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2020年12月24日更新会社・事業を売る
廃業(清算)を決める前にM&Aと比較検討!メリット・デメリット、決断タイミング
会社の清算を考えた時、廃業とM&Aの二通りの選択肢がありますが、経営者としてはどちらを選択するべきなのでしょうか。本記事では、会社の廃業を検討している方に向けて、廃業(清算)とM&Aを比較検討しながらそれぞれのメリット・デメリットを解説します。
目次
廃業(清算)とは
廃業(清算)とは
廃業(清算)とは、会社が自主的に経営や事業を止めることをいいます。近年は、経営者の高齢化や後継者不在の影響で中小企業の廃業が増加しています。
現状のまま中小企業の廃業件数が増加すると日本経済への打撃は計り知れないものになるため、廃業以外の選択肢を模索しなければならない状況が訪れています。
その際の一つの選択肢としてM&Aが注目を集めています。廃業とM&Aで得られる結果は何が違うのか、本記事で比較検討します。
破産との違い
破産とは、会社が債務超過に陥り経営が困難になった状態のことを指します。この状態では会社はまだ存続しており、破産手続きを行うことで資産・負債を整理して再生を図ることができます。
一方の廃業は会社や事業の廃止(消滅)を意味しています。廃業は会社を再生することも再開することもできないので、全く違う状況であるといえます。
倒産との違い
倒産とは、経営状態の悪化により事業の存続が困難な状態のことを指します。一般的に資産より負債が上回っている状態なので、廃業することができない状態にあります。
破産と明確に異なる点は、破産は会社の再生を目指すことが確定している一方で、倒産は再生か清算の二択の状態にあるという点です。
「○○会社が倒産した」といえば、破産手続きを行って再建型を目指すのか、債務とともに会社を消滅させる清算型を取るのか、という動向に注目が集まることになります。
廃業(清算)を選ぶ企業は増加傾向にある
廃業(清算)を選ぶ企業は増加傾向にある
会社の経営者としては、廃業はできるかぎり避けたい最後の選択肢ですが、残念ながら廃業を選ぶ企業は増加傾向にあります。
帝国データバンクが公開している「休廃業・解散の動向調査(2019年)」によると、全国の休廃業・解散件数は2万3,634件(前年比2.6%増)という結果が明らかになっています。
ここまで廃業件数が増加する理由は何があるのでしょうか。また廃業する際の費用についても取り上げていきます。
廃業(清算)する理由
廃業する理由は、後継者問題の影響が大きいです。日本政策金融公庫研究所による「中小企業の事業承継に関するインターネット調査」では、廃業予定の理由のうち28.6%が後継者問題によることが明らかになっています。
黒字経営で順調に業績を伸ばしている優良企業であっても、後継者不在によって廃業せざるを得ない状況に追い込まれています。
廃業(清算)にかかる費用
会社の廃業の際に必ずかかる費用は、70,000~80,000円前後です。内訳は、法務局への登記費用や印紙代、官報公告などで、いずれも法的な手続きを踏む上で必要になります。
その他に発生する可能性があるものとしては、専門家への依頼や賃貸事務所の原状回復、取引先との解約費用などが挙げられます。
これらの費用は業種や会社の事情によって大きく異なるので一概にはいえませんが、数百万円以上の費用がかかることも珍しくありません。
費用の項目 | 費用 |
解散登記 | 30,000円 |
清算人選任登記 | 9,000円 |
清算結了登記 | 2,000円 |
登記簿謄本(2通) | 1,200円 |
印鑑証明書 | 450円 |
官報公告 | 30,000~40,000円 |
絶対にかかる費用合計 | 72,650~82,650円 |
専門家の依頼 | 100,000~200,000円 |
オフィスの原状回復 | 20,000~50,000円(一坪) |
取引先との解約金 | 規模に大きく影響する |
廃業(清算)を決める前にM&Aと比較検討
廃業(清算)を決める前にM&Aと比較検討
経営者を引退する際、廃業の選択肢しかない状況もありますが、大抵の場合はM&Aという選択肢が残されています。
特に後継者問題で悩まされている企業は、企業価値は十分に高いことが多いため、M&Aにおいても高い評価を受けることが多いです。
