M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2024年8月20日更新会社・事業を売る
M&Aの手数料はなぜ高いのか?レーマン方式や支払う費用の相場・計算方法・仲介会社の報酬体系を解説
M&Aが普及拡大するなか、一方ではM&Aの手数料の高さがクローズアップされるようになりました。M&A手数料には、株式譲渡金以外にM&A仲介会社へ支払う手数料などもあります。本記事では、M&A仲介会社の手数料が高い理由やレーマン方式・手数料相場、手数料が高いか安いか判断するための料金体系の基礎知識などを解説します。
目次
M&Aの手数料・報酬はなぜ高いのか?
M&A仲介会社の手数料が高い大きな理由は、人件費の高さです。M&A仲介業務には法律・会計・税務など各分野の専門知識が必要で、適宜、弁護士・公認会計士・税理士のサポートを得る必要があるため、どうしても人件費が高くなり手数料を抑えるのが難しくなります。
そのほか、M&A仲介業自体が未成熟で、適切な手数料の相場がはっきりしていないのも理由の1つです。各社が自由に手数料を設定し、利用する側も相場がわからないのでそれで納得してしまい、結果として手数料が割高になるという面もあります。
M&A仲介会社の手数料が高いことは国も認識しており、経済産業省が指針をまとめるなど適正化の動きが出てきました。仲介会社にM&Aを依頼する際は、こういった手数料の事情を踏まえて、適正な料金体系の機関を探すことが肝要です。
M&Aの手数料相場と種類の一覧
M&Aの手数料には、以下のような種類があります。
実際には、全ての手数料が発生することは少なく、各仲介会社の料金体系で決められた手数料を支払うかたちになります。どの手数料が発生するかはM&A仲介会社によって異なるため、M&Aを依頼する際は事前に料金体系をチェックしておくことが大切です。
手数料名 | 内容 | 相場 |
相談料 | 仲介業務を依頼する前段階の相談料 | 0~1万円程度 |
着手金 | 業務委託契約を締結したときに発生する手数料 | 50〜300万円程度 |
月額報酬 | 契約期間中は毎月発生する顧問料 | 20〜200万円/月程度 |
中間報酬 | M&Aが一定段階に到達した時点で発生する手数料 | 成功報酬の5〜20%程度または30〜200万円程度 ※成約後に成功報酬から差引かれるケースが多い |
デューデリジェンス | デューデリジェンスにかかる費用 | 実費(調査範囲により異なる) ※買収側が負担するケースが一般的 |
成功報酬 | M&Aが成約した時点で発生する手数料 | 算出基準額の1~5%程度(レーマン方式の場合) ※最低報酬額が設定されている会社もある |
業務時に生じた実費 | 交通費・出張費など | 実費 |
①相談料(事前相談)
相談料とは、M&A仲介業務を依頼する前の初期相談時の手数料のことです。M&Aの具体的な相談に限らず、「M&Aに興味があるが実際どのような取引なのか?」、「そもそもM&Aをすべきなのか?」などの初歩的な相談も含まれます。
相談料の相場
近年は、M&A総合研究所のようにほとんどのM&A仲介会社で相談料は無料です。相談料が有料の場合、1回につき数千円~1万円程度の相場となっています。また、初回相談時は無料でも2回目以降は有料であったり、1時間1万円など時間制料金の場合もあったりするので、事前確認しましょう。
②着手金(業務委託)
着手金とは、M&A仲介会社に正式に仲介業務を依頼(=業務委託契約を締結)する際に発生する手数料のことです。名目としては、相手企業の選定や資料作成などの業務で必要となる人件費などをまかなう料金とされています。
着手金は、M&Aが成立せずに終わった場合でも返金されないため、着手金が発生するM&A仲介会社に依頼する際は、その点を理解しておかなければなりません。
純粋にコスト面のみを考えると、着手金無料のM&A仲介会社を選ぶべきですが、サービスの質を高めるためにあえて着手金が発生する仲介会社もあるため、コストとサービスの質の両面を鑑みて判断する必要があります。
なお、クオリティの低いM&A仲介会社の中には、着手金は無料でも、成功報酬を得たいがために強引な成約をしようとするケースもあり、注意が必要です。
着手金の相場
昨今は、M&A総合研究所をはじめ着手金も無料とするM&A仲介会社が多くなってきましたが、着手金が発生する場合、仲介会社ごとに金額が異なるものの、一般的には50〜300万円ほどが相場です。
