2022年12月1日更新資金調達

LBOファイナンスとは?LBOとの違いや特徴/リスクを解説【図解】

LBOファイナンスとは、対象の信用力や資産を担保にして金融機関から買収資金を調達する買収方法のことです。名称の由来は、比較的少額の自己資金を梃子(レバレッジ)にすることからきています。本記事では、LBOファイナンスの特徴やメリット・リスクを解説します。

目次
  1. LBOファイナンスとは?
  2. LBOファイナンスの特徴
  3. LBOファイナンスとLBOとの違い
  4. LBOファイナンスを利用するメリット
  5. LBOファイナンスを利用するリスク
  6. LBOファイナンスを活用してM&Aを実行する流れ
  7. LBOファイナンス関連業務に求められる能力
  8. LBOファイナンスのまとめ
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LBOファイナンスとは?

LBOファイナンスとは、買収対象のキャッシュフローや信用力を担保にして買収資金を調達する手法であり、いかに自己負担を軽減しながら買収を実行するとの考えにもとづいた買収手段です。

LBOファイナンスは、主に大企業同士のM&Aで使用されます。中堅・中小規模の案件には関わりが少ないですが、将来的に実践する可能性を考えて数あるM&A手法の1つとして把握しておくと、有効活用できる場合もあります。

LBOファイナンスの特徴

LBOファイナンスは、対象会社のキャッシュフローを担保にする手法であり、以下のようにさまざまな特徴があります。

  • 負債の割合を増やし、純資産の割合を減らす
  • ノンリコース
  • 特別目的会社の利用

負債の割合を増やし、純資産の割合を減らす

LBOファイナンスで融資を受けると、譲渡企業の負債が増加して元本返済による経常利益以下の利益減少や利息払いによる手元資金の減少で、純資産の割合も減少します。

一般的なM&A買収では、譲受企業から譲渡企業に対して譲渡代金の支払いが行われるため、金銭的な余裕が生まれます。しかし、LBOファイナンスでは譲渡企業の負担が大きくなるので、譲渡企業のリスクが高いです。

ノンリコース

LBOファイナンスの2つ目の特徴は、ノンリコースであることです。譲受企業に担保や保証責任はないため、譲渡企業が返済不可能な状態になったとしても、債権者(金融機関等)は譲受企業に対して返済請求できません。

LBOファイナンスは、譲渡企業だけでなく債権者にとってもリスクの高い方法です。対象となる譲渡企業には、債権者の審査基準を満たせるほどのキャッシュフローや信用力が求められます。

特別目的会社の利用

LBOファイナンスの3つ目の特徴は、買収専用のSPC(特別目的会社)を利用することです。譲受企業がSPCを設立して、SPCがLBOファイナンスで金融機関等から買収資金を調達します。

SPCは、調達した資金を元手に譲渡企業の買収を行い、その後に合併を実施します。返済義務のあるSPCと譲渡企業が合併して、実質的に譲渡企業に返済義務を負わせることで、LBOファイナンスが完了する流れです。

【関連】特別目的会社(SPC)とは?メリット・デメリット、設立の手順をわかりやすく解説| M&A・事業承継の理解を深める

LBOファイナンスとLBOとの違い

LBOファイナンスは、LBO(レバレッジド・バイアウト)から派生した買収手法です。LBOの特徴はLBOファイナンスの特徴ともいえますが、この章ではLBOの特徴とLBOファイナンスとの違いを解説します。

LBOとは

LBO(レバレッジド・バイアウト)とは、譲渡企業の資産や将来的な収益を担保に金融機関等から資金調達して買収するM&A手法です。

LBOが成功すれば、譲受企業は大きな出費をすることなく、譲渡企業を傘下に加えられます。大量にリソースを投入する必要がないので、事業の多角化を目指す企業などが有効活用しています。特にPEファンドが活用しており、企業価値が向上した段階で売却して数倍のリータンを得るやり方で、一大資産を築いているファンドも少なくありません。

【関連】LBO(レバレッジド・バイアウト)とは?仕組みやスキーム、メリット・デメリットや事例をわかりやすく解説| M&A・事業承継の理解を深める

LBOの特徴

LBOは、譲受企業にとって利用価値が大きい特徴を持ち合わせています。特に影響の大きな特徴は、以下の2点です。

  • 買収側の投資額削減
  • 売却側の社会的信用を活用

買収側の投資額削減

LBOの1つ目の特徴は、買収側の投資額を削減できることです。譲渡企業の事業内容や今後の事業計画に基づき金融機関から買収資金を借り入れて、最終的に譲渡企業の負債にできます。通常のM&Aでは資金調達が問題になることが多いですが、LBOを用いたM&Aは自己負担を軽減できるため資金調達が問題になりにくいのがメリットです。

