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2021年4月27日更新資金調達
ストックオプションのメリット
ストックオプションを導入すると、企業・従業員側の双方にとってメリットがあります。ストックオプションの種類として、無償および有償ストックオプションが挙げられます。本記事では、税制適格ストックオプションと有償ストックオプションのメリットについて解説します。
ストックオプションのメリット
ビジネスに関わっていると、ストックオプションというワードを、一度は聞いた経験があるでしょう。しかし、ストックオプションの意味をしっかり知っている方は、意外と多くありません。
ストックオプションは、現在さまざまな企業で導入されている制度です。とりわけ、スタートアップ、ベンチャー企業でストックオプションを付与し制度化している例が多いです。では、なぜストックオプションの導入事例が増えているのでしょうか。
ストックオプションを導入すると、さまざまなメリットを享受できます。導入する企業側はもちろん、ストックオプションを受け取る従業員側にもメリットがあります。この機会にストックオプションのメリットを知り、ストックオプションを有効的に活用しましょう。
ストックオプションについて知識を深めることで自身のキャリアプランに役立てられます。一方、経営者が仕組みを理解することで人材採用に役立てられます。
ストックオプションとは
最初にストックオプションについて最低限知っておくべき内容をお伝えします。
①ストックオプションの仕組み
ストックオプションは、あらかじめ設定された権利行使価格で、自社の株式を購入できる権利です。権利行使価格を株価が上回れば、差額分の利益を獲得可能です。仮に株価が権利行使価格を下回っても、権利行使しなければ損失を被りません。
この仕組みから、従業員のインセンティブを高める目的で使われます。株価を上げるために(利益を得るために)、ストックオプションを所持する従業員は精一杯仕事に取り組みます。その結果株価は上昇し、会社全体として業績向上が期待できます。
つまりストックオプションは、従業員と企業の双方にとってメリットをもたらす制度です。これまで多くの企業で、ストックオプションが導入されています。iPhoneで有名なアップル社を始めとして、世界各地で有効的に活用されています。
②ストックオプションの種類
ストックオプションは大きく分けて、2種類存在します。ここでは、ストックオプションの種類をそれぞれご紹介します。
無償ストックオプション
無償ストックオプションとは、権利を貰う際に費用を要しないストックオプションです。前述の通りストックオプションは、従業員のインセンティブを高める目的で導入されます。
よって、基本的には、無償ストックオプションの形で付与されます。ただし、無償ストックオプション導入の際には、税制面に注意しなくてはいけません。無償ストックオプションには、税制適格と税制非適格の種類があります。
両者の違いは課税のタイミングにあります。税制適格ストックオプションでは、株式の売却時にのみ税金が生じます。
一方で税制非適格の場合、株式売却時に加えて、権利の行使時点でも課税されます。権利行使時点の株価と権利行使価格の差額に対して、累進課税によって課税されます。
税制適格の場合、金額に関係なく2割程度の徴収で済みます。ストックオプションを付与する際は、税制適格要件を満たすのがマストです。
有償ストックオプション
有償ストックオプションでは、権利を貰う際にも費用がかかります。従来は、無償ストックオプションを導入するケースが一般的でした。しかし近年は、有償ストックオプションを導入する事例が増加しています。
本来ストックオプションは、従業員の意欲向上を目的に導入されます。よって従業員側からすれば、最初の段階で費用を支払うのは納得できません。一見すると、有償ストックオプションは非合理的な手法に思えます。
しかし、実は有償である代わりに導入して得られるメリットが大きいのです。有償ストックオプションのメリットは、後ほどご紹介します。
メリットが得られるのは、税制適格ストックオプションか、有償ストックオプションの二つとなります。
※関連記事
ストックオプションと株価の関係性
税制適格ストックオプションのメリット
初めに税制適格ストックオプションのメリットをご紹介します。
①企業のメリット
企業側のメリットについてご紹介します。
従業員や役員のモチベーション管理
ストックオプションを活用し、利益を得るためには、株価が上がらなければいけません。そのため、付与された従業員(役員) は、株価を上げるために必死に働きます。
企業にとって、従業員のモチベーションを上げることは重要な課題です。ストックオプションを導入することで、インセンティブとして機能し、社員のモチベーションを向上させることができます。
優秀な人材の採用
