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2021年4月22日更新会社・事業を売る
株式譲渡所得に確定申告は必要?対象者や申告方法を解説
株式譲渡によって一定額以上の所得を得た場合、確定申告をする義務があります。ただし、利益が発生しなかったり、特定口座(源泉徴収あり)やNISA口座で取引をしている場合には、例外として株式譲渡所得の確定申告が不要となったりするケースもあります。
株式譲渡所得の確定申告
年末を過ぎると、雑誌やテレビなどで「確定申告」という文字を目にする機会が多くなります。基本的に、企業に属している人は本人に変わって会社が年末調整を実施し、来年度の所得税等を計算します。
しかし、個人で事業を展開している人は、自分でその事業年度に得た所得額を報告する必要があります。これが確定申告です。
しかし、実は会社員でも確定申告を必要とするケースがあります。株式譲渡などで一定額以上の所得を得た場合もこれに当たります。うっかり忘れていて確定申告をしないと、脱税となる可能性もあるので注意が必要です。
株式譲渡所得と確定申告に関する基礎知識
まずは、確定申告と株式譲渡所得について基本的な知識を確認しておきましょう。
確定申告の対象者
通常、確定申告は個人で事業を営む人や、給与所得者ではない人が実施する手続きです。しかし前述したように、給与所得者でも確定申告が必要になるケースがあります。それは、給与所得以外に20万円を超える所得があった場合です。
例えば、会社員の給与所得者であっても、株式譲渡などで20万円以上の所得が発生したら、確定申告をする必要があります。
確定申告の期日
確定申告の期限は例年2月16日から3月15日までの1ヶ月間で、この期間に手続きを行わなければなりません。ただし、休日の関係などによって年ごとに日付は多少の変動がありますので、事前に確認して余裕を持って手続きを行いましょう。
この期限を過ぎたら確定申告ができないわけではありませんが、「期限後申告」の扱いとなります。申告はできるものの、期限後申告の場合は無申告課税や延滞税が発生する場合もありますので、できる限り期限内に申告することをおすすめします。
株式譲渡所得とは
株式譲渡所得とは、自身が保持している株式を第三者に売却した際に得られる収入です。税務的な観点からみると、所得税の計算カテゴリーの1つです。株式譲渡の損益は、「株式をいくらで購入し、いくらで売却したか」によって決定します。
購入金額を売却金額が上回れば利益が出ます。それに対して購入金額より安い金額で売却すれば、マイナスの利益が発生します。このとき、プラスの利益は当然課税対象です。一方で、利益がマイナスとなった場合は、課税の対象とはなりません。
譲渡所得というくくりで見ても、具体的な税額の算出方法や、課税費用についてはそれぞれに若干違ってきます。したがって、確定申告する際には、自分がどの区分に当てはまるのかを確認しましょう。
なお、M&Aで株式譲渡を行った場合、個人で手続きをする際とはまた違った手続きを行う必要があります。
M&Aに関する手続きは複雑なものも多いため、M&A仲介会社などの専門家に相談するのがおすすめです。
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株式譲渡所得の算出方法
株式譲渡における所得税は、申告分離課税方式で算出されます。申告分離課税とは、確定申告の際に他の所得とは区別して課税される形式です。
株式譲渡で生じた以下の所得の合計額に、20%を掛けた金額が支払う額となります。
- 事業所得
- 譲渡所得
- 雑所得
20%の税額の内訳は、15%が所得税、5%が住民税です。
株式譲渡所得は以下の計算式で算出します。
- 株式譲渡所得=収入金額−(株式取得金額+株式譲渡にかかる費用)
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株式譲渡所得の確定申告の方法
それでは、実際に株式譲渡所得の確定申告を行う方法を説明していきます。通常の確定申告とは異なる必要書類などもあるので、事前に確認しておきましょう。
①必要な書類
株式譲渡所得の確定申告では、以下の書類を用意する必要があります。
- 確定申告書B
- 分離課税用の申告書(第三表)
- 株式譲渡所得金額の計算明細書
- 年間取引報告書
上から3つ目までは自身で用意します。年間取引報告書については、証券会社から郵送されてきますので、そのまま提出します。
②確定申告の手順
株式譲渡所得の確定申告は、以下の手順で実施します。
収入金額の記入
上場していない未公開株式と公開している上場株式の分を分けて、それぞれの収入金額を記入します。株式譲渡所得金額の計算明細書に書いてある金額を、分離課税用の申告書(第三表)にそのまま記載します。
所得金額の記入
