に経営者を代行してもらい将来的に親族に会社を引き継ぐ場合もあります。

自社株式をすべて後継者に引き継がせるケースは、完全に後継者に会社を任せて承継するケースになります。

親族外承継は、後継者となった従業員や役員に株式を買い取らせることになるので、資金上の問題がありましたが、現在では持株会社の設立や従業員持株会などの設立によって、資金面ではあまり大きな問題にならなくなってきています。
 

M&Aによる事業承継

M&Aによる事業承継は、現経営者の親族にも会社の従業員や役員にも後継者となる人材がいない場合に活用される方法です。M&Aによる事業承継は、買い手側の企業を探して会社を買い取ってもらう方法となります。

会社の経営権は買い手側の会社に引き継いでもらうことになり親族内承継や親族外承継と異なり、買い手側の会社に吸収されたり子会社化されたりする形となる場合もあります。そのため、それまでの会社の雰囲気がガラッと変わってしまう場合もあります。

M&Aによる事業承継は主に株式譲渡や事業譲渡で実施されることが多く、株式譲渡で実施される場合は、自社の株式を全部または議決権が得られるだけの株式を譲渡することになります。これによって、事実上の経営者交代となります。事業譲渡は、会社が運営している事業だけを譲渡する方法になります。中小企業のM&Aでは株式譲渡が最も多く実施されています。
 

調剤薬局の事業承継の流れ

調剤薬局における事業承継はどのように進んでいくのでしょうか?それぞれを詳しく解説します。

親族内事業承継(親族外事業承継)の流れ

親族内承継(親族外承継)の流れは以下のようなプロセスで進んでいきます。必ずしも実施されるプロセスではない場合もありますが、一般的な流れを把握しておくことで、適切な準備を行えます。

  1. 事業承継計画の策定
  2. 後継者の育成・教育
  3. 資産・株式・許認可などの承継
  4. 個人保証・負債の処理

1.事業承継計画の策定

事業承継計画の策定は、今後の親族内承継(親族外承継)を実施していくために必要な計画となります。親族内承継(親族外承継)を実行するには、準備に概ね10年の期間が必要とされているので、それを含めて十分な事業承継計画の策定をしなければなりません。

事業承継計画には事業承継にかかわる関係者の状況を把握して、現状の相続財産や従業員数、総資産、自己資本、売上高、経常利益などを認識しておく必要があります。そのうえで後継者となる人材の状況を確認して、後継者となる意思があるかという点においてもしっかりと確認しておく必要があります。さらに、親族内承継の場合は相続時に発生が予測される問題についても精査しておきます。

事業承継計画では承継時期を決めておき、その時期までに何をどのようにしておくことがベストか検討します。経営理念や事業の中長期目標を確認して事業の方向性、将来の数値目標も確認しておきます。また、事業承継をスムーズに進めるために関係者への理解を求めるとともに、後継者教育の方法、株式・財産の分配にかかわる基本方針、具体的な対策などを順次決めていきます。
 

親族の了承(親族外事業承継の場合)

親族内承継をする場合、後継者ではないほかの相続人との間で遺産トラブルが発生する場合があります。後継者となった者に株式や財産が集中しやすくなるため、それ以外の相続人が「不公平だ」と訴えるケースがあるのです。

中小企業の場合は経営者がほとんどの株式を保有していることが多く、財産についても会社名義や経営者名義になっているものが多くあります。そのため、後継者となった者に株式や財産が集中しやすくなってしまうのです。

何も対策をせずに親族内承継(親族外承継)をした場合は、これらの資産は法定相続人に法定相続分に応じて承継されてしまいます。そうなると会社の事業用資産や会社株式が、経営に何も関係のない相続人に相続されてしまう可能性があり、会社の経営がスムーズにいかなくなってしまう可能性があります。

親族外承継の場合は後継者となった者に株式を取得させるので、現経営者の親族などが株式を保有していると、後継者に株式を集中させることができなくなってしまいます。すると会社の経営に影響を与える場合もあるので、事前にしっかりとした対策を講じて親族の了承を得ておくと良いでしょう。
 

