M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2024年8月24日更新会社・事業を売る
M&Aの相談先9選!メリットデメリットや選び方とよくある相談内容を紹介
M&Aは、専門家に相談しつつサポートを受けながら実施するのが一般的です。この記事では、M&Aにおける相談先ごとの特徴やメリット・デメリット、選び方や注意点などを解説します。
目次
M&Aの売り手企業の相談内容
M&Aとは、Mergers and Acquisitions(合併・買収)の略語で、企業同士の経営統合のことです。一般的に、合併は互いに同等の立場での合意にもとづく企業同士の統合を意味し、買収は買収する企業が買収される企業の経営権を取得することを意味します。
実際に知識がまったくない状態からM&Aを開始すると多くの疑問が生じますが、具体的にどのような内容の相談を持ちかければ良いのか悩んでしまう経営者の方も少なくないでしょう。ここではよくある相談内容に関して解説します。
M&Aの準備に関する相談
M&Aを行う際は、M&Aの買い手企業、売り手企業を問わず、M&Aに向けての準備を行う必要があります。
具体的に事前に検討するべき事項は、M&A戦略の策定、M&Aにおける必要機関の確認、契約手続きの整理などがあり、M&Aの専門家にこれらの準備について相談するケースが多いです。
M&Aの相手企業探しに関する相談
本格的にM&Aに向けて動く前に、自社内での想定に合致するM&Aの相手先企業がみつかるか、または条件に合った相手先企業を探してほしいなど、あらかじめ専門家に相談する場合もあります。
候補企業の有無だけでなく、売り手企業であれば売却価格、買い手企業であれば買収価格の目線が妥当かを、併せて相談するケースが多いです。
機密情報の保護に関する相談
M&Aでは、売り手企業が買い手企業に対して自社の機密情報を開示する必要があります。そのため、特に売り手企業にとっては、機密情報の保護が重大な関心事項です。
M&Aでは一般的に、会社名を出さず企業情報の概要のみを開示した後、本格的な交渉に入る前に売り手企業と買い手企業の間で秘密保持契約を締結します。事前にM&Aの専門家に、機密情報の保護に関して相談することが多いです。
M&A費用の相談
買い手は、M&Aにおいて仲介会社・アドバイザリー会社への手数料や買収費用などで多額の費用を要します。費用を把握しておかなければ、予算の範囲内でM&Aを実行できない可能性が高いため、「どの程度、費用を要するか」を相談する経営者も少なくありません。
M&A仲介会社やアドバイザリーに相談しておくと、必要な費用を大まかに把握できます。
M&A実行可否の相談
M&Aを活用して事業承継したいものの、自社に売却する価値があるのか不安に感じる経営者の方は多く存在します。そのため、「M&Aを実施すべきか」を相談するケースも多いです。
上記に関連して、「新規事業のためにM&Aを実施したいが、どのようにM&Aを利用すれば良いか」といった相談も見られます。
企業価値の求め方の相談
売り手企業の経営者にとって、企業価値の求め方は非常に気になる部分だといえます。企業価値が高いほど、最終的な売却価格も高くなるからです。
M&Aの価格は、売り手と買い手の交渉により最終的に決定されます。事前に算出された売り手による企業価値評価をもとに、最終的なM&Aの価格が話し合われる仕組みです。企業価値評価では、公認会計士や税理士などの専門家が、専門的なアプローチを用いて企業価値を算出します。
インカムアプローチやマーケットアプローチなど企業価値を算出する方法はさまざま存在しますが、中小企業のM&Aでは3〜5年分の営業利益に純資産を足した金額を企業価値とするケースが多いです。
高値でM&A取引を行う方法の相談
高値でM&A取引を行う方法も、売り手からの相談内容として多いです。高値でM&A取引を実行するには、会社の収益性を高めて企業価値に磨きをかける必要があります。
技術力やブランド力などに磨きをかけつつ、将来的な収益力を高めることで、買い手から評価されやすいです。M&Aでは、過去の収益性だけではなく今後の収益性もチェックされるため、将来的な事業ビジョンを明確化しましょう。
