2021年4月8日更新会社・事業を売る

会社分割とは?手続きやメリット・デメリット、事業譲渡との違いを解説

会社分割とは、一部または全部の事業を他社に承継するM&A手法をさします。経営統合・グループ内再編など組織再編の方法として用いられるケースが一般的であり、税金の負担が軽い点などがメリットです。本記事では、会社分割の手続き・メリットやデメリットなどを紹介します。

目次
  1. 会社分割とは?意味と種類
  2. 会社分割と事業譲渡の違い
  3. 会社分割のメリット・デメリット
  4. 会社分割に必要なものと手続きの流れ
  5. 会社分割にかかる費用と期間
  6. 100%子会社間の会社分割に係る会計と税務
  7. 会社分割における適格分割と非適格分割の要件
  8. 会社分割後の株式譲渡
  9. 会社分割のまとめ
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会社分割とは?意味と種類

会社分割とは?意味と種類

はじめに、本章では会社分割の意味や種類について、なじみの薄い経営者の方にもわかりやすく取り上げます。

会社分割の意味

会社分割とは、株式会社または合同会社で運営されている事業について、その権利義務の一部または全部を包括的に他社に引き継ぐ行為を意味します。

他のM&A手法である合併とは「事業を包括的に引き継ぐ」点では同様である一方で、M&A後も分割を行った会社は消滅せずに別事業の運営主体として存続する点で相違が見られます。

会社分割の分類

会社分割の手法は、合計で4つに分類できます。まずは、以下の2種類に分類可能です。

  概要 活用目的例
新設分割 事業を切り出して新しく会社を設立する手法 ・組織再編全般
・重点事業を切り離して分社化する
・経営統合および分離全般
吸収分割 すでに存在する他社に承継する手法 ・組織再編全般
・親会社の重点事業をグループ内の子会社に承継する
・グループ内の子会社同士で事業を移管する
・経営統合および分離全般

また、会社分割により事業を承継した場合には株式が発行されますが、この株式の受取人によっても以下の表のとおり分類できます。

  会社分割の対価(株式)の受取人
分社型分割 分割会社が受け取るケース
分割型分割 分割会社の株主が受け取るケース

このように、会社分割は、「新設分割・吸収分割」「分社型分割・分割型分割」の2段階で分類される手法であり、一般的には組織再編の手法として活用されています。とはいえ、事業譲渡株式譲渡といった事業の売買・承継の手法としても活用可能です。

ただ、会社分割には煩雑なプロセスが求められるため、実行する際は専門家からサポートを受けると良いでしょう。もしも専門家選びでお悩みでしたら、M&A総合研究所にお任せください。

M&A総合研究所には知識・経験が豊富なアドバイザーが在籍しており、M&A手続きをフルサポートしております。通常、M&Aでは半年〜1年程度の期間が必要ですが、M&A総合研究所ではスピーディーなクロージングを目指しており、最短3カ月での成約実績を有している点も強みです。

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会社分割と事業譲渡の違い

会社分割と事業譲渡の違い

会社分割は、事業の一部のみを売買できる点で事業譲渡と混同されるケースが少なからず見受けられます。しかし、これら2つの手法にはさまざまな点で相違が見られるため注意が必要です。本章では、特に重要な相違点である以下の項目について取り上げます。

  1. 税金
  2. 諸手続き
  3. 簿外債務等の引き継ぎ

それぞれの項目を順番に詳しく紹介します。

①税金

事業譲渡を実施すると、売り手側企業に対して法人税・消費税などが課されます。つまり、事業売却はモノの売買と同様に捉えられるため、売却利益や取引自体に課税される仕組みです。このうち消費税については、消費税法上の課税資産のみに現行の消費税が課税されます。

課税資産の具体例としては、営業権・棚卸資産・土地を除く有形固定資産などが挙げられます。これに対して、会社分割を行う場合は、消費税法上の課税取引に該当しません。したがって、事業を誰かに承継させる行為自体に消費税が課税されない点において、会社分割の方がメリットの多い手法だといえます。

②諸手続き

諸手続きの側面においても、事業譲渡よりも会社分割の方がメリットは大きいです。各種契約や法律関係を包括的に承継できる点において、会社分割は事業譲渡と比較すると諸手続きの遂行が容易だといえます。

その一方で、事業譲渡では権利関係の包括的な移転とはみなされず、債務や資産の移転について所有者から個別の同意を得る必要があります。また、雇用関係の移転についても、各従業員から個別に同意を得なければなりません。