専門家への相談

親族内承継(親族外承継)は、単純に経営者の交代だけではありません。会社の資産や負債、財産の承継も含んでいます。そのため、専門的な知識が必要になる場合もあります。親族内承継(親族外承継)の場合であっても、やはり専門家に相談することでスムーズな親族内承継(親族外承継)が可能になります。

専門家に相談をすると経営承継診断として、財務経営、人事給与、組織風土などの実態調査及び分析、経営者・後継者・幹部ヒアリングなどによる現状の把握と経営承継課題の抽出と明確化ができます。また、事業承継における課題の洗い出しや承継方針の立案、事業承継計画の策定のアドバイスやサポートや関係者との協議検討の指導資産なども行ってくれます。

そのほかには、経営改善や経営革新のコンサルティングや組織開発、人事組織改革のコンサルティングなどもしてくれます。様々な点において、事業承継のサポートやアドバイスをしてくれるので、専門家に相談して適切な事業承継ができるようにした方が良いでしょう。
 

2.後継者の育成・教育

後継者の育成や教育は自社で行う場合もありますし、社外で行う場合もあります。自社で育成・教育を実施する場合は各部門をローテーションさせることによって、各部門の経験と知識を習得できます。そして責任のある地位に就任させることによって、経営に対する自覚が生まれリーダーシップを発揮する機会を与えます。その後現経営者の直接の指導を受けて、経営上のノウハウや業界の事情などを把握して、経営理念や方針、現経営者の想いなどを引き継ぐ意思を強めていきます。

社外での育成・教育は、他社に勤務させて経験を積ませます。それによって人脈の形成や新しい経営手法を習得して、自社の枠にとらわれず自分自身のアイディアを獲得することもできます。また、子会社や関連会社などの経営を任せる方法もあります。これによって責任感や資質の確認が行え、責任者としての経験を積んだことで経営者の責任感や資質を高めることができます。またセミナーなどを活用すると、知識を修得し幅広い視野で育成ができます。
 

3.資産・株式・許認可などの承継

親族内承継(親族外承継)での資産の承継は、事業を営む上で必要な資産を後継者に承継することを言います。法人で自社の株式、個人事業主では資金、設備、不動産、許認可などが主なものとなります。資産の後継者への承継方法は、贈与・譲渡・相続を活用します。資産の承継には贈与税・所得税・相続税などの税金の負担が発生します。

このほかにも知的資産の承継として許認可や技術力、ノウハウ、取引債(お客様や協力会社)との人脈、組織力を含めて会社の強みとして知的資産を承継します。
 

4.個人保証・負債の処理

中小企業の経営者において、事業承継を実施するにあたって個人保証や負債の処理は重要なポイントになります。債務や保証、担保などの円滑な承継に注意が必要です。会社が負っている債務は事業承継にかかわらず会社が負い続けるものの、経営者個人が借り入れを実施して会社に貸し付けている場合や会社の借り入れについて現経営者が個人(連帯)保証を提供している場合、自己所有の不動産等を担保に提供している場合はこれらの処理を検討しなければなりません。

対応をしておかないと、事業承継後も現経営者がそれらの負担を背負い続けることになります。相続が発生したとき、債務を相続でどのように負担するのかという困難な問題が生じることになります。そのため将来の相続時のリスクを回避するために、事業承継時に現経営者から後継者へ事業用資金の借り入れ債務や担保にしている事業用資産も合わせて承継しておく必要があります。

個人保証や債務については、その処理を的確に実施しなければ、スムーズな事業承継の実現が難しくなるばかりでなく、かかる負担が大きくなります。それによって、後継者が事業承継を断念する恐れもあります。事業承継に向けて、経営改善等を通じた資金繰りの改善によって、負債の圧縮を図りながら、金融機関との信頼関係を築くことが重要になります。

