2020年1月19日更新会社・事業を売る

クロスボーダーM&Aを成功させるには

国内市場の縮小や経営のグローバル化により競争がますます激化する環境下、クロスボーダーM&Aは、効率的かつスピーディーな海外進出を可能にする有効な手段です。しかし、実行には課題も多くあります。クロスボーダーM&Aを成功させるためには、その特徴を正確に把握し、十分な準備をすることが必要です。

目次
  1. 多極化するM&A戦略~クロスボーダーM&A~
  2. クロスボーダーM&Aとは
  3. クロスボーダーM&Aの目的
  4. クロスボーダーM&Aのバリュエーション
  5. クロスボーダーM&Aの特徴
  6. クロスボーダーM&Aの手法
  7. クロスボーダーM&Aの流れ
  8. まとめ
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多極化するM&A戦略~クロスボーダーM&A~

中小企業の事業承継を始め、スタートアップ、ベンチャー企業におけるM&Aが活発化してきています。M&Aを活用することによって、経営戦略をスピーディーに遂行することが可能となります。これが、M&Aが経営的な意思決定の観点から見ても非常に有効な手段といわれるゆえんです。

また、国内マーケットの縮小に連動するように、海外企業とのM&Aも活発化してきています。この海外企業とのM&Aをクロスボーダーと呼び、クロスボーダー型のM&Aは近年注目度が上がってきました。ただし、クロスボーダーM&Aには、国内企業同士のM&Aとは異なる点も多々あります。

従って、クロスボーダーM&Aを成功させるためには専用の対策が必須です。そこで今回は、クロスボーダーM&Aの特徴について詳しく解説します。海外進出を考えている経営者の方には必見の情報です。

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クロスボーダーM&Aとは

まずはじめに、クロスボーダーM&Aについての基本的な部分を説明します。クロスボーダーM&Aとは、売り手・買い手のどちらかが海外企業であるM&Aを指します。呼ばれる名称は、下記になります。

【国内企業が買い手となる場合】
  • In-out型M&A
【海外企業が買い手となる場合】
  • Out-in型M&A
いずれにしても、法律や文化、慣習が異なる相手との交渉ですから、その違いをよく理解したうえで、クロスボーダーM&Aを実施する必要があります。

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クロスボーダーM&Aの目的

クロスボーダーM&Aを実施する目的は、主に2つ考えられます。

①日本企業のグローバル化

少子高齢化という人口構成による国内市場の縮小に伴い、海外市場に活路を求める日本企業が増加しています。その有効な手段としてクロスボーダーM&Aを活用することで、海外進出や海外マーケットの開拓をスピーディーに遂行できます。

特に近年は、大手企業が海外企業と大規模なM&Aを実施する例が増えており、クロスボーダーM&Aの典型例です。その中でも、日本たばこ産業とイギリスのたばこメーカー(ガラハー)とのM&Aは大規模で注目されました。

日本たばこ産業とイギリスのたばこメーカーのM&Aによる買収価格は、なんと約2兆2,500億円です。この買収は、売上増加や規模の拡大を目的に実施されました。

②海外投資ファンドによる買収

海外の投資ファンドによる日本企業の買収件数も増加しています。バブル崩壊後、日本国内では経営難に陥った企業が増えました。これに海外ファンドが目を付け、日本企業とM&Aを実施する事例が一気に増えたのです。

海外ファンドの目論見としては、経営難の企業を買収し、そして経営を回復させ企業価値を向上させた後に、所有する株式売却によって大きな利益獲得するという図式になります。

③クロスボーダーM&Aの件数

クロスボーダーM&Aの成立件数についても言及しておきます。

In-out型のクロスボーダーM&Aは、1980年代末のバブル期に爆発的に増加し、その後も安定的に件数を増やしています。国内市場の拡大が見込まれない以上、In-out型のクロスボーダーM&A件数は今後もさらに増加していくでしょう。

一方で、Out-in型のクロスボーダーM&Aの成立件数は、直近ではわずかに減少傾向です。ところが、Out-in型クロスボーダーM&Aの成約金額総額は、急激に増加しています。具体的には、2015年から2016年にわたって約2.5倍に増加しました。

