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2021年1月14日更新事業承継
事業承継を戦略的に行う方法!成功ポイントや事例を解説
事業承継には、親族内事業承継・親族外事業承継・M&Aによる事業承継の3種類があり、いずれも戦略的に行うことが重要です。本記事では、事業承継を戦略的に行う方法や成功のポイント、実際に事業承継を行った会社の事例などを解説します。
事業承継とは
事業承継とは、会社や個人事業を新しい経営者に引き継ぐことです。事業承継の戦略はいろいろありますが、例えば中小企業の場合は、旧経営者が保有している株式を新しい経営者に売却して、経営権を移動させる株式譲渡がよく利用されます。
個人事業の場合は株式の売却はできないので、事業を行うための施設や不動産などを売却する事業譲渡という戦略が利用されます。
事業承継は誰に会社を引き継ぐかによって、親族内事業承継・親族外事業承継・M&Aによる事業承継の3つの戦略に分けることができます。
【事業承継の戦略の種類】
- 親族内事業承継
- 親族外事業承継
- M&Aによる事業承継
1.親族内事業承継
親族内事業承継とは、旧経営者の親族を新しい経営者に据える事業承継の戦略です。親族は、旧経営者の子供のことが多いですが、甥や姪などほかの親族に継がせることもできます。
親族内事業承継は、3つの事業承継のなかで最もシンプルな戦略であり、かつては多くの事業承継が親族内事業承継でした。
しかし、近年は子供に代々家業を継がせる風習がなくなってきており、親族内事業承継は大きく減少しています。
今後は、親族外事業承継やM&Aによる事業承継について戦略をよく知っておくことが、中小企業経営者にとって重要になるでしょう。
2.親族外事業承継
親族外事業承継は、旧経営者の親族ではない人物に事業を引き継ぐ戦略です。次に紹介するM&Aによる事業承継でも、親族でない人物に事業を引き継ぎますが、親族外事業承継は会社の従業員など身近な人物を後継者にすることを指します。
親族外事業承継なら、親族に適切な後継者がいない場合でも、会社を存続させつつ旧経営者が引退することができます。
ただし、親族でない人間には資産の相続ができないので、株式や事業資産を買収する資金を用意できるかが問題になります。
資金調達方法にはMBOなど専門的な手法があるので、M&A仲介会社などの専門家のサポートを受けながら、これらの手法を活用して手続きを進めていくことになります。
3.M&Aによる事業承継
M&Aとは、会社の合併(Mergers)と買収(Acquisitions)の頭文字をとった用語で、製品やサービスではなく会社そのものを売買する取引をいいます。
M&Aというと、大企業の敵対的買収がメディアで取り沙汰されることもあり、マイナスイメージを持つ人もいますが、実際はほとんどのM&Aは買い手・売り手双方の発展を目指す友好的なものです。
さらに、M&Aは大企業だけが行うものではなく、社員数名程度の零細企業や、一人で営業している個人事業でも行うことができます。
親族にも社員にも適切な後継者がいない場合、M&Aで後継者を探すという戦略が有力な選択肢となります。
事業承継の現状と課題
事業承継は、かつて親族に継がせることがほとんどでしたが、近年はM&Aや親族外事業承継が増え、戦略は多様化しています。この章では、戦略が多様化している事業承継の現状と課題について解説していきます。
【事業承継の現状と課題】
- 親族内事業承継の数が減少
- M&Aによる事業承継が増加
- 従業員への事業承継も増加
1.親族内事業承継の数が減少
かつて、事業承継といえばほとんどが親族内事業承継でしたが、近年はその数が大きく減少しています。
昔は大体8割から9割くらいが親族内事業承継だったのに対して、最近は3割から5割くらいにまで減少しているとされています。
減少の原因としては、少子化と代々家業を継ぐ価値観の希薄化などが挙げられます。そもそも子供がいないので、親族に経営を継がせる選択肢がない経営者も増えています。
また、子供には自由に人生を歩んでほしいという思いから、経営者が自ら親族内事業承継を拒むケースも増えています。
2.M&Aによる事業承継が増加
親族内事業承継に代わって主流となりつつあるのが、M&Aによる事業承継です。M&Aによる事業承継では、M&A仲介会社が保有している承継先候補のネットワークのなかから、最も適した候補を洗い出して交渉していきます。
親族内事業承継や親族外事業承継に比べて、選択肢が圧倒的に多いのは大きなメリットです。
こういったメリットの大きさに加えて、近年は中小企業でもM&Aができるという知識が広まりつつあることや、中小企業向けのM&A仲介会社が増えて相談しやすくなっていることなどが、増加の大きな要因となっています。
3.従業員への事業承継も増加
従業員などへ事業承継する親族外事業承継は、M&Aによる事業承継ほどには増加していませんが、それでも傾向としては増加しています。
中小企業白書などのデータによると、事業承継の約3分の1程度が親族外事業承継となっています。
親族外事業承継はM&Aによる事業承継に比べると、従業員や取引先がよく知っている人物が後継者になるため、反発が起こりにくく受け入れられやすいメリットがあります。
M&Aによる事業承継に比べると後継者候補の選択肢は少ないものの、もし適切な後継者がいれば事業承継が円滑に進みやすいといえます。
社員による事業承継は難しい?
