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コダックの事業売却(M&A)とは?株式譲渡との違いや事例をご紹介

コダックの事業売却(M&A)とは?株式譲渡との違いや事例をご紹介

コダックの事業売却(M&A)とは

事業売却(事業譲渡)はM&Aの手法の一つで、事業の全部または一部を売却することをいいます。近年、様々な業界でM&Aが活発化していますが、この事業売却の事例もしばしば見られます。また、海外のM&Aでも事業の売却が行われるケースは多く、アメリカのイーストマン・コダック社も事業売却を複数回行っています。

さて、この記事ではイーストマン・コダック社の事業売却についてご紹介していきますが、まずはM&Aの意味や事業売却の仕組みなどについて、詳しく整理しておきます。

M&Aの種類

M&Aは、Mergers and Acquisitions(合併と買収)の略称となります。これは、2つ以上の会社が1つの会社になる合併(Mergers)と、ある会社が他の会社を買い取る買収(Acquisitions)を表します。一方で、合併と買収だけでなく、会社分割や資本業務提携などもM&Aに含まれます。

また、買収には株式取得(株式譲渡・新株引受・株式交換・株式移転)と事業譲渡(全部譲渡・一部譲渡)があり、それぞれの手法で特徴があります。M&Aでは株式譲渡が多い傾向がありますが、近年はM&A事例もさらに多様化しており、事業譲渡(事業売却)などの他の手法の活用も目立ちます。また、買収の手法をおさえるには、事業売却(事業譲渡)と株式譲渡の違いをおさえておくことが特に重要です。

以下、それぞれの特徴や違いを整理しておきます。
 

事業売却(事業譲渡)の意味

事業譲渡は、事業売却とも呼ばれます。事業売却(事業譲渡)というのは、会社の事業の全部または一部を他の会社に売却(譲渡)することを意味します。事業の全てを売却する場合のほか、事業の一部を売却することも可能です。

また、経営権が移転するのはもちろん売却した事業のみとなります。売却しなかった事業の経営権は移転しないので、譲渡会社が引き続き経営を維持することができます。

株式譲渡の意味

次に、株式譲渡についてです。事業売却の仕組みを把握するうえでも、株式譲渡との違いはしっかりとおさえておく必要があります。

株式譲渡とは、株主が保有する株式を第三者に譲渡することです。株式が移転する形になりますが、これは会社の経営権と深く関係しています。会社の経営権は株式の割合によって変わるため、どのくらいの株式を譲渡したかが重要な問題になるわけです。

株式には基本的に株主総会の議決権がありますが、株主総会では会社の経営に深く関係する決議が行われます。また、議決権の過半数があれば株主総会の普通決議を議決することができるので、議決権のある株式の過半数を有することは、会社の経営権を有することにもつながります。こうした仕組みのため、どの程度の割合の株式を取得できるのかが重要になります。例えば株式の100%を譲渡すれば、その会社の経営権は全て移転することになるわけです。

事業売却(事業譲渡)と株式譲渡の違い

事業売却(事業譲渡)の場合、移転するのは事業となります。事業を売却しても、株式が移転するわけではありません。一方で、株式譲渡はあくまで株式が移転する仕組みとなり、事業譲渡のように事業そのものが移転するケースとは異なります。

また、事業売却(事業譲渡)では、譲渡した事業の経営権は移転しても、残した事業の経営権は移転しません。一方で、株式譲渡は、株式の割合によって経営権が決まります。事業譲渡のように、事業ごとに経営権が判断されるわけではありません。
 

コダックとは?

イーストマン・コダック社は、1880年の創業から確かな実績を積み上げ、長い歴史を誇る写真用品メーカーです。フィルム撮影、現像、プリント、品質、使いやすさなど、その事業展開は世界的な支持を集めました。近年のフィルムの需要減少や、市場の動向、需要・ニーズの変化なども相まって、コダック社でもデジタル化が進みましたが、フィルム写真に関する事業を中核としたその姿勢は、世界的に高く評価されていました。デジタル化が進む状況や、需要・ニーズの動向にも対応しつつ、フィルム写真事業への取り組みを続けていたことに、コダック社のこだわりが見られます。