今後、経営不振に陥いる日本企業が増加すれば、Out-in型クロスボーダーM&Aの件数は再び増加に転じると予想されます。

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クロスボーダーM&Aのバリュエーション

クロスボーダーM&Aにおいては、バリュエーションもまた独特な点を有しています。以下、具体的に見ていきましょう。

①バリュエーションの特徴

クロスボーダーM&Aでは、国内企業同士のM&Aと比べ、バリュエーションはより複雑で、多くの時間とコストを要します。特に発展途上国や新興国が対象だった場合、全く利益が出ていないケースも多いでしょう。そのため、市場取引を基準にする「マーケットアプローチ」の手法を用いることが一般的です。

ただし日本の市場と比較して、不確実性が高くなってしまいます。例えば、国によっては20〜30年分の利益がバリュエーションの相場となっている場合もあります。言い換えると新興国市場は、それほど成長性に対する期待値が高いと言えます。

しかし一方で、国内企業同士のM&Aと比較したとき、成長しなかった場合のリスクは圧倒的に高いのです。従って、市場の相場に合わせてのM&Aのバリュエーションはとても危険なものです。厳密に収益性を評価したうえで、妥当なバリュエーションを実施しましょう。

②リスクを考慮したバリュエーション

クロスボーダーM&Aでは、リスクを考慮したうえでバリュエーションを実行する必要があります。具体的には、下記の3つのリスクを考慮に入れなければなりません。

  • カントリーリスク
  • 訴訟リスク
  • 環境リスク

そこで、以下に順を追って、この3つのリスクについて説明します。

カントリーリスク

カントリーリスクとは、相手国の情勢によって収益性が変動するリスクです。日本とは違い、政治情勢、経済が不安定な国は数多くあります。それに加えて、風土によっては異常気象で収益性が悪化する恐れも秘めています。どれだけ利益を得られても、上述したようなリスクが生じた結果、急激に収益性が悪化する可能性があるのです。

また、国によっては政治の影響で会社の財産、収益が突然没収されるリスクもあります。これでは、今までの努力が水の泡です。クロスボーダーM&Aでは、国の情勢などをよく考慮に入れて、バリュエーションを実施する必要があります。

訴訟リスク

日本と比較して、訴訟沙汰が起こりやすい国というのも多数存在します。その最も顕著な例として知られているのは、アメリカでしょう。そして、そのような国に限って、損害賠償金額も莫大な数字となる傾向があります。

クロスボーダーM&Aでは、訴訟の発生リスクもバリュエーションに反映しておかなければいけません。従って、M&Aの契約時に保険に加入するなど、対策と準備が必要です。

環境リスク

環境リスクとは、環境汚染の発生によるリスクを指します。一例としては、環境保護に厳しい国の場合、土壌汚染などにより数億円以上の罰金が発生するケースもあります。

そうした国にある企業とのM&Aでは、環境リスクを加味したバリュエーションが重要です。クロスボーダーM&Aでは、環境デューデリジェンスも実施し、環境リスクを正確に把握しなければなりません。M&A専門家の力を借りたうえでバリュエーションを実行することで、環境リスクを正確に把握することができます。

M&A仲介会社であるM&A総合研究所は、専門的な知識や経験が豊富なアドバイザーが在籍しており、培ったノウハウを活かしM&Aのフルサポートをお約束いたします。さらに、M&A総合研究所はスピーディーなサポートを実践しており、平均3ヶ月という期間で成約を実現します。

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クロスボーダーM&Aの特徴

クロスボーダーM&Aには、国内企業同士のM&Aとは異なる特徴があります。クロスボーダーM&Aを実施する際には、そのクロスボーダーM&A固有の特徴についてしっかり把握しておかなくてはいけません。

  1. ブレークアップフィー条項
  2. デューデリジェンス
  3. 知的財産の取り扱い
  4. M&Aの対価
  5. 人材

ここでは、特に留意しておくべき5つの事項について解説します。

①ブレークアップフィー条項

ブレークアップフィーとは、M&Aの取引が白紙になったときに、買い手側から売り手側に支払われる違約金を指します。クロスボーダーM&Aでは、より有利な条件の相手が現れた場合、そちらの相手との交渉に取り掛かるケースが往々にしてあります。

そのため、ブレークアップフィーをあらかじめ定めておくことが重要です。ブレークアップフィーは、売却価格の1〜5%程度の価格となります。

②デューデリジェンス

クロスボーダーM&Aでは、特にデューデリジェンスの重要性が増します。前述したリスクを把握するうえで、デューデリジェンスの実行は不可欠です。また通常のM&Aと比べ、デューデリジェンスの実行に多額の費用がかかる点にも注意です。