社員による親族外事業承継が、M&Aによる事業承継ほど普及しない理由はいくつか考えられます。最も大きな理由といえるのが、株式の買収資金の調達が困難だということです。
買い取る株式の価格は、会社の純資産や営業権などから算出しますが、よほど小規模な会社でない限り、後継者が自分で買い取れる金額に収まることはありません。
さらに、金融機関からの融資に対する担保や保証をどうするかという問題もあります。本来なら旧経営者の担保や個人保証を後継者に引き継ぐことになりますが、後継者にとっては大きな負担となるので、受け入れてもらえないことも多いです。
後継者だけでなく、その家族や融資している金融機関も、担保や保証の引き継ぎに難色を示すことは少なくありません。
事業承継を戦略的に行う際の成功ポイント
事業承継を戦略的に行うためには、成功のポイントを押さえておくことが大切です。以下のような点を押さえたうえで、戦略的に事業承継を行うようにしましょう。
【事業承継を戦略的に行う際の成功ポイント】
- 事業承継の準備期間・検討するタイミング
- 後継者選び・育成
- 親族外・M&Aによる事業承継は相手選びが重要
- 事業承継計画を立てる
- 適切な手法を選ぶ
- 専門家への相談
1.事業承継の準備期間・検討するタイミング
事業承継は、準備期間と承継後の育成期間を含めると、5年から10年かかるともいわれています。多くの経営者が考えているよりも、はるかに長い時間がかかるということを把握しておくことが大切です。
親族内事業承継と親族外事業承継の場合は後継者がほぼ決まっていることが多いので、検討するタイミングは早ければ早いほどよいことになります。
事業承継を検討するタイミングは、一般的に遅すぎる傾向があります。まだ自分は元気だから大丈夫と思って先延ばしにしてしまったり、事業承継のことがよく分からないので、なんとなく億劫に感じて後回しにしてしまうのはよくあるケースです。
2.後継者選び・育成
事業承継における後継者選びと育成は、親族内事業承継・親族外事業承継の場合と、M&Aによる事業承継の場合とで大きく異なります。
親族内事業承継・親族外事業承継の場合は、経営者の子供を選ぶにしろ従業員を選ぶにしろ、経営者より若くて経験の少ない人物を後継者に据えることになります。
そのため、後継者が経営者として一人前になれるように、現経営者が経営の心構えなどについて指導していくことが大切です。
一方、M&Aによる事業承継の場合は、後継者はすでに長年会社の経営に携わっていることが多く、年齢もまちまちです。
ですから、一から教育するというよりも、自社の経営理念や社風などをすり合わせていく統合プロセス(PMI)が重要になります。
3.親族外・M&Aによる事業承継は相手選びが重要
親族内事業承継では後継者の選択肢はほとんどありませんが、親族外事業承継とM&Aによる事業承継の場合は、まず誰を後継者に据えるのか選定する作業が重要になります。
いくら周到に事業承継の計画を進めても、後継者が経営者としての資質がなければどうしようもありません。
従業員を選ぶ時は、もちろん従業員として優秀な人物を選ぶべきですが、従業員として優秀な人物が必ずしも経営者として優秀とは限りません。
そのため、経営者が普段から社員のことをよくみて、従業員の経営者としての適性を見定めておく必要があります。
M&Aによる事業承継の場合は、経営者同士のトップ面談の段階で相手の人間性をよく観察しておくようにしましょう。
4.事業承継計画を立てる
事業承継は、ほとんどの経営者にとって初めてのことなので、どういう戦略で進めていけばよいか分からないこともあるでしょう。
事業承継をスムーズに進めるためには、事業承継計画書を作成して、大まかなスケジュールを書面にして把握しておくのがおすすめです。
事業承継計画書の決まった書き方はありませんが、例えば年ごとに10年分くらいの表を作って、各年度に何を行うかを記しておくといった方法があります。
現状の把握を行う
適切な事業承継計画を作成するには、前段階として自社の現状についてあらためて把握しておく必要があります。
顧客や取引先のリストや競合他社の状況の把握を始め、自社の強みと弱みの洗い出しなどを行うことで、どういうスケジュールで事業承継を行うべきか、どの事業承継手法を使うべきかなどがみえやすくなります。