将来的に十分な利益が見込まれる事業内容であれば、高値でM&Aが成立する可能性が高まります。
デューデリジェンスの相談
デューデリジェンスとは、M&Aの相手側企業に対して実施する事前調査のことです。ここでは、事前に入手している情報と実際の会社における状況に相違がないかチェックします。
書類には載っていない簿外債務や偶発債務などのリスクが発見される可能性もあるため、念入りに実施しなければなりません。
上記の理由から、M&Aを実施する際のデューデリジェンスは非常に重要です。とはいえ、会社の調査を実施するのは、簡単ではありません。M&Aの専門家に相談すれば、デューデリジェンスを効率的に実施できます。
M&Aの買い手企業の相談内容
買収する際に必要な準備の相談
M&Aでは買い手企業として行う手続きが多くあります。そのため、実際に必要な手続きや必要になってくるものの確認をしておきたいという買い手企業は多いです。
買収するのに必要な資金の相談
資金を豊富に持っていてもM&Aを実施する資金は想像以上に膨大で、実施後にも今後の経営における資金が必要になるケースやスキームによっては手元現金を多く必要としないケースもあります。目的のM&Aを行うためにどの程度の資金が必要であるか、またどのようにして資金調達を行うのか相談していただくことで納得いくM&Aを行うことができます。
成約までの期間
M&Aにはまとまった期間が必要になってきます。実際どれくらいの期間が必要かはM&Aによって異なりますが目安としてどれくらいの期間がかかるのか相談される企業は多いです。
M&Aの相談先一覧とメリット・デメリット
M&Aを実行すると、ほとんどのケースで自社の経験や知識のみでは解決できない問題が発生します。特に法務や税務の問題が発生すると、経営者のみで対処するのは極めて困難です。そのため、専門的知識のもと心強いアドバイスを与えてくれる相談相手が必要とされます。M&Aに関する具体的な相談先は、以下のとおりです。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
公認会計士・税理士 | ・定期的に会社を訪問してくれ、相談先と信頼関係を築きやすい | ・サポート自体を実施していないケースがある ・限られたサポートのケースがある |
弁護士 | ・M&A時のトラブルに対応してくれる | ・M&Aに精通していないことがある ・ネットワークが限定的である |
金融機関のM&A相談窓口 | ・主要な金融機関であれば広範囲のネットワークを持っている | ・基本的に中小企業のM&AやスモールM&Aなどの相談に対応していない |
商工会・商工会議所 | ・地元企業とのネットワークを持っている ・中小企業を支援する助成金や補助金などの制度を運営する機関もある |
・会員になる必要がある ・スピード感やサービスの質が民間よりも劣る可能性がある |
M&A仲介会社 | ・M&Aの豊富な知識を持っている ・専門的なネットワークを持っている |
・仲介会社によって相談料や着手金が必要 ・成約を急かされる可能性がある |
事業承継・引継ぎ支援センター | ・公的な立場であり利用料がかからない | ・大規模案件や複雑なスキームのM&Aには対応できない |
知り合いの経営者 | ・リアルな相談が可能 | ・機密情報が漏えいの危険性 |
①公認会計士・税理士
メリット
これらの専門家はスペシャリストとして会社の経理を熟知しているため、自社のみで実施するよりも時間を短縮できるうえに正確な経理処理が実現可能です。
会計や税務は会社の重要事項であり信頼関係が重要とされますが、公認会計士や税理士は定期的に会社を訪問してくれます。そのため、相談先と信頼関係を築きやすいです。
会社の決算業務などを依頼する際、会社の経理面を事前に把握しているため、スムーズに対応してもらえる点もメリットといえます。
デメリット
公認会計士や税理士は必ずしもM&Aに精通しているとは限らず、サポート自体を実施していないケースや、非常に限られたサポートのみしか実施してもらえないケースがあります。
