M&Aとは?手法ごとの特徴、目的・メリット、手続きの方法・流れも解説【図解】
2021年8月8日更新会社・事業を売る
M&Aとアライアンスの違い
M&Aとアライアンスの大きな違いは、「経営権の移転」の有無です。M&Aの種類は、買収・分割・合併に、アライアンスでは、業務提携・資本提携に大別できます。この記事では、M&Aとアライアンスの違い、それぞれのメリット・デメリットについて解説します。
M&Aとアライアンスの違い
近年一般化されてきた経営戦略の一つに、M&Aがあります。M&Aを活用する事で、海外進出を含む事業規模拡大や、多角化を成功させている企業は、数多く存在します。
従来は大企業によるM&Aが殆どでしたが、近年は、ベンチャー、スタートアップ企業、中小企業がM&Aを実行する事例も徐々に増えており、M&A戦略策定および実行の動機も各企業が抱える事情に応じて異なり、多岐にわたっています。
今後M&Aの件数は、更に増加すると見込まれます。しかし手続きや費用面を考えると、簡単にはM&Aを実行できません。成功率も低く、リスクを伴います。そうした事情から、M&Aの代わりに、アライアンスを活用する企業も少なくありません。
アライアンスも広義の意味ではM&Aに含まれますが、厳密にはアライアンスとM&Aは異なります。とはいえ、アライアンスとM&Aの違いは、意外と知られていません。そこで今回は、アライアンスとM&Aの違いを、分かりやすくご紹介します。
M&A(経営権の移転を伴う) | アライアンス(経営権はそのまま) | |
概要と違い | 複数企業/事業の売買・合併 | 複数企業で協力して目標達成 |
種類 | 買収、分割、合併 | 業務提携(生産・技術・販売)、資本提携 |
メリット | ①ノウハウ・技術の流出リスクが低い ②買い手側企業が経営権を掌握できる |
①各社の独立性を維持できる ②失敗時のリスクが低い |
デメリット | ①手続きに多大な手間がかかる ②多額のコストを要する |
①ノウハウ・技術の流出リスクが高い ②シナジーの効果が想定を下回る可能性 |
上記図のように、M&Aとアライアンスの大きな相違点は経営権の移転を伴うか否かです。メリット・デメリットもそれぞれ異なりますので、以下詳しく解説していきます。
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M&Aとは
まず初めに、M&Aについてご紹介します。
①M&Aの概要
M&Aとは「Mergers(合併) and Acquisitions(買収)」の略称で、複数の企業/事業が合併したり、ビジネスを売買する行為です。双方企業が正式な契約を結んだ上で、合併や買収等を実施します。M&Aの目的は主に新規事業への進出や、事業規模の拡大です。
買い手側から語られる場合が多いですが、売り手側にとってもM&Aを行う意義は存在します。M&Aの売り手側は、主力事業への集中や経営再建を目的とするケースが多いです。特に日本では、売り手側にとってM&Aのニーズが高まっています。
その背景には、「国内市場の先行き不安」と「事業承継問題」があります。大企業のみならず中小企業にとっても、M&Aは積極的に活用すべき戦略の一つとなっています。M&Aをご検討の場合には、M&A総合研究所にご相談ください。
M&A総合研究所では全国のM&A案件を取り扱い、中小企業のM&Aを数多く実現させてきました。規模の小さい企業がM&Aを実施する案件にも柔軟に対応しています。まずは一度お気軽に無料相談ください。
②M&Aの種類
M&Aの種類は、大きく分けて「買収」、「分割」、「合併」の三種類に大別されます。
買収
買収とは、外部の会社や事業を買い取るM&Aです。新規事業への進出や、事業規模の拡大を目的に実施されます。また買収は、「企業ごと買い取る方法」と「一部の事業のみ買い取る方法」に分けられます。
企業ごと買い取る方法には、株式譲渡や株式交換・移転が該当します。一方で一部事業のみ買い取る方法には、事業譲渡や第三者割当増資が該当します。
分割
分割によるM&Aは、主にグループ内再編で実施されます。会社の中から事業を切り出し、新会社を設立したり、他社に移転します。新会社を設立する場合は、新設分割と呼ばれます。一方で既存他社に移転する場合には、吸収分割と呼ばれます。
合併
M&Aの中でも有名な合併は、複数の会社を一つに統合する手法です。基本的には、片方の企業がもう片方に吸収される形で合併します。この方法は、吸収合併と呼ばれます。
また、一度新しく会社を設立し、そこに全ての企業を統合させる手法もあります。この場合は、新設合併と呼ばれます。
③M&Aのメリット
ここでは数あるメリットの中から、アライアンスと比べた場合のメリットを解説します。
ノウハウ・技術の流出リスクが低い
M&Aでは、相手企業を丸ごと自社内に取り込みます。そのため、ノウハウや技術が流出するリスクは低いです。なおM&Aの契約では、競業避止義務を売り手側に設定できます。競業避止義務を設定すれば、M&A後に相手企業が同一の事業を行うのを、一定期間禁止できます。
買い手側企業が経営権を掌握できる
M&Aの種類に関係なく、M&Aでは買い手側が売り手側の経営権を引き継ぎます。そのため、M&A後はその事業に関する主導権を掌握できます。当然、事業で得られる利益も独占できます。また経営方針や戦略に関しても、買い手となった企業が決定できます。
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④M&Aのデメリット
M&Aのデメリットについても、アライアンスと比較した場合について紹介します。
手続きに多大な手間がかかる
M&Aでは、株式や資産・権利等を相手企業に引き継ぎます。従業員や債権者、株主などあらゆる関係者を巻き込みます。以上の理由から、M&Aでは膨大な手続きが必要となります。手続きを完了させるのに、長いと一年以上かかる場合もあります。
また、買い手の立場だと売り手をなかなか見つけられないケースも少なくありません。日本のM&A市場は業界によって売り手市場になっていることがあるからです。
②多額のコストを要する