将来性についてまとめる
事業承継は今後の会社の成長が重要なので、会社の将来性についてあらためてまとめておくとよいでしょう。
事業の中長期計画や後継者教育などについて書面にしてまとめておけば、事業承継のスケジュールも把握しやすくなり、M&Aの場合は買い手候補に資料としてみせることもできます。
5.適切な手法を選ぶ
事業承継の戦略は、まず親族内事業承継・親族外事業承継・M&Aによる事業承継のどれを選択するかが重要ですが、M&Aによる事業承継を選んだ場合は、さらにどのM&Aスキームを選択するかも重要です。
どのM&Aスキームを選択すべきかは専門家のサポートがないと判断が難しいので、M&A仲介会社などの専門家に相談して決めていくのが一般的です。
M&Aの手法
M&Aには、株式譲渡・事業譲渡・合併・会社分割・株式交換などさまざまな手法がありますが、中小企業の事業承継においては、ほとんどの場合株式譲渡を選択することになるでしょう。
株式譲渡とは、会社の株式を後継者に売却して経営権を譲り渡す手法で、手続きが比較的簡単なのが特徴です。
個人事業の場合は株式譲渡はできないので、事業にかかる資産を直接売却する事業譲渡が用いられます。
株式会社の場合でも、会社全部ではなく特定の事業だけを承継したいケースでは、事業譲渡を利用することができます。
6.専門家への相談
事業承継は、ほとんどの経営者にとって経験がないことがないため、事業承継の経験が豊富な専門家に相談することになります。
事業承継の相談先には、M&A仲介会社・銀行や信用金庫などの金融機関・会計士や税理士などの士業事務所・事業引継ぎ支援センターなどの公的機関といった選択肢があります。
M&A仲介会社以外の相談先では、事業承継のトータルなサポートはしてもらえず、相談のみで具体的な手続きは提携のM&A仲介会社に流すことも多いのが注意点です。
しかし、メインバンクや顧問税理士などは普段から付き合いがあり相談しやすいメリットがあるので、それぞれ一長一短があるといえるでしょう。
事業承継のメリット
M&Aによる事業承継は、後継者に会社を継がせること以外にもさまざまなメリットがあります。主なメリットには、以下の5つが挙げられます。
【事業承継のメリット】
- 後継者問題の解決
- 従業員の雇用先の確保
- 倒産・廃業の回避
- 事業の継続
- 創業者利益の獲得
1.後継者問題の解決
後継者問題を解決できるというのは、M&Aによる事業承継の最大のメリットの一つです。
特に、近年は親族内事業承継ができない会社が増えているので、それに代わる手段としてM&Aによる事業承継の普及が重要な課題となっています。
国もM&Aによる事業承継の利用を推進しており、公的機関の設置や法整備などを進めているので、今後はM&Aによる事業承継で後継者問題を解決する事例はさらに増えてくると考えられます。
2.従業員の雇用先の確保
従業員の雇用先を確保する目的で、M&Aによる事業承継を利用するという戦略もあります。
親族や従業員に後継者がおらず会社を廃業してしまうと、今まで育ててきた会社が消滅してしまうのはもちろん、働いていた従業員が働き口を失ってしまいます。
M&Aによる事業承継で会社を存続させれば、従業員の雇用先を確保することができます。
3.倒産・廃業の回避
倒産や廃業を回避するために、M&Aによる事業承継を利用するという戦略もあります。
経営基盤のしっかりした会社に自社を買い取ってもらうことで、財務を立て直して倒産・廃業を回避することができます。
倒産・廃業の危機にある会社は買い手を見つけるのが大変ですが、独自の強みを持っていたり、買い手側にとって何らかの魅力を感じる会社なら、事業承継が成功する可能性は十分にあります。
倒産しそうな会社など買い取ってもらえるはずがないと決めつけず、M&A仲介会社などに相談して最前の戦略を模索してみましょう。
4.事業の継続
何らかの事情で事業の継続が困難になった場合、M&Aによる事業承継を利用して、事業を引き継いでくれる相手を探すという戦略も非常に有効です。
M&Aによる事業承継は株式譲渡を利用することが多いですが、いくつか営んでいる事業のうち特定の事業だけが困難に陥っている場合、事業譲渡でその事業だけを売却するという戦略をとることもできます。