サポートに対応していても、これらの専門家が抱えているネットワークや対応エリアは限定的である点に注意しましょう。
②弁護士
弁護士の中には、M&A支援や仲介を積極的に手掛けている専門家も存在します。そもそもM&Aはさまざまな法律が絡む行為でもあるため、法律の専門家である弁護士に相談・依頼すると非常に心強いです。
メリット
弁護士への相談・依頼には、M&A相手先企業とのトラブルを未然に防いでもらえたり、トラブルが起きた際に対応してもらえたりする点にメリットがあります。M&Aで必要となる法律関係書類の作成サポートを受けることも可能です。
M&Aの最終契約後は、雇用や取引先などの法律関係に対する継続的なサポートが期待できます。従来、弁護士が手掛けるM&Aは大企業を顧客とするケースが主流でしたが、昨今における中小企業のM&A件数増加を受けて、弁護士の取り扱い案件数が増加中です。
デメリット
弁護士は公認会計士や税理士と同様に、M&Aに精通していなかったり、抱えているネットワークが限定的であったりするケースも多く存在します。税務・財務・会計などに精通する専門家のネットワークがないと、M&Aの相談先として充実したサポートは期待できません。
③金融機関のM&A相談窓口
M&Aを行う際は、普段から取引している銀行や証券会社などの金融機関に相談する選択肢も有効です。財務面の資金繰りや資金調達方法など、M&Aでは資金に関する悩みも尽きません。こうした資金面の相談は、お金のスペシャリストである金融機関に持ちかけると良いでしょう。
メリット
主要な金融機関は、広範囲のネットワークを持っています。会計士や税理士と同様に金融機関の担当者も、定期的に会社を訪問してくれるケースが多いため、信頼関係の面でも心配ありません。
大規模な金融機関であれば、M&Aの相談を専門的に請け負う部署を構え、M&Aの知識が豊富なスタッフに相談できる点もメリットです。良好な取引関係にあり自社の状況を定期的に共有している金融機関であれば、スムーズに対応してもらえます。
デメリット
金融機関では、基本的に中小企業のM&AやスモールM&Aなどの相談に対応していません。中小企業からすると、M&Aの相手が見つかりにくいうえに手数料が高い点もデメリットです。主要な金融機関は大規模な組織であるため、フットワークが軽いとはいえず、迅速な対応を期待できない可能性もあります。
④商工会・商工会議所
商工会議所・自治体などの公的機関も、M&Aの相談相手として活用できます。地元企業とのネットワークを有しており、特に地方部でのM&Aを検討している場合に有効的な相談先です。
メリット
商工会・商工会議所などの公的機関には、中小企業を支援する助成金や補助金などの制度を運営する機関もあるため、M&Aの資金に悩んでいる場合は相談するとよいでしょう。金融機関の融資とは違い、返済が求められない制度であるため、中小企業でも活用しやすいです。
デメリット
商工会議所・自治体ともに、M&Aの専門的な機関ではありません。M&Aの相手探しや資金面のサポートは望めるものの、手続き面のサポートは受けられない可能性が高いです。また、サポートを受けるために会員になる必要があり費用がかかります。
助成金や補助金などの制度は、申請期間が定められているうえ、申請から受給までに1年ほどの期間がかかるケースもあるので、申請要項を事前に確認したうえで相談を持ちかけるとよいでしょう。
⑤M&A仲介会社
M&A仲介会社は、M&A業務自体を事業として手掛けている会社です。知見や実績などを豊富に備えているため、相談をスムーズに進められます。漠然とした相談だけでなく、実行からアフターフォローまで幅広い相談に対応可能です。
メリット
専門的な知識を保有しているだけでなく、業界ごとの最新動向やM&Aで発生する費用の相場なども理解しているため、M&Aの相談相手として最適な機関です。
M&Aアドバイザーが在籍しており、専門的なネットワークを備えているため、相談からクロージングまでのプロセスを円滑に進行します。
M&Aの相手先企業を探索する際に、幅広いネットワークから多くの選択肢を期待できるため、相談者の希望に沿ったM&Aを実施しやすい点もメリットです。また、金融機関と比較すると成功報酬が低いことが多いです。
