M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2024年8月28日更新会社・事業を売る
M&Aの買収価格はどう決まる?金額の算定方法をわかりやすく解説【参考事例あり】
M&Aにおいて重要な要素である買収価格は、複雑なプロセスを経て決まります。本記事では買収価格の算定プロセスやアプローチ方法、ポイントなどについて詳しく解説します。
目次
買収価格とは
「買収価格」は、会社買収(M&A)の際に支払われる金額を指します。この価格は、買収対象企業の株式や資産の価値に基づいて決定され、交渉やデューデリジェンスの過程で検討されます。
買収の成功や企業価値の評価に大きな影響を与える重要な要素であり、M&Aでは頻繁に使われる言葉なので、必ず覚えておくようにしましょう。
M&Aの買収価格の決まり方
M&Aの買収価格は、対象企業のさまざまな要素を勘案して算定されます。M&Aの買収価格に影響を与える要素は以下の4点です。それぞれの概要を説明します。
- 純資産
- M&A後に期待される利益
- 市場価値
- 無形資産
①純資産
純資産は、対象企業が所有する資産の価値を示すものです。具体的には、貸借対照表の資産額から負債額を差し引いた金額が純資産額になります。ただし、貸借対照表の数値は簿価です。簿価は、資産取得時における過去の価値を示すもので、現在の価値ではありません。
そのため、M&Aでは、資産額と負債額を現在価値(時価)に換算してから時価純資産額を算出し、これを買収価格に参照します。
②M&A後に見込まれる利益
M&Aの買収価格は、対象企業が将来、生み出す価値も参照します。将来、生み出し価値とは、M&A後に期待できる利益額のことです。概算でM&A後に期待できる利益額を参照する方法は以下の2種類があります。
- 対象企業の過去3年間程度における営業利益の平均額を算出し、その3年分における金額を参照する
- 対象企業が策定した3カ年の中期事業計画書に記載された各年度の利益額を参照する
③市場価値
市場価値は、対象企業が行っている事業について、以下の点を考慮しM&Aの買収価格を参照します。
- 市場でのシェア
- どのような競合相手がいるか
- 競合相手に対する優位性は何か
- 市場における成長余地の考察
対象企業が中小企業の場合は、同一事業を行う上場企業の株価や経営指標などを参考値とする場合もあるのです。
④無形資産
無形資産は純資産のように簡単に数値化できません。買収側における需要との一致性などで評価額は上下しますが、それだけにM&Aの買収価格に与える影響は大きいものがあります。具体的な無形資産は、以下です。
- ノウハウ(生産・製造・技術・企画・販売・営業・宣伝などのノウハウ)
- 知的財産権(商標、意匠、特許権など)
- 顧客・取引先リスト
- 営業・販売ネットワーク
- 市場シェア
- ブランド力・知名度
- 人材が持つスキルや資格
- 許認可
M&Aの買収価格の算定方法
ここで説明するのは、買収価格の算定プロセスです。買収価格を決める際は、以下3つのステップで算定します。
- スタンドアローンバリューの算定
- バイヤーズバリューの算定
- 買収価格の交渉
①スタンドアローンバリューの算定
はじめのステップは、「スタンドアローンバリューの算定」です。スタンドアローンバリューとは、対象会社の企業価値を意味します。M&A実施後のシナジー効果(相乗効果)や買収プレミアム(買収価格と時価での企業価値との差額)などを考慮していない「素の企業価値」です。
スタンドアローンバリューは、下記のアプローチ方法を用いて算出します。
- インカムアプローチ
- コストアプローチ
- マーケットアプローチ
各アプローチの詳細は、後述します。
②バイヤーズバリューの算定
次のステップは、バイヤーズバリュー(買い手側が妥当だと考える価格)の算定です。算定にはまず、デューデリジェンスを実行する必要があります。デューデリジェンスとは、売り手企業の財務や税務、法務などの状況を精査する手続きです。
財務・税務・法務以外にも、ビジネスの将来性や人事(労務)、ITなどの分野も調査します。デューデリジェンスによって、売り手企業の持つリスクや、想定できるシナジー効果などを洗い出すのです。その後、リスクやシナジー効果などをスタンドアローンバリューに加味します。
各種のプレミアムも、このとき加味するものです。具体的には、全株式を買収する際に加算される「支配権プレミアム」や、TOB(Take Over Bid=株式交換買付け)による買収で加算される「TOBプレミアム」を加えます。
