2021年4月21日更新会社・事業を売る

ネームクリアとは?意味とM&Aにおける活用のメリット・デメリットをご紹介

ネームクリアは、M&A初期のプロセスで重要な転換点です。それは買収側のM&Aへの意思表示があったことを意味します。そしてネームクリアとは、より具体的なM&Aの検討や交渉のため、秘密保持契約締結後、相手側にもろもろの情報を開示することです。

目次
  1. ネームクリア
  2. ネームクリアとは?ネームクリアの意味
  3. M&Aにおけるネームクリアの流れと手続き
  4. ネームクリアのメリットとデメリット
  5. M&Aにおけるネームクリアの役割と専門家の利用
  6. まとめ
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ネームクリア

ネームクリア

M&Aを実施しようとするときの目的は、それぞれの会社の置かれている状況によってさまざまなものがあります。

例えば、事業規模の拡大による収益向上を目指していたり、事業の多角化による経営の安定化や、経営の停滞打破のための新規事業進出などといった具合です。

また、それ以外にも、後継者難を解決し会社を存続させる希望がかけられているかもしれません。いずれにおいてもM&Aは、会社経営における高度な経営判断に基づく重大な経営戦略です。決定するまでは従業員にも明かされないトップシークレットでもあります。

それゆえに、M&Aを進めていく過程においては、M&Aを実施しようとしていることを含め、会社の情報が外部に漏洩しないように注意深く、M&Aを実行していかなくてはいけません

M&Aは、最終的に成約するまで数ヶ月〜1年を要する他社との交渉取引になります。自社の情報が漏洩するのも困りますが、こちらも他社の情報を漏洩してしまっては一大事です。そこで、M&Aの各プロセスにおいては、いかに情報が漏れないようにするかの工夫がなされています。

本記事で取り上げるネームクリアも、M&A初期のプロセスの中で会社情報に関わる大きな転換点の1つです。M&Aにおけるネームクリアの内容そのものの確認とともに、ネームクリアまでのM&A交渉の流れについて見ていきましょう。

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ネームクリアとは?ネームクリアの意味

ネームクリアとは?ネームクリアの意味

一見しただけでは何の意味かよくわからないネームクリアですが、M&Aの序盤においては最も頻繁に使われる言葉の1つかもしれません。それほど、このネームクリアという言葉は、M&Aで重要な段階を示す意味合いがあるのです。まずは、そのネームクリアの意味から、ひも解きましょう。

①ネームクリアとは

ネームクリアとは、M&Aのプロセスの中で、相手会社に対し社名を含めて会社情報を全て開示することです。これは、秘密保持契約締結後にしか行われません。それ以前は、両社の間にM&A仲介会社がいたとしても、会社情報は社名が伏せられ、概略程度の情報のみ伝えられます。

この匿名状態レベルでの会社情報を記した資料は、ノンネームシート、または略してノンネームと呼ばれています。M&Aの最初の検討段階では、ノンネームシートにより行われるのがもっぱらです。

そして、ノンネームシートを見て、その会社について具体的にM&Aを検討したいというステップに移行するのが、秘密保持契約締結でありネームクリアというプロセスになります。なお、ネームクリアとは、M&Aの相手として正式に検討対象として考えるという意味合いです。

つまり、この段階ではM&Aの実行について何ら約定しているわけでもなく、その義務もありません。ネームクリア後の検討や交渉の結果、M&Aが破談となることも多々あります。

②ネームクリアの意義と情報漏洩のリスク

M&Aは、利害の一致する買い手と売り手が出会わないと成立しません。しかし、そうは言っても藪から棒には探せませんから、ほとんどの会社はM&A仲介会社に相手探しを委託します。そこで、M&A仲介会社は候補となる会社のノンネームシートを作成します。

この場合のノンネームシートは、買収希望会社に対して売却希望会社をリストアップする構図です。その逆というパターンは、おそらくないでしょう。ノンネームシートに掲載される会社情報は、秘密保持契約も何もありませんから、ごく限られた内容です。

単に社名を秘すだけでなく、情報から対象会社が特定されることがないように配慮されています。もし、この段階で会社を特定できる情報を載せてしまっては、情報漏洩につながるからです。M&Aによる売却を模索していることが外部に漏れることは、危機的状況を招く危険性があります。

