M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2021年4月24日更新会社・事業を売る
バイアウトファンド
バイアウトファンドとは、投資家から資金を集めたうえで、安定的なキャッシュフローが期待できる企業に投資する機関のことです。バイアウトファンドとベンチャーキャピタルの間では、投資先企業の成熟度・出資比率などの点で違いが見られます。
目次
バイアウトファンド
経営者は、目的を持って企業を経営します。企業経営にはさまざまな目的が挙げられますが、根源的な目的は資金を集めることです。事業の成功・企業の存続・企業規模の拡大といった目的を達成するには、いずれも資金が必要となります。
利益を生み出し資金を集めるには、状況に応じた経営戦略の実施が求められます。場合によっては、銀行の融資・投資家の出資による資金調達も必要です。今回は、投資家から出資を受ける場合に活用できる機関「バイアウトファンド」について解説します。
バイアウトファンドとは
バイアウトファンドとは、投資家から資金を集めたうえで、安定的なキャッシュフローが期待できる企業に投資する機関です。株式の買収により経営権を取得して、企業価値を向上させたうえで株式を売却します。この一連のプロセスで獲得した利益を、投資家に還元する仕組みです。
そもそもバイアウトとは、企業の株式を買い取って経営権を獲得する行為です。つまり企業を買収する方法であり、数あるM&A手法の中の1つです。
投資家は、投資額に対する還元割合が多ければ多いほど、バイアウトファンドを高く評価します。投資額以上の利益が返ってこないおそれがあるため、企業価値を向上できる可能性の高いバイアウトファンドに投資が集まりやすいです。
バイアウトファンドを運営する個人・企業は、ファンドマネージャーと呼ばれます。投資家はファンドマネージャーに投資することで、利益の獲得を試みます。
バイアウトファンドとPEファンドの関係性
バイアウトファンドは、PEファンド(プライベートエクイティファンド)の1種です。PEファンドとは、特定の未公開会社に投資したうえで、利益を投資家に還元する機関です。バイアウトファンドの投資対象は、安定的なキャッシュフローが期待できる成熟した企業です。
同じくPEファンドの1種である再生ファンドでは、経営が不安定な企業を投資対象としています。PEファンドの手法は、証券会社を通じて個人的に投資する手法と対比して、オルタナティブ投資と呼ばれることもあります。
バイアウトファンドとベンチャーキャピタルの違い
ベンチャーキャピタル(VC)も、PEファンドの1種です。バイアウトファンドとの明確な違いは、投資対象となる企業の成熟度にあります。ベンチャーキャピタルの投資対象は、設立したばかりのベンチャー企業です。
上記に関連して、バイアウトファンドとベンチャーキャピタルでは、出資比率に違いが見られることもあります。ベンチャーキャピタルでは、将来的な動向を予測しにくいベンチャー企業が投資対象となるため、大規模な投資に乗り出しにくいです。
その一方で、バイアウトファンドでは成熟した企業を投資対象とするため、比較的大規模な投資に乗り出しやすい傾向が見られます。
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バイアウトファンドのファンドマネージャーに必要な能力
バイアウトファンドを運営するファンドマネージャーは、投資家からの期待を背負って、企業価値の向上を目指す必要があります。バイアウトファンドが多くの投資を集めるには、投資家から信頼されなければなりません。
投資家から信頼を得るには、もちろん実際に企業価値を向上できる能力を備える必要があります。バイアウトファンドの運営にあたって、まずは投資対象となる企業の見極めから実施します。企業価値が向上できそうな企業を見つけられない限り、投資家から資金を集められません。
投資対象に相応しい企業が見つかったら、次にデューデリジェンスを実施します。その結果をもとにして、企業の状況や企業価値の向上方法を見極めていくのです。上記のプロセスを進めるために、ファンドマネージャーには、以下のような能力が求められます。
リスクを洗い出す能力
ファンドマネージャーには、綿密なデューデリジェンスを完遂する能力が求められます。デューデリジェンスで投資対象となる企業のリスクを十分に洗い出せないと、企業価値を向上できず、利益を獲得できません。
投資対象の企業を見極めるうえで、負債や問題点を洗い出すデューデリジェンスは必要不可欠なプロセスです。
リスクを選別する能力
デューデリジェンスを済ませたら、発覚したリスクの改善可否を選別する必要があります。この段階では資金を集めていないため、投資を募るためにもリスクを最小限に留めなければなりません。
リスクを縮小化する能力
ファンドマネージャーには、投資を募る前に解決できなかったリスクを解決する能力も求められます。実際にリスクを解決して縮小化するプロセスは、ファンドマネージャーの能力が最も求められる場面です。
デューデリジェンスによってリスクを発見できたとしても、最終的に企業価値を向上させて利益を獲得できなければ、投資家の期待を裏切ることになります。ファンドマネージャーが経営に直接参加して、企業価値の向上を図る必要があります。
