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2019年3月10日更新

親族外承継

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

事業承継を検討中の方は、親族外承継も選択肢に入れる事が大切です。親族外承継のメリット・デメリット、親族外承継における事業承継税制の活用、親族外承継における遺留分特例の活用について解説します。

目次

    親族外承継

    親族内承継の件数は減少傾向にあり、従業員や役員に会社を引き継ぐ「親族外承継」が一般的になりつつあります。

    事業承継を検討中の方は、親族外承継も選択肢に入れる事が大切です。

    この記事では、親族外承継のメリットやデメリット、円滑に進める上で有効な制度をご紹介します。

    親族外承継について知りたい方必見です。

    親族外承継とは

    まず初めに、親族外承継に関して基本的な事柄をお伝えします。

    ⑴親族外承継の概要

    親族外承継とは、社内の従業員・役員、または外部から招聘した人物に事業承継する方法です。

    親族外承継には、二つあります。

    一つ目は、会社の経営を後継者に任せつつ現経営者が引き続き自社株を保有し続けるケース。

    二つ目は、自社株ごと経営権を後継者に引き継がせるケースです。

    前者は一時的に経営者を代行してもらい、将来的に親族に会社を引き継がせるケースです。

    後者は完全にその後継者に対して、会社を引き継がせるケースです。

    親族外承継以外には、親族内承継とM&Aによる承継があります。

    親族内承継は子供等経営者の親族に事業承継し、M&Aでは第三者に会社を売却する形で事業承継します。

    ⑵親族外承継の割合

    親族内承継の減少に伴い、親族外承継を実行する企業が増加傾向にあります。

    2012年時点では、内部昇格・外部からの招聘を合わせると約4割に及びます。

    親族内承継はほぼ一貫して減少傾向にあり、一昔とは違い親族外承継が主流な事業承継の方法となっています。

    今後市場の環境や人口動態が変化するに伴い、親族外承継の割合はさらに増加する可能性があります。

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    親族外承継のメリット

    親族外承継には、主に下記3つのメリットがあります。

    ⑴経営者の資質や経験の担保

    親族内承継と比べると、経営者の資質や業務遂行能力をある程度担保できるメリットがあります。

    親族内承継の場合、後継者教育を成功させない限り、経営者としての経験は担保できません。

    ある日突然事業承継するケースも多く、後継者としての質を十分担保することは難しいです。

    従業員や役員が親族外承継の対象であれば、既に業務に携わっている為、改めて教育する必要がありません。

    長年勤めている役員であれば、ビジョンやノウハウも理解しているので、その点を最初から伝える事も不要です。

    数いる従業員や役員の中から、最も経営者として優れた人物を選択できる点は大きなメリットです。

    ⑵従業員や関係者からの理解を得やすい

    M&Aによって全くの第三者に事業承継する場合、従業員や関係者に不安が広がり、モチベーションが下がる恐れがあります。

    これまで一緒に働いてきた従業員や役員が経営者になれば、モチベーションが下がるリスクが低減します。

    金融機関や取引先からも、業務能力に長けている人材が後継者であれば、理解を獲得しやすいです。

    ⑶内部昇格によるモチベーションの向上

    従業員や役員を経営者として昇格させることで、モチベーション向上のメリットが期待できます。

    一般会社員から経営者になる事は、親族外承継の魅力であり、大きなメリットです。

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    親族外承継のデメリット

    この項では、親族外承継のデメリットを2つ解説します。

    ⑴後継者の資金力問題

    自社株を後継者に承継する形で行う親族外承継では、基本的には後継者が自社株を買い取ります。

    小規模な会社であっても、全ての自社株を買い取るには多額の資金が必要です。

    従業員や役員にとって、親族外承継に必要な資金力は非常に大きいです。

    資金力不足を理由に、親族外承継出来ないケースは少なくありません。

    自社株買い取りの為の資金力は、親族外承継の大きなデメリットです。

    この親族外承継におけるデメリットを解決する為に、金融機関の力を借りた上でMBOを実施する場合が多いです。

    MBO(Management buy out)とは、会社の役員が経営者一族から自社株を買い取る形で行う親族外承継の手法です。

    金融機関から資金調達を経て親族外承継を実行すれば、資金力不足のデメリットを解決できます。

    従業員が親族外承継するケースはEBO(Employee Buy-Out)、従業員と役員が親族外承継するケースはMEBO(Management Employee Buyout)と呼ばれます。