交渉の実施に通訳を雇ったり、その国への出張費もかかります。クロスボーダーM&Aでは、国内M&Aと比較して約1.5〜2倍もの費用がかかります。

③知的財産の取り扱い

特許や商標等の知的財産の取り扱いが、日本とは異なる国も存在します。例えば、日本では先に出願した人が特許権を保有できますが、アメリカでは先に発明した人に発生します。また、特許の出願や登録の手続きに関して、日本の方式とは異なる国も少なくありません。

相手国の知的財産についての取り扱い方を知らないと、M&A実行後、大きな損失を被るリスクがあります。知的財産は企業にとって大きな武器ですから、M&Aの際には、あらかじめ念入りに調査するようにしましょう。

④M&Aの対価

日本のM&Aでは、クロージングと同時に対価が支払われます。しかしクロスボーダーM&Aでは、一定期間、対価の支払いを留保するケースがほとんどです。その理由は、仮に表明保証違反があっても、支払った対価を取り戻すのは困難だからです。

そのため、大半のクロスボーダーM&Aでは、エスクロー・エージェントと呼ばれる代理人を活用します。具体的には、買い手側はエスクロー・エージェントに対価を預けます。その後、半年から1年経過し問題が生じなかった時点で、エージェントから売り手側に対価を支払う仕組みです。

日本のM&Aではあまり見受けられない形なので、注意しておきましょう。

⑤人材

クロスボーダーM&Aで重要な問題となるのが「人材」です。In-out型M&Aの場合、従業員の反対により、M&Aが円滑に進まないケースもあります。また、海外企業が日本の従業員をリストラする際、厳しい条件を満たさないと実行できません。

日本では、従業員の雇用が最優先だからです。それを理由に、クロスボーダーM&Aの交渉が白紙になる恐れもあります。

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クロスボーダーM&Aの手法

クロスボーダーM&Aでは、日本企業同士のM&Aではあまり用いられない手法が使われる場合があります。ここでは、クロスボーダーM&Aに特有の2つの手法について取り上げます。

①三角合併

三角合併とは、存続会社が消滅会社に現金や自身の株式を渡す代わりに、親会社の株式を交付する形で行う合併です。つまり、子会社に合併を実行させ、相手企業を子会社化する方法です。ひと昔前までは、海外企業が日本企業と合併するのは、法律上困難でした。

しかし、2007年に三角合併が解禁された結果、Out-in型クロスボーダーM&Aが以前よりも容易になりました。Out-in型クロスボーダーM&Aでの三角合併は、大体、以下の手順で行われます。

  • 外国企業が日本に子会社を設立
  • 子会社が親会社(外国企業)の株式を取得
  • 親会社株式を買収対象の会社に対価として交付する

ただし、三角合併によるクロスボーダーM&Aは、株主の同意が大前提となります。M&Aの対価が外国企業の株式でも良いと認められなければ、三角合併は成立しません。

②LBO

LBO(Leveraged Buyout)とは、相手企業の保有する資産や将来的な収益力を担保にして、M&Aを実施する手法です。相手企業の資産を担保に供することによって、買収に必要な資金を調達するわけです。

従って、保有する資金が少ない場合でも、クロスボーダーM&A実行が可能となります。ただし、M&A後に業績が悪化した場合、借入金を返済できなくなるリスクもあります。そのことを考慮すると、融資を行う側にとっては高リスクなM&A手法です。

それゆえに、融資返済の金利は高くなる傾向があります。また、債務不履行を回避する手段として、大規模なリストラや資産の売却が実行されるケースもあります。

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クロスボーダーM&Aの流れ

最後に、クロスボーダーM&Aのプロセスを解説します。今回は、特に難易度の高いIn-out型M&Aを例として説明していきます。

①クロスボーダーM&Aの検討

クロスボーダーM&Aを成功させるためには、現地の信頼できる専門家の協力が不可欠です。よって、海外に幅広いネットワークを持ち、クロスボーダーの経験が豊富なアドバイザーの起用が必須です。また、自社内でもM&Aのプロジェクトチームを作ることをおすすめします。

クロスボーダーM&Aの実施には、迅速な意思決定が必要です。そのためには、プロジェクトチームが自己完結的にプロセスを進められるようにすることが理想的です。M&Aに精通し、業界や自社の事業に詳しい人材でチームを構成するようにしましょう。

なお現地では、相手企業の関係者へのインタビューも必要となります。お互いのM&Aに対する認識の相違を生じさせないために、極力、顔を合わせて交渉することがベストです。また、買い手側であれば、M&A仲介サイトを活用して売却案件を探すこともおすすめです。

