2021年4月29日更新事業承継

株主総会の流れ・進め方とは?各プロセスにおける注意点

株主総会は、正しい流れで進めないと決議が無効となるおそれがあるため注意しましょう。本記事では、株主総会の全体の流れと進め方・各プロセスにおける注意点・定時株主総会と臨時株主総会の概要と流れ・株主総会での決議方法の種類を中心に幅広く解説します。

目次
  1. 株主総会の流れ・進め方とは?各プロセスにおける注意点
  2. 株主総会とは
  3. 株主総会の全体の流れと進め方
  4. 株主総会の流れ・プロセスにおける注意点
  5. 定時株主総会と臨時株主総会の概要と流れ
  6. 株主総会での決議方法の種類
  7. 株式総会の流れまとめ
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株主総会の流れ・進め方とは?各プロセスにおける注意点

株主総会の流れ・進め方とは?各プロセスにおける注意点

株主総会は、株式会社において何らかの重要な決定を行う際に開催される意思決定機関です。株主総会の手続きや全体的な流れは会社法に規定されており、それぞれ正式な手順で進める必要があります。

とはいえ、特に中小企業のような親族経営の会社などではうっかり手順を間違えたり無視してしまったりするケースもあり、最悪の場合には訴訟等のトラブルに発展するため、注意が必要です。そこで本記事では、株主総会の概要をはじめさまざまな種類の株主総会の流れを紹介します。

株主総会とは

株主総会とは

株主総会は株式会社における最高意思決定機関であり、株式会社では必ず設置しなければなりません。株主総会は文字どおり株式を所有する株主により構成され、基本的に1株でも株式を所有していれば参加できます(厳密にいうと議決権のある株式を所有する株主が参加可能)。

株式会社における最高意思決定機関である以上、株主総会には会社に関するさまざまな重要事項を決議する権限があります。株主総会が決議できる重要事項は大きく分けて3つあり、それぞれ「会社の根本に関わる事項」「会社の役員の人事に関する事項」「株主の利害に大きく影響を与える事項」です。

会社の経営陣は、役員の選任や解任・定款の変更・合併事業譲渡といった組織再編行為などを行う際、株主総会の決議を経なければなりません。加えて、株主総会では重要事項の決議以外に決算報告・事業報告なども実施されます。

M&A実施時も、選択した手法によっては開催が義務付けられているなど、株主総会は重要位置付けです。仮に株主総会を行わなければ、契約が無効になってしまうケースもあります。

M&A総合研究所では、豊富な知識と経験を持つアドバイザーが、M&A手続きをフルサポートしております。

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株主総会の原則

主として、「株主総会開催の原則」と「1株1議決権の原則」の2つが存在します。はじめに株主総会開催の原則とは、一定の例外を除いて、書面議決ではなく実際の開催を求めるものです。

欠席者への対応として株主総会の招集通知に委任状を同封して提出してもらえれば、その株主について株主総会に出席したものと扱うこともできます。

次に1株1議決権の原則とは、株式を多く保有している人ほど多くの議決権を得られる仕組みのことです。株主総会は基本的にこの仕組みで多数決を取るため、資本多数決とも呼ばれています。

株主総会の種類

大まかに、定時株主総会と臨時株主総会の2つに分かれます。前者は、毎事業年度終了後に一定時期での招集が求められる株主総会です(会社法219条1項、以下、会社法は「法」と記載)。

これに対して、後者は前者以外の株主総会をさし、必要に応じていつでも招集できます(法296条2項)。
そのほかには種類株主総会がありますが、こちらは種類株式を発行する株式会社において必要に応じて招集可能な株主総会です。株主総会の種類および概要と流れについては、後の章で詳しく取り上げます。

書面決議できる場合

株主総会では、書面決議も認められています(法319条)。条件は取締役または株主が株主総会の目的である事項について提案をした場合に、当該提案につき議決権を有する全株主が書面または電磁的方法により同意した場合であり、これを満たすと当該提案を可決した旨の株主総会決議があったものとみなされる決まりです(法319条1項)。