収入金額の記入と同様に、株式譲渡所得金額の計算明細書に書いてある金額を、分離課税用の申告書(第三表)にそのまま記載します。
この際、収入金額と間違えないよう注意が必要です。所得とは、収入金額から必要経費などを差し引いた額です。この手続きも、同様に未公開株式と上場株式で分けて記入します。
税額の記入
「総合課税合計金額」と「所得から差し引かれる金額」を記入します。また、過去に購入経験のある同一銘柄の株式については、株式の総平均に準じた方法で計算します。そのときに算出された1株単位の金額を用いて金額を算出します。
株式譲渡所得の確定申告が不要な場合
通常、20万円以上の株式譲渡所得が発生した場合には、確定申告が必要です。しかし、収入額や口座の選択によっては、確定申告が不要になるケースもあります。
確定申告が不要になるのは、以下のケースです。
- 年間を通じて株式譲渡で利益が発生しなかったケース
- 特定口座(源泉徴収あり)を選択したケース
- NISA(少額投資取引課税)口座で取引して譲渡益が発生しているケース
それぞれのケースについて、詳しく見ていきましょう。
①年間を通じて株式譲渡で利益が発生しなかったケース
前述の通り、株式譲渡所得の確定申告は、未公開株式と上場株式の各グループに分けて考えます。そのどちらでも利益が発生しないケースでは当然、確定申告は不要です。
また、いずれかの株式のみで赤字が出た場合にも、他の株式と利益を相殺できません。給与とも相殺できないので、「株式譲渡では赤字だけど、給与があるから大丈夫」といった考えは通用しません。
基本的に、株式の赤字は切り捨てられます。したがって、株式譲渡所得が損失となっている際は、確定申告は不要です。
②特定口座(源泉徴収あり)を選択したケース
基本的に株式投資を開始する際には、下記3つの口座からいずれかを選択します。
- 源泉徴収あり特定口座
- 源泉徴収なし特定口座
- 一般口座
「特定口座(源泉徴収あり)」を選択した場合は、自動的に各税金が引かれる仕組みになっています。したがって、株式譲渡所得の有無に関係なく、確定申告は不要です。
さらに「特定口座(源泉徴収あり)」には、特定口座内の上場株式を損益通算してくれるメリットもあります。よって、一般口座で投資を実施するよりも手続きが簡素になります。
一方で、株式譲渡所得が20万円以下の場合でも、問答無用に税金が引かれてしまうというデメリットもあるので注意が必要です。
特定口座(源泉徴収あり)でも確定申告したほうがいいケース
ただし、「特定口座(源泉徴収あり)」でも確定申告を行ったほうがメリットがある場合もあります。複数の口座で株取引をしており、利益が出ている口座と出ていない口座が混在する場合です。この場合は損益が通算されるため、源泉徴収された金額が返金される可能性があります。
株の配当金などと損益を通算して過払い分がある場合も、確定申告をすることによって還付を受けられるケースがあります。
また、毎年確定申告を行うことによって、年間の損益がマイナスとなってしまった場合に損失を翌年以降3年間繰り越すことができるというメリットもあります。ただし、そのためには利益がわずかであった年や取引を行わなかった年も申告を行わなければいけません。
③NISA(少額投資取引課税)口座で取引して譲渡益が発生しているケース
NISA(少額投資取引課税)口座を使用すると、口座内にある少額株式の配当金や譲渡金が一定額非課税となります。口座内にある配当や譲渡金が税額対象とならないため、確定申告は不要です。
自動的に非課税となるのは、NISA口座を使用する場合の大きなメリットです。しかし、損失が発生した際には、損益通算繰越控除の対象とならないというデメリットもあります。
まとめ
株式譲渡所得を一定額以上得ている場合、確定申告が必要です。確定申告は自ら実施するものですので、株式投資を始める人やM&Aに関わる人は、確定申告の知識を身につける必要があります。
将来的に独立や退職する可能性がある方も含めて、確定申告の知識を身につけておいて損はないでしょう。確定申告が必要ないケースについても解説しましたが、手続きが簡単になるなどの裏側には、デメリットがあるので注意しましょう。
要点をまとめると、下記のようになります。
・株式譲渡所得とは
→株式を第三者に売却した際に得られる収入
・株式譲渡所得の確定申告をする必要がある場合
→20万円を超える所得があった場合
・株式譲渡所得がマイナスの場合
→課税対象とならないため、確定申告の必要はない
・株式譲渡所得の確定申告の方法
→所定の書類に、収入や所得金額、税額をそれぞれ記入して提出する
・株式譲渡所得の確定申告が不要となるケース
→株式譲渡で利益が発生しない、特定口座(源泉徴収あり)を使用、NISA口座で取引
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