2022年10月7日更新事業承継

タグアロングとは?意味やドラッグアロングとの違い、メリット・デメリットを徹底解説【条項例】

タグアロングとは、大株主が大量の株式を売却する際、少数株主も同等の条件で当該株式を売却することができる権利です。この記事では、タグアロングとはどのようなものか、条項を盛り込む際のメリット・デメリットをわかりやすく解説します。

目次
  1. タグアロングとは?
  2. タグアロングとドラッグアロングの違い
  3. タグアロングの目的
  4. タグアロングのメリット・デメリット
  5. タグアロングの条項例
  6. ドラッグアロングの目的・記載内容
  7. ドラッグアロングの対価・発動時期
  8. M&Aとタグアロングの相談先
  9. タグアロングのまとめ
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タグアロングとは?

株式会社は株主からの出資をもとに会社の経営を行っており、その株主は株式会社の所有者という位置づけになっています。

株主は、株式を多数保有して会社の意思決定に大きな影響を及ぼす大株主と、株式の保有数が少ない少数株主とに分類できます。

少数株主に焦点を当てた制度には、少数株主を強制的に排除するスクイーズアウトなどがあり、タグアロングもそのひとつです。

タグアロングとは、大株主が大量の株式を売却する際、同等の条件で少数株主も株式を売却できる権利をいいます。

株価は企業価値だけでなく、対象企業の株式の需給関係によっても左右されます。もし大株主が大量の株式を売却すると株価が低下する可能性があり、そうなればほかの株主の資産が低下することになります。

これを防ぐための権利がタグアロングであり、タグアロング条項を設けることで少数株主を守ることができます。

少数株主は会社の意思決定に大きな影響を与えることはあまりありませんが、会社の資金を調達したり大株主の影響を低下させるためには必要な存在でもあります。

タグアロング条項を設定することで、少数株主に対して資産低下のリスクを排除し、会社が希望する株主の保有割合や議決権数をコントロールできます。

【関連】スクイーズアウトとは?手法や注意点、メリットやデメリットについて解説!

タグアロングの意味

タグアロングは、英語ではtag-alongと表記し、日本語では「付きまとう、跡をつける」という意味です。株式関連の用語として用いる場合、タグアロングは共同売却という意味になります。

前述したように、タグアロング条項が設けられている場合、大株主が大量株式を売却した際に同等の条件で少数株主も売却できます。

「跡をつけて売却する」というように捉えることができるので、ここから派生して少数株主による共同売却をタグアロングと呼ぶようになりました。

タグアロングとドラッグアロングの違い

タグアロングと似た言葉にドラッグアロングがありますが、両者にはどのような違いがあるのでしょうか。この章では、ドラッグアロングとはどのようなものなのか、タグアロングとの違いを解説します。

ドラッグアロングとは?

ドラッグアロングとは、投資家が保有している株式を強制的に売却させる権利であり、ベンチャー企業が軌道に乗り出した時に多くみられます。

起業したてのベンチャー企業は資金面に乏しいため、投資家などの出資によって事業運営していくケースが一般的です。

投資家は、ベンチャー企業が軌道に乗ってきた段階でドラッグアロングを行使して株式を売却させ、利益を確定させます。

また、株価上昇が見込まれるベンチャー企業では、大株主が将来的に株式が売却しにくくなるというリスクも発生するため、投資家はある一定の段階でドラッグアロングを行使します。

しかし、ドラッグアロングを行使するタイミングは投資家によって異なるため、起業家が不利益を被るタイミングでドラッグアロングが行使される可能性もあります

そのため、どのような条件下でドラッグアロングが発動されるかということを、起業家と投資家であらかじめ取り決めておくのが一般的です。

【関連】M&AとIPOのメリット・デメリットとは?EXIT戦略における違いを比較します

タグアロングとドラッグアロングの違い

タグアロングとドラッグアロングの違いは、誰が権利を行使するかという点です。タグアロングの権利を行使するのは少数株主であり、大株主が大量の株式を売却した場合に自身の資産減少を防ぐために権利を行使して同じ条件で保有株式を売却します。

一方、ドラッグアロングの権利を行使するのは投資家です。投資家自身の保有株式分だけではシェアなどの問題で売却が難しくなるリスクがありますが、ドラッグアロングを行使することで経営陣の持ち分も同時に売却させることができます。