場合によっては、スタンドアローンバリューから価値を減らすケースもあることを知っておきましょう。非上場企業の買収では、非流動性ディスカウントを考慮しなければなりません。
非流動性ディスカウントとは、非上場株式における換金のしにくさのことで、非流動性ディスカウントを考慮したうえで価値を減額する必要があるのです。
スタンドアローンバリューは、誰が算定してもある程度同じ金額となりますが、バイヤーズバリューは、買い手によって大きく変化する可能性があります。買い手によって魅力的であると感じる価値が異なるからです。
③買収価格の交渉
3つ目のステップは「買収価格の交渉」です。バイヤーズバリューが算定されたら、買収価格の交渉を実施します。最終的には、売り手・買い手の交渉によって、買収価格が決まるのです。はじめは、買い手側の希望価格を基に交渉が行われます。
交渉によって双方が合意したら、買収価格を正式に決定しますが、双方の合意が得られない場合は、M&A自体が白紙になるケースもあるでしょう。
M&Aの交渉には専門的な知識や経験が不可欠であり、希望条件に合った相手先を探すためには幅広いネットワークも必要となるため、M&A仲介会社など専門家のサポートを受けるのが得策です。
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M&Aの買収価格を導くアプローチ手法
買収価格を算定する方法の種類は、実にさまざまです。それらは大別して以下の系統に分けられます。
- インカムアプローチ
- コストアプローチ
- マーケットアプローチ
①インカムアプローチ
インカムアプローチとは、将来の収益予測に着目し価額を算定する方法です。具体的には、将来的に得られるであろうキャッシュフローや利益を用いて算出します。対象企業の将来的な収益性が加味された算定方法であるため、企業の価値に値段をつけるうえで合理的な方法といえるでしょう。
インカムアプローチの最も大きなメリットは、企業の将来性を買収価格に反映できる点です。企業同士の相乗効果(シナジー効果)や、事業規模の拡大によって得られる将来的な収益性を目的にM&Aを行うため、説得力のある買収価格を算定できます。
また、インカムアプローチは、設備投資や事業投資など、企業経営の重要な場面で幅広く活用可能です。しかし、インカムアプローチは、将来のキャッシュフローや収益性などを事業計画に依拠して算出するため、算出した結果は未来予想に過ぎず、主観的になります。
つまり、事業計画を策定した企業の希望的観測に偏ってしまうリスクがあるのです。
DCF法
DCF(Discounted Cash Flow)法とは、対象企業が将来生み出すと想定される利益(フリーキャッシュフロー)を専門的な算定方式により企業価値を数値化する方法です。M&Aの現場では、最も多用されています。具体的な算定方法のイメージは、以下のとおりです。
- 企業価値=(対象企業における将来のフリーキャッシュフロー÷加重平均資本コスト)を年度ごとに数年度分算出し、それを合計する
配当還元法
配当還元法は、株主に分配される配当金に着目して、対象企業の株式価値を算定する方法です。具体的には以下の計算をします。
- 評価額(1株分)=配当額(1株分)÷資本還元率
対象企業の配当政策に左右されるため、必ずしも適切な評価とならない可能性があります。また、対象企業が配当を行っていなければ計算が不可能です。したがって、M&Aの現場で用いられることはあまりありません。
②コストアプローチ
コストアプローチは、主に中小企業のM&Aで使用され、「ネットアセット・アプローチ」とも呼ばれています。コストアプローチとは、貸借対照表の純資産価値に着目した算定方法です。M&Aの実行可否を判断するために用いられることもあります。
特に、長い社歴を持つ中小企業のM&Aや、企業が廃業や清算する場面で用いられる手法で、社歴の浅いベンチャー企業や将来性を重視したM&Aには不向きな手法です。
コストアプローチは、算出が簡単に行える方法で、スピーディーに買収価格を評価できる点がメリットです。コストアプローチは、貸借対照表の記載事項を基に計算するだけで完了するため、余計な手間がかかりません。
ただし、貸借対照表の記載事項が正確であることが大前提であるため、それが不正確であれば結果が大きく狂ってしまいます。また、コストアプローチは、企業の事業継続を前提とする方法ではないため、企業の将来的な収益性が評価に加味されません。
