2022年6月6日更新事業承継

リストラクチャリングとは?事例やM&Aを活用した方法をわかりやすく解説します

会社経営において、経営者が実施すべき施策は様々です。その中に、リストラクチャリングがあります。リストラクチャリングは、経営が停滞する現状を打破するうえで有効です。この記事では、リストラクチャリングについてわかりやすく解説します。

目次
  1. リストラクチャリングとは?リストラクチャリングの意味
  2. M&Aによるリストラクチャリング
  3. 財務(フィナンシャル)リストラクチャリング
  4. リストラクチャリングの業務
  5. リストラクチャリングの事例
  6. まとめ
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リストラクチャリングとは?リストラクチャリングの意味

まずは、リストラクチャリングについてお伝えします。

リストラクチャリングとは

リストラクチャリングとは、事業構造の再構築を意味します。英語では「restructuring」で、広義の意味で政治や経済、社会全体を根本的な部分から再構築することです。会社経営に限ると、業績不振や市場成長の停滞などの環境変化に対応する目的で、大規模な改革に取り組む意味を持ちます。

そして、不採算事業の規模縮小や撤退、統廃合、分社化などにより、不採算事業の整理に取り組みます。事業再生目的で行うM&Aも、リストラクチャリングの一手法です。

不採算事業の整理と同時に、主力事業への経営資源集中にも着手します。つまりリストラクチャリングは、全社的な収益構造の改革です。

日本におけるリストラクチャリング

日本ではリストラと略して呼びます。人員削減による事業規模の縮小(ダウンサイジング)としての意味合いが強いです。根本的な会社の改革よりも限定的であるため、事業の再構築や主力事業への経営資源の集中は別の戦略として考える場合が多いです。

バブル崩壊による景気悪化を理由に、日本国内では不採算事業の整理を目的とした従業員解雇が盛んに行われました。それに伴いリストラという用語も、一般的に広く知られました。結果的に日本では、事業の再構築という前向きな意味は含めず、従業員解雇というネガティブな意味で認識されているようです。

リエンジニアリングとの違い

リストラクチャリングと類似する用語に、リエンジニアリングがあります。リエンジニアリングは、既存業務に関する組織や戦略の見直しです。リストラクチャリングとは異なり、事業構造ではなく業務プロセスの改善に取り組みます。

リエンジニアリングはIT技術の導入などにより、絶大な効果を発揮します。よって、リストラクチャリングとリエンジニアリングは全く意味が異なる手法です。

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不採算部門の切り離し・撤退方法

M&Aによるリストラクチャリング

人員削減などの防衛的な施策だけでなく、積極的に不足部分を補う施策もリストラクチャリングに含まれます。その一つが、M&Aの使用です。この項では、M&Aによるリストラクチャリングについて解説します。

M&Aとは

M&A(Merger and Acquisition)とは、会社同士の合併や買収の総称です。合併や株式譲渡、株式交換など、M&Aには様々な手法があります。バブル崩壊後の日本では外資系ファンドにより安値で買い叩かれる企業が続出し、その影響もあってか最近までM&Aにネガティブな印象を抱く経営者は多く存在しました。

近年は買収や合併によるメリットが広く認識され、M&Aを積極的に活用する事例が増加しています。中小企業で事業承継問題が顕在化していることも、M&Aの事例増加に拍車をかけています。

M&Aによるリストラクチャリングの効果

シナジー効果の獲得や事業多角化を主な目的に行うM&Aですが、リストラクチャリングの手段としても効果的です。M&Aにより不採算事業を売却すれば、事業構造の根本的な改革を実現できます。不採算事業の売却により、M&Aの売り手は多額の売却資金が入手可能です。

リストラクチャリング目的でM&Aを実施する際は、事業譲渡や会社分割などの手法を用いるケースが一般的です。事業譲渡であれば、売却代金から法人税や消費税を引いた分が利益として残ります。会社分割であれば、税制の適格要件を満たせば非課税でM&Aを実行可能です。

いずれにせよのれん代などを含めれば、M&Aにより多額の利益を獲得できます。自社には不採算で邪魔な事業でも、他会社には喉から手が出るほど欲しい事業という可能性があります。不採算事業でも、諦めずにM&Aにチャレンジしましょう。

M&Aによるリストラクチャリングのメリット

M&Aでは売却利益に加え、不採算事業に投入した経営資源が余裕資産として残ります。それらを主力事業に集中させれば、全社的な収益構造の改善につながります。つまり、M&Aでは不採算事業を切り離せるうえに、主力事業への集中化も実現できるのです。

買い手でも、M&Aで不足部分を買収する形でリストラクチャリングを実現できます。M&Aにより他社事業を買収すれば、少ない時間でリストラクチャリングが実現可能です。単純なダウンサイジングと比べると、M&Aは非常に効果的なリストラクチャリングの手法といえます。

M&Aを検討されている場合は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&A仲介会社であるM&A総合研究所にはM&Aに関する知識・経験が豊富なアドバイザーが在籍しており、これまで培ってきたノウハウを生かしてM&Aをフルサポートいたします。

