2021年5月18日更新会社・事業を売る

事業買収とは?成功事例15選、成功戦略をご紹介

事業買収は企業または企業の一部を買収することであり、新規事業の参入や事業の強化・補強といったメリットがあります。近年ではさまざまな業界で行われており、個人が開業する手段としても用いられます。事業買収の具体的な戦略や事例などについて解説します。

目次
  1. 事業買収とは
  2. 事業買収M&Aが選ばれる理由
  3. 事業買収の成功戦略
  4. 事業買収後の成長戦略
  5. 事業買収が失敗する要因
  6. 事業買収の成功事例15選
  7. まとめ
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事業買収とは

事業買収とは、企業や企業の一部門を買収することであり、同業の事業を買収して事業強化や事業拡大につなげる場合や他の事業を買収して新規参入を図る場合など、実施する目的は多岐に渡ります。

企業は経営を進める中でさまざまな経営戦略を立てて実行していきますが、その1つがM&Aです。企業の買収や事業の買収はM&A手法の1つであり、今後のM&A活性化に伴ってさまざまな形で事業買収が進んでいくと予想されます。この記事では、事業買収の具体的な戦略や事例などについてご紹介していきます。

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事業買収M&Aが選ばれる理由

事業買収M&Aの実施には大きなメリットがあるため、それが選ばれる理由になっています。ここでは、事業買収M&Aが選ばれる具体的な理由についてご紹介します。

新規事業を開始しやすい

自社だけで新規事業を開始する場合、開始までに多くの手間と時間がかかり、これまで行ってこなかった事業を始める以上、一から事業基盤を築き上げる必要があるために軌道に乗るまでにも時間が必要です。

一方で、M&Aによって事業を買収すれば比較的短期間で新規事業を開始でき、買収した企業・部門がすでに事業基盤を持っているため軌道に乗るまでの期間も短縮できることから、自社で一から新規事業を開始するよりも低コストでの実現が可能になります。

また、開業を志す人にとってはこのメリットが大きな意味を持ちます。事業の開始はリスクと隣り合わせであり、失敗する可能性もあります。しかし、M&Aによって事業買収を行うことで顧客の確保や事業の安定継続がしやすくなります。

事業強化につなげやすい

事業買収のメリットは新規事業への参入だけではなく、同業の企業・事業を買収することでその事業におけるサービス体制や競争力を強化できます。例えば、事業エリアや販路の拡大、新しい顧客・取引先の獲得などが実現すれば自社の事業は強化されます。

また、事業買収は事業補強としても有効です。同じ業種の企業であっても、それぞれによって得意・不得意な分野があります。そこで、自社で不得意な分野を得意とする同業の企業を事業買収して優秀な人材や専門技術などを確保すれば、その事業の補強を比較的簡単に行えます。

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事業買収の成功戦略

ここでは、事業買収を成功に導く具体的な戦略をご紹介します。

リスクの調査・検証が重要

企業そのものを取り込む買収は、その企業の債務なども承継するためリスクも高いです。特に個人事業主や中小企業は融資により資金調達するのが一般的であり、訴訟リスクも見逃せません。そのため、買収対象となる企業・部門の財務状況や法的な問題の有無などさまざまな部分の調査・検証が必要です。

この調査・検証はデューデリジェンスと呼ばれ、事業買収における重要なプロセスであり、その結果次第では事業買収を一度白紙に戻すことも考えなければなりません。

自社の強み・弱みを明確にする

高いシナジー効果を創出するためには、自社の強み・弱みを明確にする必要があります。例えば、事業買収によって事業を補強するには、そもそもどの部門が弱いのかをわかっていないといけません。また、事業エリアを拡大するにしても、シェアが低い地域や進出したい地域を具体的にする必要があります。

ただ漠然と事業を補強・強化したいと考えて事業買収を行ったとしても、シナジー効果の創出は難しく大きなメリットが得られなくなります。

専門家の起用

事業買収の実施には多くの時間が必要であり、場合によっては1年以上かかるケースもあります。その間、相手企業と交渉して取引価格などを決めることや、各段階で法務、財務、税務の知識が必要となるため専門家のサポートが有用です。