例えば、M&A総合研究所であれば、買収ニーズを登録することで売却案件のマッチングを受けられるようになります。M&A総合研究所のように1日で1万人ユーザーが来訪するようなサイトであれば、効率的に案件を見つけることができます。

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②クロスボーダーM&Aの契約

当事者同士がM&A条件に同意し、契約を締結します。相手企業の属する国の法律に則って、英文でM&Aの契約書を作成します。この際、特に注意すべきポイントが2点あります。

TOBに関する取り扱い

TOBとは、株式市場を介さずに、相手企業の株主から直接株式を買い取るM&A手法です。クロスボーダーM&Aでは、TOBにより相手企業を買収するケースがあります。ここで注意すべきは、TOBに対する考え方が日本と欧米では大きく異なる点です。

さらに、アメリカと欧州でも全く異なります。よって、TOBによってクロスボーダーM&Aを行う際は、相手国の法律をよく確認する必要があります。

EU諸国とのM&A

EU諸国と日本の間では、M&Aに関係する法律が大きく異なります。そのうえ厄介なことに、EUの取り決めと各国の法律でも異なる点が存在します。よって、EU諸国とM&Aを実行する際は、EUと各国の法律それぞれに注意を払う必要があります。

専門知識と経験豊富なM&A専門家を利用することで、相手国における迅速で有効なM&Aを行うことができます。とはいえ、迅速かつ安価な手数料でEU諸国とのM&Aを成功させたいとお考えでしたら、最適なのはM&A総合研究所へのご相談です。

M&A総合研究所には、専門的な知識や経験が豊富なアドバイザーが在籍しており、培ったノウハウを活かしM&Aをサポートいたします。 一般的なM&A取引は、交渉から成立までに半年から1年程度かかりますが、M&A総合研究所では早いクロージングを目指しています。

そのため、平均3ヶ月程度でのクロージングを実現可能です。また完全成功報酬制となっているため、成約しない限り手数料は発生いたしません。 発生する手数料についても、国内最安値水準を誇っています。相談料は無料ですので、まずは気軽にご相談ください。

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③クロスボーダーM&A実行後

M&Aのゴールは買収契約がクローズとなることではありません。M&A効果によって、見込んだ収益の拡大が実現できることが真のゴールです。ところが、M&A後の統合過程がうまくいかずに、M&Aが失敗に終わる事例は数多く存在します。

互いに違う環境に置かれていた企業が1つになるM&Aでは、統合する過程で課題が多く非常に難しいものです。特にクロスボーダーM&Aでは、企業間だけでなく、国としての文化や価値観の違いも加わってきます。

一方的に買収会社側の価値観やシステムを押し付けても、現地企業からの反発を招くのが関の山です。そのような事態を招かないためにも、有効な経営統合(PMI)計画の策定が求められます。クロスボーダーM&Aの成立が一定の確度で見込まれる状況になったら、その段階からいち早くPMI計画の立案に取り掛かるべきです。

人材の配置、評価システム、予算管理など、検討すべき事柄は山ほどあります。

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まとめ

今回は、クロスボーダーM&Aについて解説しました。近年、海外進出を視野に入れたクロスボーダーM&Aの件数が増加しています。多くの企業が生き残りを賭け、クロスボーダーM&Aに望みを託している姿勢の具現化といっていいでしょう。

しかし、日本企業同士のM&Aと比べると、クロスボーダーM&Aはさまざまな面で課題が多いのも事実です。クロスボーダーM&Aを成功させるためには、日本国内との相違点や特殊性についてしっかり把握しておく必要があります。

記事の要点をまとめると、以下のとおりです。

【クロスボーダーM&Aとは】
  • 売り手・買い手のどちらかが海外企業であるM&A
【クロスボーダーM&Aの目的】
  • 日本企業の海外進出、海外投資ファンドによる買収
【クロスボーダーM&Aの件数】
  • In-out型のM&Aは増加傾向、Out-in型M&Aはわずかに減少傾向
【クロスボーダーM&Aのバリュエーション】
  • 厳密に収益性を評価する、生じうるさまざまなリスクを考慮する
【クロスボーダーM&Aの特徴】
  • ブレークアップフィー条項、デューデリジェンス、知的財産の取り扱い、M&Aの対価、人材などの面で日本とは異なる
【クロスボーダーM&Aの手法】
  • 三角合併、LBO
【クロスボーダーM&Aの流れ】
  1. M&Aの検討
  2. M&Aの契約締結
  3. M&A後の統合

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