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2019年12月1日更新
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DCF法による企業価値の算定

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

DCF法は企業価値の算定の中で最もメジャーな手法です。DCF法​による企業価値算定、コストアプローチ、マーケットアプローチによる企業価値算定、DCF法を活用した事業計画の重要性、DCF法における割引率、無形資産の扱い、最後にM&A交渉におけるDCF法の活用について解説します。

目次
  1. DCF法による企業価値の算定
  2. DCF法による企業価値算定
  3. DCF法以外の企業価値の算定の手法
  4. DCF法における事業計画の重要性
  5. DCF法における割引率
  6. DCF法における無形資産
  7. M&Aの交渉におけるDCF法
  8. まとめ

DCF法による企業価値の算定

企業価値は株価の算定の際に使われるものであり、何かしらの場面で算定する必要があるものです。
その企業価値を算定する際によく使われる手法がDCF法です。
DCF法は企業価値の算定の際には必ず使われるといっても過言ではないほど多用されるものですが、DCF法にはメリット・デメリットがあります。
今回はDCF法による企業価値の算定について、そのメリット・デメリットも含めてお伝えしていきます。
ぜひ参考にしてみてください。

DCF法による企業価値算定

企業価値は対象となる企業の事業と資産の価値を総合的に算定したものであり、DCF法はその企業価値を算定する際に使われる手法です。
DCF法はDiscount cash flow=ディスカウントキャッシュフローの略称であり、その名の通りキャッシュフローを割り引くことで企業価値を算定するという手法です。
正確にいうとDCF法は会社が生み出すフリーキャッシュフローの期待値を加重平均資本コストで割り引いた現在価値を企業価値として算定します。
DCF法はインカムアプローチと呼ばれる算定方法の一種であり、企業価値の算定で最も使われている手法です。
株価の評価をしたい会社やM&Aを行っている企業では使っているケースが非常に多くなっています。
DCF法のメリットは対象の会社のキャッシュフローや収益性など、その会社の将来性を踏まえたうえで企業価値を算定できる手法です。
そのためDCF法は対象となる会社の企業価値を正確に算定しやすい手法といわれており、よく多用されるわけです。
しかしDCF法にはデメリットがあり、この点も考慮しておかなければなりません。
DCF法はその会社の将来性に重点を置き企業価値を算定する手法ですが、それは裏を返すと将来の予測をしながら算定していくことになります。
つまり予測である以上、主観的な評価が入り込むことになる恐れがあります。
その結果、恣意的な予測になってしまい、実際の企業価値と解離してしまうリスクは否めません。
また予測に予測を重ねるような手法であるため、企業価値の算定を行った人によって答えが変わることがあるなど不確実な点も否めません。
そのためDCF法を行うには綿密な事業計画を作成し、将来的な予測を正確に行っておく必要があります。

DCF法以外の企業価値の算定の手法

DCF法のようなインカムアプローチ以外にも企業価値を算定する手法はあり、代表的なもので「コストアプローチ」と「マーケットアプローチ」があります。
それぞれDCF法同様メリットとデメリットがあり、通常は単独で使われず、複数の手法を組み合わせて使われることがスタンダートです。
コストアプローチとマーケットアプローチの内容はそれぞれ以下の通りです。

①コストアプローチ

コストアプローチは対象となる会社が所有している資産を再構築すると想定したうえで、その際にかかるコストをベースに企業価値を算定する手法です。
コストアプローチに類するものとしては簿価純資産法や時価純資産法が挙げられます。
簿価純資産法は貸借対照表に記載されている純資産帳簿価額をベースにして企業価値を算定するという手法であり、時価純資産法は会社の資産の時価から負債を控除して企業価値を算定するという手法です。
簿価純資産法にせよ、時価純資産法にせよ、コストアプローチは算定のプロセスがとても簡単であるため、スピーディーに企業価値を算定できるというメリットがあります。
一方、コストアプローチで算定された価値は「清算価値」と呼ばれているように、基本的に会社の存続を前提として算定することができないというデメリットがあります。
つまり会社が存続して成長するという将来性や会社が所有している資産の含み益などといった要素を企業価値に算定できないというわけです。
加えて簿価純資産法のような貸借対照表をベースにした手法だと、会計上の数字と実際の数字にギャップが発生することがあり、その会社の資産を実際的な価値で評価することは難しくなります。
そのためコストアプローチでは正確な企業価値は算定しにくく、単独で使用されることはほとんどありません。
またコストアプローチが使用される場面は会社の継続が想定されていない場面、すなわち会社の解散における清算などで使われることが多い傾向にあります。