経営者からすると事業譲渡の取引前後で変化が生じていないと感じやすいですが、従業員にとってはまったく別の会社と雇用契約を結びます。そのため、従業員が処遇の悪化を危惧して契約を拒否するおそれがあるのです。

優秀な社員が流出した結果、期待していたM&Aの効果を得られない可能性があるため十分に注意しましょう。なお、会社分割を活用した場合、一般的に個別同意は不要です。ただし、許認可については種類ごとに扱いが異なっており、 業種により新たに許認可を取得する必要がある点には注意しましょう。

③簿外債務等の引き継ぎ

事業譲渡では譲渡対象の資産・負債を指定したうえで、それぞれの契約を再締結します。この手続きは非常に面倒である一方で、個別に内容を検討したうえで契約を締結するため、譲渡前の事象に起因する簿外債務・トラブル・不要な資産を引き継ぐリスクを自身の判断で排除できる点は大きなメリットです。

これに対して、会社分割は包括承継であり、簿外債務・不要資産の引き継ぎリスクを防ぎにくいです。例外的に分割契約を用いることで承継しない契約や債権債務などの指定は可能ですが、これはあくまでも契約時点で可視化されているリスクに限られます。

手続きの簡素化を目的に会社分割を選択する判断が良いのか、リスクの軽減を目的にそれぞれの契約を再度締結する判断が良いのかは、状況によって異なります。ここでは、十分に検討を重ねたうえで、会社分割と事業譲渡の中からふさわしい手段を選びましょう。

【関連】簿外債務

会社分割のメリット・デメリット

会社分割のメリット・デメリット

本章では、会社分割で生じる代表的なメリット・デメリットについてまとめて取り上げます。

メリット

会社分割の代表的なメリットは、以下のとおりです。

  1. 一部の事業のみを売買可能
  2. あらゆる契約を簡便に承継可能
  3. 税金負担が軽い
  4. 資金を準備しなくても実施できる

それぞれの項目を順番に詳しく紹介します。

①一部の事業のみを売買可能

会社分割では一部事業のみを譲渡可能であり、選択と集中の意思決定を効率的に実行できるメリットがあります。そのため、グループ内再編・合併・事業譲渡の代替手段として、目的に応じて柔軟に活用可能です。また、重要度の低い事業を他社に売却すれば、資金の獲得・主要事業への経営資源の集中などが図れます。

M&Aを検討する場合、会社分割により承継させたい事業を切り分けたうえで相手に承継させられます。これとは反対に、不要な事業を会社分割により切り落としたうえで株式譲渡を行うことも可能です。このように会社分割はM&Aの選択肢を増やせるため、M&Aを行ううえで検討が欠かせない手法だといえます。

②あらゆる契約を簡便に承継可能

会社分割には、資産・債務・契約などを包括的に引き継げるメリットも存在します。雇用契約についても従業員から個別に同意を得る必要なく実行できるため、優秀な人材が流出するリスクを軽減可能です。また、許認可も一部を除くと承継できるため、許可をもらえば即座に事業活動を始められます。

③税金負担が軽い

一般的に事業譲渡など他のM&A手法と比べて、会社分割は税金の負担が軽い点もメリットです。会社分割により資産を包括的に承継した場合、取引自体が消費税の課税対象とはみなされません。また、所得税についても、一定条件を満たせば所得税が課税される譲渡損益・配当金の発生がないものとみなせます。

譲渡損益や配当金の発生がなかったものとみなせる会社分割は、適格分割と呼びます。その一方で、譲渡損益や配当金の発生があるものとみなされて課税される会社分割は非適格分割です。適格・非適格の判断には高度に専門的な税務の知識が必要であるため、専門家からサポートを受けて実施すると良いでしょう。

④資金を準備しなくても実施できる

他のM&A手法と異なり、会社分割ではM&Aの対価を株式で支払えます。例えば、M&Aの対価を自社の株式と設定すると、十分な現金がなくても事業承継を実行可能です。なお、適格分割・非適格分割の判断基準のひとつに、「対価が金銭であるのかどうか」が存在します。

買い手側からすると現金を用意しなくても良いためメリットを感じやすいですが、売り手側は現金を求めるケースが多いです。いかなるスキームを選ぶにしても会社分割は非常に複雑な手法であるため、M&A当事会社の双方にメリットをもたらす方法を模索すると良いでしょう。