少ない資本でM&A買収を実行できるため、企業全体にリソースの余裕が生まれて複数の事業を同時並行しやすくなるメリットもあります。

売却側の社会的信用を活用

LBOの2つ目の特徴は、売却側の社会的信用を活用できることです。通常の融資は買収側である譲受企業の信用力にもとづいて行われますが、LBOは譲渡企業が返済義務を負うため売却側の社会的信用が重要なポイントになります。

これにより、譲受企業は自らが調達できないような巨額の資金も譲渡企業の社会的信用で調達できるようになり、積極的にM&A買収を実行しやすくなります。

LBOファイナンスとLBOの違い

LBOの譲渡企業の社会的信用を活用する特徴に加えて、負債増加・純資産の割合減少やノンリコースなどの特徴を強めたものがLBOファイナンスです。

LBOファイナンスは、資金を貸し出す金融機関のリスクがさらに高まっているため、融資を受けるためには譲渡企業に返済能力があることを示せるよう、M&A買収の時点で具体性のある事業計画を提示することが求められます。

LBOファイナンスを利用するメリット

数あるM&A手法のなかでも特徴的なLBOファイナンスですが、利用するメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。この章では、買収側・売却側・融資側のそれぞれの視点からメリットを解説します。

買収する側のメリット

LBOファイナンスの買収側における最大のメリットは、少ない資本で買収を行えることです。LBOファイナンスで売却側の社会的信用を活用して大規模な融資を受ければ、自己資本を持ち出すことなくM&A買収を実現させることも可能です。

LBOファイナンスは返済義務を売却側に負わせられるため、事業計画に失敗して売却側である譲渡企業が倒産しても買収側に返済義務はありません。買収側の譲受企業は、M&Aの買収資金の一部として投じた自己資本を失うだけで済み、LBOファイナンスの失敗が他事業に悪影響を与えるようなこともないため、積極的に挑戦しやすいメリットがあります。

売却する側の株主のメリット

LBOファイナンスの買収側における最大のメリットは、株式を高値で売却できることです。LBOファイナンスを用いた買収の場合、TOB(株式公開買付)と呼ばれる手法が用いられます。TOBは市場価格に上乗せしたプレミアム価格で買い取ることが一般的です。

過去のTOB事例にもとづいた相場は20〜40%前後となっており、市場価格100円の株式であれば120〜140円で買い取ってもらえます。

融資する金融機関のメリット

LBOファイナンスの融資側における最大のメリットは、高金利で貸し付けることができることです。LBOファイナンスは金融機関にとってリスクが伴うもので、リターンとして高金利設定になることが多いとされています。

LBOファイナンスは短期返済計画になることが多く、短期間で資金を増やせるために金融機関にとって大きなメリットです。特にPEファンドは複数のLBOファイナンスを同時並行し、買収を繰り返しています。数年間のスパンで資本回収を見込んでいるので、金融機関が資本を回収できるスパンも短くなる傾向にあります。

LBOファイナンスを利用するリスク

LBOファイナンスには多様なメリットがありますが、当然ながら一定のリスクが伴います。この章では、買収・売却・融資のそれぞれの立場からLBOファイナンスのリスクを解説します。

買収する側のリスク

LBOファイナンスで買収側の最大のリスクは、信用を損なうおそれがあることです。LBOファイナンスは売却側に返済義務を負わせて、買収側が負うリスクは少ない自己資本程度です。しかし、LBOファイナンスが失敗に終わった場合は、無計画な買収を行ったとして会社の社会的信用や評判を大きく損なう可能性があります。

LBOの失敗事例が買収側の失敗として紹介されるケースも多くなっており、売却側からの反感の声や周囲からの指摘により最悪の場合は買収側の経営に影響が及ぶおそれもあります。

売却する側のリスク

LBOファイナンスで売却側の最大のリスクは、経営の自由度が低いことです。LBOファイナンスで返済義務を負わされた売却側は、今後の事業の利益で短期間の返済をしなくてはならないため、経営戦略に幅を持たせることが難しくなります。

事業を展開するうえで追加融資が必要になった際も、すでに高額な負債を抱えているため金融機関からの資金調達は期待できません。借入金を完済するまでは自由が縛られている状態なので、完済まではLBOファイナンスの際に策定した事業計画にもとづいて経営する必要があります。