なお、着手金を有料とする会社の意図としては、M&Aを積極的に行う意欲のない買い手・売り手を排除する狙いがあるとされています。
③月額報酬(リテイナーフィー)
月額報酬とは、M&A仲介会社と契約している期間中、毎月発生する顧問料のような性格の手数料のことです。仲介業務に必要な人件費などをまかなう料金です。名称は統一されておらず、リテイナーフィーなどと呼ばれることもあります。
M&Aは成約までの期間が不確定であるため、長引くほど月額報酬の負担が大きくなる点がデメリットです。ただし、月額報酬を成功報酬の前払いとして扱う仲介会社もあり、その場合は成約すれば損失を被ることはありません。
いずれにしろ、月額報酬も、成約せずに終わった場合でも返金されないため注意が必要です。近年は月額報酬を無料に設定しているM&A仲介会社が圧倒的に多いため、まずは無料の機関から相談先探しを行うとよいでしょう。
月額報酬の相場
月額報酬は、安い場合に月20〜30万円程度、高い場合に月100〜200万円ほどです。月額報酬に関しては、最終的に成功報酬から控除されたり、交渉が一定期間以上長引くと月額報酬を請求しなくなったりするケースも見られます。
月額報酬が有料のM&A仲介会社に相談する場合、こうしたシステムも確認しておくことが大切です。なお、M&A総合研究所では、月額報酬は発生しません。
④中間報酬
中間報酬または中間金とは、M&Aが一定段階へ達した時点で発生する手数料のことです。発生するタイミングは基本合意の締結後などが多く、基本合意締結がM&A手続きとしては中間時点であることから、中間報酬と呼ばれています。
料金設定としては、成功報酬の前払い分として成功報酬額の5〜20%程度の金額であることが多く、成約すれば成功報酬から控除されます。基本合意書には法的拘束力がないため、その後、破談する可能性ある状態です。
仮にM&Aが破談・成約しなかった場合、中間報酬は返金されません。中間報酬を採用しているM&A仲介会社は比較的、多いため、注意しましょう。
中間報酬の相場
中間報酬の相場は、成功報酬の5〜20%程度、あるいは金額固定の場合30〜200万円程度が目安です。M&A総合研究所のように、売り手は中間報酬なしの完全成功報酬制、買い手は中間報酬ありといった料金体系の会社もあります。
また、中間報酬の具体的な金額については、成功報酬の一部を支払うことが多いため、各案件の譲渡価額によって金額が大きく変動するのが特徴です。
⑤デューデリジェンス(買収監査)費用
デューデリジェンスとは、基本合意書締結後に買い手が売り手企業の調査を行うことです。財務・税務・法務・労務・IT・ビジネスなどの各分野について、士業などの専門家を起用して細かく調べます。買い手が実施するものなので、費用負担者は買い手です。
この費用を節約するためにデューデリジェンスをおろそかにすると、成約後に売り手側の問題が発覚し、かえって大きな損失を被ることがあります。
デューデリジェンス費用の相場
デューデリジェンス費用の相場は、「どれほど厳密にデューデリジェンスを行うか」、「いかなる分野のデューデリジェンスを行うか」などにより変動します。しかし、大まかな相場観としては、数十万〜200万円程度をイメージしておくとよいでしょう。
デューデリジェンスは税理士や公認会計士などに頼むことになるため、「1日あたり、あるいは時間あたりいくら」といった形で料金が発生します。したがって、デューデリジェンスにかかる時間によって、手数料の金額が変動するのが一般的です。
また、法務や財務など定番の分野のデューデリジェンスに比べると、ITなどの比較的マイナーなデューデリジェンスは相場がつかみにくい傾向があります。
⑥成功報酬
成功報酬とは、M&Aが成約した時点で発生する手数料のことです。M&A仲介手数料の最も大きな部分を占めるもので、全てのM&A仲介会社で請求されます。成功報酬の金額は、レーマン方式で決められることがほとんどです。レーマン方式の詳細は、後述します。
成功報酬には、最低手数料が設定されていることが多いため注意が必要です。特に中小企業M&Aの場合、最低手数料が高い仲介会社を選んでしまうと、手数料の負担が重くなってしまう傾向があります。
最低報酬
最低報酬とは、M&Aの案件規模に関わらず設定されている成功報酬の最低金額のことです。案件規模が小さい場合はレーマン方式で計算すると、成功報酬額が低くM&A仲介会社としては不採算になってしまう場合があります。