なお、特別決議・特殊決議事項も、書面決議が認められています。

そのほか報告事項について省略することが認められています。その条件は取締役が株主全員に対して報告事項を通知し、総会に報告しないことにつき株主の全員が書面などで同意した場合です(法320条)。

とはいえ、書面決議や報告事項の省略の場合、議事録の作成が求められます(施行規則72条4項)。

従来、多くの中小会社では、株主総会を開く手間などを鑑みて、実際に開催していないにもかかわらず開催したことにして議事録のみを作成するような運用が多く見られました。しかし、書面決議の規定により、適法に株主総会を物理的に開催しないで意思決定を行えるようになっています。

【関連】株主総会とは?意味や時期、決議事項やスケジュールを解説

株主総会の全体の流れと進め方

株主総会の全体の流れと進め方

本章では、通常の株主総会における全体の流れについて、「株主への招集通知」「株主総会の開催と議事進行」に分けて紹介します。注意点も併記しているので、参考にしてください。

①株主への招集通知

取締役会で株主総会の開催が決議された場合、株主総会で議決権を行使する権利がある株主に招集通知を行います。取締役会において株主総会の開催日時・場所・議題・提出議案・関連書類などを決めた後に株主へ招集通知を行いますが、この期間は会社法で定められているため注意してください。

招集通知を行う期間は、公開会社であれば株主総会の開催日時の2週間前、非公開会社で取締役会を設置している会社であり書面投票・電子投票が採用されている場合は2週間前、採用されていない場合は1週間前と規定されています。

また、取締役会を設置していない非公開会社であり書面投票・電子投票が採用されているならば2週間前、採用されていないなら1週間前と規定されています。なお、取締役会を設置していない非公開会社において書面投票・電子投票が採用されていない場合は、定款で招集通知の期間を短縮することも可能です。

招集通知を送る際、経営陣としては「実際に株主総会の開催時に株主からどのような質問がくるか」「質問に対してどのように回答するか」などを事前に決めて想定問答集を作成しておくと、株主総会を円滑に進行できます。

②株主総会の開催と議事進行

株主総会の開催時、議事進行は主に以下の流れに沿って実施されます。

  • 議長の就任
  • 開会宣言
  • 議事署名人決定
  • 監査報告読み上げ
  • 事業内容の報告
  • 議案上程
  • 審議方法の確定と審議
  • 質疑応答
  • 決議
  • 閉会宣言

中でも株主総会の肝は、事業内容の報告から決議までです。そこで次章では、肝となるそれぞれのプロセスにおける注意点について詳しく取り上げます。

【関連】株主総会と取締役会の違い

株主総会の流れ・プロセスにおける注意点

株主総会の流れ・プロセスにおける注意点

本章では、株主総会における議事進行の以下の流れに沿って注意点を紹介します。

  1. 事業内容の報告
  2. 議案上程
  3. 審議方法の確定と審議
  4. 質疑応答
  5. 議事録の作成と保存

それぞれの注意点を把握して、株主総会の流れを円滑に進行させましょう。

①事業内容の報告

事業内容の報告は取締役が行うプロセスであり、株主に対して事業の現状をわかりやすく伝える必要があります。事業内容の報告は膨大な量になるケースもあるため、いかに株主に理解してもらうかが重要です。

一般的な会社の株主総会では、パワーポイントなどで作成したスライドにナレーションを加えて株主にわかりやすく伝える傾向があります。ただし、会社の業績が不調などネガティブな情報を伝える際は、経営者自らが誠意を示すために直接説明すると良いです。

②議案上程

議案上程とは、株主総会で何らかの議案を提出して会議にかけることです。基本的に株主総会では開催する会社側から議案上程を行うケースが多いですが、一定の要件を満たせば、株主側から議案上程を行うこともできます(株主が議案上程をする権利を株主提案権と呼びます)。

ただし、株主総会で議案上程を行うのは投資ファンドなど団体の株主であるケースが主流で、個人の株主が行うケースはそれほど見られません。

③審議方法の確定と審議

議案上程が行われて審議と質疑応答が完了すると、議案決議のために審議方法の確定と審議を行います。株主総会で使われる審議方法は、一括審議方式が主流です。一括審議方式とは、上程された議案を一括で上程した後、すべての議案に関する質問や動議などを行い、採決を順次行う審議方式をさします。

