2021年4月21日更新資金調達

劣後ローン

劣後ローンとは債権の性質を持つものの、通常の債権より支払い順が劣るよう設定されるローンです。株式に近い性質を持ち金融機関からは資本の一部としてみなされるため資本強化の方法として活用できますが、デメリットも存在するため慎重に検討して利用する必要があります。

目次
  1. 劣後ローン
  2. 劣後ローンとは
  3. 劣後ローンのメリット
  4. 劣後ローンのデメリット
  5. 劣後ローンの種類
  6. まとめ
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劣後ローン

劣後ローン

ベンチャー企業や中小企業のなかには、起業した当初に赤字状態に悩まされる企業は多いようです。

こうした企業は銀行融資を受けられる可能性が低いことも相まって、資金面に大きな課題を抱えることが少なくありません。

ところが最近「劣後ローン」が登場したことで、上記の状況が改善されつつあります。今回は、ベンチャー企業や中小企業にとって心強い存在となり得る、劣後ローンを紹介します。

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劣後ローンとは

劣後ローンとは

劣後ローンをわかりやすく説明すると、資本性が高く株式に近いローンのことです。ちなみに、ハイブリットローン・劣後特約付きローンなどと呼ばれることもあります。ローンという名前からもわかるとおり、劣後ローンも一般的なローンと同じように債権としての性質を持っています。

しかし劣後ローンは、通常の債権より支払い順が劣るよう設定されるローンです。そのため劣後ローンの性質はどちらかというと株式に近く、銀行や証券会社などからは自己資本の一部としてみなされます。とはいえ、企業会計上では負債として扱われる点については注意が必要です。

一般的に債務を背負うと、企業の自己資本比率は悪化して株式に影響が生じます。ところが劣後ローンは自己資本の一部としてみなされるため、利用しても自己資本比率を悪化させることはありません。

むしろ劣後ローンを所持することで、かえって自己資本比率が向上するケースも見られます。ここからは劣後ローンについてより詳しく把握するために、以下の2項目に分けて解説します。

  1. 利用企業から見た劣後ローンの特徴
  2. 劣後ローンとメザニンローンの違い
それぞれの項目を順番に見ていきます。

①利用企業から見た劣後ローンの特徴

利用企業から見て劣後ローンの特徴が最も顕著に現れるのは、会社が債務超過で倒産してしまったときです。会社が倒産すると残った資本を債権者に分配するのが一般的ですが、このとき分配する優先順位が決まっています。

そこで優先順位にしたがって債権者に分配していくと、後位の順番に設定された債権者に分配するときには資本がほとんど残されていないケースも多いです。

つまり、優先順位が低く設定されている劣後ローンは、ほとんど返済される見込みがないといえ、いいかえれば、債務超過で倒産すると劣後ローンの返済が不要となるケースが存在するということにもなります。

そのような場合、劣後ローンを利用した企業は大きな恩恵が得ることができます。

②劣後ローンとメザニンローンの違い

劣後ローンと関連して、メザニンローンという言葉が話題に挙げられることがあります。メザニンローンとは返済順位が低く投資リスクが高いローンのことであり、ここには劣後ローンのほか優先株などが含まれます。つまり劣後ローンは、メザニンローンを構成するひとつという関係性です。

M&Aの資金調達で悩んだら専門家への相談が最適

なお自社においてM&Aの実施を検討している場合、その資金作りを目的に劣後ローンが利用されるケースも少なくありません。

しかし、劣後ローンにはデメリットや注意点も存在するため、劣後ローンの利用前にはM&A仲介会社などの専門家に相談することをおすすめします。

M&A総合研究所には、専門的な知識や経験が豊富なM&Aアドバイザーが多数在籍しており、これまでに培ってきたノウハウを活かしながら資金調達を含めた準備段階からM&Aをフルサポートいたします。

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劣後ローンのメリット

劣後ローンのメリット

ここからは劣後ローンにあるメリットをまとめて紹介します。劣後ローンにある代表的なメリットは、以下のとおりです。

  1. ベンチャー企業であっても活用しやすい
  2. 資本の強化ができる
それぞれのメリットを順番に見ていきます。

①ベンチャー企業であっても活用しやすい

起業したばかりでまだ軌道に乗っていなかったり、銀行からの融資が難しいベンチャー企業にとって、劣後ローンの存在は非常に心強いものだといえます。なぜなら劣後ローンは担保も保証人も不要であるため、信頼の獲得が難しいベンチャー企業であっても借りやすいためです。

また劣後ローンの金利は変動制が採用されており、会社の業績が芳しくないときには金利が低下する上に、あまりにも業績が厳しいケースでは金利の支払い義務がほとんど発生しない場合もあります。

そのため資金繰りに苦しんでいるベンチャー企業にとっても、非常に活用しやすいローンです。万が一倒産しても劣後ローンは支払いの優先順位が後回しになるため、最悪の事態を想定した上でも使いやすいローンだといえるでしょう。 