そのような事態を避けるため、レーマン方式の計算結果が最低報酬額よりも低い場合は、最低報酬額で請求するシステムです。
一般的には、大手仲介会社や金融機関は高いことが多く、中小企業向けのM&A仲介会社は安い傾向があり、最低報酬の大まかな相場は500〜2,000万円ほどと考えておくとよいでしょう。
成功報酬の相場
成功報酬に関してはほとんどのM&A仲介会社がレーマン方式を採用しており、手数料率の相場は基準額の1〜5%程度です。もちろん、取引金額が大きいと手数料が高くなりますが、金額帯ごとに料率が低くなります。
成功報酬の金額を判断する際に注意したいのが、基準額の設定と最低手数料です。同じ手数料率であったとしても、基準額の違いで成功報酬は変動します。M&A仲介会社各社が設定している基準額は、会社ごとに大別して3種類あり、内容は以下のとおりです。
- M&A取引額(≒売り手の株式価額)
- 企業価値(売り手の株式価額+有利子負債)
- 移動総資産(売り手の株式価額+負債総額)
上記を見てわかるとおり、同じ基準額でもM&A取引額<企業価値<移動総資産の順で金額が大きくなるため、それに比例して成功報酬額も高くなります。したがって、成功報酬計算の基準額がどれであるかも要チェックの項目です。
また、小規模M&Aの場合、前項で述べた最低手数料も忘れず確認しておきましょう。
⑦業務遂行時に生じた実費
M&A仲介会社の中には、委託業務の中で生じた実費を手数料とは別計算で精算を求める会社もあります。実費の具体例としては、企業価値評価の一環で、売り手企業が遠方に持つ工場や支社に赴いた際の交通費・出張費などです。
実費などの請求は行わず、全て成功報酬に含めるとしているM&A仲介会社も多いので、この点もやはり事前に確認しておきましょう。
レーマン方式とは
M&Aにかかる手数料を算出する際、レーマン方式が採用されることが一般的です。
レーマン方式とは、買取価格のレンジにより手数料率が変動する計算方法をいいます。買取価格が高くなればなるほど手数料率は下がります。
レーマン方式の計算方法
レーマン方式の計算方法は以下の通りです。
買取価格 | 手数料率 |
5億円以下の部分 | 5% |
5~10億円の部分 | 4% |
10~50億円の部分 | 3% |
50~100億円の部分 | 2% |
100億円超え | 1% |
レーマン方式の具体例
レーマン方式で成功報酬手数料を算出する方法を2つの具体例で解説します。
買収価格が3億円の場合
買収価格が3億円の場合、レーマン方式に則ると手数料率は5%です。
そのため、手数料は3億円×5%=1500万円と計算できます。
買収価格が19億円の場合
買収価格が19億円の場合、レーマン方式に則ると手数料率はそれぞれ以下のようになります。
- 5億円×5%(5億円以下の部分) = 2,500万円
- 5億円×4%(5億円超10億円以下の部分) = 2,000万円
- 9億円×3%(10億円超50億円以下の部分)= 2,700万円
手数料は合計して7,200万円と計算できます。
M&Aの手数料は誰が払うのか
会社の売買(M&A)では、通常、売り手と買い手はどちらもそれぞれのサポートのために専門家を雇います。このとき、専門家への支払いとして仲介手数料がかかりますが、この手数料を誰が支払うのかは事前に決めておく必要があります。
仲介手数料は、契約によって変わります。もし売り手と買い手が同じ専門家に依頼している場合(両手取引)、その手数料は双方から支払われます。しかし、専門家が売り手か買い手のどちらか一方とだけ契約している場合(片手取引)、手数料はその依頼した一方が支払います。不動産取引でよく使われるこれらの用語は、M&Aでもよく使われます。
買い手・売り手双方が手数料を支払う両手取引
両手取引では、専門家が売り手と買い手の両方と仲介契約を結び、交渉をスムーズに進めることができます。ただし、米国ではこのような取引は利益の衝突が起こる可能性があるとして規制されていますが、日本ではこのような規制はなく、不動産業界やM&A業界で広く行われています。
M&A仲介会社の担う役割・業務
本章では、M&A仲介会社の行う業務の中から、主要なものを解説します。
M&Aスケジュールの策定
M&Aのスケジュール管理は、M&Aの成否を左右する重要な業務の1つです。M&Aを成功させるには、売却側・買収側のみならず、デューデリジェンスを行う専門家や取引先・従業員など、多くの利害関係者の調整が求められます。
