2022年12月19日更新会社・事業を売る

資本参加とは?資本提携との違い、注意点をわかりやすく解説

資本参加する企業は相手企業への出資によって関係を深め、自社の経営に寄与をもたらす効果を期待します。資本参加を受ける企業は、出資によって得た資金を有効に活用することが可能です。本記事では、資本参加と資本提携との違い、注意点などを解説します。

目次
  1. 資本参加とは
  2. 資本参加のメリット
  3. 資本参加を受ける際の注意点
  4. 資本参加のまとめ
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資本参加とは

資本参加とは

資本参加とは、他社の株式の取得・保有により、関係性を強化する手法です。似た言葉に資本提携がありますが、こちらは企業同士でお互いの株式を保有することであり、内容が異なります。資本参加は協調関係にある取引企業に対し、株式取得によって資金援助を実施することです。

資本参加が、通常のM&Aである株式取得と違う点は、対象企業の経営権を左右するまでの割合の株式数を求めないことにあります。具体的にいえば、株式比率は3分の1未満に抑えるので、対象企業の独立性は失われません。

一般的な資本参加の傾向として、資本参加する企業の方が、資本参加される企業よりも規模が大きく資金的にも余裕があります。仮に両者が同等規模の場合は資本提携、さらにその先には経営統合などに発展していくかもしれません。

経営統合の場合は、もはや本格的なM&Aです。資本参加とは比べ物にならないほど、そのプロセスには専門的な知識が必要であり、M&A仲介会社などの専門家に相談することが欠かせないでしょう。

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資本提携との違い

会社が互いの株式を持ち合うスタイルで実施する出資方法が、資本提携です。規模が似た会社同士が資本を出し合って、業務支援を両社で行い強い協力関係を作ります

資本参加は、片方の会社が資金援助のために他社の株式を得るスタイルです。会社の経営へ関与するために行うわけではないので、3分の1の比率を超えない範囲で株式を得て、対象とする会社の独立性を保ちます。

資本提携は株式の取得比率が限られません。目的に応じた株式の取引を実施し、基本的には資金面での連携が目的で、株式における3分の1以上は保有しないことがほとんどです。

ちなみに、資本参加を実施した結果、資本提携や経営統合などに発展することもあるでしょう。

業務提携との違い

業務面に限定した提携が、業務提携です。資本の提供や交換は行いません。技術、生産、販売など、業務上のリソースを互いに提供し合います。資本参加で実施する株式の移動などはありません。契約書を交わすのみのステップで提携が開始できます。

技術面における提携では、技術資源やノウハウの共有ができ、新商品や新サービスなどを開発する際に活用可能です。生産面においては、設備や人材を共有し、設備投資にかかるコストや手間を減らせてスピーディーな収益化となるでしょう。

販売面においては、他企業の販路や市場ノウハウを獲得できるので、新規事業へ参入する際など、効率的に販売活動を進められます。

業務提携を結ぶ際は資本がいらないため、企業の規模にかかわらず提携できますが、資本参加よりも関係性が弱いといえるでしょう。

株式譲渡との違い

会社の株式を得てその会社の経営権を得るのが、株式譲渡です。株式譲渡は、M&Aの1つになります。資本参加は、経営権に関与しない程度に取得するので、経営権の獲得を目的とするかどうかが大きな違いです。

株式譲渡は、株主からダイレクトに株式を得ます。得た株式の持分に応じた経営権を持つことが可能です。100%の株式を得ると、完全な経営権が得られます。経営権を得る目的で株式譲渡を実施するので、3分の1未満の割合では実施されません。

事業譲渡との違い

会社における事業の全て、あるいは一部の譲渡を行うのが、事業譲渡です。資本参加は対象の会社へ株式を得るスタイルで資金を提供し関係性を高めるので、事業の権利にかかわりません。

事業譲渡では、買収側は譲渡対象の事業を選び、資産、負債、契約など、事業に関する権利の移転を個別に実施し、契約内容などを新しくしなければなりません。主に株式の取得だけで手続きが終わる資本参加と違い、事業譲渡は契約の移転に手間や費用がかかるでしょう。