専門家を起用すれば、事業買収の検討段階から各プロセスにおいて適切なアドバイスを受けながら進めていくことができます。

M&Aをご検討の際は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所にはM&Aに関する知識・経験が豊富なアドバイザーが多数在籍しており、培ってきたノウハウを活かしてM&Aをフルサポートいたします。

通常、M&A取引には半年から1年程度の期間がかかりますが、M&A総合研究所ではスピーディーなサポートを実践しており、最短3カ月での成約実績も有しています。

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事業買収後の成長戦略

事業買収は買収をして終わりではなく、その後に新体制のもとでスタートするための計画も立てて、成長戦略へと素早く移行する必要があります。ここでは、事業買収後の成長戦略により早く着手できるようにするポイントをご紹介します。

従業員のモチベーション向上

成長戦略は買収した会社・部門の従業員が、自社の従業員とともに支えてくれることが大前提です。従業員の離脱やモチベーションの低下は成長戦略の弊害となり、企業にとっては大きな損失となります。

そのため、買収後には経営者と従業員、従業員同士でしっかりコミュニケーションを取り、事業買収の目的やビジョンを共有しなくてはなりません。事業買収は経営者だけが当事者になるわけではなく、従業員がいてこそ成功するものであると常に意識する必要があります。

もちろん、事業買収のプロセスにおいて従業員の待遇などについて話し合いますが、それを買収後に実行してこそ意味があります。事業買収後に活躍する従業員の立場をしっかりと考え、モチベーションを向上させるよう尽力しましょう。

計画的な統合

事業買収後は統合プロセス(PMI)を計画的に行うことが重要です。成長戦略に本腰を入れて取り組むためには、会計や法務、情報システムなどを迅速に統合する必要があります。そのためには統合の具体的な計画を立てておくことが大事です。

そして、それを実際に行うのは従業員であり、従業員のモチベーションが低ければ迅速に統合を進めていくことができません。さきほどもお伝えした従業員のモチベーション向上は、計画的な統合をより早く進めていくためにも不可欠なのです。

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事業買収が失敗する要因

M&Aの成功率は3割~5割ほどといわれているように、事業買収が失敗するケースも多くあります。原因はさまざまありますが、主に以下のことが失敗する要因となります。

  1. 企業の信用が低い
  2. 事業買収後のリスクの発覚
  3. 計画性のない戦略

①企業の信用が低い

主に売り手となる企業において、事業買収交渉の途中で根拠のない、または根拠が薄い理由で条件変更を申し出る経営者は少なからずいますし、株式の管理や議事録を作成していない企業も少なくありません。

また、中にはコンプライアンスを順守していない企業もおり、信用が低い企業を買収してもその後の統合で苦労することになりますし、場合によっては訴訟リスクが明るみに出る可能性があります。そのような会社は、信用が低いことが原因で事業買収が失敗しやすいです。

②事業買収後のリスクの発覚

デューデリジェンスをしっかりと行っていない場合、事業買収後に簿外債務や訴訟などのリスクが発覚し、財務の悪化や訴訟への対応に追われることになります。場合によっては、それが信用の低下につながって顧客や取引先が離れてしまう原因にもなります。

これはもう、事業買収が失敗したと言っても過言ではない状況です。

③計画性のない戦略

事業買収において、最も重要なのが計画性です。しっかりとした計画を立てないまま事業買収を進めてしまうと、相場よりも高い価格で買収することにつながりますし、売り手は希望額よりも大幅に少ない価格で売却してしまう可能性があります。

また、計画性のない事業買収戦略は株主の反発を受けやすく、相手企業との交渉がうまくいったとしても事業買収が頓挫してしまいます。また、事業買収にばかりに気を取られて業績が悪化するケースもあり、そうなると事業買収どころの話ではなくなってしまいます。

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事業買収の成功事例15選

それでは、事業買収の成功事例を具体的に見ていきましょう。今回ご紹介するのは、以下の事例です。

  1. ヤマダ電機によるレオハウスの買収
  2. アークランドサービスホールディングスによるミールワークスの買収
  3. オイシックスによるらでぃっしゅぼーやの買収
  4. 豊田自動織機によるファンダランデ社の買収
  5. コマツによるジョイ・グローバル社の買収
  6. ソフトバンクによるARM社の買収
  7. 日本電産によるエマソンのモータ・ドライブ事業と発電機事業の買収
  8. 帝人によるCSP社の買収
  9. 鴻海によるシャープの買収
  10. 東京海上日動によるHCC社の買収
  11. 第一生命によるプロテクティブの買収
  12. キヤノンによるアクシス社の買収
  13. ミツカンによるユニリーバのソース部門の買収
  14. サントリーホールディングスによるビーム社の買収
  15. サントリー食品による日本たばこ産業(JT)の自販機事業の買収