その他の審議方法には個別審議方式がありますが、こちらは個別の議案ごとに議案上程・審議・採決を行っていく方式です。この個別審議方式は手間や時間がかかるのに対して、一括審議方式が議論を円滑に進められるため、一般的に使われています。

④質疑応答

質疑応答では、議案だけでなく会社経営そのものについて株主が質問することもあります。質疑応答が円滑に進めば問題ありませんが、会社や経営者が何らかの問題や懸念事項を抱えている場合は株主から質問が殺到する場合も考えられるため、注意が必要です。そのため、質疑応答には想定回答集を作成しておくと良いでしょう。

⑤議事録の作成と保存

株主総会では、議事録を作成して保存する義務があります。なお、議事録で記載する事項は法律で定められており、主に株主総会の開催日時や場所・株主総会の議事の経過の要領と結果・出席している取締役や監査役・会計監査人などの氏名・議事録作成者の氏名・一定の内容に関して述べられた意見などです。

会社法の改定以降は、株主総会の議事録における記載事項が増加しているため注意しましょう。作成した株主総会の議事録は本店で原本を10年間・支店でコピーを5年間保存しておく必要があるうえに、保存している株主総会の議事録は株主や債権者の要望があれば閲覧・謄写させる義務があります。

M&Aのプロセスにおけるデューデリジェンスでは、譲渡企業の株主総会議事録が必ずチェックされます。会社の譲渡を検討している方は、改めて自社の株主総会議事録などの重要な意思決定を示す書類が保存されているか確認しましょう。

【関連】M&Aにおけるデューデリジェンスとは?費用や種類、注意点を解説

定時株主総会と臨時株主総会の概要と流れ

定時株主総会と臨時株主総会の概要と流れ

株主総会には2種類あります。定時株主総会と臨時株主総会です。定時株主総会と臨時株主総会はそれぞれ開催されるタイミングや目的が異なります。ここでは、定時株主総会と臨時株主総会それぞれの概要と流れをまとめました。

①定時株主総会とは?定時株主総会の流れ

定時株主総会とは1年に1度開催しなければならない株主総会のことで、一般的にイメージされる株主総会です。基本的には、本記事でこれまで説明した流れで進めます。定時株主総会は、毎事業年度終了後の一定期間内に開催しなければならず、会社の決算が終了してから3カ月以内に開催するケースが一般的です。

日本企業の多くが定時株主総会を5~6月に開催しますが、これは決算期を3月としている会社が多く、5〜6月が決算期3カ月以内の時期に該当するためです。定時株主総会では開催日の目安となる基準日を会社が設定しますが、基準日に権利行使できる株主(基準日株主)は株主名簿に記載・記録された株主から選べます。

この基準日株主が行使可能な権利が株主総会(または種類株主総会)の議決権である場合、基準日後に株式を取得した者のすべてあるいは一部について、基準日株主の権利を害さない範囲で権利行使ができる株主として定められます。

なお、基準日を定めた際は、基準日の2週間前までに基準日と権利行使ができる内容を公告しておく必要があります。ただし、定款に基準日や権利行使できる内容に関して何らかの定めがある場合、公告は不要です。

②臨時株主総会とは?臨時株主総会の流れ

臨時株主総会とは、定時株主総会以外で必要があった場合にいつでも臨時に開催できる株主総会です。例えば、事業目的の追加により緊急で定款を変更する事案の発生・取締役欠員時の補充役員の選定・非公開会社による資本金増額を目的とした第三者割当増資や新株予約権の発行などを決議する際に開催されます。

臨時株主総会は、臨時計算書類の承認が可能であるうえに剰余金を配当できるため、何度も実施することが可能です。臨時株主総会は臨時で行われるイレギュラーな株主総会ですが、流れ自体は通常の株主総会と変わらないほか、議決権のある株式を所有する株主全員に出席の権利が与えられます。

株主総会を開催すべき議案がある場合は定時株主総会で議決されるのが一般的ですが、M&Aの実施時は緊急かつスピーディーな意思決定が求められる場面が多いため、臨時株主総会の開催を念頭に置きましょう。

