M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2023年5月30日公開事業承継
資金ショートの意味をチェック!原因やショートしないための対策なども紹介!
経営を悪化させるだけでなく信用を大きく落としてしまう「資金ショート」。本記事ではそんな資金ショートの意味をご紹介します。また、資金ショートが引き起こされてしまう原因やその対策をいくつかご紹介しますので、自社で資金ショートが起きないように役立ててください。
資金ショートとは?
経営において資金繰りは非常に重要な問題です。
資金は経営の血液ですから、うまく回るように設計する必要があります。しかし多くの企業は資金繰りがうまくいかず「資金ショート」を起こしてしまっています。「資金ショート」を起こしてしまうと経営が傾いてしまい、最悪の場合だと倒産につながります。
そんな「資金ショート」とはどのような状態なのか解説します。
資金ショートの意味
資金ショートとは、収支のバランスが崩れており今後の支払いに必要な資金が不足している状態を言います。
例えば、設備購入費や公共料金など支払うべき料金を支払うことができず社外への支払いが滞ってしまうことになります。もちろん、社外へ交渉し支払いを延期してもらうこともできますが、企業としての信用はどんどん落ちてしまいかねません。資金ショートが重なると倒産の可能性もありますから早急に改善する必要があります。
資金ショートと赤字との違い
資金ショートとよく似た言葉に「赤字」がありますが、以下のように明確に違いがあります。
- 資金ショート:収支のバランスが崩れており今後の支払いに必要な資金が不足している状態
- 赤字:利益がマイナスの状態
資金ショートの場合だと社外への支払いが滞ってしまうのですが、赤字の場合だと社外への支払いが滞るとは一概に言えません。経営戦略の再建により黒字化することも可能な範疇です。
資金ショートと債務超過との違い
また、資金ショートと「債務超過」との違いもご紹介しておきます。
- 資金ショート:収支のバランスが崩れており今後の支払いに必要な資金が不足している状態
- 債務超過:負債総額が資産総額を超えている状態
債務超過はあくまでも負債総額(返済に必要な借金総額)が資産総額(会社の保有する資産総額)を超えている状態であり、資金ショートほど悲惨な状態ではありません。支払いが不可能になるほどの状態ではないため、経営戦略の再建により元に戻すことが可能です。
資金ショートの原因
資金ショートの原因はいくつもありますが、ここでは代表的な原因をいくつかご紹介します。
- 売上の減少
- 資金の管理不足
- 支出の増加
- 売掛金の回収遅れ
- 不測の事態のトラブル
ではそれぞれ解説します。
売上の減少
資金ショートの大きな原因に、売上の減少があります。
当然ですが経営は売り上げが上がってくるものを想定し、予算を組み戦略を設計します。しかし、肝心の売り上げが減少してしまうと想定よりも手元に戻ってくるお金が少なくなってしまうため、資金ショートを起こします。売上の減少を引き起こしてしまう要因は以下の3つが挙げられます。
- 商品の評判が急激に落ちた
- 競合他社の売上の伸びが著しくなった
- 企業の信頼を失う出来事が起きた
自社の商品に問題があるケースと外的要因のケースがあります。
資金の管理不足
経営者が資金を管理している場合、日々の業務が忙しくなると資金の管理不足に陥ります。
直近の売り上げや利益ばかりに目がいってしまい、長期的な資金戦略を設計できないとどんどん資金ショートを引き起こしてしまいかねません。また、日々の業務に忙殺されている状態だとうまく資金戦略を設計できないことも多いものです。収支のバランスを確認するにはそれなりの余裕が必要になります。
支出の増加
利用しているサービスや仕入れ材料などの料金増加に伴う、支出の増加も要因の1つです。
サービスや材料を扱う企業にも企業戦略があり資金管理がありますので、この変動は管理することが難しいものです。「いずれ料金が高騰するだろう」と予測して経営戦略を設計できれば問題ありませんが、ほとんどがそうではないはずです。支出が急に増加してしまうことはすべての企業に当てはまることですので、万が一に備えて資金を潤沢に用意しておく必要があるでしょう。
売掛金の回収遅れ
企業間でサービスや商品の取引が行われた際、支払いを現金ではなく売掛債権や対価として「売掛金」で支払うケースがありますが、回収遅れが発生しやすい支払い方法です。