不採算事業やノンコア事業を買い取ってくれる企業がうまくみつかれば、事業の選択と集中をしつつ、コア事業のための資金を得ることができます。
5.創業者利益の獲得
株式譲渡でM&Aによる事業承継を実施すると、その売却益は株主のものになります。
経営者はほとんどの場合創業者として株式を保有しているはずですから、その場合利益は経営者に入ることになります。
経営者個人の利益ですから、そのお金を個人的な生活費などに回すことも可能です。
40代・50代で早めに創業者利益を得てアーリーリタイアするための戦略として、M&Aによる事業承継を活用することもできます。
事業承継の相談先
事業承継の相談先としては、主に以下の5つの選択肢があります。それぞれの特徴やメリット・デメリットを理解して、最適な相談先を選べるようにしておきましょう。
【事業承継の相談先】
- M&A仲介会社
- 地元の金融機関
- 地元の公的機関
- 地元の弁護士・会計士・税理士
- マッチングサイト
1.M&A仲介会社
M&A仲介会社とは、M&Aの仲介を専門に取り扱っている企業のことです。M&Aによる事業承継の相談先としては、最もオーソドックスな選択肢だといえるでしょう。
M&A仲介会社は買い手候補の豊富なネットワークを持っており、そのなかから最適な事業承継先を選定することができます。
事業承継をお考えの方は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所は、中堅・中小企業のM&A・事業承継をサポートするM&A仲介会社です。
M&A総合研究所では、事業承継の経験が豊富なアドバイザーが親身になって最適な戦略を提案します。
最短3か月というクロージングまでのスピードも強みで、事業承継の期間がとれない会社でも成約できるように全力でサポートいたします。
2.地元の金融機関
地方銀行や信用金庫といった地元の金融機関では、M&Aや事業承継に関する相談窓口が設けられているところがあります。M&A仲介会社以外の相談先の選択肢として、金融機関を利用するのもおすすめです。
いきなりM&A仲介会社に相談を持ちかけるのが気が引ける場合でも、普段から付き合いのあるメインバンクなら相談しやすいでしょう。
どのM&A仲介会社を選ぶか自分で決められない場合、金融機関の相談窓口で提携の仲介会社を紹介してもらうこともできます。
3.地元の公的機関
自治体や商工会議所、事業引継ぎ支援センターといった、地元の公的機関に相談するという選択肢もあります。
公的機関は、M&A仲介会社のようにM&A・事業承継に詳しいとは限らないのがデメリットですが、国や都道府県が運営している安心感はメリットだといえるでしょう。
公的機関ではM&A・事業承継の具体的な手続きは行わず、相談のみの受け付けであることが一般的です。結局は提携のM&A仲介会社に流されるので、二度手間になるのは注意点です。公的機関では、中小企業支援の補助金・助成金が受けられるので活用するのもおすすめです。
4.地元の弁護士・会計士・税理士
地元の弁護士・会計士・税理士といった、士業事務所に事業承継の相談を持ちかけるという選択肢もあります。
弁護士・会計士・税理士は必ずしもM&Aや事業承継に詳しいわけではないので、どの事務所に相談するかは慎重に選ぶ必要があります。しかし、普段から付き合いのある士業事務所なら相談しやすいでしょう。
ただし、M&A仲介会社のスタッフは弁護士・会計士・税理士の資格保有者であることが多いので、士業事務所でなければ会計や税務の専門的なサポートを受けられないわけではありません。
5.マッチングサイト
マッチングサイトとは、M&A・事業承継を希望する売り手が情報をサイトに掲載し、買い手がそれを見て交渉を持ちかけることができるサイトのことです。
マッチングサイトは、必ずしも専門家のもとで利用する必要はなく、経営者が自分だけで手続きを進めることもできるのが特徴です。
大手のマッチングサイトなら1,000件以上の登録案件があり、ほとんどの業種をカバーすることができます。
手数料もM&A仲介会社に比べると安く設定されていることが多く、特に売り手は完全無料となっているサイトが多くあります。
事業承継の事例
この章では、実際に行われた事業承継の事例から、どのような企業がどういったプロセスで事業承継に至ったのかを解説していきます。
