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2019年12月5日更新
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企業結合とは?種類や独占禁止法の規制やM&Aの会計処理をわかりやすく解説

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

M&Aでは、企業結合基準の参照が必要となる場合があります。企業結合は、日本会計基準とIFRSでは定義が異なります。企業結合の意味、独占禁止法が定める企業結合規制、M&Aの会計における企業結合について解説します。

目次
  1. 企業結合
  2. 企業結合とは?企業結合の意味
  3. 企業結合の種類
  4. 独占禁止法が定める企業結合規制
  5. M&Aの会計における企業結合
  6. 取得原価の算出とパーチェス法の基礎
  7. まとめ

企業結合

企業結合に該当するM&Aでは手続きが厳格に設定されています。
小規模なM&Aを実施する方も、企業結合に関する知識は持っておいて損はありません。
この記事では、企業結合について分かりやすく解説します。

企業結合とは?企業結合の意味

そもそも企業結合とは、一体何を意味するのでしょうか?
まず初めに、企業結合の意味を簡単にご説明します。

企業結合の意味とは?日本会計基準とIFRS

企業結合の意味に関しては、「企業結合会計基準」にて下記の通り規定されています。

  • 「ある企業もしくはある企業を構成する事業と他の企業又はほかの企業を構成する事業が 1 つの報告単位に統合される事」

上記の定義を簡単に訳すと、企業結合とは「企業(事業)同士を一つに統合すること」となります。
企業結合には、「他会社の支配」「共同支配企業の形成」「共通支配下の取引」が含まれます。
あくまで日本会計基準における企業結合の意味であり、国際会計基準であるIFRSでは意味合いが異なります。
IFRSでは、「共通支配下にある企業同士の企業結合」が企業結合として規定されていません。
企業結合と一口に言っても、日本会計基準とIFRSでは定義が異なるの注意が必要です。
今回の記事では、日本会計基準に基づいて企業結合を解説します。

企業結合における「事業」の定義

企業結合の対象となる事業は、「企業活動を行う為に組織化された、有機的一体として機能する経営資源」と定義されています。
つまり企業結合の対象事業となる為には、移転する資産や負債が事業を構成している必要があります。
取得した資産や負債が事業を構成していれば「企業結合」の会計ルールが適用される一方で、単なる資産の集合体であれば企業結合の会計ルールは適用されません。
株式の過半数取得や事業譲渡であれば、企業結合に該当すると考えられます。
M&Aを実行する際は、取得資産が「事業」に該当するのか「単なる資産の集合体」に該当するのかを判断しなくてはいけません。
事業と資産の集合体では、会計処理の方法が異なるからです。
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企業結合の種類

この項では、企業結合の種類をご説明します。
企業結合と一口に言っても、様々な種類が存在します。
企業結合は、「企業結合に関する会計基準」により下記三種類に分類されます。

  1. 取得
  2. 共同支配企業の形成
  3. 共同支配下の取引

以下では、それぞれの概要を詳しく解説します。

①取得

取得とは、ある企業が他の会社もしくは会社を構成する事業の支配権を獲得する事を意味します。
後述する「共同支配企業の形成」や「共同支配下の取引」に該当しない企業結合は、取得に該当します。
取得には様々な意味合いを含みますが、事業買収が一般的に知られています。
取得に該当する企業結合では、当事企業のどちらかが取得企業となります。
取得企業の決定に際しては、「連結財務諸表に関する会計基準」にて規定された「支配力基準」を用います。
支配力基準を用いても取得企業が明確とならない場合は、対価の授受や議決権比率、企業の規模等をベースに判断します。
上記の通り企業結合には厳格な決まりがあるものの、基本的には買い手側が「取得企業」となります。

②共同支配企業の形成

共同支配企業の形成とは、複数の独立した企業が契約などに基づいて、共同支配企業を形成する企業結合です。
共同支配企業とは、複数の企業が共同で支配する企業を意味しており、イメージ的には合弁会社に近いです。

③共通支配下の取引

共通支配下の取引とは、結合当事企業の全てが企業結合の前後で同一株主により支配され、かつその支配が一時的ではない企業結合を意味します。
つまり共通支配下の取引とは、グループ会社内でのM&Aを指します。
子会社同士の合併や、親会社と子会社の合併等が共通支配下の取引に該当します。
グループ内再編を目的としたM&Aは、共通支配下の取引に該当するでしょう。
共通支配下の取引を詳しく知ったうえでM&Aに臨みたければ、M&A総合研究所にご相談ください。
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独占禁止法が定める企業結合規制

この項では、独占禁止法が定める企業結合規則について解説します。
実行する企業結合の規模次第ですが、独占禁止法に抵触する可能性があります。
独占禁止法に違反しない様に、企業結合規則に関しては事前に把握しておきましょう。

①独占禁止法における企業結合規則とは

企業結合規則とは、ある業界における競争を実質的に制限する事となる企業結合を禁止する制度であり、独占禁止法で規定されています。
独占禁止法では、「株式取得」「事業の譲受け」「合併」「会社分割」「共同株式移転」「役員兼任」を企業結合規則の対象としています。
企業結合規則が存在しなければ、企業結合による寡占・独占化が進み、市場での自由な競争が阻害されます。
市場の公平性を維持する上で、独占禁止法の企業結合規則は非常に重要な意味を持っています。

