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2020年1月24日更新
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超過収益力とは?計算方法やM&Aにおけるのれんとの関係をわかりやすく解説

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

超過収益力は、M&Aや子会社化の場面で重要となる概念です。また、企業価値を構成する大事な要素になります。超過収益力の計算方法や、無形資産の評価、M&Aにおける超過収益力とのれんの関係などについて解説します。

目次
  1. 超過収益力
  2. 超過収益力とは?
  3. 超過収益力の計算方法(無形資産の評価方法)
  4. 超過収益法による無形資産の評価
  5. M&Aにおける超過収益力とのれんの関係
  6. 子会社株式の評価と超過収益力
  7. 超過収益率との違い
  8. まとめ

超過収益力

M&Aやビジネスの場面で「超過収益力」という用語を耳にした経験がある方は多いでしょう。M&Aを実行する際には、超過収益力は企業価値を決める重要な要素になります。

また、のれんとの関係性も深いため、是非理解を深めましょう。この記事では、超過収益力に関して基本的な知識を詳しく解説します。

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超過収益力とは?

超過収益力の意味

まず初めに、超過収益力の意味についてわかりやすく解説します。超過収益力(英語表記「excess earning power」)とは、貸借対照表に載っている資産に含まれませんが、企業価値を構成する大事な要素になります。

超過収益力には、主に下記の要素が該当します。

  • 優秀な人材
  • ブランド力
  • 独自の技術力
  • 他社よりも有利な販路・取引条件(営業権)
  • ノウハウ

超過収益力は、目に見えない資産であり、かつ定量的に数値化されていないものの、将来的な企業の収益を生み出す源泉となり得ます。ある企業の価値を評価する際、貸借対照表や損益計算書上の数値だけでは全てを判断できません。

現時点で赤字であったり十分な資産が存在しなくても、他社よりも優れたノウハウやブランド力を保有していれば、将来的に大化けする可能性は十分にあります。

超過収益力はいわば「潜在的な企業価値」とも言い表せる為ため、真の意味で企業価値を評価する際には超過収益力も考慮しなくてはいけません。詳しくは後述しますが、超過収益力は対象の会社の内情にも左右されます。

そのため、売り手の会社の条件をしっかりと見定めることもポイントです。売り手の条件を確実に見定めることが可能なM&A総合研究所のM&Aプラットフォームを利用すると良いでしょう。

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超過収益力の計算方法(無形資産の評価方法)

超過収益力は、広義では、ソフトウェアや知的財産権といった無形資産に含まれています。有形資産と比較して、超過収益力等の無形資産評価は非常に難しいです。

様々な切り口がありますが、今回は「コストアプローチ」「インカムアプローチ」「マーケットアプローチ」と呼ばれる三つの観点から、超過収益力の計算方法(評価方法)をご紹介します。

各アプローチごとに着眼点や用いる場面が異なるため、状況等を考慮した上で最適な計算方法を採用しましょう。

①コストアプローチ

コストアプローチとは、評価対象となる無形資産(超過収益力)を再取得または再生産する際のコストを価値とする評価方法です。

超過収益力の具体的な計算方法としては、コストの合計に対して、物価上昇や減価要素の加減算を行います。

減価要素に関しては、無形資産(超過収益力)の効果が持続すると予想される期間を設定し、基準日から現時点までの時間経過分を減額します。減価要素と併せて、物価指数を基にコスト調整も忘れずに行います。

コストアプローチに基づく計算方法のデメリットは、再生産(再取得)に要するコストを基に評価するため、将来的な収益力を考慮していないことが挙げられます。また、評価に必要な情報が入手困難であることもデメリットの一つです。

②インカムアプローチ

インカムアプローチとは、無形資産(超過収益力)が将来生み出すキャッシュフローや利益を基に、価値を評価する計算方法です。インカムアプローチに属する計算方法には、「超過収益法」と「企業価値差額法」の二種類があります。

超過収益法は、後ほど詳しく紹介するので、ここでは「企業価値差額法」について解説します。企業価値差額法とは、インカムアプローチやマーケットアプローチで算出した事業価値を基準に、超過収益力の価値を評価する計算方法です。

事業価値の計算に用いるインカム・マーケットアプローチに関しては、この項の最後にある記事「M&Aのバリュエーション」をご参照ください。

個別の超過収益力を計算する際には、事業価値から有形資産や評価対象外の無形資産、運転資本の時価を差し引きます。

  • 超過収益力(個別の無形資産)=事業価値−(有形資産+評価対象外の無形資産+運転資本)

事業価値にも様々な計算方法がありますが、基本的には将来得られるキャッシュフローの現在価値の合計となります。

③マーケットアプローチ

マーケットアプローチとは、類似する取引事例や市場の相場を基に、無形資産(超過収益力)を計算する方法です。

類似する取引事例を用いる場合は、評価対象の無形資産と類似する無形資産を比較して倍率を決定し、倍率に基づき評価を行います。

ただし、無形資産のマーケットは皆無に等しいため、類似の事例を発見するのは非常に困難です。類似する無形資産の売買が見つからない場合は、この計算方法は活用できません。

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超過収益法による無形資産の評価

インカムアプローチの一つに、超過収益法と呼ばれる無形資産の計算方法があります。超過収益法とは、将来得られる実際収益(フリーキャッシュフロー)から期待収益を差し引いた金額を、超過収益とする評価方法です。