デメリット

会社分割の代表的なデメリットは、以下のとおりです。

  1. 不要な資産や簿外債務の引き継ぎリスクがある
  2. 株主総会の特別決議を行う必要がある

それぞれの項目を順番に詳しく紹介します。

①不要な資産や簿外債務の引き継ぎリスクがある

会社分割のメリットである「包括的に契約を承継できる」点は、裏を返すと将来的に障害となり得る不必要な契約条項まで引き継ぐリスクをもたらします。不要な資産・係争リスク・簿外債務の引き継ぎなどを避けたい場合は、たとえ面倒に感じても事業譲渡を検討しましょう。

以上の点を踏まえると、M&Aで他社と会社分割を検討する際は売り手の選び方も非常に重要です。

②株主総会の特別決議を行う必要がある

会社分割を実施する際は、株主総会の特別決議を実施する必要があります。実際に会社分割を実施するには、株主総会の特別決議で3分の2以上の賛成が必要です。株主の多い企業・株主が親族以外に分散している企業などでは、必要な賛成数を得られないおそれがあります。

また、債権者に対して異議申し立ての機会を与えることから、申し立てがあった際は弁済などの手続きが必要となる点もデメリットです。

【関連】会社分割のメリット

会社分割に必要なものと手続きの流れ

会社分割に必要なものと手続きの流れ

ここまでで基礎知識を把握したところで、本章では会社分割に必要なもの・手続きの流れについて順番に取り上げます。

会社分割に必要なもの

会社分割に必要なものは、大まかに以下のとおりです。

  • 取締役会議の議事録
  • 会社分割契約の締結書
  • 事前開示書類
  • 事後開示書類

上記のほか、吸収分割で登記申請を行う際に法務局に提出する書類を以下にまとめました。まず紹介するのは、承継会社で主に求められる添付書類です。

  • 吸収分割の契約書
  • 資本金の計上証明書
  • 分割契約承認時の株主総会議事録
  • 債権者保護手続きに関する書面
  • 新株予約権提出などの公告を実施した証の書面
  • 株主名簿・株券発行を実施していない証の書面
  • 株主リスト
  • 分割会社の登記事項証明書
  • 委任状

次に紹介するのは、分割会社で主に求められる添付書類です。

  • 代表取締役の印鑑証明書
  • 委任状

このほかにも、各プロセスでさまざまな書類の作成・提出が求められます。必要書類を確実に準備するためにも、会社分割・M&Aの専門家からサポートを受けることが大切です。

会社分割の手続きの流れ

(図)会社分割の手続きの流れ

(図)会社分割の手続きの流れ

新設分割と吸収分割により多少の相違点は見られるものの、大まかな手続きの内容は共通しています。なお、会社分割における売り手側企業は「分割会社」、買い手側企業は「承継会社」です。ここからは、特に重要な手続きとして、以下の項目を抜粋して取り上げます。

  1. 取締役会議
  2. 分割契約の締結
  3. 債権者保護手続き
  4. 株主総会の特別決議
  5. 登記申請

それぞれの項目について順番に詳しく紹介します。

①取締役会議

会社分割を実施する場合、会社内の執行機関における承認が必要です。そのため、取締役会議を開いて、検討している会社分割の契約内容を確認し、「分割契約承認」と「株主総会召集の決定」を実施します。このときには、議事録を作成して以下の事項を記録しなければなりません。

  • 取締役会議を開催した日時と場所 
  • 出席者 
  • 会社分割を承認した旨

②分割契約の締結

次に、会社分割契約の締結書を作成します。分割契約書には、以下の記載内容が必要です。

  • 分割会社と承継会社双方の商号および所在地 
  • 吸収分割の対象資産
  • 吸収分割の対価に関する事項 
  • 会社分割の効力発生日
  • 分割型分割ならばそれに関わる一定事項 

会社分割の実施後に、許認可当局・税務署・金融機関などから分割契約書の提出を求められる場合があることから、確実に要件を満たすためにも事前に弁護士や行政書士などの専門家からアドバイスを得ると良いでしょう。

③債権者保護手続き

会社分割を実施する場合、債権者保護手続きが必要です。具体的にいうと、官報公告を用いて会社分割の実施・双方の会社の商号や所在地・賃借対照表などを公告しなければいけません。官報公告を利用する場合は、申し込んで即座に掲載されるわけではないため注意が必要です。

あらかじめ、実際に申し込んでから掲載されるまでの日数を確認しておくと良いでしょう。また、各株主に対して株主総会招集の通知を行う必要もあります。この通知は、総会開催日の一週間前までに完了させなければなりません。