①ヤマダ電機によるレオハウスの買収

2020年、家電製品を販売するヤマダ電機は、注文住宅の建築などを手がけるレオハウスを買収しました。レオハウスは満足度の高いオーダーメイドの住宅を強みにしており、ヤマダ電機は買収によってかねてより展開している住宅をまるごとコーディネートする事業の向上を実現させています。

②アークランドサービスホールディングスによるミールワークスの買収

2020年、飲食店を展開するアークランドサービスホールディングスは、同じく飲食店を展開するミールワークスを買収しました。いずれの会社も飲食店の経営やフランチャイズチェーンの運営など共通する事業を手掛けており、ノウハウの共有によって新事業拡大などの事業強化を実現しました。

③オイシックスによるらでぃっしゅぼーやの買収

2018年、高級宅配サービスを手がけるオイシックスは、同様の事業を展開する「らでぃっしゅぼーや」を買収しました。買収額は10億円とされており、積極的な顧客獲得戦略を掲げていたオイシックスは、らでぃっしゅぼーやの買収によって物流の効率化や会員拡大につなげています。

また、NTTドコモ傘下で業績に苦戦していたらでぃっしゅぼーやも、同業のオイシックスとの経営統合によって顧客拡大などを実現しました。

④豊田自動織機によるファンダランデ社の買収

2017年、豊田自動織機は物流ソリューション事業を展開するオランダのファンダランデ社を買収しました。買収額は1,400億円とされ、ファンダランデ社は世界50ヵ所の拠点を中心にグローバルな物流ソリューション事業を展開しています。

豊田自動織機はファンダランデ社を買収することにより、グローバルな分野も含めた物流ソリューション事業の拡大・強化につなげています。また、eコマースの成長に伴って物流システム市場の発展が見込まれる中、将来的な需要増も見込んだ買収事例でもあります。

⑤コマツによるジョイ・グローバル社の買収

2016年、建設機器メーカー最大手のコマツはアメリカの鉱山機械メーカーであるジョイ・グローバル社を買収しました。買収額は3,000億円程度であり、コマツは買収によって大型の積込機や今後需要が伸びる坑内掘り機械といったラインアップの拡張や、北米での販売・サービス体制の強化につなげています。

⑥ソフトバンクによるARM社の買収

この事例は、国内企業の大型買収として有名な事例です。2016年、ソフトバンクはイギリスの半導体設計大手のARM社を買収し、買収金額は約3.3兆円と日本の買収としては過去最高となりました。ARM社は半導体の知的所有権(IP)におけるリーディングカンパニーとしても知られています。

ARM社の買収によりソフトバンクはIoT化で急増している半導体需要の取り込みを実現しました。ソフトバンクは将来的なトレンドを踏まえたM&Aに積極的でしたが、ARM社の買収もそうした事例の1つです。

⑦日本電産によるエマソンのモータ・ドライブ事業と発電機事業の買収

2016年、総合モーターメーカーの日本電産は、アメリカのエマソン・エレクトリック(以下、エマソン)のモータ・ドライブ事業と発電機事業を買収することを発表しました。買収額は約1,225億円とされ、翌年に事業の買収が完了しています。

日本電産は2010年にもエマソンからモータ&コントロール事業(現:日本電産モータ)を買収しており、日本電産モータを軸に産業用・商業用事業の強化を進めていました。エマソンのモータ・ドライブ事業と発電機事業の買収もこの戦略の1つで、産業用・商業用事業の強化・発展につなげています。

⑧帝人によるCSP社の買収

2016年、繊維事業会社の帝人は、アメリカの自動車向け複合材料成形メーカーのCSP社の買収を発表し、翌年1月にはCSP社の完全子会社が完了しました。買収金額は850億円とされ、CSP社は北米最大の自動車向け複合材料成形メーカーとして知られています。

帝人は自動車の量産部品への適用を見据えた事業拡大を進めており、自動車向け複合材料製品事業の展開を図っていました。CSP社の買収により、帝人は北米での自動車向け複合材料製品事業における販売チャネルの獲得、グローバル展開を実現しています。