②企業結合規則の事前届出と審査

独占禁止法では、一定要件に該当する企業結合を実施する会社に対して、事前届出を義務付けています。
一定要件は複雑に設定されている為、詳しくは公正取引委員会にお問い合わせください。
事前届出を受理した公正取引委員会は、当該企業結合を審査します。
届出受理日から30日を経過するまでの間は、企業結合を実行できません。
更に詳細な審査が必要であると公正取引委員会が判断した際は、企業結合を実行できない期間が延長されます。

③独占禁止法における企業結合の実行可否基準

公正取引委員会は、「競争を実質的に制限する事となるかどうか」という基準で、企業結合の実行可否を判断します。
「競争を実質的に制限する」とは、企業結合により市場構造が非競争的に変容して、当事会社が単独もしくは他社と協調すれば、ある程度自由に価格や数量等を左右出来る状況を作り出すことを指します。
基本的には上記の基準で判断されますが、対象事業者が事前に企業結合の実行可否を判断できる為に、「セーフハーバー基準」が設定されています。
セーフハーバー基準に該当する場合には、原則競争を実質的に制限する事にはならないと見なされ、企業結合を実施できます。
セーフハーバー基準では、HHIと呼ばれる指標が用いられます。
HHIとは市場の集中度を測る指標であり、各企業のシェアの2乗の総和となります。
水平型企業結合のセーフハーバー基準は、下記となります。

  • 企業結合後のHHIが1,500以下
  • 企業結合後のHHIが1,500超2,500以下であって、かつHHIの増加分が250以下である
  • 企業結合後のHHIが2,500を超え、かつHHIの増加分が150以下である

上記に該当する企業結合であれば、原則独占禁止法による規制を受けません。
合併等の企業結合を実行する際は、まずセーフハーバー基準を満たすかどうかを確認しましょう。
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M&Aの会計における企業結合

この項では、M&A会計における企業結合について解説します。
企業結合には、「取得」「共同支配企業の形成」「共通支配下の取引」の三種類がありますが、各M&A手法ごとに会計処理が異なります。

①取得とパーチェス法による会計処理

取得に該当する企業結合に関しては、「パーチェス法」により会計処理を行います。
パーチェス法では、時価で資産等を引き継ぎます。
パーチェス法については、後ほど詳しく解説します。

②共同支配企業の形成

共同支配企業の形成に該当する企業結合に関しては、「持分プーリング法」に準じた方法で会計処理します。
つまり共通支配企業形成のM&Aでは、簿価をそのまま引き継ぎます。
企業結合の前後で帳簿価額が異ならない様に注意する必要があります。

③共通支配下の取引

共通支配下の取引に該当する企業結合に関しても、簿価による引き継ぎを行います。
以上が企業結合における会計処理になります。
企業結合の種類ごとに、必要となる会計処理が異なる点には注意しましょう。
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取得原価の算出とパーチェス法の基礎

日本で実行される企業結合の殆どは、「取得」により実施されています。
取得に該当する企業結合では、パーチェス法が適用されます。
企業結合を実行する方は、パーチェス法について必ず知っておく必要があります。
この項では、パーチェス法の基本的な知識をご紹介します。

①取得原価の算出

取得による企業結合では、取得会社側が被取得企業(事業)の取得原価を算出し、取得原価を以って資産や負債等の会計処理を実施します。
パーチェス法では、対価として交付する現金等の企業結合日における時価を用いて取得原価を算出します。
時価を用いる点が、簿価を用いる持分プーリング法との違いです。

②のれんの算出

パーチェス法では、M&Aの結果生み出される「のれん」を認識し、会計処理します。
のれんの金額は、取得原価が時価資産と時価負債の差額を上回る部分となります。
貸借対照表に含まれていない無形固定資産(ブランド力や独自の技術力等)が、主にのれんを構成しています。
取得原価が時価資産と時価負債の差額を下回る場合には、「負ののれん」として会計処理を実行します。
つまりパーチェス法では、下記の計算式によりのれんを算出します。

  • のれん=取得原価−(時価資産+時価負債)

例えば取得原価が1,000万円、時価資産が700万円、時価負債が200万円である場合には、のれんの金額は下記となります。

  • のれん=1,000万円−(700万円+200万円)=100万円

上記のケースでは、のれんが100万円計上される訳です。
一般的な企業結合では、上記の会計処理を実施する流れとなります。
※関連記事
合併と仕訳

まとめ

企業結合は、日本会計基準とIFRSでは定義が違います。
事業と資産の集合体では、会計処理の方法が異なるため、企業結合における「事業」の定義を明確に定める必要があります。
M&Aでは、取得資産が「事業」に該当するのか「単なる資産の集合体」に該当するのかを判断しなくてはいけません。
企業結合に関する知識を深め、M&Aに活かしましょう。

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