M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2021年4月30日更新事業承継
自営業の廃業手続きとは?廃業リスクと注意点
自営業を廃業する際は、廃業届の提出や確定申告といった手続きを実行する必要があります。自営業者の方は残念ながら失業保険を受け取れないため、小規模企業共済といった代わりとなる制度を活用しましょう。自営業における廃業手続き・提出書類、確定申告と税金を解説します。
目次
自営業の廃業
自営業の最も大きなリスクは廃業であり、景気低迷や人口減少が進行している昨今は廃業のリスクが高まっています。
自営業には様々なメリットがある一方、デメリットやリスクも多く存在し廃業せざる得ない状態になる可能性があります。この記事では、自営業における廃業を検討するケースで何をすべきか解説します。
自営業における廃業手続き・提出書類
初めに、自営業を廃業する為に必要な手続きをみていきます。自営業を廃業する為には、主に4種類の書類を所轄の機関に提出しなくてはいけません。
⑴個人事業の開業・廃業等届出書の提出
最も重要なのは、「個人事業の開業・廃業等届出書」の提出です。これは自営業の廃業届であり、所轄税務署と都道府県税事務所の計2カ所にそれぞれ提出する必要があります。
税務署に対しては、廃業後から1ヶ月以内に提出します。事業所得を得る者のみならず、不動産所得や山林所得を得る自営業者も廃業届提出の対象です。
各都道府県ごとに廃業届の正式名称や使用する様式、提出期限が異なる為、詳しくは事業所の所在する都道府県窓口に尋ねる必要があります。
⑵青色申告の取りやめ届出書の提出
青色申告を実施している自営業者の場合には、「青色申告の取りやめ届出書」を所轄税務署に提出します。当該届出書の提出期限は、自営業を廃業する年の翌年3月15日までとなります。
青色申告書を取りやめようとする理由を書く欄には、「廃業のため」と記載しましょう。
⑶事業廃止届出書の提出
2年前の課税売上高が1,000万円を超えている等の条件に合致する場合には、自営業者に消費税が課税されます。消費税の課税事業者が廃業する際には、「事業廃止届出書」を所轄税務署に提出する必要があります。
事業廃止届出書には明確な提出期限が設定されていないので、廃業届と一緒に1ヶ月以内に提出することがオススメです。
⑷給与支払事務所等の廃止届出書の提出
雇用している従業員に対して給与を支払っている自営業者は、廃業時に「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」を提出しなくてはいけません。
こちらも自営業を廃業してから1ヶ月以内が提出期限となっており、所轄税務署に提出します。
⑸所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書を提出
予定納税をしている自営業者でありながら廃業が決まり、予定納税額が多すぎることが予想される場合は、予定納税額の減額を求めることができます。
この場合は「所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書」を所轄の税務署に提出しなければなりません。
提出期間は以下の2種類です。
- 第1期分および第2期分の減額申請→その年の7月1日から7月15日までに提出
- 第2期分のみの減額申請→その年の11月1日から11月15日までに提出
自営業の廃業における確定申告と税金
次に、自営業を廃業する際の確定申告に関して解説します。以下の3つのポイントを押さえましょう。
- 自営業廃業の際に確定申告は必要か?
- 自営業廃業後の経費
- 個人事業税の取り扱い
⑴自営業廃業の際に確定申告は必要か?
自営業を廃業する際は、自営業の廃業に関して特段の規定がある訳では無いため、税金が生じる場合には、通常通り確定申告が必要となります。
国民健康保険料の算定で不利にならないためにも、申告が必要です。なお、赤字であれば原則税金が生じない為、確定申告は必要ありません。
⑵自営業廃業後の経費
自営業を廃業した日から確定申告日まで期間が空くケースでは、廃業後に経費が生じる場合があります。
例えば事務所の光熱費や廃棄処理費用など、自営業廃業後に生じる経費は多いです。所得税法では、自営業を廃業した後に生じた費用を、その年度の確定申告で経費計上できます。
税務署の判断次第では、全ての費用を経費として処理できない場合もあります。
⑶個人事業税の取り扱い
自営業者に対しては、所得税だけでなく個人事業税も発生します。通常、ある年度に生じた個人事業税は次年度に支払いますが、廃業するケースでは廃業日から1か月以内に「個人事業税申告書」を提出・納税しなくてはいけません。
自営業の廃業時に事業税申告を忘れてしまった際には、概算した事業税を確定申告時の必要経費に算入可能です。事業税を経費に算入し忘れた際には、後々「更正の請求」と呼ばれる手続きを実施します。
手続きが面倒になる為、自営業を廃業する際には、事業税に関する手続きを忘れずに実施しましょう。
自営業廃業後の収入と失業保険の受け取り
次に、自営業廃業と失業保険の関係をみていきます。大きく以下の2点を押さえおくことが大切です。
- 自営業者は失業保険を受け取れるか?
- 失業保険の代わりとなる小規模企業共済と所得保証保険
⑴自営業者は失業保険を受け取れるか?