タグアロングの目的

タグアロングは少数株主が不利益を被らないよう保護する目的で条例に盛り込まれます。そのほか、株式の流動性を高めるため積極的な投資を可能にする目的もあるでしょう。

株式発行でタグアロングの条項を盛り込むのは将来的に成長が期待できるスタートアップ企業などです。スタートアップ企業は、新たなビジネスモデルを開発するなどで急激な成長を目指す企業をさします。

スタートアップ企業は個人投資家やVC(ベンチャーキャピタル)からの融資によって成長を目指し、融資する側はスタートアップ企業がある程度成長したところ株式売却を行い利益を獲得することが目的です。

スタートアップ企業は株式の流動性が低いため、将来的な成長性を見極めることが非常に難しいです。これにより少数株主は一度株式を保有してしまうと売却しにくく、株を抱え込むリスクが高くなります。

しかし、株式発行時にタグアロング条約を盛り込むことで少数株主も株式売却にも参加できるため、株式の流動性も高くなるでしょう。スタートアップ企業が資金獲得しやすくなると、成長しやすくなるといった好循環を生み出すことが期待できます。

タグアロングのメリット・デメリット

タグアロング条項を設けることは、会社側・株主にとってどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。ここでは、タグアロングの主なメリット・デメリットを解説します。

タグアロングのメリット

まずは、タグアロングのメリットをみていきます。主なメリットとしては、以下の2つが挙げられます。

【タグアロングのメリット】

  • 出資者を幅広く募ることができる
  • 大株主が大量の株式を売却しやすくなる

出資者を幅広く募ることができる点

タグアロングが設けられている場合、大株主が一度に多くの株式を売却しても少数株主は自身が被り得るリスクを軽減できます。

タグアロングが設けられていない企業の場合は、多くの株式を保有している株主が大量売却をすれば、そのほかの株主は自身の資産価値が低くなるリスクを背負っています。

しかし、タグアロングが設けられていれば少数であっても株式を保有しやすくなるため、結果的に企業は広く出資を募れることになります。

大株主が大量の株式を売却しやすくなること

タグアロングが設けられている場合、大株主にとってもメリットがあります。もし何らかの事情で大株主が一度に多くの現金化しなければならない場合もあるでしょう。

このような場合、タグアロングが設けられていなければ、企業への事前相談が必要になるケースもあります。

しかし、タグアロングが取り決められていれば相談に要する手間や時間を大幅に削減できます。

タグアロングのデメリット

一方、タグアロングのデメリットとしては、主に以下の2点が挙げられます。

【タグアロングのデメリット】

  • タグアロングを設けることで株主構成が変化し、経営が不安定になる恐れがある
  • タグアロングを設けることが投資家に悪いイメージを与える恐れがある

タグアロングを設けることで株主構成が変化し、経営が不安定になる恐れがある

タグアロング条項を設けられていると、大株主による株式の大量売却が行われた場合、少数株主も売却を行う可能性が高いため、株主構成が大きく変化することになります。

そうなれば企業が望まない第三者へ株式が一度に渡る可能性もあり、経営が不安定になる恐れも秘めています。

タグアロングを設けることが投資家に悪いイメージを与える恐れがある

タグアロング条項が設けられているということは、ベンチャー企業などでは大株主が企業への出資を引き上げるケースが想定されているということでもあります。

株式売却が行われるタイミングによっては、事業拡大が難しくなるなど企業がデメリットを被る可能性もあります。そうなれば、大株主候補となるような投資家は出資が難しいと判断することも考えられます。

タグアロングの条項例

タグアロング条項を設ける場合、以下のような内容を盛り込みます。以下の例には記載していませんが、通常は共同売却に参加できる株式数の算定方法、株式の購入者が数を増やした場合の扱いなども盛り込んでおきます。

【タグアロングの条項例】

  1. 各投資家は、大株主が譲り渡す対象者に譲り渡しを予定するのと同一条件で、譲り渡す対象者に投資家が保有する株式の全部もしくは一部を譲り渡すことを、譲り渡しを予定する事業者に対して申し入れ可能にするものとする。
  2. 第1項の内容より少数株主が共同売却を請求した場合、譲り渡す対象者が譲り渡しを希望する少数株主の全株式の買取を希望しないときは、譲り渡しを希望する株主及び少数株主は、譲り渡しを希望した株式数の合計に対する各自の株式数割合に応じて、譲り渡す対象者に対して株式を譲り渡すことができる。

上記の条項では、タグアロングを行使する際は売却する相手も事前に申し入れができること、共同売却で少数株主の株式をすべて買い取らない場合でも一定割合の株式を売却が可能であることを示しています。

