M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2021年4月22日更新会社・事業を売る
技術提携
技術提携とは、業務提携の中でも技術分野に特化した提携のことです。技術提携を結べば、技術面でお互いに協力する関係を構築できます。ただし技術提携を成功させるには、目的を明確にしたうえで、提携相手との良好な関係構築に努めることが大切です。
技術提携
昨今の日本のビジネスシーンを見ると、多くの企業でさまざまな経営形態が取られています。自社の力のみで企業を発展させる動きが減少する一方で、他社と協力してお互いの企業の成長を図る事例が増加しています。
上記の協力体制を構築する手段の一つにM&Aがありますが、企業統合プロセスの実施時にはトラブル発生に悩まされることも多いです。たとえ協力体制の構築に成功しても、想定した結果が得られるわけではありません。
かえって経営が悪化するおそれもあるため、なるべくリスクを軽減したうえで協力体制を構築すると良いです。今回は、相互に資本関係を有しない前提で、リスクを軽減しつつ、他企業と協力体制を構築する方法である「技術提携」について解説します。
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技術提携とは
技術提携とは、特定の目的のためにお互いの企業が技術面で協力する関係を結ぶ行為のことです。3種類存在する業務提携の中でも、技術分野に特化した提携だといえます。そもそも提携とは、同じ目的を持つ企業同士が力を出し合って利益獲得を狙う行為のことです。
一見すると合併と類似する手法だと捉えられるケースもありますが、提携と合併では、特定の分野に限定した契約関係である点において大きな相違が見られます。
技術提携は、あくまでもそれぞれの企業が独立性を保ったままの状態で結ばれるため、合併などの企業買収のようにプロセス実施に多くの時間・費用が求められません。独立性が保たれていることから、提携関係の終了も比較的スムーズに実施できます。
業務提携の種類
業務提携とは、企業提携の中でも資本の移動を伴わずに企業が共同で事業を実施する行為のことです。技術提携が含まれる業務提携には、このほかにも「生産提携」と「販売提携」という形態が存在します。ここでは、それぞれの提携形態の特徴をまとめて解説します。
生産提携
生産提携とは、需要拡大に備えるために、製造・生産ラインの一部を別の企業に委託する関係を結ぶ行為です。生産提携を活用すれば、生産・製造ラインを拡充できるだけでなく、生産力の向上も期待できます。
例えば、事業の業績が好調で生産が間に合わないという場合に、生産提携が活用されます。生産手順・ノウハウを指導しつつ生産を支援してもらうことで、生産稼働率を向上させられるという仕組みです。一方で提携相手となる委託先の企業では、対価として報酬を獲得できます。
生産提携を活用するときは、自社と委託先の間で生産物の品質に違いを発生させないよう注意する必要があります。生産提携では生産環境が自社と異なるケースが多く、生産物の品質に差異が生じやすいため、あらかじめ環境整備を実施しておくとよいでしょうす。
販売提携
販売提携とは、販売力向上のために、お互いの企業が持つ販売・営業ルートを提供する関係を結ぶ行為です。販売提携では他業種の企業と提携するケースが多いため、提携相手が属する業界のノウハウを事前に把握しておかなければなりません。
新規事業に参入する場合には、事業分野特有のルールへの注意が大切です。そのほかに、メンテナンス体制・クレームの対処法などの構築も求められます。以上のことから、販売提携では、企業同士の綿密な情報交換が必要不可欠です。
技術提携の目的・方法
技術提携は、お互いの技術・ノウハウを生かしながら切磋琢磨して企業の成長を図るという目的で実施されるケースが多いです。この目的を実現するべく、具体的には以下のような方法が採用されます。
- 企業同士が提携して共同で新技術を開発する
- 一方の企業が持つ技術をもう一方の企業へ提供する
技術提携は、新商品・サービス開発のために協力したりノウハウや技術を教授したりする点に特徴が見られます。新技術の開発を実施する場合、自社の力のみではいずれ限界に到達します。他社と技術提携を結ぶことで、開発にかかる時間・費用を大幅に削減可能です。
大手企業と技術提携を結べば、知名度向上による自社の宣伝効果も期待できます。共同開発の形を取る場合、開発の費用・対価は、ほとんどのケースで両社の折半となります。開発には莫大な費用が必要となりますが、折半することで失敗時のリスク軽減が可能です。
技術提携における契約
技術提携における代表的な契約内容は、特許やノウハウに関するライセンス契約・新技術や新製品の共同研究開発契約などが挙げられます。
ライセンス契約とは、知的財産権を持つ者がライセンス許諾を受けた者に対して、契約範囲における自由な使用を認める契約のことです。共同研究開発契約は、複数の当事者が特定の技術・製品の研究開発を協力して手掛ける目的で締結されます。
技術提携は提携関係の開始・終了を比較的スムーズに実施できる点が1つの魅力ですが、場合によっては自社に不利な契約内容を一方的に定められてしまうこともあります。締結時の交渉では、十分な注意が必要です。
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技術提携のメリット・デメリット
ここからは、技術提携によって生じるメリット・デメリットを順番に紹介していきます。
技術提携のメリット