負債が多い会社において会社丸ごとの譲渡が困難なケースなどで、将来性のある事業のみ譲渡したい状況で、事業譲渡がよく用いられます。

【関連】販売提携| M&A・事業承継の理解を深める
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資本参加のメリット

資本参加のメリット

資本参加を実施した場合、相手企業の資本を増強するため、その企業の成長や規模の拡大に役立ちます。それにより、従前の取引関係と比べれば、相手企業との関係性は大きく深まり、出資側も新たなビジネスチャンスにつながる可能性があるでしょう。

新規事業の立ち上げ・参入の契機ともなり得ますから、自社にとっても資本参加は大きなメリットを生む可能性を秘めています。加えて資本参加は、相手企業の経営に対して一定の影響をおよぼすことが可能です。

経営権そのものをダイレクトに左右させる持ち株数ではないにしても、有力な取引先の1社であり大株主と伴った資本参加企業の意見は、相手企業経営陣にとって全く無視できるものではありません。

したがって、自社にとって有益となる方向に、資本参加した企業の意向を変えることも不可能ではないといえるでしょう。資本参加には、これらのメリットがあることから、最近では資本参加によって企業成長を試みる経営者も増えてきています。

昨今は本格的なM&Aも増加していますが、緩やかな広義のM&Aともいうべき資本参加は、ある程度、手軽にチャレンジできる経営戦略として、注目を集めているのです。一番のポイントは、独立性を損なわずに協力関係を築ける点で、相手側も受け入れやすいことでしょう。

【関連】業務提携と資本提携の違いとは?それぞれの定義、メリット・デメリットを解説| M&A・事業承継の理解を深める

資本参加を受ける際の注意点

資本参加を受ける際の注意点

この章では、資本参加を受ける際の注意点について見ていきましょう。

①企業間の関係性

資本参加は、成功すればメリットは大きいものの、いくつかの注意点を考慮しなければ失敗する可能性があります。注意点を大きく分けると2つありますので、まずは、資本参加を実施する企業間における関係性の注意点について、確認しましょう。

永続的なものではない

基本的に、資本参加は永続的なものといいきれません。例えば、企業同士の契約の下で資本参加が実施された場合、契約満了時に更新されず、資本参加は打ち切りとなることもあります。資本参加の打ち切りとは、資本の撤収を意味します。

そうなると、資本参加を受けた企業側で株式を買い取るか、それができなければ第三者に株式を転売されてしまうこともあるでしょう。何らかの契約によって資本参加を実施する場合は、解約時の成り行きについて明確に取り決めておくべきです。

また、資本参加解消に関する取り決めなどが存在しない資本参加では、上記の転売などが、資本参加した企業の意思で自由にできてしまいます。資本参加した企業の経営が悪化しない保証はありません。資本参加を受けた企業も同様です。

通常のM&Aのように会社同士が親子関係になっていない分、資本参加した企業の都合でいつでも解消されてしまうリスクがあります。つまり、資本参加は、継続性の面で不安定さが否めません

友好関係維持努力

資本参加を受けている企業側が、資本参加打ち切りの不安を解消するシンプルな方法は、資本参加企業と常に良好な関係を維持することです。資本参加企業は取引先であることがほとんどでしょうから、取引においてもトラブルなどで関係性が悪化することを未然に防ぎましょう。

企業間の友好関係を維持する努力や手間を考慮すると、経営権を失わずに済む資本参加を受け入れることと、子会社として傘下に入るM&Aと、どちらが良いのか一概に判断できない意見もあります。

資本参加、M&Aのどちらにしても、最初の段階から無理な努力をすることなく友好性を保てる相手と組むことが大事といえるでしょう。

【関連】資本業務提携とは?資本業務提携のメリット・デメリットをわかりやすく解説| M&A・事業承継の理解を深める

出資比率と経営権

資本参加が実施される場合、経営権を左右する比率までの株式保有は行われません。経営権を左右する株式比率には、以下のポイントがあります。

  • 全株式の3分の2以上:株主総会で会社の重要事項である特別決議を行える
  • 全株式の過半数:株主総会で会社の通常事項である普通決議を行える
  • 全株式の3分の1以上:特別決議に対する拒否権を行使できる
しかし、会社法では、持ち株数が少ない株主にも一定の権利を認めており、単独株主権と少数株主権の2種類があります。資本参加を受ける企業側は、相手の出資比率が3分の1以下だからといって安心できないことを知っておきましょう。

