2020年1月30日更新会社・事業を売る

企業結合とは?種類や独占禁止法の規制やM&Aの会計処理をわかりやすく解説

企業結合は、日本会計基準とIFRS(国際会計基準)とでは定義が異なり、取得資産が「事業」に該当するのか「単なる資産の集合体」に該当するのかによって会計処理が変わってきます。ここでは、企業結合の意味、独占禁止法が定める企業結合規制、M&Aの会計における企業結合について解説します。

目次
  1. 企業結合とは?
  2. 企業結合の種類
  3. 独占禁止法が定める企業結合規制
  4. 各M&A手法ごとの会計処理
  5. 取得原価の算出とパーチェス法の基礎
  6. まとめ
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企業結合とは?

企業結合とは「企業(事業)同士を一つに統合すること」をさし、手続きが厳格に設定されています。小規模なM&Aを実施する方も、企業結合に関する知識を持っておいて損はありません。

そもそも企業結合とは、一体何を意味するのでしょうか?まずは、企業結合の意味について簡単にご説明します。

企業結合の意味とは?

企業結合の意味に関しては、「企業結合会計基準」にて下記の通り規定されています。

  • ある企業又はある企業を構成する事業と他の企業又は他の企業を構成する事業が 1 つの報告単位に統合されることをいう

上記の定義を簡単にすると、企業結合とは「企業(事業)同士を一つに統合すること」をさします。企業結合には、以下の3つが含まれます。

  1. 他会社の支配
  2. 共同支配企業の形成
  3. 共通支配下の取引

しかし、これはあくまで日本会計基準における企業結合の意味であり、国際会計基準であるIFRSでは意味合いが異なります。

IFRSでは、以下の2つが該当します。

  1. 他会社の支配
  2. 共同支配企業の形成

つまり、IFRSでは、「共通支配下にある企業同士の企業結合」が企業結合に含まれません。企業結合と一口に言っても、日本会計基準とIFRSでは定義が異なるので注意しましょう。今回の記事では、日本会計基準に基づいて企業結合を解説します。

企業結合における「事業」の定義

企業結合の対象となる事業は、「企業活動を行うために組織化された、有機的一体として機能する経営資源」と定義されています。つまり、企業結合の対象事業となるためには、移転する資産や負債が事業を構成している必要があります。

また、取得した資産や負債が事業を構成していれば「企業結合」の会計ルールが適用される一方で、単なる資産の集合体であれば企業結合の会計ルールは適用されません。株式の過半数取得や事業譲渡であれば、企業結合に該当すると考えられます。

M&Aを実行する際は、事業と資産の集合体で会計処理の方法が異なるため、取得資産が「事業」に該当するのか「単なる資産の集合体」に該当するのかを判断しなくてはなりません。そうした判断を含めM&Aに関することで不安に思ったら、迷わず専門家の力を借りましょう。

まずは一度M&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、M&Aアドバイザーをはじめ、M&A専門の会計士と弁護士が親身にサポートいたします。事前相談も無料で承っておりますので、お気軽にご相談ください。

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企業結合の種類

企業結合と一口に言っても、さまざまな種類があります。企業結合は、企業会計基準委員会が定めた「企業結合に関する会計基準」により下記3種類に分類されます。

  1. 取得
  2. 共同支配企業の形成
  3. 共同支配下の取引

①取得

「取得」とは、ある企業が他の会社もしくは会社を構成する事業の支配権を獲得することを意味します。後述する「共同支配企業の形成」や「共同支配下の取引」に該当しない企業結合は「取得」に該当することになります。

「取得」にはさまざまな意味合いを含みますが、一般的には事業買収のことをさします。そして、取得に該当する企業結合では、当事企業のどちらかが取得企業となります。取得企業の決定に関しては「連結財務諸表に関する会計基準」にて規定された「支配力基準」を用います。