未上場のベンチャー企業にとって、優秀な人材の確保は最重要課題です。どんなに技術やビジネスモデルが良くても、それを実行できる人材がいなければ、先に進めません。しかし優秀な人材の確保には、多額の報酬を提供する必要があります。
相手もボランティアではないので、優秀な人ほど多額の報酬を期待します。しかし、未上場のベンチャー企業の場合、報酬を支払うだけの資金力がないケースがほとんどです。
そんな企業にとって、ストックオプションの導入は有効です。ストックオプション付与を条件にすれば、優秀な人材を確保できる可能性が高まります。
②従業員のメリット
次に、従業員側のメリットについて解説します。
自己資金で株取引するよりも低リスク
自己資金で株取引する場合、株価が購入時よりも下落すれば、その分だけ損失を被ります。しかしストックオプションならば、権利行使しない限り損失は0です。低リスクでリターンを期待できることは、ストックオプションの大きなメリットです。
株価上昇によるリターン
自身の働きによって業績(株価)上昇の可能性が高まります。株価が上がるほど、権利行使・売却によって獲得可能な利益は増大します。
ストックオプションは、自身の働きが正当な見返りとなる可能性が高い制度です。これが、ストックオプションを保有する最大のメリットです。
税制が抑えられる可能性がある
税制適格ストックオプションの場合、権利行使時の給与所得課税がされず、利益のすべてが譲渡所得課税の対象となります。したがって、税制非適格ストックオプションと比べ、税額を抑えられる可能性が高いといえます。
有償ストックオプションのメリット
最後に、近年注目を集める有償ストックオプションのメリットを解説します。
①企業のメリット
無償ストックオプションの導入は、会社法上では有利発行と見なされる場合があります。有利発行とは、第三者に対して著しく低い値段で、株式を付与する行為です。
有利発行の場合、公開会社の場合には特別決議が必要となります(株式譲渡制限会社の場合には、有利発行か否かに関係なく特別決議が必要)。よって、ストックオプションの発行に手間と時間がかかってしまいます。
一方で、有償ストックオプションであれば、取締役会決議で発行可能となります。つまり、迅速にストックオプションを導入できる点がメリットです。
②従業員のメリット
従業員側のメリットについて、以下で解説します。
税負担が軽い
従業員にとって、ストックオプションの付与時点で金銭を支払うのは、一見非合理的です。しかし、有償ストックオプションには、非常に大きなメリットがあります。
そのメリットとは、税負担が軽い点です。有償ストックオプションの場合、株式売却時にのみ税金を支払います。権利行使の時点では、税金の支払いは不要です。
つまり、有償である代わりに、税制適格ストックオプションと同様のメリットを得られます。面倒な適格要件を満たす必要もないため、従業員にとっては魅力的なメリットです。
短期間で権利行使できる
税制適格ストックオプションは、税金面で魅力的なメリットがあります。しかし権利行使のためには、付与日から2年待つ必要があります。しかし、有償ストックオプションならば、上記の条件はありません。
つまり短期間で権利行使して株式を売却できます。この点では、税制適格ストックオプションと比べて優れています。
まとめ
今回は、ストックオプション導入のメリットをご紹介しました。ストックオプションを導入すると、人材の採用から、社員のモチベーションアップまで多種多様なメリットが得られます。
ただし、単純にストックオプション制度を導入すれば良いわけではありません。税制非適格ストックオプションでは、メリットは得られません。
メリットを享受するためには、税制適格ストックオプションもしくは有償ストックオプションの導入が必要です。また、税制適格ストックオプションと有償ストックオプションの間でも、得られるメリットは異なります。
ストックオプションを導入する際は、しっかりストックオプションの仕組みを比較、検討したうえで制度設計しましょう。ただし、ストックオプションへの理解は難易度が高く、専門的な分野となります。
実際に導入するには、税務や法務に詳しい専門家に相談することをおすすめします。今回の記事の要点をまとめると下記になります。
・ストックオプションとは
→あらかじめ設定された権利行使価格で、自社の株式を購入できる権利
・ストックオプションの種類
→無償ストックオプション、有償ストックオプション
・税制適格ストックオプションのメリット(企業側)
→従業員や役員のインセンティブ向上を期待できる、優秀な人材を自社に取り込める
・税制適格ストックオプションのメリット(従業員側)
→自分の資金で株取引するよりも低リスク、自身の頑張りが利益となって返ってくる
・有償ストックオプションのメリット(企業側)
→比較的簡便に導入可能(公開会社に限る)
・有償ストックオプションのメリット(従業員側)
→税負担が軽い(多くの利益を得られる)、短期間で権利行使できる
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