タグアロング条項の内容をどのようにすべきかは会社によって異なる部分もあるので、弁護士などの専門家とよく相談して決めるようにしましょう。

ドラッグアロングの目的・記載内容

ドラッグアロング(Drag Along Right)とは、株式売却に関する強制売却権を意味し、M&A契約で規定される条項の一つです。

具体的には大株主が保有株式を第三者に対して譲渡する場合に、他の株主の保有する株式を第三者に一緒に譲渡するよう求められる権利をいいます。ここでは、ドラッグアロングの目的・記載内容を解説します。

目的

株式譲渡では全ての株式取得を目指しますが、少数株主が株式を売りたくないケースも考えられます。M&Aの前後でスクイーズアウト(少数株主から強制的に株式を買い取る方法)も可能ですが、買収の日程調整や費用などに大きな影響が出しまうリスクもあるでしょう。

株式交換や事業譲渡では株主総会で3分の2以上が賛成すればM&Aは実行できるため、少数株主の反対にあったとしても株式譲渡ほど問題は起きません。しかし、少数株主を保護する制度もあるため影響が出る可能性もあります。

このように、M&Aを早く実行したい経営者にとって大きなリスクとなります。そのため、ドラッグアロングを条項に入れ少数株主の株式を強制的に買い取ることで、リスクを最小限に抑えらるでしょう。

また、IPOやM&Aなどの投資で得た株式を売却利益を得ている投資家にとって、株式を売却できる機会を確保することが重要なポイントです。

投資家が資金を投資した段階で、企業が将来的なM&Aに合意していたケースを考えてみましょう。しかし、企業の経営状況や考え方の変化により、実際にM&Aを検討する際に難色を示し、スムーズに進まなくなるケースも少なくありません。

そのようなトラブルが発生した場合、M&Aを強制的に実行し、出資金を回収することが可能となります

記載内容

少数株主に対して買取請求を行う場合は、以下を記載するケースが多いです。

  • 全株主の総議決権の〇〇以上が賛成した場合
  • 優先株主の総議決権の〇〇以上が賛成かつ取締役会で承認された場合

企業の買収請求の場合は、以下のように記載しましょう。
  • 優先株主の総議決権の〇〇以上が賛成した場合

一方で企業が意図しない時期・金額で売却を強制されるといったリスクも発生します。そのため目的に応じ時期や金額で発動要件を付け足すなど妥協点を探ることがポイントです。
  • ただし、〇年〇月〇日以降に限り適用されるものとする
  • ただし、時価総額が〇億円以上の場合に限り適用されるものとする

ドラッグアロングの対価・発動時期

ドラッグアロングの発動要件である対価と発動時期を詳しく紹介します。

対価

ドラッグアロングでは、対価の種類についても協議が行われる可能性が高いでしょう。企業側は、対価の種類を決めずに幅広い手法で売却できた方が良いと考えます。

一方、投資家は換価がしにくい株式が対価であるとリスクとなる可能性があります。そのため投資家からは、現金のみを対価とする方が良いでしょう。

発動時期

ドラッグアロングは発動時期の明言がされていない場合、投資家によっていつでも自由に会社を売却されてしまいます。そのため、企業側は事業に力を注いでいる途中段階で、強制的にM&A実施されてしまうといった不安定な状況に置かれます。

そのようなことが起こらないよう、どのような場合にドラッグアロング権が発動されるかについて、事前に合意をしておくことが重要です。IPOなどの上場目標時期に合わせ、発動時期の付け足しを行っておきましょう。

時期の決め方は、上場目標時期だけでなく、ファンドの満期があるため、その時期をベースに設定することを希望するケースもあります。対価の金額と発動時期は、慎重に協議を重ね、適切なドラッグアロングの発動要件を決定するようにしましょう。

M&Aとタグアロングの相談先

M&Aの実施をご検討の経営者様は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。弊社では、タグアロングの注意点を抑えながら安全にM&Aを進めていただくことができます。

実績・経験が豊富なM&Aアドバイザーがクロージングまでをしっかり丁寧にサポートいたしますので、M&Aのお手続きに不安のある場合もスムーズな進行が可能です。

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無料相談はお電話・メールより24時間お受けしておりますので、M&Aをご検討の際はどうぞお気軽にお問い合わせください。

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タグアロングのまとめ

タグアロングは少数株主を保護する目的で取り決める条項です。少数株主に対する資産低下リスクを排除し、企業は希望する株主の保有割合や議決権数をコントロールすることが可能です。

タグアロング条項を設ける際は、専門的な見解が必要となるため、専門家に相談して進めるようにしましょう。

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