コストアプローチを使用した場合、買取価格が低くなる傾向にあります。M&Aの売り手側は、買収価格が低いと大変不利になるため、注意が必要です。
簿価純資産法
簿価純資産法は、貸借対照表にある簿価のまま純資産額を計算し、買収価格の参照とします。
- 純資産額=資産額-負債額
簿価純資産法は、客観性には優れていますが、簿価では現在の価値を推し量れません。対象企業の将来価値は全く加味されないため、M&Aには不向きといえます。
時価純資産法
時価純資産法は、貸借対照表の資産額と負債額を時価に換算してから純資産額を算出します。
- 時価純資産額=時価資産額-時価負債額
簿価純資産法と比べて、企業が持つ資産の現在価値が反映されますが、将来価値を加味していない点は変わらないため、M&Aに不向きである点は同様です。
時価純資産法に数年分の利益を加える方法(年倍法・年買法)
時価純資産法に不足する将来価値を加味する方法として、年倍法または年買法があります。具体的には、対象企業の営業利益実績額を、時価純資産額に加算する方法です。
- 企業価値=時価純資産額+過去3年間における営業利益の平均額×3~5年
営業利益に掛け合わせる年数が変数となっているのは、対象企業の特徴や事業の特殊性・希少性などを勘案するためです。通常は、3年が用いられます。
③マーケットアプローチ
マーケットアプローチでは、市場取引の観点から買収価格を算定します。評価対象となる企業を、同業界や類似業種の上場企業と比較して価値を計算する方法です。これまでマーケットアプローチは、上場企業のM&Aで活用するケースが大半でした。しかし、最近は中小企業の活用例も増加しています。
マーケットアプローチは、類似する企業や事例をいかに見つけられるかが重要です。
マーケットアプローチでは、同業となる類似業種やM&A取引と比較して評価を実施します。偏った評価にならず、客観的で平等性を保った方法です。計算式に当てはめるだけで評価が完了する手軽さも、大きなメリットといえます。
一方で、マーケットアプローチは、あくまで市場との比較による算定のため、市場に振り回される可能性がある点がデメリットです。また、M&Aによるシナジー効果や経営改善効果などが加味されていない数字であるため、M&Aに使用する企業価値は、そのまま流用できません。
類似する上場企業やM&A取引が見つからなければ、計算そのものが行えないこともデメリットです。
市場株価法
市場株価法は、上場企業限定の算定方法です。いわゆる時価総額を計算し、それを株主価値として評価します。
- 株主価値(時価総額)=株式市場での株価×発行済み株式数
類似会社比較法(マルチプル法)
類似会社比較法とは、自社と同業種で事業規模が類似している上場企業を探し、その企業における財務指標を基に対象企業の価値を評価する方法です。選定には専門的な指標や各種数式を用いますが、計算の概要は以下になります。
- 企業価値=指標となる1株あたりの財務数値×指標に対する特定の計算式で導き出される倍率
類似取引法
類似取引法とは、過去に行われ公表されているM&A取引の中から、自社が行おうとしているM&A取引と類似するものを探し、それを参照して計算する方法です。しかし、日本では、M&Aの取引額が非公表であることも多く、上場企業しか情報開示していません。
したがって、類似するM&A取引を探すのは非常に困難であり、M&Aの現場ではほとんど用いられていないのが実態です。
M&Aでは、各社それぞれ経営状況が異なりますから、画一的な買収価格の基準となる相場はありません。その代わり、簡易的に対象企業の企業価値を算定する方法がありますので、ここではそれを紹介するとともに売却側がより高値で売却するポイントも説明します。
大まかな相場は時価純資産と営業利益で求める
前章における「M&Aの買収価格を導く3種類のアプローチ手法」内の「コストアプローチ」で紹介した「年倍法(年買法)」こそが、M&Aの現場で簡易的な企業価値評価方法として用いられている計算方法です。
- 企業価値=時価純資産額+過去3年間における営業利益の平均額×3~5年
年数が変数となっているのは、対象企業の特徴や事業の特殊性・希少性などを勘案するためです。通常は、3年が用いられます。ただし、これはあくまで簡易的な方法です。実際にM&A取引を行う場合は、本記事で紹介した専門的な算定方法が組み合わされ、買収価格の基となる企業価値評価が行われます。