支配力基準を用いても取得企業が明確とならない場合は、対価の授受や議決権比率、企業の規模などをベースに判断しますが、基本的には買い手側が「取得企業」となるケースがほとんどです。

②共同支配企業の形成

「共同支配企業の形成」とは、複数の独立した企業が契約などに基づいて、共同支配企業を形成する企業結合です。共同支配企業とは、複数の企業が共同で支配する企業を意味しており、イメージ的には合併会社に近いものです。

③共通支配下の取引

「共通支配下の取引」とは、結合当事企業のすべてが企業結合の前後で同一株主により支配され、かつその支配が一時的ではない企業結合を意味します。つまり、共通支配下の取引とは、グループ会社内でのM&Aをさします。

これは例えば、子会社同士の合併や、親会社と子会社の合併などが共通支配下の取引にあたるものとなります。よって、グループ内再編を目的としたM&Aは、共通支配下の取引に該当するといえるでしょう。

共通支配下の取引に該当するM&Aを検討されている方も、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所は、M&Aに関するお悩みを一緒に解決いたします。M&Aの経験が豊富なアドバイザーがフルサポートいたしますので、安心してご相談ください。

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独占禁止法が定める企業結合規制

実行する企業結合の規模次第では、独占禁止法に抵触する可能性があるので注意が必要です。独占禁止法に違反しないためにも、企業結合規則に関しては事前に把握しておきましょう。

①独占禁止法における企業結合規則とは

企業結合を行った際、業界の競争を実質的に制限することになってしまうことを避けるという目的で規定されている規則を独占禁止法の企業結合規則と言います。独占禁止法では、「株式取得」「事業の譲受け」「合併」「会社分割」「共同株式移転」「役員兼任」を企業結合規則の対象としています。

この「企業結合規則」が存在しなければ、企業結合による寡占・独占化が進み、市場での自由な競争が阻害されます。市場の公平性を維持する上で、独占禁止法の企業結合規則は非常に重要な意味を持っているのです。

②企業結合規則の事前届出と審査

独占禁止法では、一定要件に該当する企業結合を実施する会社に対して、事前届出を義務付けています。しかし、この「一定要件」は非常に複雑に設定されているため、判断に迷ったときは公正取引委員会に相談することをオススメします。

事前届出が受理されると、公正取引委員会が当該企業結合を審査します。基本的には、届出受理日から30日を経過するまでの間は企業結合を実行できません。しかし、さらに詳細な審査が必要であると公正取引委員会が判断した場合は、企業結合を実行できない期間が延長されるので注意が必要です。

③独占禁止法における企業結合の実行可否基準

公正取引委員会は、「競争を実質的に制限することになるのかどうか」という基準で、企業結合の実行可否を判断します。ここで言う「競争を実質的に制限する」とは、企業結合によりその市場が非競争的になり、当事会社単独で(もしくは他社と協調することで)、価格や数量などを自由に動かせる状況を作り出すことをさします。

また、対象事業者が企業結合の実行可否を事前に判断できるように「セーフハーバー基準」が設定されています。セーフハーバー基準を満たす場合には、原則として競争を実質的に制限することにはならないと見なされ、企業結合を実施することができます。

セーフハーバー基準では、「HHI」と呼ばれる指標が用いられます。「HHI」とは市場の集中度を測る指標のことで、各企業のシェアの2乗の総和で求めることができます。

水平型企業結合のセーフハーバー基準は、下記の通りです。

  1. 企業結合後のHHIが1,500以下
  2. 企業結合後のHHIが1,500超2,500以下であって、かつHHIの増加分が250以下である
  3. 企業結合後のHHIが2,500を超え、かつHHIの増加分が150以下である

上記に該当する企業結合であれば、原則独占禁止法による規制を受けません。合併などの企業結合を実行する際は、必ずセーフハーバー基準を満たすかどうかを確認しましょう。

各M&A手法ごとの会計処理

企業結合には、「取得」「共同支配企業の形成」「共通支配下の取引」の3種類がありますが、各M&A手法ごとに会計処理が異なります。ここでは、各M&A手法ごとの会計処理について解説します。