そのため、全体スケジュールを策定せずにM&Aの計画を進行させてしまうと、M&A当事会社からするとM&Aの実行タイミングを把握できずに、途中で交渉をストップしてしまうおそれがあるのです。また、成功の可能性がないM&A計画を続けても、誰の利益にもつながりません。
以上のことから、M&A成功のゴールから逆算し、期限・担当などを明確にすることが、M&A仲介会社の役割の1つとして求められます。
相手先企業とのマッチング
M&Aは自社のみで完結する行為ではなく、相手がいて初めて成立します。そこで、M&A仲介会社には、買収側には売り案件を、売却側には買い手候補を紹介し、マッチングをサポートすることが求められるのです。
M&Aでは、自社から特定の相手先に直接、声をかけにくい場合、M&A仲介会社を通して交渉を進めることで、直接交渉に比べスムーズに交渉が進むケースがあります。自社名を出さずに相手側の関心の有無を確認できるため、効率的にM&Aの相手先を絞り込むことが可能です。
条件交渉のサポート
M&Aでは、当事会社それぞれの相手先が見つかった後、金額・その他の条件交渉を行います。M&A仲介会社に業務委託している場合、交渉はM&A仲介会社が担当するため、当事者同士がシビアな交渉に臨む必要がありません。
直接交渉の場合、譲れない条件や要望を相手先に伝えにくいですが、M&A仲介会社を通すことでお互いの本音を出しながらの交渉が可能です。
すぐに交渉がまとまらない場合でも、M&A仲介会社が論点を明確にし、譲れない条件と譲れる条件を照らし合わせるなどのサポートをすることで、M&Aが成立につながることもあります。
他の専門家の紹介
M&Aのプロセスには、公認会計士・税理士・弁護士など専門家のサポートが必要不可欠なものもあります。特に、M&Aが未経験の中小企業の場合、どのような専門家に依頼してよいのか、判断に困ることが多いでしょう。
そこで、M&A仲介会社に依頼すれば、ネットワークを生かして必要な専門家の紹介を受けられます。
M&A仲介会社以外の専門機関・サービス
近年はM&Aの相談や案件探しができるサービスも増えており、国が設置している「事業承継・引継ぎ支援センター」 や「M&Aプラットフォーム」はそのひとつです。
「事業承継・引継ぎ支援センター」は47都道府県に相談窓口があり、後継者問題を抱える中小企業の相談対応やマッチング支援を行っています。
一方の「M&Aプラットフォーム」は、M&Aを検討している企業(または個人)が自身で案件を探したり直接相手先とコンタクトが取れるマッチングサービスです。
インターネット上のサービスなので時間・場所を気にせず使用することができ、手数料が安くおさえられるメリットもあります。
M&A仲介会社を活用するメリット
ここでは、M&A仲介会社を起用して得られるメリットを紹介します。
経営者の負担軽減
M&A完了までには多くの工程があり、書類の作成や準備なども必要です。一般的にM&Aが完了までに10か月~1年程度はかかるといわれ、長い場合は数年かかるケースもあります。
通常の事業運営と並行してM&A手続きを進めていくのは、経営者にとって負担の大きいものです。ですが、M&A仲介会社にサポートを依頼することで業務の多くを委託することができ、自社の事業運営への支障を最小限におさえることができます。
適正な条件・取引金額の確保
M&Aで買い手は少しでも安く買いたいと考え、売り手は少しでも高く売りたいと思うのは当然です。しかし、適正な条件・取引額で行わなければ安く売却して損をしてしまったり、高値掴みして資金回収できなかったりすることも起こり得ます。
最終的に当事者同士の交渉で条件や価格は決まりますが、それが妥当であるかの判断が難しいケースもあるかもしれません。
特に中小企業の場合はM&A自体が初めてというケースも多いため、ノウハウと知識をもつ専門家に依頼することでM&Aを効率的に進めることができ、成功確率の向上にも期待できます。
トラブルの回避
M&Aの交渉を進めていくなかで当事者間でトラブルが生じる可能性もあり、当事者同士の話し合いでは解決が難しいケースも考えられます。
話し合いがこじれてしまい、もし裁判にまで発展すれば双方が時間と費用を浪費しただけという結果にもなりかねません。
M&A仲介会社がサポートに入っていれば、万一トラブルになった場合も仲裁に入ってもらえるだけでなく、トラブル自体が起こるリスクをさげることができます。