M&Aの買収価格相場よりも高値で売却するコツ
ここでは、M&Aにおける売却側の観点で、買収価格(売却価格)をより高値とするコツを見ていきましょう。
- 自社に魅力を感じている相手に売却する
- ニーズの高い経営資源をそろえる
- 自社の強みを根拠を交えてアピールする
①自社に魅力を感じている相手に売却する
M&Aの買収価格は、最終的に売り手・買い手の交渉で決まります。したがって、買い手側の売り手側に対する需要が高いほど、買収価格を高値とする交渉が可能です。M&Aの売却先を選ぶ際は、相手の知名度などよりも、どれだけ売り手に魅力を感じているかの度合いで決めるとよいでしょう。
②ニーズの高い経営資源をそろえる
買い手が売り手に対し着目するのは、自社が持っていない経営資源の有無です。経営資源には、以下の有形資産と無形資産があります。これらの多くを所有していれば、それだけ買収価格を高くする交渉ができるでしょう。
- 現金
- 設備・施設・機械類
- 事業所・営業所数および所在エリア
- 在庫
- ノウハウ(生産・製造・技術・企画・販売・営業・宣伝などのノウハウ)
- 知的財産権(商標、意匠、特許権など)
- 顧客・取引先リスト
- 営業・販売ネットワーク
- 市場シェア
- ブランド力・知名度
- 人材が持つスキルや資格
- 許認可
③自社の強みを根拠を交えてアピールする
前項で示した各種経営資源のうち、売り手側が自負できるものについては、それをきちんと説明できる資料やエビデンスなどを取りそろえ、買い手にアピールしましょう。特に買い手が同業者ではない場合などは、売り手の強みを理解していない可能性もあるため、このアピールはとても重要です。
M&Aの買収価格決定におけるポイント
ここでは、買収価格決定における6つのポイントを解説します。
- プレミアムやディスカウントの加味
- シナジー効果は慎重に検討
- デューデリジェンスの徹底
- 買収価格の交渉方法
- 値下げ交渉のあり方
- 売り手側の買収価格
①プレミアムやディスカウントの加味
買収価格には、「プレミアム」や「ディスカウント」が加味されます。どの程度加味するかによって、買収価格は大きく変動するため、売り手側は非流動性ディスカウントによって、買収価格が減額されるリスクを考慮しなくてはいけません。
買い手側もプレミアムやディスカウントを想定内に収められるように、条件の合う売り手を選ぶ必要があります。
②シナジー効果は慎重に検討
プレミアムだけでなく、「シナジー効果」も買収価格に加えられるものです。シナジー効果は、のれん代として買収価格に加えられます。のれん代が大きすぎると、後々の財務状況に大きな損害を与える恐れがあるため、注意が必要です。のれん代は、現実的に獲得できる利益額を基に決定します。
のれん代の価値が下がることが明らかになった場合、のれんの減損処理を行うことになり、多額の損失計上が生じてしまうのです。
③デューデリジェンスの徹底
企業を買収する際には、その会社の財務状況や将来の価値を詳しく調べるデューデリジェンスのプロセスが重要です。このプロセスは、買収価格を決定する上で非常に重要な役割を果たします。買収対象の企業の価値やリスクをしっかりと確認することで、隠れた負債や問題点を事前に発見し、不適切な価格での取引を避けることができます。
そのため、買収を成功させるためには、可能な限り予算の範囲内でこの調査に力を入れることが推奨されます。
④買収価格の交渉方法
買収価格の交渉方法は、「個別交渉」と「オークション方式」の2種類があります。
個別交渉形式
個別交渉は売り手と買い手が1対1で交渉し、オークション方式は、売り手に対して多数の買い手が買収価格を提示する方式です。
特に中小企業のM&Aでよく使われます。オークション方式のように多くの買い手がいる必要はなく、たった一社の買い手がいれば進めることが可能です。
ただ、売る側の会社がM&Aについてあまり詳しくない場合、詳しい買い手の会社との交渉は不利になることがあります。そういう時は、M&Aの専門家であるアドバイザーに相談すると良いでしょう。専門家は交渉を有利に進める助けをしてくれます。
オークション形式
オークション方式では、原則として最も高い買収価格を提示した買い手と交渉が開始されます。
基本的にはオークション方式のほうが買収価格が高くなるため、安く買収したい場合は、極力個別交渉を選ぶとよいでしょう。ただし、オークション方式でも、独占交渉権を設定すれば売り手側と独占的に交渉できます。