②マーケットアプローチ

マーケットアプローチは対象となる会社と同じような会社や類似したM&Aなどの取引、業界の傾向などと比較して企業価値を算定するという手法です。
マーケットアプローチに類される手法として代表的ものに類似会社比較法(類似企業比較法)、市場株価法が挙げられます。
類似会社比較法は対象となる会社と規模や事業内容などが似ている上場会社を選定し、その会社の株価や財務指標と比較して株価、そして企業価値を算定するという手法です。
そして市場株価法は対象となる会社の市場での株式の市場価値や過去に行った取引の価格を基準に企業価値を算定していくという手法です。
マーケットアプローチは他の会社の実情や市場での価値などを参照にして行う手法であるため、客観性を担保できることが大きなメリットだといえます。
この点は主観的な企業価値の算定におちいりやすいDCF法のようなインカムアプローチと対照的だといえます。
しかしマーケットアプローチで比較する会社の選定はどうしても主観的な判断になりがちであり、この部分は決して客観的だということはできません。
また、そもそも類似している企業が確実に存在しているかとどうかもわかりません。
類似している企業が見つからないリスクはどうしても存在しており、見つからなければマーケットアプローチは成立しません。
この点はデメリットとして踏まえておく必要があるといえるでしょう。

DCF法における事業計画の重要性

さきほどもお伝えしましたが、DCF法は綿密な事業計画を作成することがとても重要な手法です。
DCF方を用いる際には対象となる会社の5年分の事業計画が必要となり、それぞれの事業年度ごとにDCF法を実行する際に必要なフリーキャッシュフローを書き込んでいく必要があります。
DCF法の結果をより正確なものにするにはこの事業計画の精度と信頼性がとても大切です。
対象となる会社の事業の将来性や市場での動向、同業他社との競争の具合など会社が置かれている経営環境、今後行う予定の設備投資、M&Aを行う場合であればそのシナジー効果など様々な要素を含めたうえで事業計画を作成していく必要があります。
そしてフリーキャッシュフローを算出できるだけの具体的な情報を十分に取り入れておくようにしておきましょう。

DCF法における割引率

DCF法では割引率も重要です。
割引率はさきほどお伝えした「加重平均資本コスト」の別名です。
この割引率を設定する理由は基本的に現在受け取ることになる資本と将来受け取ることになる資本の価値に違いがあるからです。
DCF法はさきほどお伝えしたように5年に渡って事業計画を作成するものであり、そこで算定されるフリーキャッシュフローは予測値です。
そしてその予測値を現在の価値に変換する為に用いられる割合が割引率です。
この割引率はDCF法の対象となる会社によってどれだけの割合になるのかは変わります。
加重平均資本コストもあくまで割引率の一種であり、会社の内情によっては別の割引率が使われるケースもあります。
そのため実際にDCF法を行う際には計算を担当する専門家と相談し、理想的な割引率を用いるようにしましょう。