M&Aでは、相手企業(事業)を買収します。そのため、株式や資産を買い取る為の費用が必要です。取引規模にもよりますが、M&Aでは数千万円〜数十億円もの買収資金がかかります。加えて、M&Aアドバイザリーを起用すれば手数料もかかります。
アライアンスでは、買収するための費用や手数料はかかりません。この点は、M&Aとアライアンスの大きな違いです。
しかし、どのようなM&Aの専門家にサポートを依頼するかによって、コスト面のデメリットを低減することができます。
M&A総合研究所では、M&Aの専門的な知識・経験が豊富なアドバイザーによるフルサポートを行っており、クライアント様にとって理想的なM&A成約を目指します。
通常のM&A取引では、交渉から成立まで半年から1年程度かかる場合もありますが、M&A総合研究所は最短3ヶ月での成約実績もあるなど、スピーディーな対応も強みです。
料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)無料相談をお受けしておりますのでお気軽にお問い合わせください。
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アライアンスとは
次に、アライアンスについて説明します。
①アライアンスの概要
アライアンスとは、複数企業が契約に基づいて、一つの目標に向けて協力する行為です。実務の現場では、戦略的提携とも呼ばれます。M&Aとの大きな違いは、経営権の移転を伴わない点です。アライアンスはあくまで契約に基づく協力関係です。M&Aと比べると、双方企業の結びつきは弱いです。
またM&Aとは違い、いずれ契約関係が解消されます。よってアライアンス後には、互いにライバル関係となる可能性があります。それを見越して双方企業は、協力しつつ相手の技術やノウハウを多く吸収しようと画策します。
つまりアライアンス中は、協力と競争が同時に行わわれていることになります。
②アライアンスの種類
アライアンスは、大きく分けて「業務提携」と「資本提携」の二種類に分けられます。
業務提携
業務提携とは、ある特定の事業分野に限定したアライアンスです。さらに業務提携は協力する分野によって、下記に分けられます。
- 生産提携
- 技術提携
- 販売提携
一般的には、コラボレーションとも言われます。複数の企業が、共同で商品を開発するのが典型例です。
資本提携
一方で資本提携は、互いに出資し合って行うアライアンスです。単純な業務提携と比べると、より協力関係が強固であるのが特徴です。互いに資本を出し合い、ある事業を遂行します。イメージ的には、企業の合併設立に近いです。
③アライアンスのメリット
M&Aを比較すると、アライアンスには下記のメリットがあります。
各社の独立性を維持できる
アライアンスでは、経営権の移転を伴いません。よって双方企業が独立性を維持した上で、協力しながら目標を達成できます。加えて、あくまで契約のみの関係なので、簡単に解消できます。M&Aとは違い、自社の意向を大きく反映させられます。
失敗時のリスクが低い
アライアンスでは、複数の企業が協力した上で目標達成を目指すため、仮に失敗した際のリスクも減少します。またM&Aが失敗した際には、手続きに費やした多大な時間やコストが水の泡となります。
一方でアライアンスには、その心配はありません。つまりM&Aとは違い、アライアンスでは低リスクで他社の経営資源を活用できます。
④アライアンスのデメリット
M&Aを比較すると、アライアンスには下記のデメリットが存在します。
ノウハウ・技術の流出リスクが高い
アライアンスはあくまで契約に基づく関係で、いずれ提携関係は解消します。アライアンスでは、自社のノウハウや技術を相手に見せる事となります。よってアライアンス解消後、自社の技術やノウハウが転用される恐れがあります。
アライアンスはM&Aとは違い、競争の意味合いも持っています。実際にアライアンスを実行する際は、その点を忘れてはいけません。
シナジーの効果が想定を下回る可能性がある
一方でアライアンスでは、契約に基づいて双方企業が行動します。そのため、相手企業の行動を完全にはコントロールできません。相手が期待通りの行動をしなければ、想定していたシナジー効果を得られない可能性があります。
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業務提携と資本提携とは?業務提携と資本提携の違いとメリット・デメリット
まとめ
今回は、M&Aとアライアンスの違いを解説しました。M&Aとアライアンスの大きな違いは、「経営権の移転」です。M&Aでは移転するのに対して、アライアンスでは移転しません。よってアライアンスの方が、より緩やかな結びつきとなります。
M&Aを実施する際は、費用や手間がかかる点に留意する必要があります。一方でアライアンスでは、技術やノウハウの流出に注意しなくてはいけません。M&Aとアライアンス、どちらが良いかはケースバイケースです。どちらも特有のメリット・デメリットを持っています。
状況に合わせて、最適な戦略を選ぶ必要があります。M&Aとアライアンスの共通点は、短時間で経営戦略を遂行する部分にあります。環境変化の速い現代において、M&Aやアライアンスの活用は非常に有効です。要点をまとめると下記になります。
- M&Aとは
→複数の企業(事業)が合併したり、ビジネスを売買する行為
- M&Aの種類
→買収、分割、合併に大別できる
- M&Aのメリット
→ノウハウ・技術の流出リスクが低い、買い手側企業が経営権を掌握できる
- M&Aのデメリット
→手続きに多大な手間がかかる、多額のコストを要する
- アライアンスとは
→複数企業が契約に基づいて、一つの目標に向けて協力する行為
- アライアンスの種類
→業務提携、資本提携に大別可能
- アライアンスのメリット
→各社の独立性を維持できる、失敗時のリスクが低い
- アライアンスのデメリット
→ノウハウ・技術の流出リスクが高い、シナジーの効果が想定を下回る可能性がある
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。