    MBOやEBOではなく、株式の無償譲渡により親族外承継を図る事も可能です。

    ⑵事業承継を引き受けてもらえない可能性

    小〜中規模法人では、経営者自身が保証人となる上で融資を受けている場合が多いです。

    経営者の個人保証は簡単には解除できず、後継者が連帯保証人になることを要求される可能性があります。

    親族外の人物が後継者となる場合、大きなリスクとなる為、親族外承継を承諾し難いです。

    親族外承継に対しては金融機関の理解も得難く、事業承継が円滑に進まないデメリットも生じ得ます。

    親族外承継を実行する際には、個人保証も含め、あらゆるリスクを低減しておく事が大切です。

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    親族外承継における事業承継税制の活用

    事業承継税制の活用により、親族外承継で生じる税負担を軽減できます。

    ⑴事業承継税制とは

    事業承継税制とは、非上場株式の引き継ぎによって生じる相続税や贈与税の納税を猶予・免除する制度です。

    事業承継では、自社株の引き継ぎに際して多額の相続税や贈与税が発生します。

    親族外承継を引き受ける人物にとって税負担は非常に大きく、この負担を理由に親族外承継を引き受けない恐れもあります。

    事業承継税制を利用すれば、相続税・贈与税共に全額納税猶予できます。

    一昔前までは親族内承継のみが事業承継税制の対象でしたが、平成25年度の改正により親族外承継も対象に含まれる様になりました。

    平成30年度の改正では、全ての自社株で納税猶予が認められる様になったり、雇用8割維持の要件が実質撤廃されたりと、さらに活用しやすくなりました。

    親族外承継の後継者にとって、事業承継税制の納税猶予は積極的に活用したい制度です。

    ⑵親族外承継で事業承継税制を活用する為の条件

    親族外承継の際に事業承継税制を活用する要件は、「人の要件」「会社の要件」「事業継続要件」の三つに大別されます。

    ここでは、各々要件について簡単に解説します。

    詳しく知りたい方は、この項の最後にある記事をご覧ください。

    ①人の要件

    人の要件とは、現経営者や後継者がクリアすべき条件です。

    発行済議決権株式総数の50%超を保有している等、実質的な経営権を握っている事が条件となります。

    ②会社の要件

    会社の要件とは、親族外承継を実行する企業がクリアすべき条件です。

    経営承継円滑化法上の中小企業であり、かつ従業員や収入が0でない事などが定められています。

    経営承継円滑化法では、業種や資本金、従業員数によって、中小企業か否かの判断がなされます。

    ③事業継続要件

    事業継続要件では、親族外承継後も事業を継続する事が主な条件として定められています。

    5年間経営者として株式を保有し続ける条件や、雇用の8割維持の条件があります。

    平成30年度の事業承継税制改正により、雇用の8割維持に関しては条件が大幅に緩和されました。

    所定の書類に雇用を維持できない理由を記して提出すれば、納税猶予を維持できます。

    経営状況が厳しい中小企業が雇用を8割維持し続ける事は難しく、雇用維持要件を理由に納税猶予を諦める企業は多く見受けられました。

    中小企業の実情を踏まえていない制度とも揶揄されていましたが、平成30年度の改正により納税猶予を利用しやすくなりました。

    親族外承継を検討中の方には、事業承継税制の納税猶予を強くオススメします。

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    親族外承継における遺留分特例の活用

    親族外承継を円滑に進める為には、遺留分特例の活用が不可欠です。

    この項では、遺留分の特例を利用するメリットを詳しく説明します。

    一定範囲内の親族には、最低限の相続財産が保障されており、これを「遺留分」と呼びます。

    相続人が複数存在する場合、遺留分によって自社株が分散し、経営に関わる意思決定に支障をきたす恐れがあります。

    親族外承継のみならず、事業承継では自社株を後継者に集中させる事が不可欠です。

    遺留分の民法特例を利用すれば、除外合意や固定合意を実施できます。

    除外合意とは、親族外承継で引き継ぐ非上場株式を、遺留分の計算から除外出来る制度です。

    固定合意とは、遺留分の計算に含める自社株の金額を、合意時の価額に固定する制度です。

    両合意を併用する事で、株価上昇や株式の心配をせずに親族外承継を実行可能です。

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    まとめ

    今回は、親族外承継に関してご説明しました。

    近年割合が増えている親族外承継には、多くのメリットが存在します。

    親族外承継を実施する際には、納税猶予や遺留分特例を活用する事がベストです。

    要点をまとめると下記になります。

    • 親族外承継とは

    →社内の従業員・役員や外部から招聘した人物に事業承継する方法

    • 親族外承継の割合

    →内部昇格・外部からの招聘を合わせると約4割(2012年)

    • 親族外承継のメリット

    →経営者の資質をある程度担保できる、他の従業員や関係者からの理解を得やすい、内部昇格によるモチベーションの向上

    • 親族外承継のデメリット

    →後継者の資金力に難あり、事業承継を引き受けてもらえない可能性が高い

    • 事業承継税制とは

    →非上場株式の引き継ぎによって生じる相続税・贈与税の納税を猶予・免除する制度

    • 親族外承継で事業承継税制を活用する為の条件

    →人の要件、会社の要件、事業継続要件の三種類がある

    • 遺留分特例とは

    →親族外承継を円滑に進める為の特例

    • 親族外承継で遺留分特例を利用するメリット

    →株価上昇や株式の心配をせずに親族外承継を実行できる

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