①「取得」の場合

取得に該当する企業結合に関しては、「パーチェス法」を用いて会計処理を行います。パーチェス法では、時価で資産などを引き継いで算出します。パーチェス法については後述します。

②「共同支配企業の形成」の場合

共同支配企業の形成に該当する企業結合に関しては、「持分プーリング法」に準じた方法で会計処理します。つまり、共通支配企業形成のM&Aでは、簿価をそのまま引き継ぐことになります。企業結合の前後で帳簿価額が異ならないよう注意する必要があります。

③「共通支配下の取引」の場合

「共通支配下の取引」に該当する企業結合に関しても、簿価による引き継ぎを行います。

以上が企業結合における会計処理です。企業結合の種類ごとに、必要となる会計処理が異なるため、何から始めればいいかわからない方もいらっしゃるでしょう。M&Aに関することで悩んだら、まずは一度M&A総合研究所にご相談ください。

M&A仲介会社であるM&A総合研究所は・専門的な知識や経験が豊富なアドバイザーが在籍しており、培ったノウハウを活かしM&Aをフルサポートいたします。

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取得原価の算出とパーチェス法の基礎

日本で実行される企業結合のほとんどは「取得」により実施されています。取得に該当する企業結合では、パーチェス法が適用されるため、パーチェス法については詳しく知っておく必要があるでしょう。ここでは、パーチェス法の基本的な考え方のみご紹介します。

①取得原価の算出

取得による企業結合では、取得する会社側が取得される企業(事業)の取得原価を算出した後、取得原価を基に資産や負債などの会計処理を実施します。「取得原価」とは、資産の購入のために費やした原価のことです。

また、パーチェス法では、企業結合日における時価を用いて取得原価を算出することになります。持分プーリング法では簿価を用いるのに対し、パーチェス法では時価を用いる点が大きく異なります。

②のれんの算出

パーチェス法では、M&Aによって生み出される「のれん」に対して会計処理をします。のれんの金額は、取得原価が時価資産と時価負債の差額を上回った部分となります。

また、のれんを主に構成しているものは貸借対照表に含まれていない無形固定資産(ブランド力や独自の技術力など)であり、取得原価が時価資産と時価負債の差額を下回る場合には、「負ののれん」として会計処理を実行します。

以上を踏まえ、パーチェス法では下記の計算式によりのれんを算出します。

  • のれん=取得原価−(時価資産-時価負債)

たとえば、取得原価が500万円、時価資産が600万円、時価負債が200万円である場合には、のれんの金額は下記となります。

  • のれん=500万円−(600万円-200万円)=100万円

このように、上記の例では、のれんは100万円として計上されることになります。


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まとめ

企業結合は、日本会計基準とIFRSで定義が異なります。また、「事業」である場合と「資産の集合体」である場合では会計処理の方法も異なるため、企業結合における「事業」の定義を明確に定める必要があります。

そのため、M&Aでは、取得資産が「事業」に該当するのか「単なる資産の集合体」に該当するのかを判断しなくてはなりません。企業結合に関する知識を深めることはもちろん、M&Aの専門家である仲介業者の力を借りることをオススメします。

要点をまとめると下記の通りです。

・企業結合とは?

 →企業(事業)同士を一つに統合すること

・企業結合における「事業」の定義

 →企業活動を行うために組織化された、有機的一体として機能する経営資源

・企業結合の種類

 →取得、共同支配企業の形成、共同支配下の取引

・独占禁止法における企業結合の実行可否基準

 →公正取引委員会によって「競争を制限することになるかどうか」を判断される

 →企業結合の実行可否を事前に判断できる「セーフハーバー基準」が設定されている

・各M&A手法ごとの会計処理

 →取得の場合は「パーチェス法」

 →共同支配企業の形成・共通支配下の取引の場合は「持分プーリング法」に準じた方法

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