例えば、定時株主総会の時期まで待つというように絶好のチャンスを逃してしまうことがないよう、臨時株主総会に関する手続きについて事前に整理しておくと良いです。

【関連】株式譲渡における株主総会

株主総会での決議方法の種類

株主総会での決議方法の種類

株主総会での決議方法は3種類あり、決議の対象により区別できます。3種類の決議はそれぞれ使われるタイミングや定足数が異なるため注意しましょう。株主総会での決議方法の種類は、以下のとおりです。

  1. 普通決議
  2. 特別決議(法309条2項)
  3. 特殊決議(法309条3項)

それぞれの決議方法を順番に詳しく紹介します。

①普通決議

株主総会における決議に特段の指定がない場合、普通決議が行われます。普通決議とは、議決権を持っている株主の過半数の出席および過半数の同意を得ることが必要となる決議方法です。

普通決議は、主に取締役の選任・配当金の決定など一般的な議案で使用されます。議案の内容が特殊でなければ、基本的には普通決議が採用されると考えておくと良いです。

②特別決議(法309条2項)

一定の重要事項を決議する際に使われるもので、普通決議よりも厳しい要件が設定されています。議決権を持つ株主の過半数の出席を求める点は普通決議と変わりませんが、出席株主のうち3分の2以上の同意を得る必要がある点が相違しているのです(定款の内容によってはそれ以上の割合も可能)。

具体的にいうと、定足数に関しては、定款変更により3分の1以上の割合への変更が認められています。加えて、表決数に関しても、定款変更によって3分の2を上回る割合への変更が可能です。

特別決議が必要となる議案としては、「定款変更」「会社の解散・合併」「事業譲渡」「資本の減少」などが挙げられます。他に特別決議が必要となる例を挙げれば、「株主Aが株主Bに対して譲渡制限株式の譲渡の旨を会社に請求したものの承認されず、会社が請求者の株式を買い取るケース」などです。

③特殊決議(法309条3項)

特殊決議は、特別決議と同様に重大な事項を決議する際に使われる決議方法です。決議事項が重大であるために全体の圧倒的多数による賛成が要求されるもので、定足数要件はないものの多数決要件が特に加重されています。

特殊決議が必要な議案の代表例は、「すべての株式に譲渡制限を設ける旨の定款変更や非公開会社における剰余金配当・残余財産分配」「議決権について株主ごとに異なる扱いをする旨の定款変更」などです。

株式に譲渡制限を設ける旨の定款変更の場合、議決権を持つ株主の半数以上(頭数における半数)のうち3分の2以上が賛成すれば決議が成立します。しかし、後者に関する特殊決議では、議決権の有無にかかわらずすべての株主の半数以上が出席したうえで、株主のうち4分の3が賛成しなければ決議は成立しないのです。

なお、上記の前者と後者はいずれも定款に別段の定めをすれば要件の変更が認められますが、その場合でも法定の要件を上回る割合のみの変更に制限されています。

【関連】株主総会における決議事項の種類と決議方法

株式総会の流れまとめ

株式総会の流れまとめ

株主総会は株式会社における最高意思決定機関であり、正しい流れを把握しながら遂行する必要があります。また、議案によって決議の取り方が変わるため、決議方法の違いを踏まえなければなりません。

大企業であれば株主総会の手順を誤るケースはほとんどありませんが、親族で経営している形態が多い中小企業では正しい手順で実施されないケースも珍しくありません。株主総会は正しい手順で行わなければ決議が無効になったり、取り消されたりするおそれがあるため注意しましょう。今回の記事をまとめると、以下のとおりです。

・株主総会とは
→株式を所有する株主により構成されるもので、株式会社における最高意思決定機関

・株主総会の全体の流れ
→法律で決まっており、正しい流れで実施する必要がある

・株主総会の種類
→定時株主総会と臨時株主総会があり、流れ自体は普通の株主総会と変わらないが開催するタイミングや目的がそれぞれ異なっている

・株主総会での決議方法
→「普通決議」「特別決議」「特殊決議」があり、それぞれ決議に必要な賛成の数などが異なっている

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