期待収益は、「評価対象である無形資産以外の投下資本×期待収益率」により計算した値です。期待収益を簡便に算出する場合は、期待収益率にリスクフリーレートWACCを用います。つまり超過収益法では、下記の計算式により超過収益を算出できます。

  • 超過収益=実際収益-期待収益

超過収益法では、超過収益力のみならず無形資産の価値も評価できます。上記の式で算出した超過収益力を、割引率で割ることで無形資産の価値を算出できます。

  • 無形資産=超過収益力÷割引率

割引率とは超過収益力を現在価値に割り引く為に用いるものであり、リスクフリーレートに危険率を足し合わせたもの(資本還元率)等を使用します。

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インカムアプローチ

M&Aにおける超過収益力とのれんの関係

この項では、M&Aにおける超過収益力とのれんの関係をご紹介します。M&Aとはビジネスを売買したり、一つに統合させることであり、近年は規模に関係なく多くの企業が活用しています。

買い手企業と売り手企業の各々の立場から、M&Aにおける超過収益力とのれんの関係性について見ていきましょう。

買い手企業

M&Aにおいて買い手側は、自社事業とのシナジー効果や将来的な収益力の増強を目的に相手企業を買収します。優れたノウハウやブランド力を保有する企業とM&Aを行う際は、それらの価値も考慮した上で買収価格を決定します。

つまり、M&Aでは、相手企業の超過収益力を買収価格に含めます。M&Aの買収価格に含めた超過収益力は、「のれん」として会計処理の際に計上します。

のれんとして計上した超過収益力は、買収後数年間に渡り価値を減額する処理を行います。のれんの価値に正解はないので、買い手が判断した金額に決定します。

超過収益力の実質的な価値を見誤れば、後々のれんの償却費や減損費用が重い負担としてのしかかってきます。そのリスクを避ける為には、デューデリジェンスにより現実的なのれん評価を実行しなくてはいけません。

売り手企業

売り手企業にとっては、のれん代はプラスに働く要素です。貸借対照表や損益計算書のみで判断すれば業績が悪い企業でも、のれん代によって高値で売却できるケースがあります。何故なら、ブランド力や技術力の超過収益力がのれん代として高値で評価される可能性があるからです。

十分な利益をあげていなくても、ノウハウ等の超過収益力がある企業は、想定以上の価格でM&Aを実行できる可能性があります。M&Aを成功させたい売り手企業は、超過収益力の価値を向上させる対策が有効です。

そこで、超過収益力の価値を高めることが得意なM&A総合研究所に一度ご相談ください。M&A総合研究所では、M&Aに豊富な知識と経験を持つプロがM&Aをフルサポートいたします。

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子会社株式の評価と超過収益力

最後に、子会社株式の評価と超過収益力の関係性についてご説明します。

①子会社株式の評価における超過収益力

時価を把握しにくい企業の場合、企業価値は、通常1株当たりの純資産額に株式数を掛け合わせた金額となります。

時価を把握しにくい企業の子会社化の際、上記の金額により株式取得(買収)するケースが一般的ですが、相手企業の超過収益力を買収価格に含める場合もあります。

実質的な純資産額よりも高い価額で評価する為、子会社が期待通りの業績をあげる事が出来なければ、評価額を減額する必要があります。

評価額の減額は実務上「減損処理」と呼ばれており、減損処理によって多額の「減損損失」が生じる恐れがあります。

②子会社株式の超過収益力の扱い

子会社が想定通りの業績を達成し、投資資金を回収できれば、超過収益力の価値低下は発生しません。一方で、子会社が想定外に業績を達成できずに、投資資金の回収が不可能となれば、超過収益力の減損処理を検討する必要があります。

多額の減損損失を計上する事から、資金繰りの悪化等のデメリットが生じる恐れがあります。デメリットはあるものの、一度に多額の費用を計上する為、却って業績が改善される可能性もあります。

減損処理の手続きは、「認識」と「測定」の計二つのプロセスから構成されます。減損処理の手続きを詳しく知りたい方は、この項の最後にある「減損処理」の記事をご参考ください。

子会社株式を取得する際は、超過収益力の減損に十分に注意しましょう。

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超過収益率との違い

超過収益力と類似する用語に、「超過収益率」というものがあります。この項では、超過収益力と超過収益率の違いを解説します。

①超過収益率とは?

超過収益率とは、投資ファンド等のベンチマーク(参考とする指標)のリターンを上回る部分や、無リスク資産のリターンを上回る部分を指します。

例えば、ある投資家がベンチマークとしている株式のリターンが10%であれば、10%以上の部分は超過収益率となります。無リスク資産のリターンが0.1%の場合、0.1%以上の部分も超過収益率と呼べます。

②超過収益率と超過収益力の違い

超過収益力と超過収益率は、たった一文字の違いですが全く意味が異なります。前者は、目に見えない企業価値の源泉を指す一方で、後者は、ベンチマークや無リスク資産のリターンを上回る部分を指します。

どちらを意味しているかによって、「超過収益率」か「超過収益力」かを使い分ける必要があります。間違えて使用すると、全く異なる意味合いとなるのでご注意ください。

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まとめ

超過収益力はM&Aでは欠かせない概念であり、定量的に数値化されていないものの、将来的な企業の評価を決める重要な要素になります。

また、M&Aでは、買い手企業は超過収益力を買収価格に含めるため、売り手企業は超過収益力を上げることに努めましょう。

超過収益力の計算方法は、多少複雑ではありますが、M&Aの成功確率を少しでも高めるため理解を深めましょう。

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