デメリット
M&A仲介会社によっては相談料や着手金がかかる可能性があるため注意が必要です。M&A仲介会社は、一般的に相談・実行・成功などのタイミングで報酬を求めます。
また、M&Aの成功報酬を目的としてアドバイザリー契約やM&A成約を急かす場合もあります。成功報酬は、M&Aによる売却金額の5%〜10%程度が目安として発生します。たとえ規模が小さいM&Aでも、最低300万円程度になります。
M&A仲介会社の収入は仲介手数料などの報酬のみであるため、報酬獲得を最優先の目的に掲げて不十分なサポートのもとでM&A成立のみに注力する会社がある点もデメリットです。
M&Aのご相談はM&A総合研究所へ
M&Aをご検討の際は、ぜひM&A総合研究所にお任せください。M&A総合研究所では、M&Aの知識や経験が豊富なM&Aアドバイザーが、相談時からクロージングまで案件をフルサポートいたします。
料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります。)。随時、無料相談を行っておりますので、M&Aをご検討の際は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
⑥事業承継・引継ぎ支援センター
事業承継・引継ぎ支援センターは、各県に設置された後継者不足による事業承継を専門的にサポートする公的機関です。公的機関であるため、法制度や公的支援制度の情報を多く有しています。
メリット
各県に設置されているため、各県の地方自治体による法制度の情報や、地元における専門家などとのネットワークを介した紹介を受けられる可能性があります。公的な立場であり利用料がかからないため、気軽に相談できる点もメリットです。
デメリット
事業承継・引継ぎ支援センターは、事業承継目的のM&Aが中心であるうえ取扱件数が少ないことから、大規模案件や複雑なスキームのM&Aには対応できません。
また、事業承継・引継ぎ支援センターが持つネットワークは地元のつながりが中心なので、会社の成長戦略に合致したM&A先がみつかる保証はありません。M&Aをつうじた成長戦略を実行する場合は、民間のM&A事業者のほうが適しているといえるでしょう。
⑦知り合いの経営者
中小企業庁のデータによると、M&Aの相談先として上位に位置するのが、知り合いの経営者へ相談するケースです。
「知り合い」とは、単純に知人である場合や取引先の経営者である場合などさまざまですが、M&Aを検討する前から知っていて信頼できる相手といった点で、相談先に選ばれていると考えられます。
メリット
M&Aを検討する企業のオーナー経営者にとって、他社のオーナー経営者は置かれている立場が同じなので、よりリアルな相談が可能です。
実際、知り合いの経営者がM&A経験者であれば、M&Aで注意すべき事項、M&A後における社員などの待遇、自己所有の株式における処理などを本音で情報交換できます。
最初は経営者同士の相談という形でも、最終的にはM&Aの相手企業になるケースもあるのです。
デメリット
知り合いに相談すると、相手はある程度自社の現状を知ります。そのため、機密情報が漏えいしたり自社の悪評が立ったりする可能性に留意が必要です。経営者同士のネットワークで自社の評判が悪くなるのを避けるためにも、相談相手は慎重に選ぶ必要があるでしょう。
M&Aの相談にかかる料金
いずれの相談先でも、M&Aのごく初期的な相談にかかる料金は、通常は無料です。ただし、商工会の入会金や、士業やM&Aコンサルタントによっては相談料が発生することがあるので、事前に確認しましょう。
手数料 | 相場 | 内容 |
相談料 | 0~1万円 | 依頼をする前の相談料 |
着手金 | 50万~200万円 | 本格的な依頼をするための手数料 |
中間金 | 50万~200万円 | M&A基本合意契約を締結時に発生する手数料 |
成功報酬 | 売却費用による | M&A成立時の最終契約を締結時に発生する手数料 |
月額報酬(リテイナーフィー) | 30万~200万円/月 | 月額定額手数料 |