技術提携には、新技術を開発する時間を短縮できるメリットがあります。企業買収では、通常半年〜1年程度の時間がかかります。その一方で技術提携では、企業が独立性を保った状態で結ばれるため、企業買収と比べてプロセス実施の時間を削減可能です。
企業買収のように株式の移動が伴わないこともあり、比較的簡素な手続きでプロセスを完了できます。技術提携では、双方が費用を折半するケースが多く、プロセス実施の費用を抑えられる点も魅力的です。
多くのケースにおいて費用だけでなく対価も折半されるため、成功時の利益が半分になりますが、失敗時のリスクを半分に軽減できる点はメリットだといえます。
技術提携のデメリット
技術提携にある最も深刻なデメリットは、情報漏洩のリスクが生じる点にあります。技術・ノウハウが漏洩してしまうと、自社の強みが外部に奪われかねません。パスワードが漏洩すれば、事態はさらに深刻化します。
ホームページが改ざんされたり顧客の個人情報が漏れたりすれば、企業の信用が大きく損なわれます。最悪のケースでは経営が悪化してしまうため、自社の抱える情報の取り扱いには十分な注意が必要です。
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技術提携を成功させるポイント
最後に、技術提携を成功させるポイントをまとめて解説します。
- 事前に目的を明確にしておく
- 提携相手には誠実な対応を心がける
- 事前調査を綿密に実施する
- 個人情報に関する契約を締結する
- 専門家に相談する
①目的を明確にしておく
技術提携の実施を検討したら、まずは目的を明確にすることが大切です。これにより、技術提携を締結するに相応しい相手企業や技術提携を実施する具体的な方法などをスムーズに検討できるようになります。
目的を曖昧にしておくと、失敗のリスクを高めるだけでなく、かえって経営を悪化させかねません。技術提携を成功させるには、目的を明確にしたうえで、自社に適する相手企業を見つける必要があります。
②提携相手には誠実な対応を心がける
技術提携では、これまでまったく関わりを持っていなかった企業が提携相手となるケースもあります。すでに取引関係にある企業との技術提携では比較的スムーズにプロセスを済ませられますが、これまでに関わりがない企業との技術提携ではリスク管理が重要となります。
いうなれば、技術提携も人間関係の1種です。親密な関係を構築しつつお互いの企業の利益につなげていくためにも、常に誠実な対応を心がけることが大切です。
③事前調査を綿密に実施する
技術提携の相手候補が見つかったときは、事前調査を綿密に実施する必要があります。多くの技術提携は一時的な関係の構築に留まるため、提携終了後は関わる場面が減少するケースが多いです。
しかし、事前調査を怠れば技術提携の失敗に直結するため、相手の持つ技術や信頼性などを怠らずに調査することが大切です。
④個人情報に関する契約を締結する
情報化が進む現代社会において、自社の情報を提供する技術提携は、大きなリスクが伴う行為です。技術提携を実施すると少なからず相手企業に情報を公開しますが、第三者に情報が漏えいした場合には深刻なトラブルに発展しかねません。
技術提携を開始する前には、「情報を第三者に漏洩しない契約(秘密保持契約)」を締結することが大切です。なお、自社においても、相手企業の情報を慎重に取り扱うことが求められます。
⑤専門家に相談する
技術提携は、成功すればさまざまなメリットが期待できる行為ですが、一方では情報漏えいのリスクが伴う可能性もあります。
契約段階のプロセスを怠るなどして実際に情報漏えいが発生すれば、技術提携が失敗するだけでなく、企業の経営まで悪化させかねないため、技術提携の成功確率を高めるには、専門家への相談が有効策といえるでしょう。
また、技術提携の実施に伴い、結果的にM&Aによる企業買収を実施して経営統合を図るケースも存在します。
M&Aによる企業買収を検討している場合には、ぜひM&A総合研究所にお任せください。M&A総合研究所には、専門的な知識や経験が豊富なアドバイザーが多数在籍しており、培ってきたノウハウを活かしながらM&Aをフルサポートいたします。
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まとめ
技術提携とは、業務提携の中でも技術分野に特化した提携のことです。技術提携を結べば、技術面でお互いに協力し合う関係を構築できます。ただし技術提携を成功させるには、目的を明確にしたうえで、提携相手との良好な関係構築に努めることが大切です。
情報漏えいのリスクが伴うことから、実施を検討したら専門家への相談をおすすめします。要点をまとめると、以下のとおりです。
・技術提携とは
→特定の目的のために複数の企業が技術面で協力する関係を結ぶ行為
・技術提携の目的
→お互いの技術・ノウハウを生かしながら切磋琢磨して企業の成長を図る
・技術提携の方法
→企業同士が提携して共同で新技術を開発する、一方の企業が持つ技術をもう一方の企業へ提供する
・技術提携における契約
→特許やノウハウに関するライセンス契約、新技術や新製品の共同研究開発契約
・技術提携のメリット
→新技術を開発する時間を短縮できる、比較的簡素な手続きでプロセスを完了できる、失敗時のリスクを半分に軽減できる
・技術提携のデメリット
→情報漏洩のリスクが生じる
・技術提携を成功させるポイント
→事前に目的を明確にしておく、提携相手には誠実な対応を心がける、事前調査を綿密に実施する、個人情報に関する契約を締結する、専門家に相談する
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。