例えば、取引先が新たな取引にためらうかもしれませんし、融資元の金融機関が融資を引き上げてしまうかもしれません。ただし、その一方、限られた情報では本格的なM&Aの検討はできません。

そこで、目ぼしい会社と思われる場合にネームクリアを実施し、お互いに会社同士の情報を公開し合います。従って、ネームクリアは、会社同士の情報を守りつつ本格的にM&Aを前進させるためには、不可欠なプロセスなのです。

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M&Aにおけるネームクリアの流れと手続き

M&Aにおけるネームクリアの流れと手続き

M&Aを実施する方針を固め、現実的にM&Aに向かって動き出す場合の、ネームクリア段階に至るプロセスについて具体的に見ていきましょう。ネームクリア後の一段階も含めた6工程に分けて掲示します。

①M&A仲介会社・アドバイザリーの利用

会社を売却したい経営者、会社を買収したい経営者それぞれが、その決意をしたときがM&Aの始まりです。そして、通常は売り手、買い手ともに、M&A仲介会社と業務委託契約を結び、M&Aに向けた具体的な一歩を踏み出します。

M&A仲介会社は業務委託を受けた会社に対し、売却、または買収の条件や希望金額などをヒアリングして、その内容を登録します。この際、ネームクリアなども含めてM&Aの基本的な知識や、買い手側は資金の準備ができているとスムーズにM&Aを実施する可能性が高くなります。

②資料作成

売り手側にとって重要なのが、この段階で行う資料作成です。買い手側に対し、売り手企業の特徴や長所がよく伝わる内容が求めらます。また、特に注力したのは、買い手側が最初に見ることになるノンネームシートの出来栄えです。

ノンネームシートでは、会社が特定されないように限られた情報しか掲載されません。その条件下であったとしても、売り手企業の魅力が十二分に伝わる資料となるよう、M&A仲介会社の選任アドバイザーと相談しながら行うことが肝要です。

③ノンネームシートの提示

基本的にM&A仲介会社を通じてM&Aを実施しようとする場合、買い手側に対し売り手側の情報を提供することが一般的です。つまり、M&A仲介会社は、買い手側の要望に合うとおぼしき売り手候補をピックアップし、複数社分のノンネームシートを提示します。

④買い手の検討

買い手側が、提示されたノンネームシートからM&Aの取引先候補選定を実施します。このときの第一段階の候補先リストは、ロングリストと呼ばれています。ロングリストは、場合によっては数十社に及ぶ場合もあります。

ロングリストから数社レベルまで候補を絞り込んだ段階のものを、ショートリストと言います。ショートリストからさらに1社まで絞り込むか、2~3社を並行させたまま次の段階に行くかは買い手側の自由です。

⑤ネームクリアで打診

買い手側が買収候補先を1社に絞った前提で話を進めます。買収候補先について、より精細に検討するには全ての情報が必要ですから、ここでネームクリアの打診となります。M&A仲介会社から売り手側に対し、買い手側のノンネームシート情報が渡され、ネームクリアの是非を尋ねられます。

売り手側でネームクリアの承認が出れば、秘密保持契約(NDA)が締結される運びとなります。秘密保持契約締結後は、お互いの全ての会社情報の開示が解禁され、経営者同士の面談なども実施されます。

⑥M&A手続きの開始

ネームクリア後、売り手側、買い手側、お互いの検討で何も問題が出ず、M&A実施に向けて前進する判断となった場合、M&A仲介会社が間に入って、買収金額その他の具体条件のすり合わせにを行います。

このときに並行して買い手側は、買収方法や金額などを記載した意向表明書を提示します。買収の諸条件について無事に合意が形成されれば、基本合意契約書を締結する運びとなります。この段階まで到達すれば、通常はそのままM&Aは実行されます。

ただし、この後もデューデリジェンスの実施、最終譲渡契約書の締結、クロージング(株式譲渡などの具体的な手続き)、PMI(Post Merger Integration=買収後の現実的な経営統合作業)など、なすべきことはまだまだ残っています。