【事業承継の事例】
- 機械の保守・点検サービス会社の事業承継事例
- 光学用品販売会社の事業承継事例
- 表面処理・メッキ会社の事業承継事例
- 木工製品・建材・合板メーカーの事業承継事例
- 印刷関連会社の事業承継事例
①機械の保守・点検サービス会社の事業承継事例
1973年設立の機械保守・点検サービス会社の事業承継事例です。この会社は従業員が170人ほどおり、やや規模の大きい中堅企業となります。
創業者の息子を後継者とする親族内事業承継の事例で、後継者は自らの意思でこの会社に入社し、約20年の勤務経験があります。
後継者は経営者としての能力も高く、他の社員や役員からの信頼も厚いということなので、事業承継としては非常にスムーズにいった事例といえるでしょう。
②光学用品販売会社の事業承継事例
1967年設立の光学用品販売会社を、創業者の息子が承継した親族内事業承継の事例です。社員は110名で、規模としては中堅の部類に入ります。
後継者の息子は学生時代から会社を継ぐ意思があり、大学卒業後あえて他社に就職して経験を積んだ後に家業に戻ります。
息子からみた家業会社は非効率でロスも多く、それを改善しようとして社長や社員が衝突するケースも少なくありませんでした。しかし、息子による経営改革はうまくいき、事業承継は結果的に成功となりました。
③表面処理・メッキ会社の事業承継事例
1958年創業の、表面処理・メッキ会社の事業承継事例です。従業員は約80名で、こちらも現経営者の息子が後を継ぐ親族内事業承継の事例となっています。
経営状態も良好で息子も早くから会社を継ぐ意思があり、現経営者(父親)や社員もそれを後押ししているという状態で、非常にスムーズに承継が進んでいきます。
息子は他社に数年間務めた後家業に戻り、生産現場・営業・財務・人事と業務の全般を経験して会社の全体像を理解します。
現在は息子は副社長として経営のノウハウを経験し、事実上の経営トップとして父親は後ろから後押しするというスタンスをとっています。
④木工製品・建材・合板メーカーの事業承継事例
1956年創業の木工製品・建材・合板メーカーの事業承継事例です。この会社は、当時(80年代)債務超過で倒産寸前の状態にあり、経営者の息子が立て直しのために半ば仕方なく後継者となります。
息子は、当初は経営が安定したら再び他の職に就くつもりでいたが、経営にやりがいを見出しそのまま後継者として経営に携わっています。
⑤印刷関連会社の事業承継事例
1949年創業の、印刷関連会社の事業承継事例です。祖父が創業し現社長は5代目で、経営立て直しのため外部から社長が出向したことがあったものの、基本的には親族が代々事業を継いでいます。
90年代に業績が落ち込んだ時期に現経営者が後を継いで事業承継し、リストラや不採算事業の整理などを行い経営を立て直しています。
業績不振による予定しない形の事業承継ですが、現経営者の改革が成功し承継がうまくいったケースとなっています。
まとめ
事業承継の戦略には、まず誰を後継者に据えるかによって親族内事業承継・親族外事業承継・M&Aによる事業承継の3種類があり、さらにM&Aには株式譲渡・事業譲渡といった戦略があります。
戦略について事前にしっかり理解しておくことが、事業承継を成功させるポイントです。
【事業承継の戦略の種類】
- 親族内事業承継
- 親族外事業承継
- M&Aによる事業承継
- 親族内事業承継の数が減少
- M&Aによる事業承継が増加
- 従業員への事業承継も増加
- 事業承継の準備期間・検討するタイミング
- 後継者選び・育成
- 親族外・M&Aによる事業承継は相手選びが重要
- 事業承継計画を立てる
- 適切な手法を選ぶ
- 専門家への相談
- 後継者問題の解決
- 従業員の雇用先の確保
- 倒産・廃業の回避
- 事業の継続
- 創業者利益の獲得
- M&A仲介会社
- 地元の金融機関
- 地元の公的機関
- 地元の弁護士・会計士・税理士
- マッチングサイト
- 機械の保守・点検サービス会社の事業承継事例
- 光学用品販売会社の事業承継事例
- 表面処理・メッキ会社の事業承継事例
- 木工製品・建材・合板メーカーの事業承継事例
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。