M&Aによる事業承継

M&Aによる事業承継は、以下の流れで進めます。

  1. 仲介会社などへの相談
  2. 事業承継先の選定
  3. 基本合意書の締結
  4. デューデリジェンスの実施
  5. 最終契約書の締結
  6. クロージング
M&Aは経営者自身が実行しようとしても難しいプロセスがあり、M&A仲介会社などの専門家に相談した方がスムーズな場合もあります。以下詳しく解説します。

1.仲介会社などへの相談

M&Aの仲介会社は、売り手側と買い手側の間に立ち、中立的な立場で仲介を実施して、M&Aの成約を目指します。仲介会社に相談することのメリットは、M&Aが早く成立することが期待できる点です。しかし、M&Aについて知識が乏しい経営者にとっては、どのようなサポートやアドバイスが受けられるのか不安を感じる場合もあるでしょう。事業承継におけるM&Aの場合は、M&Aの相手を探してもらうことが重要になるので、M&A仲介会社と仲介契約の形態をとる会社を絞って探して相談した方が早いでしょう。

M&A仲介会社はたくさん存在しています。どのようなサービスが受けられて、実績はどのくらいあるのかなどが仲介会社を選ぶ時のポイントになります。多少時間がかかっても複数の仲介会社に相談してみて、どこの仲介会社にするか検討した方が良いでしょう。仲介会社の事前相談は無料となっているところが多いので複数の仲介会社に相談してみましょう。そのうえで、仲介会社を決めても良いのです。
 

秘密保持契約書の締結

秘密保持契約書は、その名の通り情報の秘密を保持する契約書になります。特に売る側の会社にとっては重要な情報を開示することになるので、できるだけ開示される情報を秘密保持したいと考えるものです。情報として開示されるものは決算書、各社との契約書、従業員の給料額など会社としては秘密を保持したい情報となります。

仲介会社と仲介依頼契約を結ぶ時に秘密保持契約書も同時に締結されることが多く、買い手側候補の会社が守秘義務を厳守してくれない以上は情報を開示するわけにはいきません。そのため買い手側とも秘密保持契約書の締結を行い、双方が守秘義務を守ることになります。
 

2.事業承継先の選定

M&A仲介会社は、仲介依頼契約を結ぶと事業承継先として相応しい買い手側の会社の選定を実施します。事業承継を伴うM&Aの場合は綿密な戦略立案に基づいて、双方に有益なM&Aが実施できるように事業承継先を選定します。調剤薬局の場合も、どのような事情で事業承継に伴うM&Aを実施するのかによって買い手側の会社を選択する必要があります。単純に調剤薬局を買収したいと考える買い手側では、有益なM&Aが成立しない場合があります。

調剤薬局の事業承継に伴うM&Aの場合は、売り手側に「事業承継」と言う課題があることからその課題を克服できるような買い手先を選定する必要があるのです。また、売り手側の売却条件や希望売却価格などをしっかりと検討して戦略的にM&Aの成立を目指す必要があるのです。

売り手側の調剤薬局が希望する条件と買い手側が期待する買収する条件が合致して、双方に有益なM&Aが成立することになります。その選定を誤るとM&Aが成立に至らない場合やM&A後の統合に失敗したりするのです。
 

3.基本合意書の締結

基本合意書とは、売る側の会社と買う側の会社との間で交わされる書類になります。M&Aの成約を目指して、現時点での基本的な諸条件の合意事項を確認するために締結します。基本合意書が締結されることによって、売り手側の会社と買い手側の会社の双方がこれまでの交渉で合意してきた内容を整理して合意形成ができ、取引成立に向けたデューデリジェンスや最終契約、決済をスムーズに進行させることができます。

一般的な諸条件は売買金額、今後のスケジュール、デューデリジェンスの協力義務、側線交渉権の付与、その他合意事項となっています。
 

意向表明書の提示

意向表明書はM&Aの取引において必ず必要な書類ではありませんが、今後のM&Aの交渉や取引を進めていくうえでスムーズに進めることができるようになるので、意向表明書を用意する場合もあります。

