2021年5月31日更新会社・事業を売る

M&AのTSA (Transition Service Agreement)とは?契約の内容を紹介

M&Aの件数は年々増加中であり、各企業ともM&Aに関する適切な知識装備が求められます。TSAはM&Aの最終段階における重要な契約で、M&Aを検討する上で知っておくべきものです。本記事では、TSAの契約内容や契約の意義などについて紹介します。

目次
  1. M&AのTSA (Transition Service Agreement)とは?
  2. M&Aで使われるTSAの契約内容
  3. TSAに関連するM&Aの契約
  4. まとめ
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M&AのTSA (Transition Service Agreement)とは?

M&AのTSA (Transition Service Agreement)とは?

M&Aの一般的な流れとしては、大きく分けて「交渉前フェーズ」「交渉フェーズ」「交渉後(クロージング)フェーズ」の3つがあります。

交渉前フェーズは、企業がM&A仲介会社にM&Aに関する相談をしたり、ノンネームでM&A相手先の候補を探す時期、交渉フェーズはネームクリア後のトップ面談やM&A取引価格の交渉、デューデリジェンスなどを行う時期です。

そして交渉後(クロージング)フェーズは、当該M&Aの条件決定、最終合意のもと各種引き継ぎを行う時期です。

その中でTSAは、交渉後フェーズにおいてとても重要な役割を果たします。TSAがどのようなものなのか、理解を深めましょう。

TSA(Transition Service Agreement)とは?

M&A対象事業・企業の移行期間中におけるサービス提供に関する契約がTSAです。

TSAは、株式譲渡契約書や事業譲渡契約書など、M&A最終段階の各種契約と総称して売買契約書(DA)と呼ばれることもあります。

TSAの意味は

事業譲渡や会社分割といったM&Aスキームを採用する場合、M&Aのクロージング(対価支払い等)までに、全ての業務内容を移行を完了できないケースは多々あります。

それらのリスクを事前に把握するために、買い手企業はデューデリジェンスなどを通じて、M&Aの障壁になるような事由や移行難易度の高いものについて洗い出しを行い、M&Aのスムーズな実現を図ります。

そしてそれらの事由をTSAの対象に盛り込むことで、M&A実施後の移行期間中のトラブルなどを未然に防ぐことを目指します。

近年では、PMI(=合併後の統合、事業統合)がM&Aの中で最も重要なプロセスと言われていますが、M&A実施後を見据えた契約であるTSAは、PMIをしっかりと行なっていく上で大変重要な要素になります。

事業譲渡や会社分割といったカーブアウトを伴うM&Aスキームの場合は、TSAが活用される場合がほとんどです。

さらに、M&Aの対象事業・企業の一部機能が、なんらかの形で親会社等の業務システムに依存している場合は、業務引き継ぎに難航する懸念が高く、より一層TSAに注力をする必要があると考えられています。

TSAはM&Aのどんな場面で使われる?

TSAは、M&Aの一連の流れの中の交渉後(クロージング)段階で使われます。

買い手企業が行うデューデリジェンスでは、M&Aの対象事業・企業にどれくらいの価値があるのか、またM&Aを取り組む上でのリスクはどのようなものがあるのかなど、総合的に調査を行います。

デューデリジェンスにおいて洗い出した移行難易度が高いと思われる事由を中心にTSAの対象とすることで、M&A実施後のサービス管理方法を明らかにし、各種移行を円滑に行うことを目指します。

TSAに限らず、M&Aを進めるためにはさまざまな専門知識が必要になります。M&Aをご検討の場合はぜひM&A総合研究所へご相談ください。

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M&Aで使われるTSAの契約内容

M&Aで使われるTSAの契約内容

前章では、M&AにおけるTSAとはどのような契約なのか、またM&Aのどんな場面で使われるのかを確認しました。この章では、TSAで盛り込まれる契約内容についてみていきます。

下記であげる3つの例は、いずれもM&Aの対象事業・企業が、もともと大手企業グループ傘下に属していてた場合の事例です。

人事・財務・総務等

人事・財務・総務などの間接業務を、中核企業に依存したシェアードサービスなどで運用している企業は多く存在します。これらの業務の引き継ぎは、対象資産等の単純な所有者移転、名義変更などとは同じスピードで行えない場合が多いです。