融資する金融機関のリスク

LBOファイナンスで融資側の最大のリスクは、回収不能になる可能性があることです。金融機関は売却側の信用力やキャッシュフローを担保に貸し付けているため、売却側である譲渡企業が事業計画に失敗した場合は資金を回収できなくなる可能性があります。

金融機関にとって不良債権は絶対に避けたいものなので、LBOファイナンスの融資を決定する際は的確な判断が求められます。

LBOファイナンスを活用してM&Aを実行する流れ

この章では、LBOファイナンスを活用したM&Aの流れを解説します。LBOファイナンスの要素が絡むポイントは、主に以下の4つです。

  • SPC(特別目的会社)を設立
  • 買収するための資金調達
  • M&Aの実行
  • SPCと買収先企業の合併

SPC(特別目的会社)を設立

LBOファイナンスは、まずは買収側がSPC(特別目的会社)を設立します。SPC(特別目的会社)とは、企業が特定の資産だけを切り離して、特定の資産やプロジェクトのためだけに設立する会社です。LBOファイナンスでは、ここで設立したSPCが最終的な受け皿会社としての役割を果たすことになります。

資本金はいくらでも構いませんが、LBOファイナンスで買収側が自己負担する分は、この段階で資本金としてSPCに移しておく流れが一般的です。

買収側 買収側
SPCを設立 受け皿会社

買収するための資金調達

続いて、金融機関から買収資金を調達します。LBOファイナンスによる買収を実行するのはSPCなので、融資先もSPCです。この段階では、SPCに買収資金と借金の返済義務の両方が存在している状況です。LBOファイナンスの借金は、LBOローンなどと呼ばれることもあります。

金融機関からSPCへ融資
買収側 買収側
受け皿会社(SPC) 受け皿会社(SPC)
(資金+借金)

M&Aの実行

買収資金を調達したら、SPCにより買収先企業のM&A買収を実行します。買収先企業の株式の対価として資金を払い込み、買収先企業をSPCの傘下に加えます。この段階でSPCと買収先企業の親子関係が構築され、SPCには買収先企業の株式と借金が残っている状態です。SPCが払い込んだ買収資金は、売却側の株主のものとなります。

売却側 株式→
←資金
買収側
買収先企業
(事業)
受け皿会社(SPC)
(借金)
 
買収側
受け皿会社(SPC)
(株式+借金)
買収先企業
(事業)

SPCと買収先企業の合併

LBOファイナンスの最後の流れは、受け皿会社と買収先企業の合併です。最終的に買収先企業に事業と借金が残る形となります。以降は、買収先企業が生み出す収益から、金融機関に対して返済を行います。万が一、買収先企業が事業に失敗した場合も、ノンリコースのために買収側が返済義務を負うことはありません。

買収側 買収側
受け皿会社(SPC)
(株式+借金)
↑吸収合併↑ 受け皿会社&買収先企業
(事業+借金)
買収先企業
(事業)

【関連】吸収合併とは?新設合併との相違点、手続きの流れ、メリット、登記方法も解説| M&A・事業承継の理解を深める

LBOファイナンスのご相談はM&A総合研究所へ

LBOファイナンスはメリットが大きい反面、リスクも高くなります。リスクを押さえながら実行するためには、M&Aの専門家などのサポートを受けながら十分に対策を施す必要があります。

M&A総合研究所は、M&Aの仲介事業を手掛けているM&A仲介会社です。幅広い規模のM&A案件を扱っており、案件に携わる際は常にLBOファイナンスを含めたM&A手法の比較検討をいたします。無料相談は随時お受けしています。LBOファイナンスやM&Aにお悩みの際は、お気軽にM&A総合研究所までご連絡ください。

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LBOファイナンス関連業務に求められる能力

LBOファイナンスに携わる主体は、投資銀行・信託銀行・投資ファンド・リース会社・財務アドバイザリーをはじめ、戦略コンサルティングファーム・弁護士事務所などです。

M&Aおよび事業承継業務の経験者や金融関連の審業務査経験者のほか、MBA保有者・弁護士・公認会計士・税理士資格を有する人材が求められています。そのほか、ビジネスレベルの英語力が求められるケースも多いです。

LBOファイナンスのまとめ

LBOファイナンスは独特なM&A手法ですが、成功すれば飛躍的に企業成長を図ることも可能です。リスクを把握したうえで実行すれば、メリットを最大限に生かし、M&Aの専門家からのアドバイスも参考にすれば、成功確率が高まります。

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