意向表明書の提出のタイミングは、トップ面談を終えた時点で提出されます。これによって、いよいよM&Aの具体的な交渉がスタートする段階となります。売り手側の会社に「譲受を具体的に検討したい」と言う意思表示にもなります。記載される内容は、買い手側の会社の概要と売買金額、今後のスケジュール、独占交渉権などになります。

4.デューデリジェンスの実施

デューデリジェンスとは買収監査と言う場合もあり、買い手側の会社が譲り受ける会社の監査を実施することを言います。買い手側の会社は譲り受ける会社の経営実態や問題点をチェックして、M&Aに介在する潜在的なリスクやシナジー効果を監査します。そのうえで、売買金額やM&Aの実行の可否を決定します。

デューデリジェンスは会計、財務、税務、法律などの分野に分かれて監査を行います。専門的な知識が必要になるため弁護士や公認会計士、税理士などの協力を得て実施するケースが多いでしょう。
 

5.最終契約書の締結

最終契約書の締結は、売り手側と買い手側の最終的な合意内容を明らかにした書類を言います。調剤薬局の事業承継に伴う会社売却やM&Aの場合は、デューデリジェンスを実施して、問題がなければ最終契約書の締結を実施します。

M&Aのプロセスの中で最終契約書の締結とされていますが、そのような名称の契約書があるわけではなくM&Aの時に正式かつ最終的な契約書を言います。最終契約書の締結のタイミングはデューデリジェンスが実施され、譲り受ける会社に何も問題がなく売買金額の合意がされた時に締結します。

最終契約書はM&Aに関して最終的な意思決定を双方が確認しあったものになるので、法的な拘束力があります。従って最終契約の締結後にどちらかの理由によって破棄される場合は、解約の申し出を受けた当事者は相手に損害賠償請求をすることができます。そのためM&Aにおいて最終契約書の締結は、慎重に実施する必要があります。
 

6.クロージング

クロージングとは最終契約書に基づいて取引が実行された後に、譲渡代金の支払い(決済手続)によって経営権を移転が完了することを意味しています。一般的には売り手側の会社が履行義務である株式などの引き渡しと、買い手側の履行義務である対価の支払いがされますがスキームごとに内容が異なる場合があります。

事業承継を株式譲渡で実施した場合は、株券を引き渡して対価の支払いを受けることで完了します。事業譲渡の場合は、移管される資産・負債、権利義務について個別に移管手続きを実施します。クロージングは最終契約日から一定の期間を開けることも多いですが、契約日までにクロージングに必要な手続きがすべて終了している場合や契約日後に必要な手続きは適正に完了させることが前提で、契約日と同時にクロージングを実施する場合もあります。
 

調剤薬局の事業承継を考える理由

調剤薬局の経営者が事業承継を考える理由は様々ですが、大きく分けて以下3点があります。

  1. 薬剤師の確保が難しい
  2. 競争激化・法改正による経営難
  3. 後継者問題による事業承継

調剤薬局に限ったことではありませんが、事業承継は会社にとって経営上の大きな課題と言う位置づけがされており現経営者が引退を考えた時に事業承継について考える経営者が多くいます。具体的にどのような時に事業承継を考えるのでしょうか?上記3点について詳しく解説します。

1.薬剤師の確保が難しい

以前は調剤薬局としての薬局はなく、病院で診察を受けて病院内で薬をもらうのが一般的でした。しかし、1980年代ごろから「医薬分業」が推奨されるようになり治療は病院で薬は調剤薬局で処方してもらうという形になりました。

そのため近くの病院やクリニックがない場所にも調剤薬局が増え、現在では大手ドラックストアに併設されている調剤薬局もあります。

調剤薬局の創業者も、現在では60歳代を迎えようとしている人が多くなってきました。60歳代と言うとそろそろ引退を考えるタイミングでもあります。しかし、事業承継をしたくても創業者の子供が後継者になるとは限りません。薬剤師になるには、薬科大学に6年間通って資格を取得する必要があります。