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ショートリスト

ネームクリアのメリットとデメリット

ネームクリアのメリットとデメリット

M&Aにおいて必然のプロセスであるネームクリアは、現状、避けては通れない手続きです。そのメリットは大いに享受すべきですが、ものの道理としてネームクリアにもデメリットがあります。ネームクリアのメリットとデメリットをきちんと把握しておきましょう。

①ネームクリアのメリット

ネームクリアのルールや過程そのものが、そのままメリットと言えるでしょう。つまり、M&Aに関する情報を、公表するまで外部に対し秘密にできることです。特に売り手の立場の場合、上述したように取引先や融資元の金融機関との関係悪化を防げます。

また、それ以外にも、M&Aにおいて会社の重要な資産である、人材の流出を防げる効果もあります。従業員の立場で不確かな会社の売却話などを聞くと、ネガティブな印象を持ちがちです。そうすると、退職し転職を考えてしまう従業員が出現しかねません。

M&Aでは人材も重要視されますから、極力、M&A前の人材の流出は避けたいものです。ネームクリアなど一連のM&A手続きの中で、情報漏洩を制御するには信頼できるM&A仲介会社に依頼するのがおすすめです。

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②ネームクリアのデメリット

ネームクリアの過程であるノンネームシートのプロセスに、デメリットがあります。買い手に渡されるロングリストやショートリストには、会社を特定できる事柄は記載されていません。つまり、具体性に欠けた情報であるという言い方ができます。

ノンネームシートの情報だけではM&Aの実行に踏み切れない買い手もいるでしょう。仮に全ての情報がオープンになっていたら、ベストマッチングとも思えるような売り手がいたとしても、ノンネームシート情報では、候補企業に残らない可能性があるのです。

これは大きなチャンスロスになります。従って、売り手側はネームクリア前のノンネームシートの段階でも極力、自社の利点が伝わるような資料作りの努力が必要です。また、買い手側も限られた情報の中から、できるだけ売り手の真の姿を見極められるような分析力を磨くようにしましょう。

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M&Aにおけるネームクリアの役割と専門家の利用

M&Aにおけるネームクリアの役割と専門家の利用

前述したように、ネームクリアの過程ではデメリットは確かに存在します。しかしながら、ネームクリアそのものは、非常に必要性の高いルールです。特に、仲介業者を通じてM&Aを行う場合には、ネームクリア・ルールは重要になるでしょう。

自社を守る意味でも、相手企業への礼儀という意味でも必要なルールにほかなりません。その反対にネームクリアなどのルールは取り外し、自社の魅力を全面的にアピールして、M&Aの実施を目指すという考え方もあります。

その場合、M&A仲介業者を利用せずM&Aを実施することになります。会社の規模が大きく、知名度が高ければ不可能ではありません。仲介業者を利用しないことにより、手数料負担なども発生しませんから、より少ない資金でM&Aを完結可能です。

しかし中小企業が単独でM&Aの実施するには、専門的な知識やさまざまな手続きがあるため、非常に難しいでしょう。中小企業の場合は、より多くの選択肢を持つためにも、M&A仲介会社などを利用してM&Aを目指すのが得策です。

言うなれば、M&Aの実施を目指す場合、会社の規模が小さいほど、ネームクリア・ルールの必要性も高まります。

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まとめ

まとめ

ネームクリア・ルールで勘違いしがちなのが、ネームクリア要請があったことを、M&A成約間違いなしと早とちりしてしまうことです。ネームクリアはM&Aのプロセスとして大きな転換点ではなりますが、1つ段階が進んだに過ぎないとも言えます。

ネームクリアとなっても、不必要に気を抜いてしまわないように注意しましょう。本記事の要点は、下記のとおりです。

・ネームクリアとは
→M&Aで秘密保持契約締結後、相手会社に社名やその他の情報を開示する行為

・ネームクリアの流れと手続き
→会社同士の情報を守りつつM&Aを実行するために不可欠

・ネームクリア一連のメリット
→周囲に売却を検討していることが漏れない

・ネームクリア一連のデメリット
→M&Aの際に自社の魅力を十分に伝えられない

・ネームクリアの必要性
→企業の規模が小さいほど高まる

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