こうした債権者保護手続きは、全体のスケジュールを決めるうえで最も意識しなければならないプロセスといっても過言ではありません。専門家の意見を仰いだうえで、進め方を慎重に検討しましょう。なお、債権者保護手続きが不要なケースもあるため、いかなるケースが該当するのか事前に確認しておくと良いです。

④株主総会の特別決議

会社分割では特別決議を経る必要があり、3分の2以上の賛成が得られないと会社分割を実行できません。したがって、株主に賛成してもらうためにも、誠実な説明や関係の構築を心がけましょう。

⑤登記申請

会社分割の効力発生日から、2週間以内に登記申請する必要があります。登記申請の手続きではさまざまな書類が必要となるため、会社法や法人登記に精通するアドバイザー・司法書士などの専門家にサポートを依頼しましょう。

なお、分割会社および承継会社が共同して作成しなければならない書類もあるため、会社分割をスムーズに進めるには当事会社間の綿密な協力関係の構築が必要不可欠です。

【関連】会社分割の手続きとは?吸収分割・新設分割の手続きを解説

会社分割にかかる費用と期間

会社分割にかかる費用と期間

本章では、会社分割で必要な費用および期間についてわかりやすく紹介します。

会社分割にかかる費用

会社分割では、登記申請を行う際に登録免許税として費用が発生します。このときにかかる費用の金額は、吸収分割と新設分割によって若干異なるため注意が必要です。まず吸収分割の登録免許税について紹介すると、分割会社では3万円・承継会社では会社の形式により変動します。

具体的にいうと、合名会社・合資会社であれば3万円(社員の加入があるならば4万円)、株式会社・合同会社であれば増加した資本金の額に0.7%を掛けた金額(最低3万円)が登録免許税としてかかります。そのほか、不動産の名義変更を行う場合には、不動産の登録免許税も必要となるため注意しましょう。

次に、新設分割では吸収分割とは違い、承継会社で問題となる「合名会社・合資会社における社員の加入がある場合の4万円」が発生しません。この点を除けば、吸収合併と同様の費用体系です。

会社分割にかかる期間

会社分割の手続きにかかる期間は、吸収分割と新設分割で若干異なります。まず吸収合併では、計画段階から含めて数カ月の期間が必要です。場合によっては株主総会の開催までに2カ月以上の期間が発生するおそれもあるため、プロセスをスムーズに進めるには入念に準備すると良いでしょう。

次に新設分割では、吸収分割と同様に数カ月単位の期間が発生するのが一般的ですが、債務の移動が伴わないなど一定条件を満たす新設分割では2週間ほどの短期間で手続きを完了できるケースも存在します。

【関連】M&Aの手続きの流れ、進め方について解説!準備から円滑に進めよう

100%子会社間の会社分割に係る会計と税務

100%子会社間の会社分割に係る会計と税務

本章では、100%子会社間の会社分割における会計と税務について取り上げます。100%子会社間とは、双方の子会社が同一の親会社と完全支配関係にある状態のことです。簡単にいうと、グループ会社の子会社間で行う会社分割をさします。

100%子会社間では、無対価かつ税制適格要件を満たしたうえで会社分割を実施するケースが大半です。ここからは、この一般的なケースを想定したうえで会計と税務の処理について紹介します。

分割会社の会計・税務処理

まずは、分割会社側で求められる会計・税務処理について順番に紹介します。

①会計処理

分割会社側では、分割した事業の純資産額(簿価)を会計処理によって変動させます。このときに、会計処理により変動する株主資本は、意思決定機関で決定した金額にもとづく仕組みです。

②税務処理

適格会社分割であるため、分割対象の資産と負債を分割直前の簿価によって承継させます。分割会社側では、資本金額に移転割合を掛け合わせた金額について資本金の額を減額する仕組みです。

上記の税務処理に加えて、「移転事業に関係する資産の簿価」から「負債の簿価と資本金減少額の合計額」を減算した額によって算出する利益積立金額を分割法人側で減額します。

承継会社の会計・税務処理

次に、承継会社側で求められる会計・税務処理について紹介します。

①会計処理

承継会社側では、会社分割直前の簿価によって資産や負債を引き継いだうえで、分割会社側の株主資本変動額も承継します。無対価の会社分割であるため、資本金や資本準備金は「その他資本剰余金」、利益準備金は「その他利益剰余金」としてそれぞれ承継する仕組みです。