創業者の子供が後継者とならない場合は薬剤師の資格を保有している人材に後継者になってもらうしかありませんが、中小や個人の調剤薬局に就職する新卒の薬剤師は少なく確保が難しいのが現状です。また薬剤師は慢性的な人材不足ともいわれており、ますます確保が難しいのです。
 

2.競争激化・法改正による経営難

中小・個人で経営する調剤薬局は大手グループの調剤薬局に加えて、ドラックストアに併設されている調剤薬局の参入によって経営が厳しい状態となっています。

ドラックストアに併設された調剤薬局は食料品や日用品、一般用(OTC)医薬品の販売もしており、利便性が良いため利用する患者も多くなっているようです。大手グループ調剤薬局の場合も病院の前に店舗を構える「門前薬局」として、患者が利用しやすいようになっています。

このような中で中小・個人が経営する調剤薬局は、患者の利用者数を増やすのが難しい現状となっています。

また薬価についても法改正が進んでおり、医療費の割合を減らすために2年から3年のペースで薬価の改定が進んでいます。そのため医薬品の価格が下がることで、薬局側は利益が出しにくい状態になっています。

これまでは2年から3年のペースでしたが、2022年以降になると1年に1回のペース、もしくは1年に数回の改定がされる予定となっています。薬価が下がれば、それだけ調剤薬局としての収益が減っていくことが予測できます。
 

3.後継者問題による事業承継

調剤薬局は社会的にもなくてはならない存在でもありますが、現在の中小・個人の調剤薬局は先行きが不透明な時代に直面しています。その理由は後継者の不足が問題視されています。現在の中小・個人の調剤薬局の経営者は団塊の世代が多く、そろそろ引退を検討する年齢に差し掛かっています。しかし適切な後継者がいないために引退することもできずに、調剤薬局の存続をどのようにすればよいのか不安や悩みを抱えているのが実情でしょう。

事業承継では現経営者の親族を後継者とする親族内承継がこれまで多く用いられてきましたが、現在ではその動きは減少しており、従業員や役員に事業承継する親族外承継や第三者に引き継ぐM&Aが増えています。

調剤薬局の事業承継として考えられるのは、現経営者の子供が薬剤師の資格を取得してお店を引き継ぐか、現経営者の子供は経営者となり薬剤師を雇い入れるかのどちらかの方法で親族内承継をするしかありません。

しかし、現経営者の子供が調剤薬局の後継者になるとは限りません。そのため、中小・個人の調剤薬局は後継者問題が大きな課題となっているのです。
 

調剤薬局の事業承継を考える年齢

調剤薬局の事業承継を考える年齢については、お店の規模や顧客数などによって多少異なるようです。現経営者が引退しようとする年齢は、概ね60歳程度であると言われておりアンケートによると65歳から70歳くらいには承継したいと考えているようです。特に後継者が決まっていない場合は、後継者探しから始めなければならないので時間を要することになるでしょう。

開業医や中小・個人の調剤薬局の薬剤師の場合は、特に定年が決まっていないので「体が動くうちは」と高齢になっても現役を続ける場合もあります。しかし、今後のことも考えるとある程度事業承継を考える年齢は自覚しておく方が良いでしょう。後継者の育成や教育を考えると、遅くても60歳前後には事業承継を考えるべきなのです。
 

調剤薬局の事業承継の相談先

調剤薬局の事業承継を相談したい場合は、どのようなところに相談すればよいのでしょうか?事業承継におけるM&Aを含めた相談先を紹介します。

【調剤薬局の事業承継の相談先】

  1. 金融機関
  2. 公的機関
  3. 税理士・会計士・弁護士など
  4. マッチングサイト
  5. M&A仲介会社

1.金融機関

事業承継の相談は取引のある金融機関でも行えます。金融機関自体も事業承継への取り組みをしており、経営者からの相談にも応じています。金融機関は地域内の顧客が多く、公営者不在の問題や事業承継について相談されることも多いのです。
金融機関はM&Aを支援することで、融資の拡大のチャンスや他の金融機関による秘密保持契約締結の回避の観点で支援する場合があるのです。
 

