M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2025年10月27日更新事業承継
M&Aや事業承継で活用できる「事業承継・引継ぎ補助金」とは?メリットや申請方法をわかりやすく解説
後継者不在や資金不足でM&Aや事業承継にお悩みの経営者様へ。国の支援策「事業承継・引継ぎ補助金」を活用すれば、専門家の支援や設備投資費用の補助を受けられます。本記事では、そのメリットや申請のポイントを解説します。
目次
事業承継・引継ぎ支援事業とは?【2024年最新】
中小企業の事業承継は、日本経済の持続的な成長において極めて重要な課題です。帝国データバンクの調査によると、2023年時点での全国の経営者平均年齢は60.5歳に達しており、多くの企業が事業承継のタイミングを迎えています。
もし、日本の全企業の99.7%を占める中小企業が後継者不在などを理由に廃業を選んだ場合、貴重な技術や多くの雇用が失われ、経済に深刻な影響を及ぼしかねません。
こうした事態を防ぐため、国は「事業承継・引継ぎ支援事業」を通じて、中小企業の円滑な事業承継を強力に後押ししています。
事業承継・引継ぎ支援で得られる3つの主要メリット
事業承継・世代交代集中支援事業で得られるメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。この章では、事業承継・世代交代集中支援事業で得られる3つの主なメリットについて解説します。
【事業承継・世代交代集中支援事業で得られるメリット】
- 後継者問題の悩みを解決に導いてもらえる
- 専門家のサポートを受けられる
- 設備投資などの支援が受けられる
後継者問題の悩みを解決に導く
事業承継・世代交代集中支援事業で得られるメリット1つ目は、後継者問題の悩みを解決に導いてくれることです。
後継者不在などの事業承継に関する問題の解決は、事業の引き継ぎが必要な中小企業にとって大きな課題となっています。
事業承継・世代交代集中支援事業は、全国各地に構築されたネットワークを中心として後継者問題の悩みを解決に導き、事業承継のニーズを掘り起こす役割を担っています。
M&Aや事業承継計画の策定支援
メリットの2つ目は、M&Aや事業承継に関する高度な専門家のサポートを受けられる点です。全国47都道府県に設置されている「事業承継・引継ぎ支援センター」では、事業承継診断を無料で受けられます。
その結果に基づき、M&Aアドバイザーや弁護士、税理士といった専門家が事業承継計画の策定を支援し、実行までを伴走してくれます。
専門家を活用することで、自社だけでは難しい後継者探しや複雑なM&Aの手続きもスムーズに進められ、経営課題の解決にもつながります。
設備投資などの支援が受けられる
メリットの3つ目は、事業承継後の新たな挑戦にかかる費用の一部を「事業承継・引継ぎ補助金」によって支援してもらえることです。
この補助金は、事業承継やM&Aをきっかけに経営革新や事業転換に取り組む中小企業を対象としており、設備投資や店舗・事務所の改修費用、販路開拓にかかる広告宣伝費など、幅広い経費が補助対象となります。
補助金の活用により、資金的な負担を軽減しながら事業の成長を加速させられる点は、大きな魅力です。
事業承継・世代交代集中支援事業の事業の内容
事業承継・世代交代集中支援事業の事業とは、具体的にはどのような内容になっているのでしょうか。この章では、中小企業庁が示している事業内容を紹介します。
1.事業目的・概要
事業承継・世代交代集中支援事業の事業目的・概要として、中小企業庁では以下の2つを挙げています。
- 事業承継についてプッシュ型で支援を行うこと
- 事業承継後の生産性向上支援と後継者の確保・育成を行うこと
今後10年程度は事業承継の件数が大きく増加すると考えられているため、政府はこの期間を集中実施期間と位置付けています。
その事業承継のニーズを掘り起こし、専門家の派遣などを行って集中的に支援を後押しすることを1つ目の目的として挙げています。
また、多くの中小企業が円滑に事業承継を行うためには後継者不足の解決が必要であるため、事業承継・世代交代集中支援事業では後継者候補の育成に対する補助金支給も行っています。
それ以外に、事業承継を契機に経営革新や生産性向上に挑戦する中小企業も補助金の対象としています。
2.成果目標
中小企業庁は、事業承継・引継ぎ支援事業を継続的に推進しており、2024年度(令和6年度)予算においても約155億円を計上し、支援体制を強化しています。
過去には具体的な件数目標を掲げていましたが、現在は事業承継・引継ぎ補助金などを通じて、より多くの事業承継やM&Aを創出することを目指しています。特に、生産性向上や経営革新につながる意欲的な取り組みを重点的に支援する方針を打ち出しており、今後も積極的な活用が期待されます。
3.条件
事業承継・世代交代集中支援事業の支援対象となるのは、休業や廃業のリスクが高い中小規模の事業者、事業承継を契機として経営革新等を試みようとする中小企業です。
具体的には、後継者に自社(事業)の引き継ぎを行う場合や、M&Aを活用して第三者へ事業承継する場合が対象となっており、事業承継補助金や専門家によるアドバイスなどの支援を受けることができます。
事業承継補助金にはベンチャー型・生産性向上枠と原則枠とがあり、支給割合と要件が異なります。要件や申請に必要な手続き・書類については、中小企業庁が公表している事業承継・世代交代集中支援事業のホームページ上で確認することができます。
事業承継・世代交代集中支援事業の事業のイメージ
事業承継・世代交代集中支援事業の事業イメージとして、中小企業庁では以下の3つを紹介しています。この章では、それぞれの内容について解説します。
【事業承継・世代交代集中支援事業の事業のイメージ】
- プッシュ型事業承継支援高度化事業
- 事業承継補助金
- 承継トライアル補助金
1.プッシュ型事業承継支援高度化事業
事業承継・世代交代集中支援事業は、プッシュ型事業承継支援高度化事業という位置付けになっています。プッシュ型事業承継支援高度化事業では、事業承継診断で掘り起こされた事業承継のニーズに対し、専門家派遣などを実施して事業承継を後押しします。
さらに、プロフェッショナル人材拠点などを活用する取り組みやサプライチェーンにおける事業承継を効率的に進めるための取り組みなどを重点的に支援します。
2.事業承継補助金
事業承継・引継ぎ支援事業では、要件を満たす事業者に対して「事業承継・引継ぎ補助金」による支援を行っています。
この補助金は、M&Aを含む事業承継をきっかけに経営革新や事業転換に挑戦する中小企業に対し、設備投資や販路開拓などにかかる費用を補助するものです。補助金の類型や要件によって補助率・補助上限額は異なりますが、事業の成長に繋がる前向きな投資を後押しする制度設計となっています。
また、事業承継に伴う廃業費用の一部も補助対象となる場合があり、事業の再構築を幅広く支援します。
3.承継トライアル補助金
事業承継・世代交代集中支援事業には、承継トライアル補助金という制度もあります。事業承継が困難になる大きな要因ともなっているのは、後継者となる人物がいないことです。
承継トライアル補助金では、後継者不在の事業者が外部からの後継者候補を試験的に雇用する場合、その後継者育成にかかる費用を支援しており、第三者承継を促進する狙いがあります。
事業承継・引継ぎ補助金の主要な3つの類型と注意点
事業承継・引継ぎ補助金は、目的別にいくつかの類型(枠)に分かれています。ここでは代表的な3つの類型と、申請時の注意点を解説します。
 