M&A仲介会社を活用するデメリット
M&A仲介会社を活用することには、デメリットも当然あります。デメリットとなりうるのは主に以下がありますが、事前に把握しておき納得したうえで依頼するようにしましょう。
利益相反のおそれ
利益相反とは、片方にとっては利益になるが他方にとっては不利益になる行為という意味です。M&A仲介会社のビジネス形態は、譲渡側・譲受側の双方と仲介契約を結び双方から報酬を得ます。
M&Aの場合、譲渡側はできるだけ高値で売却したいと考え、他方で譲受側はできるだけ安く企業(事業)を買いたいと考えるのが一般的です。
M&A仲介形態は、両者の利益が相反するかたちとなるため利益相反にあたるといわれ、中小企業庁の「中小M&Aガイドライン」でも利益相反のリスクがあると指摘しています。
そのうえで、現状では中小M&Aのおいては仲介形態がFAよりも多く用いられているとし、仲介者という業態が不適切であると断ずるのは現実的ではないとも述べており、利益相反のリスクを最小限にとどめるよう仲介会社に対して以下を事前に説明するよう求めています。
- 仲介であること
- 利益相反となりうる項目を明示する
- 両当事者から手数料を得ること
また、中小企業庁では「M&A支援機関に係る登録制度」などを通じて、M&A仲介会社は一方の当事者に偏った支援を行わないよう注意を促しています。
着手金・中間金など返金されない
M&A仲介会社の手数料体系に着手金や中間金が設定されている場合、もしM&Aが成立しなかったとしても支払った報酬は返還されません。
M&Aは必ず成立するというものではないため、着手金や中間報酬が設定されている場合は事前によく検討することも重要です。
手数料の高額請求リスク
M&A仲介会社の手数料体系は会社によって違いますが、そのなかで共通しているのは成功報酬です。成功報酬は手数料のなかで最も高い金額となり、算出方法にはレーマン方式が多く用いられています。
レーマン方式では基準価格に仲介会社が定めた料率をかけて成功報酬を求めるため、成約価額が高いほど成功報酬も高額になる仕組みです。
一般的な相場では500~2000万円といわれていますが、成約価額によってはそれよりも高くなる可能性もあります。
また、手数料体系によっては、成功報酬以外に着手金・中間金・月額報酬などが必要な場合もあるため、事前に手数料体系をよく確認しておくことが重要です。
M&A仲介会社の選び方
M&A仲介会社を選ぶ際は、手数料が高いか安いだけでなく、サービス内容もチェックする必要があります。
契約の種類
M&A仲介会社との契約は、支援体系によって「仲介型」「アドバイザリー型」の2つがあります。
仲介型
仲介型は、譲渡側・譲受側が同じM&A仲介会社と契約し、M&Aアドバイザーは両社の間にたち中立な立場からアドバイス・支援を行いM&A成立を目指します。
報酬も譲渡側・譲受側の双方が支払うかたちとなるため、アドバイザリー型に比べると安いケースがほとんどです。
また、双方の条件や希望をくみ取ったうえで折り合える点を探しながら交渉を進めていくため、成立する確率も高くなり比較的短い期間で成立しやすいといわれています。
アドバイザリー型
アドバイザリー型は、譲渡側・譲受側のどちらか一社と契約し、契約した企業の利益最大化を目指して交渉を進めます。アドバイザリー型は、上場企業同士のM&AやクロスボーダーM&A(海外を介してのM&A)では多く用いられる形態です。
最も大きなメリットは顧客の利益最大化ですが、譲渡側・譲受側の利益が対立するため交渉が長引きやすいというデメリットもあります。また、1社とのみ契約するため、手数料も仲介型に比べると高くなり場合がほとんどです。
業界への理解を確認
M&Aは、法律や会計など専門分野の知識だけでなく、M&Aを行う買い手・売り手企業の業界動向などの知識も重要です。M&A仲介会社には特定業種に強みをもつ「業界特化型」と、さまざまな業種にネットワークをもつ「非特化型」とがあります。
どちらがよいとは一概にいえませんが、以下のような業種は業界特化型がおすすめです。
- 介護業界
- 病院、クリニック
- 薬局(調剤薬局)
- 店舗系ビジネス
- WEBサイト
また、非特化型のM&A仲介会社に在籍しているアドバイザーも、それぞれ得意業界を持っていることが多いです。M&A仲介会社を選ぶ際は、自社の業界に詳しいアドバイザーが在籍しているかを確認しておくと成功につながりやすくなります。