DCF法における無形資産

DCF法において無形資産はどのようにあつかわれているのでしょうか。
無形資産はその名の通り形のない資産であり、一般的にはのれんやブランドなどといったものが該当します。
DCF法では無形資産を基本的に収益に影響を及ぼす要素として考え、収益性の中に反映させるのが一般的です。
例えばブランドはそれ自体が顧客の購買意欲を高める因子となり得るものです。
高級ブランドであれば、そのブランドを冠しているだけで人気を集めるケースはごまんとあります。
その意味ではブランドのような無形資産はその会社の収益性を示す重要な要素であり、その価値を踏まえて将来の収益性を設定するのは当然だといえるでしょう。
ただのれんにせよ、ブランドにせよ無形資産はM&Aによる経営統合を行った結果、価値が変動してしまう恐れがあります。
とりわけのれんは見方を誤ると大幅に価値が下がることがあるものです。
そのためDCF法を行う際には単純に無形資産を高く評価することは避け、様々なリスクを想定しながら慎重に価値を評価していく必要があります。

M&Aの交渉におけるDCF法

M&Aのような場面での交渉でDCF法はどのような意義を持っているのでしょうか。
M&Aの交渉の中にはバリュエーションと呼ばれるプロセスがあります。
バリュエーションはすなわち企業価値の算定であり、M&Aでおける買収価格、あるいは売却価格を決定する重要なプロセスです。
バリュエーションではDCF法に限らず、様々な手法を使っていくことになりますが、どの手法が適切かどうかは会社の規模や形態によって変わります。
例えばさきほどお伝えしたようにDCF法は企業価値の算定において最も使われるメジャーな手法ではありますが、どちらかというと資産が少ない反面将来性が期待できるような会社で使われることが多い傾向にあります。
対して資産が大きく、設備が充実している会社ではコストアプローチ(時価純資産法)が使われる傾向が強いといわれています。
このように会社の企業価値を正確に算定するためにはまず手法の採択から厳密に行っていかなければいけません。
正直、企業価値の算定の手法はDCF法を含め、いずれも何かしらの会計や数学の理論が使われるものであり、中にはある程度知識を持っていなければわからない難しい理論や計算方法もあります。
バリュエーション、すなわち企業価値の算定を行う際には専門家の協力を得ておく必要があります。
基本的にM&Aの支援を依頼する専門家といえばM&A仲介会社や経営コンサルティング会社がイメージされるかと思いますが、最近では税理士事務所や会計士事務所、弁護士事務所などといったものでもバリュエーションを含めたM&Aの支援を行ってくれることがあります。
これらの機関では直接バリュエーションを行ってくれなくとも、M&A案件に携わる中で形成した独自のネットワークを持っているため、バリュエーションに適した専門家を紹介してくれることもあります。
そしてこれらのような機関が充実している現在、企業価値の算定という面倒なプロセスをM&Aの当事者が直接行うということはほとんどないといってもいいでしょう。
ただ、経営者がDCF法を含めた企業価値の算定に関する知識を持っていればよりプロセスが円滑に進むことになります。

まとめ

今回の記事をまとめると以下のようになります。

  • DCF法はキャッシュフローを割り引くことで企業価値を算定するという手法であり、その会社の将来性を加味したうえで企業価値を算定することができる。
  • DCF法はインカムアプローチと呼ばれる企業価値を算定の手法に類するものであり、他の手法にはコストアプローチやマーケットアプローチが挙げられる。
  • DCF法でより正確な企業価値を算定するには精密な事業計画の作成が重要となる。
  • DCF法における割引率は資本の予測値を現在の価値に戻すために使用される。
  • DCF法においてのれんやブランドなどといった無形資産は収益性に影響をもたらすものとして重要視される。
  • DCF法に限らず、適切な手法を用いて企業価値の算定(バリュエーション)を行うことはM&Aの交渉を円滑に進めるうえで非常に重要なものだといえる。

DCF法は企業価値の算定の中で最もメジャーな手法であるため、知っておいて損はないものです。
DCF法の理論の全てを理解するには専門的な知識が必要なため、それは難しいですが、基本的な部分に関しては知っておいた方が企業価値を算定するような場面に遭遇した際に役立つでしょう。
ただしDCF法はあくまで企業価値の算定の手法の一つに過ぎず、他にも様々な手法があります。
実際の企業価値の算定では複数の手法を使うことも珍しくないため、他の手法の知識も持っておくこともおすすめです。

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