デューデリジェンス費用 | 0~200万円 | 買収監査費用 |
業務実行の実費 | 実費 | 遠方への旅費実費、弁護士相談費用など |
M&Aの相談先の選び方
M&Aの相談に対応している機関や専門家は多く存在しています。しかし相談先を決める客観的な基準は、明確にはされていません。とはいえ、以下の点を基準に相談相手を決めると、M&A手続きを円滑に進行できる可能性が高いです。各選び方のポイントを順番に詳しく紹介します。
①M&A経験が豊富であるか
M&Aの相談を持ちかける際、相談者は的確なアドバイスの提供を期待します。しかし、M&Aの経験が豊富に備わっていない相談先からは、的確なアドバイスがもらえる可能性は低いです。
M&Aの経験は、具体的にいうと、実際にM&Aの経験がある点や、M&Aをサポートした実績がある点などから判断可能です。これらの経験の有無によって、アドバイスの質が大きく異なります。書籍やネットで得た知識の引用は、専門家でなくとも行えるからです。
M&Aの相談を持ちかける際は、実体験に基づいた貴重なアドバイスをしてくれる相談先を選びましょう。これにより、的確なアドバイスをもらえる可能性が高まります。
②自社との相性が良いか
M&A実績のある相談先であったり、信頼できる相談先であったりしても、自社の意向と相性が悪ければ、最適な相談先とはいえません。見当違いなアドバイスを受けてしまい、結果としてM&Aの手続きが難航してしまうおそれがあるためです。
M&Aの相談を持ちかける際は、「担当者と話しやすいか」「会社の意向を理解してくれているか」などの項目を基準にして、相性の良い相談先を見つけましょう。
③迅速に対応してもらえるか
M&Aの手続きは、短期間で実施する必要があります。M&Aでは、決算時期などを考慮しつつ実行時期を逆算して計画が進められるうえ、相手側企業の予定も考慮しなければなりません。
上記の理由から、相談相手には迅速な対応力が求められます。たとえ規模が小さくても、M&Aでは最低3カ月程度の時間が必要です。手続きに遅れが発生しないよう、迅速に対応してくれるM&Aの相談相手を選びましょう。
④親身になって対応してもらえるか
M&Aの相談を持ちかける際、経営者は不安を抱えているケースがほとんどです。一方的なアドバイスを提供する相手ではなく、自社に親身な対応をしてくれる相手に相談するべきといえます。
特に「どのような会社とM&Aを実施するべきか」などの質問には、親身になって理解を示してくれる相談先でなければ的確にアドバイスできません。
相談先を選ぶ際は、自社にどれだけ親身な対応をしてくれるかを見極める必要があります。無料で相談に乗ってくれる機関も多いため、これを利用して複数の相談先の対応力を吟味すると良いでしょう。
⑤報酬体系が明確かつ妥当な水準であるか
M&Aの相談を持ちかける際は、事前に報酬体系も把握しておくべきです。相談先によっては、相談料がかるケースもあります。
相談後にM&Aの仲介やサポートを依頼する場合は、着手金や成功報酬などが請求されるのが一般的です。特にM&Aアドバイザーの実務やデューデリジェンスなどを依頼した場合の報酬は、決して安い金額ではありません。
M&Aの相談を持ちかける前に、相談先の提示する報酬体系を調べておきましょう。
⑥相談内容について高い専門性を持っているか
相談先は、M&Aを行ううえでの課題に応じて選択するのがおすすめです。例えば、多くのM&A候補先を見つけたい場合は、財務や法務の専門家である公認会計士や弁護士よりも、M&A専門会社に依頼する方が良い結果が得られるでしょう。
中小規模の会社は、仲介方式のM&A専門会社を選ぶことで、コストを抑えられます。M&Aを成長戦略に織り込んでいるなら、自社の業界・業種に特化したM&A専門会社を選べば、シナジー効果の高いM&A相手をみつけることが可能です。自社の相談内容に適した専門家に相談しましょう。
⑦M&Aを実施するうえで必要な情報を提供してくれるか
M&Aの専門家は、M&Aを行う企業の両社に対し円滑に調整を行う中で、報酬を得るため可能な限りM&Aを成約させるようと努力する傾向があります。