「売掛金」はあくまで期限内に支払われて初めて利益として形状できるため、「売掛金」が支払わなければいつまで経っても資金を回収することができません。取引先が倒産してしまったりすると「売掛金」を回収することができなくなるため、非常にハイリスクな支払い方法だといえます。また、「売掛金」を回収できずに自社も倒産してしまう連鎖倒産のリスクも高まります。
不測の事態のトラブル
経営には不測の事態がつきものですが、そういったトラブルからも資金ショートが発生します。
例えば、設備が故障してしまったり欠陥品の回収義務が発生してしまったりと資金を徹底的に管理していても避けることができない事態に直面することがあります。さらには地震や水害などの「自然災害」により予測しない支出が必要になるかもしれません。これは対策や予防できるものではありませんので、資金繰りを徹底して管理しておく必要があります。
資金ショート予防の対策
資金ショートを引き起こしてしまうと、企業の信頼が落ちかねません。そこで企業がいますぐできる資金ショート予防の対策をいくつかご紹介します。
- 資金繰り表を作成し管理の徹底
- 不要な在庫を持たない
- 請求漏れ・未入金がないか確認
- 外部からの資金調達
- 遊休資産を見直す
- コストカットをする
- 公的支払いを延長してもらう
- リスケジュールを検討する
- 仕入れ先に支払期限延長の交渉をする
かなり多いですが1つ1つ解説します。
資金繰り表を作成し管理の徹底
基本的なことにはなりますが、資金繰り表を作成しましょう。
どこへ支出があり、どこから収入があるのかを明確にすることで資金繰りを管理することができます。管理するだけでなく「ここの支出はカットしよう」「ここの収入をもっと増やそう」といろいろな施策立案につなげることもできるようになります。キャッシュフローが明確になれば健全な経営をすることが可能です。
不要な在庫を持たない
在庫に対して保管費用がかかっている場合は、不要な在庫を処分してしまいましょう。
保管費用は毎月定額でのしかかってくるため、資金繰りの圧迫材料となります。また、在庫商品の劣化や需要低迷による損失リスクも発生てしまうため在庫を長く持ち続けることはおすすめできません。もし在庫を処分するのが難しい場合は、まとめ買いやセールを活用して販売促進に努める必要があります。
請求漏れ・未入金がないか確認
資金繰り表を作成した際に請求漏れ・未入金がないかも確認しておきましょう。
取引先が多くなると請求漏れや未入金が発生します。こちらの請求漏れがないかを確認した上で、期日までに入金がされているかを洗いざらい確認しましょう。期日の記載があってもその通りに入金されているとは限らないため徹底的に調査する必要があります。
外部からの資金調達
資金ショートの典型的な対策・予防として、外部からの資金調達があります。
例えば、銀行からの長期資金やファクタリングサービスなどを利用して資金を調達する方法があります。ただ、焼け石に水とならないように資金調達を行った後は必ず資金繰り表に記載をし、どのようにして資金ショートを解決していくのかを考えるべきでしょう。予想外のアクシデントは仕方がないものと割り切り、前を向く必要があります。
遊休資産を見直す
土地や建物、ソフトウェアといった使用・稼働していない資産を「遊休資産」といいますが、これらの見直しを図りましょう。
「遊休資産」は所有しているだけで管理費用や固定資産税がかかってしまうため、早め早めの対策が必要になります。使ってもいないのに費用だけ取られていくのは非常にもったいないです。「遊休資産」を削減することでコスト削減にもつながるため、見直しや売却を視野に入れましょう。
コストカットをする
「遊休資産」以外にもまだまだコストカットができるものが以下のようにたくさんあります。
- 家賃
- 通信費
- 水道光熱費
- 人件費
- 交通費
- 仕入れ費
- 税金
- 保険
これらはコストとしてカットできる費用です。無駄に支出を増やしていないかを確認しましょう。
公的支払いを延長してもらう
税金や公共料金など公的支払いを延長してもらうようにお願いをする方法もあります。
余裕を持って早めに相談しておけば分割払いや一時猶予に対応してくれることもあるため、相談して損はありません。またコロナウイルスの影響もあり公的料金の延長申請の窓口も豊富に用意されていますので、積極的に相談をして資金ショートを改善することをおすすめします。延長してもらう際には「延長してもらいたい理由と支払いに関するスケジュール」を明示することで、より延長してもらいやすくなります。
リスケジュールを検討する
公的支払いだけでなく、他の支払いのリスケジュールを検討する方法があります。