サラリーマンが失業した際には、失業保険として一定額を受け取ることが可能です。自営業者が廃業した際には、失業保険を受け取ることができるのでしょうか?
失業保険を受け取る為には、雇用保険に加入していることが条件となります。自営業者は雇用保険に加入できないため、失業保険を受け取ることができません。
⑵失業保険の代わりとなる小規模企業共済と所得補償保険
自営業者は廃業した際に失業保険を受け取れないので、収入が無くなった際の保険を個別にかけておく必要があります。
自営業者が失業保険の代わりに活用できる制度には、主に下記の2つがあります。
①小規模企業共済
中小企業基盤整備機構の運営する「小規模企業共済」は、自営業者が廃業した際に退職金を受け取ることができる制度です。
毎月月額1,000円〜7万円の範囲で掛け金を積み立てれば、廃業時に共済資金を受けることができます。
自営業の廃業時に退職金を受け取れるだけでなく、共済への掛け金は全額所得控除にできるため、多大な節税効果を期待できます。
自営業者の方には、失業保険の代替として小規模企業共済を強くオススメします。
②所得補償保険
民間の保険会社の運営する所得補償保険も、自営業の廃業時に活用できます。
廃業等に保険金を受け取れる保険に加入すれば、自営業を畳むことになっても当分の暮らしは心配せずに済みます。
各保険会社によって保険の内容や特徴は様々ですので、自身にとって最適な保険に加入しましょう。
廃業に適したタイミングについて
ここまで廃業に関する手続きや保険について解説してきました。提出する書類によっては提出期限が決まっているものもあり、煩雑ですよね。
廃業に適したタイミングはいつなのでしょうか。一般的には12月31日に近づけると良いとされています。
なぜなら、自営業者が納める税金は1月1日から12月31日の1年間を基準として割り出されるためです。
各種税金の手続きと同時に廃業の手続きを行うことで、処理が漏れるリスクを減らすことができます。
自営業者本人が自由に廃業のタイミングを選べる場合は、可能な限り12月31日に近い廃業日を設定することをおすすめします。
自営業の廃業リスクと廃業後の生活について
自営業を廃業する方にとって、その後の生活がどうなるかは非常に心配です。この項では、自営業廃業のその後について解説します。
自営業を廃業すると、その後「家族に扶養してもらう」もしくは「再就職」の二通りに分かれます。
家族に扶養してもらうケース
奥さんや子供といった家族がいる場合、自営業を廃業した後に家族に扶養してもらうことが可能です。
ですが、健康保険・社会保険の扶養に入りながら働くためには以下の条件を満たす必要があります。
- 対象者の年収が130万円未満
- 月収が108,333円以下
- 被扶養者の年収が扶養者の半分未満
ただし、これは各健康組合によって異なります。個々人のケースに合わせて確認しましょう。
再就職するケース
家族のことを考えると、再就職するケースが一般的です。自営業を廃業した時点で歳をとっている場合、それだけで再雇用先が見つかる可能性は下がります。
現時点で自営業廃業を検討する場合は、その後の人生設計をしっかり考えなくてはなりません。
最近では個人事業主がM&Aを行うケースも増えています。M&Aが成功すれば売却益を得られるため、その後の生活資金や新しい事業の開業資金が確保しやすくなります。
もしM&Aを検討中であれば、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、M&Aに豊富な知識と経験を持つアドバイザーがM&Aをフルサポートいたします。
料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)無料相談をお受けしておりますので、M&Aをご検討の際はどうぞお気軽にお問い合わせください。
自営業廃業と再就職という選択
この項では自営業廃業後に再就職するコツをお伝えします。
コツは以下の2つです。
- 再就職は早い方が有利であることを意識する
- 自営業で得たスキル・強みを訴求する
⑴再就職は早い方が有利であることを意識する
自営業者かどうかに関係なく、若いうちに再就職する方が、雇用先が見つかる可能性は高いです。
若い方が積極的に雇用される傾向があるので、それも踏まえて自営業の廃業を検討する必要があります。「引き際が大切」という言葉は、自営業の廃業にも当てはまります。
自営業への思い入れのみならず、家族やその後の人生設計も考えて判断しましょう。
⑵自営業で得たスキル・強みを訴求する
再就職の面接時に、自営業で得た経験やスキルを訴求すれば、就職できる可能性が高くなります。
例えば「事業立ち上げの経験」といった、サラリーマンではできなかった経験を伝えることで就職の可能性は高くなるでしょう。
自営業で得られた経験を前向きに訴求することが重要です。
まとめ
今回は、自営業の廃業に関して解説しました。
自営業を廃業する際には、廃業届の提出や確定申告といった手続きを実行する必要があります。
自営業者の方は残念ながら失業保険を受け取れないので、小規模企業共済等代わりとなる制度を活用しましょう。
自営業は全てが自己責任となるので、覚悟を持って取り組みましょう。
M&A・事業承継のご相談なら24時間対応のM&A総合研究所
M&A・事業承継のご相談は成約するまで無料の「譲渡企業様完全成功報酬制」のM&A総合研究所にご相談ください。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴をご紹介します。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴
- 譲渡企業様完全成功報酬!