本当に価値のあるM&Aかを判断するためには、必要な情報を適したタイミングで提供してもらうことが重要なので、依頼前からきちんと情報を開示してくれる相談先を選びましょう。
M&A実施の際の流れ
M&Aの目的・方向性の明確化
M&Aを行う場合、自社がM&Aを行う目的を明確にします。その際は、今後の方向性や自社の課題だけでなく、M&Aの必要性(ほかの方法がないか)も含めて考えましょう。
検討の末M&A実施の意思が固まったら、M&Aの相手先への希望条件などをある程度決めておくことで、M&A仲介会社への相談がスムーズです。
M&Aの専門家へ相談
M&A工程には専門的な知識や経験が必要となる場面が多いため、ほとんどの場合はM&A仲介会社などの専門家へ支援業務を依頼してM&A成約を目指します。
M&A仲介会社などの専門家はぞれぞれ得意業種や規模感、手数料体系などが違うため、支援実績も併せて判断するとよいでしょう。
支援を依頼する専門家を決定したら「アドバイザリー契約」、「秘密保持契約」を締結します。秘密保持契約はM&Aでは自社の財務情報・主要取引先・ノウハウや技術に関する内容など秘密情報を開示するため、情報漏洩を防止するため結び、責任所在を明確にしておくことが重要です。
交渉相手の選定
交渉先探しは「ノンネームシート」という資料を用います。これは社名や詳細な住所など対象企業が特定されるような情報は記載せず、業種・事業内容・おおまなかエリア・売上高・買収理由(目的)などM&A交渉実施判断できる必要最低限の情報がまとめられたものです。
担当アドバイザーが条件に合った企業をリストアップしてくれるので、段階的に絞り込み、最終的に交渉を行いたい相手先を決定します。その際は価額や条件だけでなくM&A後に想定されるシナジーを加味して検討しましょう。
その後はM&A仲介会社などの専門家を介して相手先に交渉を打診し、双方がM&A交渉に進む意思が確認できたら売却側・買収側との間で秘密保持契約を締結してから企業概要書を提出します。
トップ面談
企業概要書を確認し、双方ともM&A成立に前向きであれば、交渉に先駆けてトップ面談を行ないます。トップ面談は経営理念や社風や人柄、企業概要書での質問点などを確認し、相互理解を深め信頼関係を構築する場です。そのため価額や条件など具体的な交渉は一般的に行われません。
基本合意書の締結
トップ面談後、双方がM&A成立に向け交渉を続ける意思が確認できたら、売却価額や条件、完了までのスケジュールなど細かな部分を話し合います。
交渉内容に双方が大筋合意した段階で基本合意書を締結します。基本合意書には使用するM&A手法・売却価額・諸条件・クロージング実行予定日・独占交渉権などに関する事項が記載されますが、独占交渉権の付与など一部事項を除き法的拘束力はありません。
以降のデューデリジェンスの結果などによってはM&A取引が中止となる場合もあります。
デューデリジェンス
基本合意締結後は、買収側によるデューデリジェンスが行われます。デューデリジェンとは買収リスクの有無、事前開示された情報の正確性などを把握するために行う調査です。
売却側は追加資料の提出など協力を求められた際は誠実に対応しましょう。
最終交渉・最終契約書締結
買収側が買収実行判断をしたら、最終契約書の締結に向け交渉へと進みます。最終交渉ではデューディリジェンスの結果を踏まえて行われるため、価額の変更や条件の追加・変更がなされる場合もあります。
そして、取り決めた全ての内容に双方が最終合意した段階で最終契約書を締結しM&Aは成立となります。なお、最終契約書に記載された事項はすべてが法則拘束力を持つため、契約以降に一方的な変更や破棄を行うことは認められません。
そのため、最終契約書の締結に際しては、記載内容をしっかりと確認しておくことが重要です。
クロージングの実行
クロージングとは、M&A対象の経営権を売却側から買収側へ移転させ、対価の支払い決済手続きを行うM&Aの最終手続きです。クロージングを実行するためにはクロージング条件を満たしていなければなりません。
そのため、最終契約書の締結時にクロージングの条件に関して確認しておきましょう。
相談時に伝えるべきポイント