この章では、廃業とM&Aのそれぞれのメリット・デメリットを見ながら、どちらの選択肢が会社に利益をもたらすのか確認していきます。
廃業(清算)のメリット・デメリット
まずは、廃業のメリット・デメリットです。会社を消滅させる廃業を選択することで得られるメリット・デメリットはどのようなものがあるのでしょうか。
廃業(清算)のメリット
廃業のメリットは、確実に会社を終わらせることができる点です。廃業できるということは、弁済しきれない負債が残らないことを意味しているので、そのまま会社を畳むことができます。
経営者としての責務からも開放され、空いた時間を自由に使うこともできるので、新たに事業を立ち上げることも可能です。
また、一定の資産を残せる可能性があります。処分した資産で負債を弁済した後、現金が残るようであれば、株主の間で分配が行われます。
中小企業の場合は経営者が大半の株式を保有していることが多いので、自然と分配金も経営者の手元に多く残るようになっています。
【廃業(清算)のメリット】
- 会社の経営を終わらせられる
- 一定の資産の残せる可能性がある
廃業(清算)のデメリット
廃業のデメリットは、従業員を解雇しなければならないことです。廃業すると会社が消滅して従業員の働き先がなくなるので、従業員の雇用を守ることができません。
これまで会社に尽くしてきてくれた従業員を解雇することになるので、会社としても経営者としてもできる限り避けたい選択肢です。
取引先への迷惑をかける可能性があることも注意しなくてはなりません。一つの会社が急に廃業したら、取引先の収益に大きな影響を与えることになるため、無計画に廃業すると信用を損なう結果になってしまいます。
やむを得ず廃業する場合は、なるべく早い段階で取引先への通達を行って、円満に取引を終了できるように努めなくてはなりません。
他には、負債を負ってしまう可能性もあります。金融機関からの借入の際に個人保証・担保を提供している場合、経営者に返済する義務があるため、廃業後も負債が残ってしまうパターンです。
最悪の場合は個人資産で弁済することになるため、経営者としての収入と個人資産が同時に消滅してしまうこともありえます。
【廃業(清算)のデメリット】
- 従業員の雇用を守れない
- 取引先へ迷惑をかける可能性がある
- 負債が残る可能性がある
M&Aを選ぶメリット・デメリット
廃業ではなくM&Aを選択した場合は、会社を存続させることができます。M&Aで会社の形を保つことで得られるメリット・デメリットを見ていきます。
M&Aを選ぶメリット
M&Aを選ぶメリットは、従業員の雇用を守れる点です。M&Aの場合、買収先に従業員の雇用条件を引き継ぐように交渉を行うことができます。
M&Aの買い手は人材の獲得を目的とすることが多いので、よほど特別なM&Aでもない限り、従業員の雇用を守ることができます。
また、売却益の獲得というメリットもあります。M&Aによる売却は、会社に価値に応じた売却益を獲得することができます。
M&Aでは建物や土地などの有形資産以外に、人材や取引先などの無形資産も評価されます。資産を処分価格で現金化する廃業よりも、M&Aの方が高額の売却益を獲得できるケースが多いです。
【M&Aを選ぶメリット】
- 従業員の雇用を守れる
- 売却益の獲得
M&Aを選ぶデメリット
M&Aを選ぶデメリットは、M&A先の選定が難しいことです。M&Aのメリットには、広範囲から買い手を探せることも挙げられますが、逆を返すと広範囲から探すだけのネットワークが必須であることも意味しています。
一企業が独自に保有するネットワークだと、M&A先が身近な取引先に落ち着くことも多く、M&Aが残念な結果に終わってしまうケースが多いです。
また、M&Aを成約させるためにはM&A先との交渉も行うことになります。当事者同士のM&A交渉は破断することが多いので、成約させることが難しいという問題もあります。
M&Aで幅広い選択肢から最善の結果を得るためには、M&Aの豊富な知識やネットワークを保有するM&Aの専門家に相談するなど、何かしらの対策が必要になります。
【M&Aを選ぶデメリット】
- 買い手探しが難しい
- 自力でM&Aのメリットを活かすのは難しい
廃業(清算)よりM&Aの方がメリットがある
廃業(清算)よりM&Aの方がメリットがある
前章で見てきた廃業とM&Aのそれぞれのメリットをまとめると、廃業のメリットは消極的であるのに対し、M&Aのメリットは前向きなものが多いです。