②税務処理

資産や負債を会社分割直前の簿価によって引き継ぐとともに、分割会社側で減額した「資本金額および利益積立金額」と同額を承継会社側で増額させます。

【関連】M&Aにおける税理士の役割

会社分割における適格分割と非適格分割の要件

会社分割における適格分割と非適格分割の要件

本章では、会社分割における適格分割と非適格分割の要件について取り上げます。前提知識として、適格要件を満たす場合は「適格分割」、満たさない場合は「非適格分割」です。適格分割の要件は、会社分割の当事会社の関係によって以下のように変動します。

①完全支配関係にある会社間の適格要件

完全支配関係にある会社間における適格分割の要件は、以下のとおりです。

  • 金銭等不交付要件→対価は親会社または承継法人の株式である
  • 継続保有要件→会社分割の前後で完全支配関係が継続される

②支配関係にある会社間の適格要件

支配関係にある会社間では、「完全支配関係にある会社間の適格要件」に加えて、以下の項目も適格分割の要件です。

  • 事業移転要件→およそ80%以上の従業員が引き続き分割事業に携わる
  • 事業継続要件→会社分割後も引き続き事業が継続される

③共同事業の適格要件

共同事業を行う企業同士では、「完全支配関係にある会社間の適格要件」および「支配関係にある会社間の適格要件」に加えて、以下の税制適格要件を満たす必要があります。

  • 事業関連性要件→相互企業の事業に関連性がある
  • 選択要件→「同等規模要件」か「双方経営参画要件」のいずれかを満たす

同等規模要件では、双方の企業間で売上高や従業員数の規模に大きな違いがないことが条件です。また、双方経営参画要件では、双方企業から承継会社の役員が選出されることが条件とされています。

【関連】適格組織再編とは?適格要件と適格組織再編の種類

会社分割後の株式譲渡

会社分割後の株式譲渡

一部の事業のみ売却したい場合は事業譲渡を用いるのが一般的ですが、売却利益が多額に出てしまうと累進課税によって多額の法人税が課税されてしまいます。しかし、平成29年(2017年)度の税制改正によって、分割型分割を用いて税負担を軽減しながら事業売却できるスキームが使用可能となりました。

これは分割型分割により売却対象外の事業・資産を新会社に移転しつつ、売却対象のみ残った旧会社を株式譲渡によって売却するスキームです。適格分割により存続させたい事業を非課税で他社に移転しつつ、株式譲渡により旧会社を売却すると、譲渡金額に関わらず20.315%の税率に抑えられます。

しかし、上記はあくまでも理論上のメリットです。確かに税負担を軽減したうえで事業売却できますが、租税回避行為として税務上否認されないとは断言できません。また、スキーム自体が新しい発想であり、現時点で明確な判例などは存在しない状況です。

そもそも会社分割に適用される組織再編税制には、包括的租税回避防止規定と呼ばれるルールが存在します。これにより、不自然なスキームで会社分割を実行すると、税務署長の権限で税額を訂正される可能性があるのです。

税務署長に税額を減らすための株式譲渡であると認定されれば、会社分割後の株式譲渡は認められません。とはいえ、会社分割と株式譲渡を組み合わせたスキームが必ずしも法律に反しているわけではありません。会社分割と株式譲渡による事業売却を実行したい場合、租税回避目的ではない旨を証明すれば良いのです。

これには高度な専門知識や論理的説明力が必要となるため、自身の判断では行わずに組織再編税制に精通する税理士に相談したうえで、会社分割と株式譲渡を組み合わせた事業売却の実施を検討しましょう。

【関連】株式譲渡したときの税金とは?種類やおすすめの節税・計算方法のまとめ

会社分割のまとめ

会社分割のまとめ

会社分割とは、一部または全部の事業を他社に承継するM&A手法です。メリット・デメリットを十分に踏まえたうえで、会社分割後の株式譲渡や事業譲渡との違いなどを理解して活用しましょう。本記事の要点は、以下のとおりです。

・会社分割の分類
→「新設分割・吸収分割」「分社型分割・分割型分割」の2段階で分類される

・会社分割と事業譲渡の違い
→「税金」「諸手続き」「簿外債務等の引き継ぎ」などの側面で相違点が見られる

・会社分割のメリット
→一部の事業のみを売買可能、あらゆる契約を簡便に承継可能、税金負担が軽い、資金を準備しなくても実施できる

・会社分割のデメリット
→不要な資産や簿外債務の引き継ぎリスクがある、株主総会の特別決議を行う必要がある

・会社分割に必要なもの
→取締役会議の議事録、会社分割契約の締結書、事前開示書類、事後開示書類

・会社分割の手続きの流れ
→取締役会議、分割契約の締結、債権者保護手続き、株主総会の特別決議、登記申請

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