ここでは、相談時に伝えるべきポイントを売却側と買収側に分けて見ていきましょう。
売却側のポイント
アドバイザーは、M&Aにおける実現の可能性を見極めたいと考えるので、売却側は会社に関する情報を正確に伝えることがポイントです。ネガティブな情報も重要となります。
事業内容
事業内容を具体的に聞かせていただきます。その中で業界が安定性や成長性の見込めるか、取引先や技術に関して属人性の度合いを確認します。
これら企業価値評価の判断材料のひとつになります。また、経営者が引退することで取引先や技術が消滅してしまうリスクは、買い手企業にとっては懸念点になります。ぜひ、組織化を進めることで買い手側の懸念点を減らしておきましょう。
組織・人員体制
組織・人員体制に関しては会社運営の中で重要なポジションの従業員であったり、年齢構成を聞かせていただきます。年齢構成が若い方が好まれる傾向ではありますが、会社自体の強みを持っていることも大切です。
財務内容や希望条件
希望の売却金額や譲れない条件があれば教えてください。お聞かせの上、直近の決算書の確認をし、おおよそではありますが株式価値を算出、希望金額とのギャップを確認を行います。
譲れない条件としては従業員の雇用の継続などを挙げられることが多いです。
所有者(株主)の状況
相続が何度か発生している場合など、株主が分散していることが稀にあります。その際、株式を取りまとめることができない状況あれば、M&Aを行うことが困難になります。
買収側のポイント
買収先の条件
買収しようと思っている事業内容や対象の地域、資金力はできるだけ詳細に伝えましょう。
M&Aした後の運営方針
M&A後の運営方針について、買収先への積極的な経営関与もしくは現状位置のどちらを考えているのか教えてください。経営方針の確認・調整は従業員の離職を防ぐことや統合に関して役立ちます。
マネジメント体制
マネジメント体制の確認はM&A後の社内体制を構築するために必要になります。買い手側はどのような人材を送り込みマネジメントしていくかをアピールすることが大切です。
M&Aの無料相談を利用する際の注意点
M&Aの相談を行う際の注意点として、以下の3つを取り上げます。
①相談相手をしっかりと見極める
M&Aの相談を持ちかける際は、相談相手により得意分野が異なる点に注意しましょう。例えば、公認会計士であればバリュエーション、仲介会社であればM&Aの相手探し、金融機関であれば資金調達をそれぞれ得意としています。
相談内容を決めたうえで、その分野を得意とする相談先を利用することが大切です。
②相談相手は限定する
M&Aの相談時は、さまざまな機関に安易に相談を持ちかけない点にも注意しましょう。たとえ同じ内容を相談する場合でも、相談相手により回答が異なる可能性があるためです。さまざまな立場の相談先を利用すると、M&Aにおける実行可否の決断が困難になるおそれがあります。
相談先を見極めたうえで、限定して混乱を避けることが大切です。
③情報漏えいに注意する
M&Aの相談を行う際、自社の機密情報を漏らさないよう注意が必要です。機密情報を漏らしてしまうと、自社の経営に悪影響がおよぶおそれがあります。実際にM&A業務を依頼する際は、「秘密保持契約」を締結したうえで、重要な情報をM&Aの専門家に開示するのが一般的です。
M&Aの相談先に関する調査データ
中小企業庁による中小企業白書2019では、経営者引退による事業承継を行う際に相談した、外部専門家における内訳のデータが発表されています。発表データによれば、外部へ相談した経営者の72.5%が「公認会計士・税理士」、33%が「取引先金融機関」へ相談を行っています。
それに続くのは、「商工会議所・商工会」の11.1%、「弁護士」の6%、「事業引継ぎ支援センター」の5.6%です。M&A仲介会社などが含まれる「その他経営コンサルタント」は、8.5%でした。
「公認会計士・税理士」「取引先金融機関」が大きな割合を占め、その他の専門家への相談件数は依然として低いといえるでしょう。なお、相談先は複数回答が可能となっているため、各割合の合計は100%を超えます。
M&Aの相談先として役立つM&Aアドバイザーとは?