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財務(フィナンシャル)リストラクチャリング

リストラクチャリングでは、人員や事業のみならず財務の改善も実施します。リストラクチャリングの成功において、財務の改善は不可欠です。この項では、財務(フィナンシャル)リストラクチャリングについて解説します。

財務(フィナンシャル)リストラクチャリングとは

財務リストラクチャリングは、事業再生を目的としてキャッシュフローを改善する行為です。負債比率の高い企業に効果的なリストラクチャリング手法で、事業や人員に関するリストラと比べると実行に専門的な知見が必要になります。

専門性の高さから、税理士や会計士、コンサルタント、金融機関などの助力を得たうえで実施するケースがほとんどです。

財務リストラクチャリングの具体的施策

フィナンシャルリストラクチャリングでは、資産整理や資本増資、負債に関する負担削減などの施策を実施します。それぞれの施策について、簡単に説明します。

資産整理

保有する有価証券や固定資産などを売却する形で、キャッシュフローの改善を図る財務リストラクチャリング施策です。手元の現金増加や借入金の元本減少などの効果が見込めます。

資本増資

各種ファンドや親族などから出資を行う形で、キャッシュフローの改善を図る財務リストラクチャリング施策です。自己資金が増加するため、財務の安全性が高まります。

負債に関する負担軽減

DES(債務の株式化)やDDS(別条件の債務への変更)などを実行し、負債に関する負担を軽減するリストラクチャリング施策です。リスケジュールによる負債利子の条件緩和も、重要な施策となります。

リストラクチャリングの業務

この項では、リストラクチャリングの業務である事業リストラと業務リストラについて解説します。

事業リストラ

事業リストラは、全社的な経営レベルで行うリストラクチャリングの業務です。不採算事業の売却・廃止や主力事業への資源の集中投下など、選択と集中を図ります。後述する業務リストラと比べると、大局的なリストラであり経営者の手腕が問われる業務となります。

不採算事業の解消のみならず、将来的な収益源を見極めることも重要です。

業務リストラ

業務リストラは、売上増加や費用削減により業務に関する利益(営業利益)の増加を図ります。従業員解雇などの人事リストラは、業務リストラの一つです。

売上高増加に関しては、商品単価や顧客の購買頻度を高める施策が有効です。顧客ニーズを踏まえた商品開発や顧客との長期的な関係を築くマーケティングにより、売上高を増加できます。

費用の削減は、規模の大きい人事リストラから小規模な経費削減まで様々です。リストラクチャリングの効果を高めるには、売り上げ獲得に不必要な費用の徹底削減が必須です。不必要な費用削減を実行するだけで、大きなリストラクチャリングの効果を期待できます。

特に人件費の削減(人事リストラ)は多大な効果を発揮しますが、法律の正当性に十分考慮してください。事業再生が理由でも、むやみに解雇や減給などを実行すれば、法律上の問題を問われる恐れがあります。人事リストラの実行は、専門家のアドバイスを貰いながら進めましょう。

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企業再生ファンドとは?仕組み、事例、一覧や業務内容を解説

リストラクチャリングの事例

リストラクチャリングの事例を3つご紹介します。

①シャープの事例

2016年に、シャープは大幅な赤字を計上し、早期退職制度を活用して人員削減などのリストラクチャリングを行いました。一旦は業績が黒字となり、リストラクチャリングが成功したようでしたが、事業の見通しが甘かったため再度2,000億円超の赤字を計上しています。

シャープが液晶部門にこだわり続けたことが、影響しているようです。

②パナソニックの事例

短期間でリストラクチャリングの成果を出した事例として、パナソニックが挙げられます。薄型パネル開発などの失敗の影響で、2012〜2013年度にかけて同社は巨額の損失を計上しました。経営再建を目的に同社は、事業規模の大幅縮小に取り掛かりました。

ディスプレイ開発から撤退しつつ中国などにあった工場は閉鎖し、事業規模の縮小を図ると同時に自動車関連事業などへ事業ドメインをシフトする施策も敢行しています。複数の施策に着手した結果、パナソニックは業績のV字回復を果たしました。

パナソニックのリストラクチャリングは手本となる事例なので、積極的に参考にしましょう。

③ソニーの事例

液晶技術に強みを持つソニーは、2010年前半に3期連続の赤字を計上するなど、深刻な経営難に陥りました。経営再建に向けて同社は、約1万人の人員削減や生産規模の縮小などのリストラクチャリングに着手しています。

分社化や大規模な構造改革に着手した影響により、一時的には業績が回復したものの、その後業績が再度悪化しました。リストラクチャリングの効果は長期的な視点で観察する必要があるため、現段階でリストラに失敗したとはいえません。数年間取り組んだリストラで、今後ソニーが復活を遂げるか注目です。

まとめ

リストラクチャリングとは全社的な収益構造の改革を意味し、経営が停滞する現状を打破するうえで有効な施策です。積極的なリストラクチャリングの一つにM&Aがあり、不採算事業の売却で事業構造の根本的な改革を実現します。成功事例を参考にして、効果的なリストラクチャリングを検証しましょう。

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