逆に売り手側は1円でも高く売りたいと考えるため、極力オークション方式を行いたいと考えることでしょう。しかし、オークション方式は人気企業が取れる手法です。現実的には、個別交渉によって買収価格が決定されるケースがほとんどとなっています。
⑤値下げ交渉のあり方
買収金額を下げるための交渉は可能ですが、それほどメリットがないため、できるだけ避けるのが賢明です。理由としては、相手企業に対してその価値を軽んじている印象を与えてしまい、取引が破談になるリスクが高まるからです。相手が他の買い手を探し始める可能性もあります。
たとえ交渉が成功し、安く買収できたとしても、その後の事業の引き継ぎや移籍した従業員のやる気に悪影響を及ぼす恐れがあります。長期的な視点で考えると、無理に価格を下げようとする交渉は、結果的に良い方向には進まないことが多いため、控えた方が良いでしょう。
⑥売り手側の買収価格
売り手側にとっても、買収価格は重要です。売り手側は、できるだけ高値で売却できるよう対策する必要があります。具体的に実行できるのは、「会社の磨き上げ」と「シナジーが期待できる企業探し」の2つです。
会社の磨き上げとは、企業価値を高める対策をさします。具体的には、ブランド力や従業員のスキルアップが有効です。無駄な在庫の削減も、会社の磨き上げとして効果的でしょう。会社の磨き上げによって、高い価格で買収してもらえる可能性が高まります。
会社を売却する相手探しも重要です。買い手企業は、自社事業とのシナジー効果を期待して買収します。つまり、シナジー効果が想定できる企業に対して、会社売却を提案することが重要です。場合によっては、想定よりも高い価格で買収される可能性もあります。
シナジー効果が想定できる相手先を探すためには、専門家に依頼するのがおすすめです。
M&A総合研究所では、M&Aの専門的な知識や経験の豊富なM&Aアドバイザーが、培ったノウハウを生かして案件をフルサポートいたします。料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります。)
無料相談をお受けしておりますので、M&Aをご検討の際は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
M&Aの手数料価格はいくら?
M&Aを実施する際は、M&A仲介会社に依頼をして相談しながら進めると、安心してM&Aが行えます。M&Aの仲介会社を利用する場合は、さまざまな手数料の支払いが必要です。この章では、相談料の相場、着手金の相場、成功報酬の相場について見ていきましょう。
相談料の相場
M&A案件の交渉を進める前に、M&A仲介会社へ事前に相談できます。事前相談では、どういった企業買収を検討しているのか、どの事業を売却したいのか、などの相談をします。
これにより、そのM&A仲介会社におけるM&Aの実績、信頼度、安心して自社の企業買収案件を任せられるか、などを判断できるのです。M&A仲介会社によって違いはありますが、基本的には相談料は無料のところが多いといえます。
着手金の相場
M&Aの仲介業務を依頼した段階で発生する手数料が、着手金です。M&Aを進めるときは、初期の段階で人件費や資料作成費などの費用がかかります。M&Aの交渉開始前から、着手金として手数料を回収するM&A仲介会社は少なくありません。
着手金の相場は、100万円~500万円です。一度支払うと、M&A取引に失敗しても戻りません。ただし、最近は、着手金がかからないM&A仲介会社もあります。
成功報酬の相場
M&Aが成立し最終契約を結んだときに生じるのが成功報酬です。一般的に「M&Aの取引金額×一定料率」で計算し、よくレーマン方式を用います。成立金額が高いほど、支払い額は増えます。
相場は下記です。
- M&Aの成立金額5億円→成功報酬の相場2,500万円
- M&Aの成立金額10億円→成功報酬の相場4,500万円
- M&Aの成立金額50億円→成功報酬の相場1億6,500万円
- M&Aの成立金額100億円→成功報酬の相場2億6,500万円
M&Aの買収価格算定を把握するための参考事例
最後に、M&Aの買収価格算定を把握するための参考事例として、5つのケースをご紹介します。
Zホールディングス×ZOZO
2019年9月、Zホールディングスは、ZOZOに対して、現金を対価とする株式取得の公開買い付けを行いました。