M&Aの初期的相談や実行をする際は、M&A仲介会社など仲介型のM&Aアドバイザーや、助言型のM&Aアドバイザーに依頼するのが一般的です。
M&AアドバイザーとはM&A全体に関与し、スムーズに進行する役割を担う専門家であり、売り手買い手の負担を大幅に減少させる働きがあります。
以下では、中小企業の際に活躍する仲介型のM&Aアドバイザーの果たす役割を解説します。
M&A戦略の立案・交渉に関する相談へのアドバイス
M&Aアドバイザーにおける役割の一つに、M&A戦略の立案があります。
M&A戦略とは、M&Aを企業における成長戦略のどの部分に位置づけ、どのように実行に移すかを決めることです。M&Aアドバイザーは、M&Aに強みを持つ外部におけるコンサルタントの立場で、M&A戦略のアドバイスができます。
M&Aの交渉は、弁護士法の関係で、企業自身か代理人である弁護士が行うのが一般的です。M&Aアドバイザーが同席することもありますが、あくまでサポートの役割を担います。
M&Aの契約書に関する相談へのアドバイス
M&Aで必要な基本合意書、意向表明書、最終契約書などの契約書は、原則として弁護士が作成します。
ドラフト段階や内容協議段階では、M&AアドバイザーがM&Aならではのポイントにおけるアドバイスを行うのが一般的です。
案件全体の取りまとめ役であるM&Aアドバイザーからは、両社の温度感に基づいて契約条件に関する適切なアドバイスを受けることが期待できます。
M&Aの取引価格に関する相談へのアドバイス
M&Aの取引価格は、両社が行う企業価値評価の結果に基づいて、交渉により決定されます。
企業価値評価は、財務や会計に精通した専門家によって行う方が、より客観的な結果を得られるでしょう。M&Aアドバイザーは、財務の専門家でもあるため、企業価値評価へのアドバイスが可能です。
上場企業や少数株主が絡むM&Aでは、訴訟対応までカバーするために、裁判に強い企業価値評価の専門会社をアサインする場合もあります。
M&A手法に関する相談へのアドバイス
M&Aでは、会社法や金商法上の法的構成次第で、手続きや税務処理が異なります。M&A手法を間違えれば、数千万円や数億円単位で追加支払が必要となるため、株主も手法の選択を注視しているのです。
M&Aアドバイザーは、ときには公認会計士や税理士とも協力して、最適なM&A手法を検討・選択する役割を担っています。
デューデリジェンス(買収監査)の調整・遂行
M&Aアドバイザーは、M&Aの取りまとめ役として、デューデリジェンスにおける司令塔の役割も果たします。
デューデリジェンスを進めるためには、委託先の弁護士や公認会計士など専門家の選定、スケジュール管理などの仕事が必要です。M&Aに精通しているM&Aアドバイザーであれば、案件の性質に合わせ、その分野に強い専門家を選定してくれるでしょう。
資金調達に関する相談へのアドバイス・サポート
M&Aを自己資金のみで実行するケースは少なく、多くの場合借入や株式調達によりM&A資金を準備する必要があります。
M&Aアドバイザーは、金融機関や投資家から資金提供を受けるため、M&A戦略の整理・説明をサポートする役割を担います。そもそもM&Aアドバイザーに金融機関を選択することで、資金調達の相談に乗ってもらうことが可能です。
M&Aの相談先まとめ
M&Aを検討する経営者に、悩みは付きものです。会社には機密情報や個人情報などがあり、特定の第三者にM&Aの相談を行う際は慎重にならざるを得ません。
とはいえ、M&Aを実行する際は、ある程度の情報を公開する必要があります。会社内の人間のみでM&Aを成功させるのは困難であるため、M&Aを実行する際は各分野に信頼できる相談先があると安心です。
M&Aの成功を目指すなら、さまざまな視点から信頼の置ける専門家に相談することが有効策といえます。
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。