1. 経営革新類型
経営革新類型は、事業承継やM&Aを機に、新たな商品・サービスの開発や生産性向上のための設備投資、販路開拓など、経営革新に取り組む事業者を支援するものです。補助対象経費の範囲が広く、多くの事業者が活用しやすい類型といえます。
2. 専門家活用類型
専門家活用類型は、M&Aによる事業承継を進める際に必要となる専門家への依頼費用を補助するものです。具体的には、M&A仲介手数料やデューデリジェンス(企業調査)費用、企業価値評価費用などが対象となります。これにより、専門家活用のハードルが下がり、質の高いM&Aの実現を後押しします。
 
3. 廃業・再チャレンジ類型
この類型は、事業承継に伴って既存事業の一部を廃業する場合の費用や、事業承継を機に新たな事業に挑戦(再チャレンジ)する際の費用を支援するものです。事業の再構築を円滑に進めるためのセーフティネットとしての役割も担っています。
※注意:公募回によって類型の名称や要件、補助上限額は変動します。申請を検討する際は、必ず中小企業庁や補助金事務局の公式ウェブサイトで最新の公募要領を確認してください。
 
事業承継・引継ぎ補助金の申請方法と流れ
事業承継・引継ぎ補助金を活用するには、公募期間内に電子申請システム(Jグランツ)を通じて申請手続きを行う必要があります。
申請には、補助対象期間内に事業承継を完了する(または完了している)ことが大前提となり、各類型で定められた要件を満たさなければなりません。提出書類の中心となる事業計画書では、自社の現状分析、事業承継後の取り組み、その実現性や収益性などを具体的に示すことが採択の重要なポイントです。
公募要領は毎回更新されるため、中小企業庁の公式サイトで最新情報を確認し、早めに準備を始めることをおすすめします。
事業承継についての相談
事業承継・世代交代集中支援事業では、M&Aを活用した第三者への事業承継も支援対象になっています。制度を上手に活用してM&Aによる事業承継を行うためには、専門家のサポートを受けるのがベストです。
M&A総合研究所では、豊富なM&A実績と幅広い専門知識をもつアドバイザーが、M&Aによる事業承継を丁寧にサポートいたします。
料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)
無料相談は24時間お受けしておりますので、事業承継・世代交代集中支援事業を利用したM&Aをお考えの経営者様は、お電話またはメールフォームよりお気軽にご連絡ください。
まとめ
日本経済の活力を維持するため、中小企業の事業承継は喫緊の課題です。国は「事業承継・引継ぎ支援事業」を通じて、M&Aを含む多様な形の事業承継を後押ししています。
特に「事業承継・引継ぎ補助金」は、資金面の負担を軽減し、承継後の成長を後押しする強力なツールです。事業の引継ぎやM&Aを検討している経営者の方は、ぜひ本制度の活用を検討してみてはいかがでしょうか。
【事業承継・引継ぎ支援で得られるメリット】
後継者探しを専門家がサポートしてくれること
M&Aや事業承継計画の策定を支援してもらえること
事業革新にかかる費用の一部を補助してもらえること
【事業承継・引継ぎ支援事業の目的・概要】
プッシュ型の支援で事業承継のニーズを掘り起こすこと
事業承継後の生産性向上や後継者の育成を支援すること
【事業承継・引継ぎ支援事業の主な施策】
事業承継・引継ぎ支援センターによる相談対応・専門家派遣
事業承継・引継ぎ補助金による資金的支援
後継者育成プログラムの提供
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。