例えば、借入金の返済を延長してもらうように交渉することもできますし、銀行からの融資にも延長申請を出すことで延長の交渉をすることができます。返済額を減額してもらうこともできますのでリスケジュールを検討する価値は大いにあります。ただ、公的支払いの延長と同じく「延長してもらいたい理由と支払いに関するスケジュール」を明示する必要があります。
仕入れ先に支払期限延長の交渉をする
公的支払いや借入金などの延長申請のほかに、仕入れ先への支払い期限延長の交渉をしてみるのも1つの方法です。
ただ、仕入れ先へ支払い延長の交渉をするということは支払い先の資金繰りを悪化させることにつながり、信頼関係に大きく影響します。また、交渉をした段階で「この企業は資金ショートを起こしている」と知られてしまうため次回以降の仕入れが難しくなる可能性があります。あくまでも最終手段として残しておくべきでしょう。
黒字経営でも資金ショートする可能性も
どれだけ予防をしたとしても資金ショートを防ぐことができないケースがあります。それは黒字経営でも同じことで、以下のようなケースだと資金ショートすることがあり得ます。
- 売掛金の入金が長期にわたる
- 設備の大規模投資
- 在庫の備蓄
それぞれ解説します。
売掛金の入金が長期にわたる
売掛金の入金が長期に渡る場合、その間の資金繰りが悪化してしまうことがあります。
大きな売掛金だった場合だとより資金ショートを引き起こす可能性が高くなります。1つの取引先に依存しすぎるのは危険ですので、できれば売掛金を回収する先は複数に散らばるように取引をしておきましょう。
設備の大規模投資
業績が好調で大規模な設備投資をした場合でも資金ショートに気をつける必要があります。
企業の業績がどれだけ好調でも、一気に資金が出て行ってしまうと資金繰りが難しくなってしまうもの。余裕があったとしても資金ショートを引き起こすことがあることを考慮した上で設備投資を行いましょう。
在庫の備蓄
在庫をそのまま備蓄してしまっていても、コストをうまく回収することができずに資金ショートを引き起こすことがあります。
可能性としては限りなく低いものの、在庫仕入れや管理のコストが利益を上回ることがあります。そうなってしまうと資金ショートの可能性がどんどん上がっていってしまうため早めの処分・裁きが必要になってきます。
資金ショートしそうなときの相談先
いろいろな予防・対策をしても改善しない場合、以下の相談先を検討しましょう。
- 顧問税理士
- 公的機関
- 中小企業診断士・行政書士
それぞれ解説します。
顧問税理士
会社の税務関連を管理している顧問税理士へ相談をしましょう。
資金繰りに関する業務内容はすべて顧問税理士が管理しており、手続きや書類作成など多くをサポートしてくれます。例えば、以下のような手続きをサポートしてくれます。
- 企業分析
- 資金関連の計画改善
- 資金繰り改善策の提示
- 対策実行に向けた支援
顧問税理士へ相談することで多くの資金ショートの要因は解決されます。
公的機関
資金繰りに関する公的機関は以下の5つがあります。
- 日本政策金融公庫
- 一般社団法人 全国信用保証協会連合会
- 独立行政法人 中小企業基盤整備機構
- 都道府県等中小企業支援センター
- 全国商工会連合会
公的機関は全国各地に窓口を設けているため気軽に相談が可能です。また融資紹介も行っているため資金ショートの直接的な解決につながるかもしれません。
中小企業診断士・行政書士
顧問税理士や公的機関以外にも、中小企業診断士・行政書士に相談する方法があります。
行政書士は法的書類に関する専門家であり、日本政策金融公庫の認定支援機関です。そのため、資金調達や融資に関しての相談を幅広く受けてくれるでしょう。
中小企業診断士は経営課題を抱えている企業の問題解決にあたります。国家資格であり中小企業のあらゆる問題を解決できるため相談先の1つとして有効です。
資金ショートしないためには早めの対策が大事
資金ショートはいきなりやってくるものではありません。
日頃から資金繰り表を徹底して管理しておけば資金ショートの兆候を見つけることが可能です。ただ、見落としなどにより資金ショートが起きてしまった際には早めの対策を心がけましょう。
まとめ
資金ショートと赤字・債務超過の意味の違いなどを解説しました。
資金ショートは経営を悪化させるだけでなく企業の信用問題に大きく関わる課題です。早めに相談・対策をして改善をしていく必要があります。
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。