- 最短49日、平均6.6ヶ月のスピード成約(2022年9月期実績)
- 上場の信頼感と豊富な実績
- 譲受企業専門部署による強いマッチング力
M&A総合研究所は、M&Aに関する知識・経験が豊富なM&Aアドバイザーによって、相談から成約に至るまで丁寧なサポートを提供しています。
また、独自のAIマッチングシステムおよび企業データベースを保有しており、オンライン上でのマッチングを活用しながら、圧倒的スピード感のあるM&Aを実現しています。
相談も無料ですので、まずはお気軽にご相談ください。
あなたにおすすめの記事
M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
近年はM&Aが経営戦略として注目されており、実施件数も年々増加しています。M&Aの特徴はそれぞれ異なるため、自社の目的にあった手法を選択することが重要です。この記事では、M&am...
買収とは?用語の意味やメリット・デメリット、M&A手法、買収防衛策も解説
買収には、友好的買収と敵対的買収とがあります。また、買収に用いられるM&Aスキーム(手法)は実にさまざまです。本記事では、買収の意味や行われる目的、メリット・デメリット、買収のプロセスや...
現在価値とは?計算方法や割引率、キャッシュフローとの関係をわかりやすく解説
M&Aや投資の意思決定するうえでは、今後得られる利益の現時点での価値を表す指標「現在価値」についての理解が必要です。今の記事では、現在価値とはどのようなものか、計算方法や割引率、キャッシ...
株価算定方法とは?非上場企業の活用場面、必要費用、手続きの流れを解説
株価算定方法は多くの種類があり、それぞれ活用する場面や特徴が異なります。この記事では、マーケットアプローチ、インカムアプローチ、コストアプローチといった株価算定方法の種類、株価算定のプロセス、株...
赤字になったら会社はつぶれる?赤字経営のメリット・デメリット、赤字決算について解説
法人税を節税するために、赤字経営をわざと行う会社も存在します。しかし、会社は赤字だからといって、必ず倒産する訳ではありません。逆に黒字でも倒産するリスクがあります。赤字経営のメリット・デメリット...
関連する記事
会社分割すると従業員の契約はどうなる?労働契約承継法や保護制度を徹底解説!
多くの企業が会社分割を検討しておりますが、トラブルに発展しないように従業員への対応に配慮する必要があります。今回は会社分割を検討している企業に向けて、会社分割における従業員の契約や手続きの流れな...
M&AにおけるITデューデリジェンス(ITDD)を解説!目的や調査項目は?
ITデューデリジェンス(ITDD)はM&Aにおいて欠かせず、明確な目的を踏まえた対応が求められます。今回はM&Aを検討している企業に向けて、ITデューデリジェンス(ITDD)につ...
人事デューデリジェンス(人事DD)とは?目的から調査項目まで徹底解説!
M&Aを実施する際に人事デューデリジェンス(人事DD)は重要です。丁寧に手続きを進めないとM&Aで高い効果は得られません。今回はM&Aを検討している企業に向けて、人事デュ...
二段階買収の手続き方法を徹底チェック!目的やメリット・注意点は?
二段階買収(Two-Tier Takeover Strategy)は、買収側が売却側の少数株主から株式を買い集める際に有益な手法です。当記事では、実施目的や手法、メリットやデメリット、過去事例や...
事業承継の相談先はどこがいい?選び方から注意点まで徹底チェック!
近年は中小企業の経営者の高齢化に伴い、積極的に事業承継を行って生き残りを図る企業が増えています。 事業承継には複雑な手続きが多いため、信頼できる相談先の選択が重要です。そこで本記事では事業...
M&A後の退職金や給与はどうなる?節税方法や注意点まで徹底チェック!
M&Aで退職金を活用すると、節税効果が得られます。当記事では、退職金を利用したM&Aの節税方法やメリット、注意点を交えながら、退職金の扱い方や税務について解説します。従業員や役員...
M&Aにおける人事DDの目的や調査範囲を徹底チェック!費用・注意点は?
人事DD(デューデリジェンス)は、買収側がM&Aの実施後に受ける損失を最小限に抑えるために必要な調査です。当記事では、調査が行われる目的や調査範囲、かかる費用や注意点を踏まえながら、人事...
100日プランとは?PMIの概要・重要性・策定のポイントまで徹底解説!
M&Aを実施する際にはPMIの工程が重要となり、100日プランはPMIの成功に大きな役割を果たします。今回はM&Aを検討している企業に向けて、100日プランの概要・重要性・策定の...
管工事会社の事業承継の動向や事例を徹底解説!メリットや費用相場・注意点は?
管工事会社業界は将来的な需要増加が見込める半面、人材不足や後継者不在といった問題が深刻です。当記事では、過去の事例を取り上げながら、管工事会社(管工事業界)の事業承継について解説します。事業承継...
株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。