2.公的機関

事業承継の相談先の公的機関には中小企業事業引継ぎセンターや商工会、商工会議所、よろず支援拠点などがあります。中小企業事業引継ぎセンターは東京や大阪をはじめとする全国48か所に拠点があり、最寄りの中小企業引継ぎセンターに行けば事業承継の相談をすることができます。

3.税理士・会計士・弁護士など

事業承継の相談先として、最も多いのは顧問の公認会計士や税理士が多いようです。普段から調剤薬局の財務や税務の相談をしているために、事業承継の問題についても相談しやすいのでしょう。

顧問の公認会計士や税理士であれば事業承継に伴う財務や税務の相談をすることもでき、どのような方向で事業承継を進めていけばいいのかアドバイスを受けることができるしょう。

4.マッチングサイト

マッチングサイトは基本的に経営者自身がマッチングサイトにアクセスして、買収先の会社を探す形となります。しかしマッチングサイトの中には、M&Aのサポートが充実しているサイトもあり相手先探しからクロージングまでをサポートしているところもあります。

マッチングサイトの多くは中小・個人経営の会社の情報が多く掲載されており、同じように事業承継におけるM&Aを希望している会社も多く見受けられます。マッチングサイトは、相談先というよりM&Aの相手先を探すためのツールと言えます。
 

5.M&A仲介会社

M&A仲介会社は、M&Aの仲介を行っている会社になります。基本的にはM&Aに関するサポートやアドバイスを実施していますが、事業承継に伴うM&Aも増えており事業承継の相談に応じているところもたくさんあります。M&A仲介会社は様々な形のM&Aの成約を目指しており、事業承継におけるM&Aにも対応しているので調剤薬局の事業承継も相談できます。

調剤薬局の事業承継の相談先を選ぶポイント

調剤薬局の事業承継の相談先を選ぶポイントは以下5点です。

  1. 事業承継に精通している
  2. 事業承継の実績がある
  3. 承継先の選定ができる
  4. 料金体系が分かりやすい
  5. 相性が良い
一つずつ詳しくご紹介します。

1.事業承継に精通している

事業承継は、経営者の交代だけで済むものではありません。資産や負債、財産なども承継する為事業承継がどのようなものなのかしっかりと理解している仲介会社を相談先として選ぶ必要があります。また調剤薬局の経営状況などを客観的に把握して、適切な方法で事業承継ができるようにアドバイスやサポートをしてくれるところが良いでしょう。

2.事業承継の実績がある

調剤薬局の事業承継は、ほかの業種とは異なる点もあります。そのため、似た事例を取り扱ったことがある相談先に相談した方が適切なアドバイスやサポートをしてくれる場合が多いのです。あまり調剤薬局の事業承継のサポートがしたことがないところだと、思うような事業承継が実現しない可能性もあります。

M&A仲介会社についても得意な分野とそうでない分野があるので、調剤薬局に特化したM&A仲介会社を選ぶとスムーズに事業承継ができるでしょう。そのほかにも多種多様な業種の事業承継に伴うM&Aを実施してきた仲介会社であれば、経験が豊かなので適切な事業承継を実施してくれるはずです。

3.承継先の選定ができる

調剤薬局の事業承継は、買収してくれる会社であればどこでもいいというわけではありません。ほかの業種にも言えることですが、現経営者が望む希望の条件があります。その希望の条件を含めて、承継先を選定することができる相談先を選ぶようにしましょう。

成果主義で事業承継におけるM&Aが成立すればいい、という考え方の相談先では希望の条件が満たされない場合があります。適切な承継先を選定してくれるように、じっくりと相手先を探してくれる相談先を選びましょう。