一方、近年は、コダック社の経営再建にあたり、いくつか事業売却の事例も見られます。その中で、写真フィルム事業の売却も見られました。ただ、高速印刷機や商業印刷といった法人向けの事業への集中を進めたこともあり、伝統を活かしつつ新たな事業展開をどう進めるのか、注目されています。

また、日本で事業展開を行う「コダック合同会社」は、「プリントシステム事業部」、「エンタープライズ インクジェットシステム事業部」、「フレキソグラフィック パッケージング事業部」、「ソフトウエア&ソリューション事業部」、「コンシューマー&フィルム事業部」において事業を展開しています。

コダックの事業売却(M&A)事例

それでは、コダックの事業売却(M&A)の事例について代表的なものをご紹介します。コダックの事業売却は、経営再建の過程として行われたものが目立ちます。いずれも、それぞれの目的に沿った方法で、様々なメリットの実現を図る事例となっています。事業売却とその後の流れも含め、事例を分析してみましょう。

⑴写真フィルム事業とスキャナー事業の売却

コダックは2013年4月30日、イギリスの退職者ファンドであるコダック年金プラン(以下、KPP)に、写真フィルム事業とスキャナー事業を売却することを発表しました。両事業の売却金額は約640億円とされています。スキャナー事業については、同年4月15日にブラザー工業に売却することが発表されていましたが、結果的に白紙となりました。そして、写真フィルムなどを扱う「パーソナライズド イメージング事業」と、スキャナーの販売などを展開する「ドキュメント イメージング事業」が、KPPにまとめて売却された形となっています。

さて、この2事業の売却は、コダックの経営再建中に行われたものです。2事業の売却先となったKPPはコダックの最大の債権者でもあり、イギリス在住のコダックの退職者や現従業員を対象とする年金の運営を行っています。こうした中、コダックは写真フィルム事業とスキャナー事業をKPPに売却したことで、その収入の一部をチャプター11(米連邦破産法第11章)からの経営再建支援と、「コマーシャル イメージング事業」の拡張に使用することになりました。

そして、KPPが、コダックとその関連会社に対する約28億ドルの支払い請求を取り下げるという流れになっています。つまり、2事業の売却が完了した時点で、コダックと関連会社はKPPへの債務を免除されることになるわけです。また、写真フィルム事業とスキャナー事業を売却したコダックは、高速印刷機や商業印刷といった法人向けの事業への集中を進めています。

⑵フレキソグラフィック パッケージング事業部の売却

コダックは2018年11月、「フレキソグラフィック パッケージング事業部」(以下、FRD)について、大手プライベート・エクイティ会社であるMontagu Private Equity LLPに売却することを発表しました。FRDは、「KODAK FLEXCEL NXシステム」などのフレキソグラフィック製品の開発・製造・販売を手がける新たな独立企業として運営される形となります。コダックのFRD事業はパッケージング印刷業界における重要な地位を確立しており、確かな業績を積み上げてきました。こうした中で培ったソリューション実績が、新体制のもとでも引き続き活用されていくものと思われます。

また、コダックは今回の事業売却により、最大で3億9000万ドルの対価を受け取ることを見込んでいます。そして、事業売却による収入をコダックの定期借入債務残高の圧縮に使用するとされ、資本構成の改善や財務状態の強化などを図っています。

事業売却は専門家に相談

事業売却は、どのタイミングで売却するべきか、どの事業を売却すべきかなど、専門的な判断が必要になります。また、業界の動向や相手企業の業績なども踏まえ、様々な観点から判断しなくてはなりません。そのため、このような判断を自社だけで進めることは、一般的には難しくなります。

安易に事業売却を進めると、トラブルが発生する可能性もあります。こうした事態を防ぐためにも、事業売却にあたってはM&A仲介会社・M&Aアドバイザリーなどの専門家のサポートを受け、適宜相談をしつつ、手続きを進めていくことが重要です。

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まとめ

コダックの事業売却の事例は、経営再建を進める中で行われたものがあります。複数の事業を売却し、売却によって得た資金をもとに財務状態の改善や強化を図るケースが見られます。

近年、様々な業界でM&Aが活発化していますが、経営再建を見据えた事業売却の事例も、今後は増加する可能性もあります。経営上の問題があった企業でも、効率的な事業売却によって経営を立て直し、伝統を守った事業展開を行うことも十分に可能となるのです。コダックの事例をはじめ、今後は様々な形での事業売却に注目されます。

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