Zホールディングスは、一株あたり2,620円で約152万株を買い取り、総額で約4,000億円を支払いました。取引に先立って、売却会社のファイナンシャルアドバイザーであるみずほ証券が株式の価値を評価しました。その評価では、一株あたりの価値を3つの方法で算出しました。
- 市場株価法:1,993円~2,166円
- 類似企業比較法:2,392円~3,037円
- DCF法(割引現金流量法):2,337円~3,077円
Zホールディングスはこれらの評価を基に、買い付け金額を一株あたり2,620円と決定しました。この金額は、みずほ証券の評価範囲内に収まっています。
NTT×NTTドコモ
2020年9月、NTT(日本電信電話)は、NTTドコモの株式を公開買い付けで現金で買うことを決定しました。買い付けの金額は、1株あたり3,900円で、合計で約8億株を購入しました。さらに、約2億株の売渡請求を行い、合計で約11億株を取得しました。これらの取得にかかった総額は約4兆3,000億円でした。
買い手であるNTTが三菱UFJモルガンスタンレー証券に依頼して作成された株式価値算定書によると、1株あたりの価値は、市場株価分析法で2,775円~3,018円、類似企業比較法で2,322円~3,406円、DCF法で3,204円~4,225円と評価されました。
一方、売り手であるNTTドコモが野村証券に依頼して作成された株式価値算定書によれば、1株あたりの価値は、市場株価分析法で2,723円~3,018円、類似企業比較法で2,132円~2,886円、DCF法で2,929円~5,016円と評価されました。
NTTはこれらの評価を基に、買い付け金額を1株あたり3,900円と決めました。この金額は、株式価値の評価範囲内にあります。
伊藤忠商事×デサント
2019年1月、伊藤忠商事は、アパレルメーカーのデサントの株式を公開買い付けで現金で買うことを決定しました。買い付けの金額は、1株あたり2,800円で、合計で約700万株を購入しました。これらの取得にかかった総額は約2,000億円でした。
取得の際、伊藤忠商事は、GCA社というファイナンシャルアドバイザーから提出された株式価値算定書を参考にしました。この報告書によると、1株あたりの価値は、市場株価平均法で1,862円~2,142円、類似会社比較法で2,108円~2,277円、DCF法で2,506円~3,399円と評価されました。
これらの評価を基に、伊藤忠商事は買い付け金額を1株あたり2,800円と決めました。この金額は、株式価値の評価範囲内にあります。
ニトリHD×島忠
2021年1月、家具やインテリアの大手企業、ニトリホールディングスが、買収の手続きを経て、島忠を完全子会社化しました。この取引で、ニトリは島忠の株式約3,000万株を手に入れ、その費用は1,650億円に上りました。
ニトリがこの買収を決めた理由は、ホームセンターで扱う商品と家の装飾品をうまく組み合わせて売り上げを伸ばし、さらには自社ブランド商品の開発技術を共有することで利益を上げやすくすること、そして物流の効率を良くしてコストを減らし、資産をより有効に活用するためです。
大正製薬HD×DHG社
2019年5月、大正製薬ホールディングスは、ベトナムにあるDHG社を約160億円で買収し、自社の子会社にしました。以前から大正製薬はDHG社と提携し、お互いの強みを生かした協力関係を築いてきました。
この子会社化を通じて、大正製薬とDHG社は、さらに密接に協力し合い、アジア市場での医薬品事業をより大きく広げることを目指しています。
M&Aの買収価格まとめ
M&Aの買収価格は、最終的に売り手と買い手の交渉によって決定します。交渉には、基準となるスタンドアローンバリューを算定する必要があります。スタンドアローンバリューの算定方法には3種類の手法があり、その中から状況に合わせて最適な方法を選ぶことが重要です。
買収価格を考慮する際は、いくつかのポイントがあります。しっかりと重要なポイントを押さえて理想の買収価格を実現しましょう。
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【2024年最新】webメディア売却の事例25選!動向や相場も解説
webメディアの売却・買収は、売買専門サイトの増加などの背景もあり年々活発化してきています。本記事では、webメディア売却の最新事例を25選紹介するとともに、売却・買収動向やメリット・デメリット...
株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。