4.料金体系が分かりやすい

事業承継に伴うM&Aを実施する時は、料金体系が分かりやすいM&A仲介会社を選ぶ方が良いでしょう。最近では完全成功報酬型の料金体系にしているM&A仲介会社も多く、事前相談、着手金、中間報酬を無料にしているところがたくさんあります。M&Aは近年中小企業でも多く実施されており、できるだけ分かりやすい料金体系にしているところが多くあります。

5.相性が良い

事業承継の相談先は、一か所ではなく複数のところに相談してみると良いでしょう。公的機関もありますし、民間のM&A仲介会社もあります。公的機関の方が安心して相談できるという場合もありますが、相談してみたけど相性が合わないという場合もあります。民間のM&A仲介会社の場合も、相性が良くなければその先の相談もしにくいものです。M&A仲介会社の場合は事前相談料を無料にしているところが多いので、複数のM&A仲介会社に相談してみて相性が良いところを選ぶと良いでしょう。

調剤薬局の事業承継・M&Aの成功事例3選

調剤薬局の事業承継・M&Aの実際の成功事例を3つご紹介します。
 

  1. 株式会社ツルハによるおおがたむら調剤薬局のM&A
  2. キリン堂ホールディングスグループのキリン堂、京都の調剤薬局1店舗を譲り受け
  3. ココカラファイン、都内で調剤薬局1店舗展開の小石川薬局の全株式取得

1.株式会社ツルハによるおおがたむら調剤薬局のM&A

ツルハホールディングスの子会社である株式会社ツルハは、有限会社おおがたむら調剤薬局の発行済み全株式を取得するため、おおがたむら調剤薬局とおおがたむら調剤薬局株主との間で株式譲渡契約を締結しました。

ツルハは全国各地に1,208店舗を展開しており、ツルハグループの中心企業として積極的な出店をしています。おおがたむら調剤薬局は秋田県南秋田郡大潟村に調剤薬局として1店舗を運営しています。

ツルハホールディングスグループは、地域密着型のドラックチェーンの店舗展開を一層推進しています。
 

2.キリン堂ホールディングスグループのキリン堂、京都の調剤薬局1店舗を譲り受け

キリン堂ホールディングス連結子会社である株式会社キリン堂は、関西地区で展開する調剤薬局1店舗の譲渡を受けることを決定しました。

キリン堂は、主に関西地区を中心にドラックストア及び調剤薬局チェーンを展開しています。今回の譲り受けによって、キリン堂ホールディングスは関西地区における調剤事業の強化及び地域に密着した「かかりつけ薬局」の拡充を図ります。
 

3.ココカラファイン、都内で調剤薬局1店舗展開の小石川薬局の全株式取得

ココカラファインは、株式会社小石川薬局(東京都新宿区)の全株式を取得して子会社化しました。

ココカラファインはM&Aの活用に積極的に取り組み、中核事業であるドラックストア事業と調剤薬局事業の拡充を行っています。小石川薬局は東京都で1店舗の調剤薬局を展開しており、今回のM&Aによってココカラファインはエリアにおけるドミナントを深耕して地域におけるヘルスケアネットワークの構築推進を図ります。
 

調剤薬局の事業承継におすすめのM&A仲介会社

調剤薬局の事業承継、M&Aを成功させるには豊富な実績を持った事業承継の専門家に相談することが必要です。M&A総合研究所では。実務経験豊富なM&A専門の会計士が専任担当し、徹底サポートを行います。

また料金体系は、売却が成立時のみ支払う完全成功報酬制で、手数料は業界最安値水準となっています。

調剤薬局での事業承継にお困りの際は、M&A総合研究所へ気軽にご相談ください。

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まとめ

調剤薬局でなくても、事業承継は会社の重要な経営上の問題でもあります。特に調剤薬局に関しては薬剤師の慢性的な不足や法改正などの厳しい現状もあり、事業承継難しい局面を迎えているでしょう。

そのような時でも適切なサポートやアドバイスをしてくれる相談先を見つけ、適切に事業承継ができるようにしましょう。

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