また、M&Aのデメリットは対策が可能であることも考慮すると、廃業とM&Aの比較検討においては、M&Aの方が会社にとって良い選択肢であるといえます。
特に後継者問題に悩みを抱えている企業は、M&Aを選ぶメリットの全てを得られる可能性が高いです。廃業を検討されている経営者の方は、一度M&Aという選択肢に目を向けてみると、新たな道が拓けるかもしれません。
廃業(清算)を決断するタイミング
廃業(清算)を決断するタイミング
廃業を選択する企業は増加傾向にあり、現在も廃業により数多くの優良企業が消滅していっています。こうした企業が実際に廃業を決断するタイミングはいつなのでしょうか。
この章では、会社や経営者にとって大きな分岐点である廃業やM&Aのタイミングについて取り上げていきます。
経営の状況・環境が変化しつづける
経営の状況・環境は常に変化しています。順調に業績を伸ばして黒字経営を続けていても、業界の動向が一変することで、いきなり経営状態が悪化することも珍しくありません。
一企業の力で解決するのが難しいと判断した場合は、廃業という選択肢を選ぶことも多いです。会社の経営は外部環境の影響が大きい点も、廃業件数が多くなる一因となっています。
廃業(清算)を回避するためのM&A
会社の廃業を決断する前の選択肢として、ぜひ検討したいのがM&Aです。M&Aによる売却の場合、M&A先の傘下に入ることで会社の廃業を回避することができます。
会社を廃業すると個人保証・担保の負債を経営者が負う可能性がありますが、M&Aは個人保証・担保を引き継げる上に、会社の価値に応じた売却益を獲得することも可能です。
会社としても経営者としても沢山のメリットが得られるM&Aは、廃業を決断する前に検討しておきたい選択肢といえます。
M&Aを行うタイミング
M&Aの行うタイミングはとても重要です。廃業とM&Aの選択で悩んでいる時は、できるだけ早く決断した方が良い結果が得られることが多いです。
M&Aは行動を起こしてすぐに成約させることはできません。買い手との長い交渉を経た上で成約に至るので、早期からM&Aの専門家に相談して入念に準備を進めておく必要があります。
ただし、M&Aの準備にあまり時間をかけすぎると会社の状況が悪化してしまい、交渉が不利になってしまう可能性があります。なるべく有利な状態でM&Aの交渉を進めるためには、できる限り早い段階における行動が求められています。
廃業(清算)、M&Aにお悩みの際は
廃業(清算)、M&Aにお悩みの際は
廃業とM&Aでお悩みの際は、M&A総合研究所にご相談ください。M&A経験豊富なM&Aアドバイザーが、相談から成約までの一貫したサポートを行います。
M&Aの相談・仲介で培ったノウハウを活用することで、M&Aによる売却の可能性を冷静に分析し、会社にとって最善の選択を模索します。
弊社のM&A仲介の特徴の一つに、スピード成約があります。実際、最短3ヶ月での成約実績があり、スピーディーな成約を目指すことで、M&A戦略段階で試算した売却益の獲得を実現しやすくなっています。
料金体系は完全成功報酬制を採用しています。着手金や中間金が発生しないタイプなので、M&Aが成約せずに手数料だけを支払うようなことはありません。
廃業やM&Aに関する無料相談は24時間お受けしています。廃業とM&Aでお悩みの際は、M&A総合研究所までご連絡ください。経験豊富なスタッフが真摯に対応いたします。
まとめ
まとめ
本記事では、廃業とM&Aの比較検討を行ってきました。それぞれにメリット・デメリットが存在しており、廃業とM&Aのどちらを選択するべきかは会社の状況次第で変わります。
ただ、一度廃業してしまうと後には戻れません。廃業を決断する前にM&Aを検討することで会社の選択肢の幅を広げることができるので、まずはM&Aに目を向けてみることをおすすめします。
【廃業(清算)のメリット】
- 会社の経営を終わらせられる
- 一定の資産の残せる可能性がある
- 従業員の雇用を守れない
- 取引先へ迷惑をかける可能性がある
- 負債が残る可能性がある
- 従業員の雇用を守れる
- 売却益の獲得
- 買い手探しが難しい
- 自力でM&Aのメリットを活かすのは難しい
- 廃業を決断するタイミングは経営状態が悪化した時が多い
- M&Aのタイミングは早い方が良い結果を得やすい
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。