②資本の強化ができる

資本性を持つ劣後ローンは金融機関から自己資本の一部としてみなされるため、自社の資本強化にもつながります。

一般的な債務を増加させると自己資本比率が悪化したり株式が希薄化してしまいますが、劣後ローンならこうした事態を避けることができます。

また、劣後ローンは自己資本の一部となって自己資本比率を上げられるため、金融機関からの信頼性も向上します。

そのため以下に該当するような民間金融機関からの信頼獲得が困難だとされる企業にとって、非常に頼りになる存在だといえます。

  • 創業したばかりで信頼性が低いベンチャー企業
  • 自己資本比率が悪く債務が多いとみなされる企業

上記のような企業が劣後ローンで資本の強化をすれば、信頼度が向上して融資を受けられる可能性も高まります。 

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劣後ローンのデメリット

劣後ローンのデメリット

ここまで様々なメリットを紹介しましたが劣後ローンにはデメリットも存在するため、慎重に検討した上で利用する必要があります。劣後ローンのデメリットは、以下のとおりです。

  1. 会社の負担となるケースがある
  2. 債務という意識が薄れるおそれがある
それぞれのデメリットを順番に見ていきます。

①会社の負担となるケースがある

前述のとおり劣後ローンは資本として扱われるため負担が少ないように見えますが、特定のケースにおいては会社の負担になる可能性があります。その特定のケースとは、自社の業績が向上したときです。

そもそも劣後ローンは回収の可能性が低く、金融機関にとって非常に高リスクのローンです。そのため、こうしたリスクを補う形で金利が高く設定される傾向があります。

したがって劣後ローンには、業績が良くなると金利が高くなるという注意すべきデメリットが存在します。

それに加えて劣後ローンは償還期限前に繰り上げ返済することができず、借り入れる会社では定期的に経営状況の報告書や事業計画書などの提出が求められることが多いです。

このような手続きの煩雑さや期限前の繰り上げ返済ができないという制限が、ときに会社の負担をかけるケースがあります。

②債務という意識が薄れるおそれがある

結局は劣後ローンも債務の一種であるため、基本的には返済が求められます。また、劣後ローンが資本として扱われるのは一定ラインまでです。

具体的には、償還期限の5年前までに自己資本とみなされるのは債務残高の100%までであり、以降は負債が増加していくことになります。

そして何よりも劣後ローンは会計上では負債として扱われるものであり、資本としてみなされるのは金融機関の目線に立った場合のみです。

基本的には債務なので、増えれば増えるほど会社に負担がかかります。もしも劣後ローンの返済に苦しむようになれば、ますます財政状態が悪化しかねません。

以上のことから劣後ローンは計画的に使用しなければかえって不利益となるおそれがあるため、むやみに借り入れずに返済が可能な範囲で使用することが大切です。

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劣後ローンの種類

劣後ローンの種類

劣後ローンとして活用できる代表的な制度は、以下のとおりです。

  1. 挑戦支援資本強化特例制度
  2. 震災復興支援資本性ローン
それぞれの劣後ローンを順番に見ていきます。

①挑戦支援資本強化特例制度

1つ目に紹介するのは、挑戦支援資本強化特例制度です。この劣後ローンは新しい事業や企業の再建などに取り組むベンチャー企業や中小企業などの財務体質の強化を図る目的で、日本政策金融公庫により運営されています。

このローンの限度額は3億円となっているものの、事業承継など特定の目的で利用する場合には追加で3億円借り入れることが可能です。また利率については毎年の直近決算における業績に応じて見直されることとなり、0.45%〜5.50%の範囲で定められます。

さらに返済期間については、最短5年1ヵ月・最長15年の4段階が設定されています。なお挑戦支援資本強化特例制度の利用を希望する場合には、日本公庫各支店の中小企業事業の窓口に直接申し込むことになります。

とはいえ利用の前には審査が実施され、この結果次第では借り入れができないケースもある点は把握しておく必要があります。

②震災復興支援資本性ローン

2つ目に紹介するのは、震災復興支援資本性ローンです。東日本大震災復興特別貸付の利用対象者(東日本大震災で直接もしくは間接的に被害を受けたり震災の影響で売り上げが減少した中小企業など)に向けた劣後ローンであり、こちらも日本政策金融公庫により運営されています。

このローンの限度額は7億2,000万円までとなっており、融資期間は10年です。また利率については毎年の直近決算を参考に、融資の成功度合いに応じて0.4%と3.6%の2種類から選ばれて適用されます。

ちなみに全国にある日本政策金融公庫の支店では東日本大震災に関する特別相談窓口が設置されているほか電話相談も実施されているため、震災復興支援資本性ローンの利用を希望する場合にはこちらに問い合わせると良いでしょう。

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まとめ

まとめ

劣後ローンは創業したばかりで経営が苦しいベンチャー企業や中小企業にとって心強い存在であり、会社の成長を促す上でも非常に有用的といえます。しかし劣後ローンはあくまでも債務の一種であり、場合によっては高い金利が発生するおそれがあることを注意しておく必要があります。

したがって劣後ローンは、リスクやデメリットを考慮した上で利用を慎重に検討することが大切です。要点をまとめると、以下のとおりです。

・劣後ローンとは
→返済の優先順位が低いローンであり金融機関からは資本の一部としてみなされるもの

・劣後ローンのメリット
→ベンチャー企業であっても活用しやすい、資本の強化ができる

・劣後ローンのデメリット
→会社の負担となるケースがある、債務という意識が薄れるおそれがある

・劣後ローンの種類
→挑戦支援資本強化特例制度・震災復興支援資本性ローンなど

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