単独株主権

単独株主権とは、1株しか持っていない株主でも、会社に対して行使できることが認められている権利です。以下に、単独株主権の全てを掲示します。

  • 取締役会招集請求権
  • 株主総会における議案提案権
  • 定款の閲覧等請求権
  • 株主名簿の閲覧等請求権
  • 株主総会議事録の閲覧等請求権
  • 取締役会議事録の閲覧等請求権
  • 計算書類等の閲覧等請求権
  • 合併契約書等の書類の閲覧等請求権
  • 募集株式発行、自己株式の処分、新株予約権発行差止請求権
  • 取締役の違法行為差止請求権*
  • 略式組織再編行為差止請求権
  • 株主総会決議取消の訴え提起権
  • 会社の組織に関する行為の無効の訴え提起権
  • 代表訴訟提起権*
このように、1株所有株主でも、実に多くの権利行使が認められています。なお、*印は、半年以上、株式を保有していることが行使条件とされている権利です。

少数株主権

少数株主権とは、一定の割合か、一定数の株式を保有している株主が、会社に対して行使できることが認められている権利のことです。3分の1以下の持ち株比率でも認められている、少数株主権の全てを以下に掲示します。

  • 総議決権の1%以上:株主総会の検査役選任請求権*
  • 総議決権の1%以上または300個以上の議決権:株主提案権(取締役会設置会社)*
  • 総議決権の1%以上または300個以上の議決権:議案通知請求権(取締役会設置会社)*
  • 最終完全親会社等の総議決権または発行済株式の1%以上:多重代表訴訟提起権*
  • 総議決権の3%以上:役員等の責任軽減への異議申立権
  • 総議決権の3%以上:株主総会招集請求権*
  • 総議決権または発行済株式の3%以上:業務執行に関する検査役の選任請求権
  • 総議決権または発行済株式の3%以上:会計帳簿閲覧請求権
  • 総議決権または発行済株式の3%以上:役員解任請求権*
  • 総議決権の10%以上:募集株式発行における株主総会請求権(上場会社)
  • 総議決権の10%以上:募集新株予約権発行における株主総会請求権(上場会社)
  • 議決権または発行済株式の10%以上:解散請求権

*印は、株式を半年以上保有していることが行使条件とされている権利です。上記のとおり、少数株主権にも多くの権利が認められていることがわかります。資本参加を受け入れる際は、単独株主権と合わせて、その内容を把握しておきましょう。

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期待されるシナジー効果

シナジー効果により、資本参加の効果が倍増できます。資本参加で期待されるシナジー効果は、売上シナジー、研究開発シナジー、コストシナジーなどの事業シナジーでしょう。資本参加により関係を強め、互いの事業を技術やノウハウなどで補完し合えると、会社の生産力アップにつながります。

しかし、期待したようなシナジー効果が得られないケースもあるのです。シナジー効果を発揮するには、互いの強みや足りない要素などを、しっかり把握することが欠かせません。相手の社風や債務などの情報により、自社とのシナジー効果が期待できる会社かどうか前もって調べることも重要です。

事業内容がマッチし関係が築ける会社を選択し、万が一のリスクを避けるためにも詳細な取り決めを設けましょう。そうすれば、目的に合うシナジー効果が期待できます。

資本参加のまとめ

資本参加のまとめ

資本参加には、企業同士が手を取り合って成長できるメリットがあります。しかし、相手企業との関係がこじれると、トラブルの種になるリスクが発生します。資本参加は企業同士の信頼関係があってこそ成功する手法であることを常に意識しましょう。

特に資本参加を受ける企業側は、良くも悪くも企業経営の内部に、他の企業を株主として入り込ませる行為です。全くの無防備ではいられないことは肝に銘じておきましょう。

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