⑨鴻海によるシャープの買収

こちらは、外国企業による日本企業の買収事例です。台湾の鴻海によるシャープの買収は2016年に実行され、66%の株式に対する出資額は4,890億円とされています。シャープは長年赤字が続き、経営再建の必要に迫られていました。

そうした状況の中、電子機器などの受託製造で世界トップの鴻海による買収が行われ、シャープの経営再建につなげています。国内電機メーカー大手のシャープがV字回復したという、非常に有名なM&A事例でもあります。

⑩東京海上日動によるHCC社の買収

2015年、日本有数の保険会社の東京海上日動はアメリカのスペシャリティ保険大手のHCC社を買収しました。9,400億円という高額な価格での買収となりましたが、東京海上日動は海外のポートフォリオ拡大を目指し、買収によってリスク分散や資本効率の向上につなげています。

⑪第一生命によるプロテクティブの買収

こちらも、海外のポートフォリオ拡大や海外事業の拡大を実現した事例です。2015年に第一生命はアメリカの生命保険会社プロテクティブを買収しました。買収額は5,000億円とされ、プロテクティブは600万人近くの顧客基盤を持っています。

第一生命はプロテクティブを買収することにより、成長が著しい北米市場での事業拡大とポートフォリオの拡大につなげています。

⑫キヤノンによるアクシス社の買収

こちらは、需要拡大を見込んで新規事業を強化させた事例です。2015年、キヤノンは監視カメラ大手のアクシス社を買収しました。買収価格は2,900億円とされ、その後に残りの株式を買収して完全子会社化しています。

デジタルカメラ市場の縮小に伴い、キヤノンは監視カメラ事業にも参入しており、スウェーデンの監視カメラ企業のアクシス社を買収したことで、キヤノンは監視カメラ市場のトップシェアを獲得しています。

⑬ミツカンによるユニリーバのソース部門の買収

2014年、北米を重視した海外戦略をとるミツカンは、ユニリーバのパスタソース事業を買収しました。買収額は2,150億円とされ、買収対象は全米のパスタソース市場で25%のシェアを有する「Ragu(ラグー)」と、プレミアムパスタソース市場で8%のシェアを有する「Bertolli(ベルトーリ)」に関する事業です。

ミツカンはユニリーバのパスタソース事業を買収することで北米事業を強化したほか、ブランド事業への注力、グローバル展開の基盤強化などにつなげています。

⑭サントリーホールディングスによるビーム社の買収

2014年、国内トップシェアのサントリーホールディングスは北米のウイスキー市場で大きなシェアを持つビーム社を買収しました。買収額が1.6兆円の高額な事例であり、サントリーホールディングスはこの買収により、国産ウイスキーの海外展開に加えて海外ウイスキーの国内展開にもつなげています。

⑮サントリー食品による日本たばこ産業(JT)の自販機事業の買収

2014年、サントリーホールディングスの子会社で清涼飲料水と食品を扱うサントリー食品はJTの子会社のジャパンビバレッジホールディングスを買収しました。買収額は1,500億円とされ、ジャパンビバレッジホールディングスはJTの自販機オペレーションと「桃の天然水」などのブランドを扱っています。

ジャパンビバレッジホールディングスの買収によって、サントリー食品は販売チャネルの獲得などを実現しました。

まとめ

事業買収には新規事業の参入や事業の強化・補強といったメリットがあり、M&A事例として近年ではさまざまな業界で行われています。それぞれの事業基盤を活かし、補強すべきところは補強し、拡大できるところは拡大して大きなシナジー効果の創出が可能です。

一方で、事業買収を成功させるには自社の強み・弱みの分析、対象企業の詳細な調査・検証などが必要であり、それを踏まえて戦略を立てなくてはなりません。また、事業買収後の事業がスムーズに進むためには、従業員のモチベーション向上や計画的な統合が重要です。

事業買収の代表的な成功事例は「買収後に何を実現できたか」という点がはっきりしています。買収後のシナジー効果などを見据え、事前に綿密な戦略を立てていたことがわかります。事業買収を成功に導くためには、成功事例の分析なども含めそれぞれのポイントを踏まえた戦略・計画の策定が必要になります。

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