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各立場から見たバイアウトファンド
バイアウトファンドの運営は、「投資家・ファンドマネージャー・投資対象の企業」という3者の相互作用により成立します。バイアウトファンドによる投資は、このうちいずれかの一存では実施できず、いずれかの協力が欠けても実施できません。
ここでは、3者から見たバイアウトファンドをそれぞれ解説します。
投資家から見たバイアウトファンド
投資家からすると、バイアウトファンドにはなるべく多くの利益を還元して欲しいと考えるのが一般的です。これを実現するには、投資対象の企業価値を向上させられるファンドマネージャーを探す必要があります。ただ単純に投資を実施するのみでは、投資家は利益を獲得できません。
いうなれば、ファンドマネージャーだけでなく、投資家にも見極める能力が求められるのです。投資家は、自身で直接的に株式を買うよりも多くの利益還元が期待できるファンドマネージャーを見極めなければなりません。
ファンドマネージャーから見たバイアウトファンド
ファンドマネージャーが最も力を入れる実務は、企業価値の向上です。ただし、実務に着手する前提として、自身のバイアウトファンドに期待してくれる投資家を探す営業活動も必要となります。具体的には、「◯◯社の価値を最大限高めるので投資してください」と投資を募ります。
企業経営に介入する行為には、大きなプレッシャーが伴います。企業価値は1日で高めることはできず、ときには5年〜10年という長期間にわたって経営指導を実施する必要もあります。
企業価値の向上を目指すうえで、ファンドマネージャーには各分野に特化した実務能力の養成が必要です。
投資対象の企業から見たバイアウトファンド
そもそもバイアウトファンドの対象となるのは、安定的な利益を生み出す成熟した企業です。経営が安定している企業であっても、バイアウトファンドから投資を受けて企業価値のさらなる向上を目指せます。
ファンドマネージャーから経営指導を受けられますが、企業自体の経営能力も必要です。最終的に利益を生み出せるかどうかは、バイアウトファンドから投資を受ける企業の手腕にかかっています。
このように、バイアウトファンドは視点ごとに捉え方が異なりますが、いずれの視点が欠けてもバイアウトファンドによる投資は成立しません。
バイアウトファンドを含む資金調達に関する相談先
バイアウトファンドの活用を含め資金調達を実現するには、自社に適する方法を実施する必要があります。資金調達方法を検討する場合に頼りになる相談先は、以下のとおりです。
- 日本政策金融公庫
- 商工会議所・商工会
上記のほか、取引関係にある金融機関・経営コンサルティング会社なども、資金調達に関する相談先として活用できます。これらの相談先を活用すれば、自社に適した資金調達方法を提案してもらえる可能性が高いです。
なお、資金調達を実施するには、バイアウトファンドからの投資・金融機関からの融資だけでなく、M&Aによる売却も有効策となります。M&Aは合併と買収を意味する手法であり、現在は経営戦略として定着しています。
M&Aで事業を売却すれば、譲渡利益を獲得できます。投資・融資を受けて経営上の目的達成を目指す前に、不採算事業を整理する一環として、M&Aの実施を検討するのがベストです。もしもM&Aにおける資金調達を検討する場合には、M&Aの専門家への相談がおすすめです。
バイアウトファンドを含む資金調達をお考えの際は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所では、アドバイザーによる専任フルサポートを行っています。
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まとめ
バイアウトファンドでは、投資家から資金を集めたうえで、安定的なキャッシュフローが期待できる企業に投資します。企業からすると、バイアウトファンドの活用で資金調達できるメリットがあります。
バイアウトファンドの運営には、優秀なファンドマネージャーが必要となります。実際に対象企業の改善点を挙げるなどして、企業価値の向上を図らなければなりません。投資家からすれば、多くの利益を還元してくれるバイアウトファンドを見極める必要があります。
そしてバイアウトファンドから投資を受ける企業には、ファンドマネージャーの指導をもとに経営を実施しつつ、最終的には自社の力で利益を生み出す能力が求められます。要点をまとめると、以下のとおりです。
・バイアウトファンドとは
→投資家から資金を集めたうえで安定的なキャッシュフローが期待できる企業に投資する機関
・バイアウトファンドとPEファンドの関係性
→バイアウトファンドはPEファンドの1種
・バイアウトファンドとベンチャーキャピタルの違い
→投資対象となる企業の成熟度に違いが見られる
・バイアウトファンドのファンドマネージャーに必要な能力
→リスクを洗い出す能力、リスクを選別する能力、リスクを縮小化する能力
・バイアウトファンドから投資を受ける企業に求められる能力
→自社の力で利益を生み出す経営能力
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。