そのため、M&A後も買い手が、売り手側のシェアードサービスを利用できるかどうかなどをルールメイクする必要があり、その際にTSAが活用されます。

つまり、M&A実施後も一定の移行猶予期間を設定し、引き続き本社の機能・サービス等を利用できるよう契約を締結する(どのようにサービスを管理するかを取り決める)ことで、様々な形で移行期間中への手当てを施します。

一般的には親会社等に依存をしやすい、人事や財務・総務といった間接業務がTSAの契約内容の代表例にあたります。

サプライチェーンマネジメント

グループ全体で仕入れを行なったり、仕入れ・調達・物流専用の会社を傘下に設置するなど、スケールメリットを活かしてコストを削減している企業は少なくありません。

M&Aの対象事業・企業が仕入れや物流をグループ企業に依存している場合は、M&A実施後にサプライチェーンをどのように管理するのか、適切に定めておく必要があります。

例えば、M&A実施後の一定期間は、引き続き売り手企業側の仕入れ・物流機能を買い手側が利用するなどが挙げられます。仕入れ・調達・物流といったサプライチェーンマネジメント領域についても、TSAの対象になりうる領域です。

研究開発、優良顧客情報

基礎研究部門や研究開発部門が本社や別会社に集約されている場合は、それらの事由もTSAに盛り込まれる可能性は高いです。

さらに、グループ全体で優良顧客の情報を一元管理しているケースについても、買い手企業がどこまでその情報に触れることができるのか定めることが肝要であり、TSAの契約内容となる場合があります。

【関連】M&A後に人事制度統合を成功するには?進める上でのポイントを解説

TSAに関連するM&Aの契約

TSAに関連するM&Aの契約

TSAはM&Aの交渉後フェーズの一プロセスで、また他の各種契約と総称して売買契約書(DA)と呼ばれることがあると上記で述べました。TSAと同じカテゴライズをされる各種契約についても確認しましょう。

最終契約

M&Aの一連の流れで大きな意味をもつ契約書として、交渉フェーズにおいてM&A大筋合意の意味で締結される「基本合意契約書」と、デューデリジェンスを踏まえて詳細条件を決定した際に結ばれる「最終譲渡契約書」の2種類あり、ここでいう最終契約は最終譲渡契約書を指します。

M&Aスキームによって契約名称は異なり、株式譲渡であれば株式譲渡契約、事業譲渡であれば事業譲渡契約と呼ばれる契約書を交わします。

最終契約では、M&A取引の対象企業・事業の特定、譲渡価格、デューデリジェンス結果への対応、クロージング後の各種取り決めなどが、主な構成要素です。

業務受委託契約

業務委託契約とは、一般的に、自社対応できない業務等を、自社以外の企業や個人などの外部ソースに委託する契約です。業務受託契約はその逆で、他社で対応できない業務等を自社で受託する契約です。

M&Aの交渉後段階における業務受委託契約は、TSAに盛り込まれている対象業務を受委託する契約です。

上述した例でいえば、M&A売り手側の親会社のシェアードサービスを、M&A実行後も引き続き買い手企業が利用するために、人事・総務といった業務に関して業務受委託契約を交わします。

つまり、M&AにおいてTSAと業務受委託契約は不可分の関係にあります。TSAにてどのようにサービスを管理するか取り決め、具体的に業務受委託契約にて取引契約を交わすといったイメージです。

【関連】M&Aの最終契約書(DA)とは?基本合意との違いや目的、項目を解説

まとめ

まとめ

M&Aの交渉後段階において非常に重要なプロセスである、TSAについて解説をしました。

M&A市場が活況を呈している一方で、国内では統合後の管理ができておらず、計画通りの効果がでていないケースが多かっっため、M&A実施後のPMI(事業統合)が最も注力すべきフェーズと言われるようになりました。

TSAはPMIの土台となる要素であり、TSAへの理解を深めることがM&Aの成功を導くものと考えられます。

【TSA(Transition Service Agreement)とは?】

  • M&Aの対象事業・企業を移行する期間中のサービス提供に係る契約。

【M&Aで使われるTSAの契約内容】
  • 人事・財務・総務等
  • サプライチェーンマネジメント
  • 研究開発、優良顧客

【TSAに関連するM&Aの契約】
  • 最終契約
  • 業務受委託契約

日本国内の内需縮小やグローバル化の進展に伴い、企業規模や業種を問わずM&Aの件数は増加傾向にあります。

今後の事業計画を検討する上で、M&A戦略の立案は多くの企業で必要になってくるものと考えられますし、そのための事前準備や情報収集はしておいて然るべきものです。TSAを含めたM&Aへの知見を増やしていきましょう。

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