複数の仲介会社に相談
M&Aを依頼する際、1社の仲介会社のみにしか相談せずに決めてしまう傾向があります。「手数料が高いか安いか」、「サービス内容は良いか」などを見極めるには、複数のM&A仲介会社に初期相談を持ちかけて比較することが重要です。
複数の仲介会社に相談するのは手間がかかるうえに、特定の仲介会社に親切にされると他の仲介会社を選びにくい事情もあります。しかし、M&Aは非常に高い手数料を払って会社を売買する重要な取引です。じっくり時間をかけて、複数の仲介会社から最適な機関を選ぶべきでしょう。
担当者との相性も考慮
M&A仲介では、担当者との相性も非常に重要です。M&Aはあくまでも人間同士が交渉する取引であるため、実務的な側面だけでなく、相手が人間的に信頼できるかといった側面も成功を左右する要因となります。
担当者との相性はあくまでも人間的な部分であるため、人によって「正解」は違うものです。情熱があって親身に接してくれる担当者がよい人もいれば、淡々と確実に業務をこなしてくれる担当者がよいという人もいるでしょう。
もしも担当者と相性が合わないと感じたら、遠慮せず担当者の交代を申し入れるべきです。
手数料の考慮
先ほどレーマン方式について解説しましたが、M&A仲介会社の手数料はまた別で発生します。
M&A仲介会社に支払う手数料は仲介会社により大きく異なり、相談料が0円の会社もあれば別途費用が必要な会社もあります。また、成果報酬費用についても買取価格をベースに算出しているのか、総資産をベースに算出しているのかなど算出方法もバラバラです。事前に手数料面は確認しておきましょう。
M&A仲介会社の手数料・報酬を抑えるコツ
M&Aには多くの費用がかかるため、M&A仲介会社の手数料をおさえたいと考える方もいるでしょう。ここでは、M&A仲介会社の手数料を抑える3つのコツを紹介します。
手数料以外の要素で数社に絞り込む
M&A仲介会社の数は多いため、手数料体系だけをみて探しても自社に合った会社であるとは限りません。はじめに得意な業種・エリア・実績数などから自社に合いそうな数社を絞り込み、そのなかから探す方法が効率的です。
M&A仲介会社の実績・得意な業種・相談件数などは、公式ホームに掲載されています。まずはそれを参考にして手数料以外の要素で絞り込むとよいでしょう。
各社に見積もり依頼
よさそうなM&A仲介会社を絞り込んだら、各社に手数料の見積もり依頼をします。手数料体系は公式ホームページに載っていることがほとんどですが、M&Aの報酬はわかりにくい部分もあるため明確にしておくことが大切です。
また、最近は無料相談を行っている会社が多いので、不明点があれば質問しておくのもよいでしょう。
比較検討
各社の見積もりが揃ったら、無料相談での感触や実績などの情報から依頼先(相談先)を決定します。ポイントは1つの要素だけをみるのはなく、総合的に検討して判断することです。
もし自社に最適だと思うM&A仲介会社の手数料が一番安くなかったとしても、それ以外の要素で総合的によいと判断できれば、そのM&A仲介会社に相談してみることをおすすめします。
M&Aの手数料・報酬を抑えたい際におすすめの仲介会社
M&A仲介会社の手数料は高いといわれているため、できるだけ手数料を抑えて質の高いサービスを受けられる機関を探すのが大切です。M&A仲介会社選びでお悩みでしたら、一度、M&A総合研究所にご連絡ください。
M&A総合研究所は主に中小・中堅規模のM&Aを扱う仲介会社で、料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。
また、成功報酬の計算方法は譲渡価額ベースを採用しており、他の基準額方式よりも手数料を抑えられます。随時、無料相談をお受けしておりますので、会社売却(株式譲渡)・事業譲渡などのM&Aをご検討の際は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
M&Aの手数料まとめ
M&Aの手数料が高い理由には、人件費が高いことや、業界自体が若く基準が整っていないことなどが挙げられます。成功報酬・中間報酬といった独特の料金体系を理解し、高いか安いかを自分で判断できるようにしておくことが大切です。
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。