M&Aとは?手法ごとの特徴、目的・メリット、手続きの方法・流れも解説【図解】
2023年11月5日更新会社・事業を売る
M&Aの戦略とは?策定の目的や経営戦略の事例・策定手順・注意点を徹底紹介
M&Aを成功させるためには戦略の構築が不可欠ですが、どのような点に注意して作成すればよいのでしょうか。この記事では、M&Aの戦略とはどのようなものか、策定する目的や策定手順、注意点、実際の経営戦略の事例を紹介します。
目次
M&Aの戦略とは
M&Aと聞くと大企業同士の合併や敵対的な買収劇を想像するかもしれませんが、そのほかにも、大企業が非上場のベンチャー企業を買収する形、中小企業同士で合併する形のM&Aも存在します。
かつては、同業他社の買収や同業種の川上から川下の企業を買収するのが一般的でした。しかし既存事業の閉塞感が強っている昨今では、事業領域や進出地域などの面で、既存事業を変える新しい領域でのM&Aニーズが急速に拡大しています。
M&Aに関して受け身の姿勢である企業が多くありましたが、M&A市場での競争激化により、企業が能動的にアクションを起こす戦略へと変化してきています。
このようにM&Aにはさまざまな形があり、入念な戦略立案を基に実行されます。M&Aを実施するにあたり、戦略がどれだけブラッシュアップされるかでM&Aの成果が変わるでしょう。
ただし、全てのM&Aで実行すべき戦略が同じであるわけではありません。実行すべきM&A戦略は、M&Aの目的によって異なります。M&Aを成功させるうえで、目的に沿った戦略立案は欠かせません。この記事では、M&Aの戦略について網羅的に解説します。
M&Aの目的と戦略の重要性
ここでは、M&Aの目的と戦略の重要性を解説します。
M&Aの目的
M&Aの目的には、さまざまな目的があります。具体的には、下記の目的が考えられるでしょう。
- 事業規模の拡大
- 機能の確保
- 再建・規律確保
- 新規事業への進出
- 海外市場の開拓
上記以外にも、企業によっては異なる目的の場合もあります。M&Aを実施する際には、はじめに目的を明確にしましょう。目的が明確化されたら、それに合わせてM&Aの戦略を立案します。
M&A戦略の重要性
M&A戦略を立てる際に重要なのは、目的の明確化です。一見当たり前のように聞こえますが、M&A戦略を練るうえでは最も重要です。 M&Aを行う目的には、さまざまなものがあり、M&Aの目的によって、戦略や用いる手法が変わります。
まずは自社にとってM&Aのターゲットとなり得るイメージを作っておくことで、M&Aの戦略を立てやすいでしょう。しかし目的と合致しないM&A戦略や手法を実行すると、下記のようなデメリットが生じる恐れがあります。
- 不要な資産や負債を抱える
- 手続きが煩雑になる
- 費用が余分にかかる
- 想定していたメリットが得られない
上記リスクを回避するために、目的を明確化することで、実行すべきM&A戦略も自ずと見えてきます。加えてM&Aは、企業文化が異なる企業同士の統合です。したがって、従業員からの理解は不可欠です。従業員からの理解が得られていないと、M&Aの終了後に望み通りの成果を得られない可能性もあります。
M&Aの相手となる会社を探す手段も、早い段階で決めておいたほうがいいでしょう。昨今日本のM&A市場は、売り手市場の流れとなっています。
売主側は、戦略的に価値を上げるためには、どこへ売りに出せばいいのかを事前に十分に検討することが必要です。
M&A戦略の前提となる全社戦略とは
全社戦略とは、持続的な競争上の優位性を確立するための方針をいいます。自社が手掛ける事業について、どのように経営資源を振り分けるかを決めるもので、経営戦略を立てるうえで非常に重要となります。
事業の組み合わせをどのようにするか、どの事業領域を伸ばして会社を成長させるのかなどを決定するだけでなく、事業の縮小や撤退も含まれます。
事業には、誕生期・成長期・成熟期・衰退期といったライフサイクルがあり、市場環境が大きく変化するなかで事業が永久的に成長し続けるのは非常に難しいことです。
一つの事業しか手掛けていない場合、その事業が衰退してしまうとそのままいけば廃業する可能性も高くなります。会社を継続的に運営し、さらに成長させていくためには、新たな分野を模索して事業構造の転換を図ることも必要です。
M&A戦略を立てるうえでは、まず事業ポートフォリオの方向性と新規事業を明確にすることが前提となります。事業ポートフォリオの方向性を検討する際は、事業セグメント別の売上や利益の割合を、将来、どのように変えていくかを計画していくとよいでしょう。
経営戦略からM&A戦略に落とし込む手順
経営戦略からM&A戦略に落とし込む手順は、以下の流れです。
- 全社戦略の立案
- 事業戦略の立案
- 参入戦略の検討
- M&A戦略の策定
そして、事業戦略に基づき、参入戦略を実施します。参入戦略は、内部開発や買収、提携など、目的に応じて、どの方法を用いるのかを検討します。参入戦略の検討の結果、M&Aを選択した場合、M&A戦略へと落とし込んでいくのです。
1.自社分析を行う
まずは自社分析を行います。
自社のことならなんでもわかる!と思いがちですが、意外と自社の強み・弱みを理解していないことが多いです。M&Aにおいて戦略を策定する上でも自社分析は欠かせません。
2.市場調査を行う
M&Aにおいて市場調査も必要です。
調査対象市場は必ずしも同業種であるとは限りません。競合企業になり得る企業が別業種である可能性も考慮し、市場調査を行いましょう。
3.強化すべき経営資源を洗い出し目的を明確にする
実際に事業を総合的にどうしていきたいかを決め、強化すべき経営資源を洗い出します。
各事業が激しい競争に打ち勝つために必要なことを洗い出し、足りていない部分をM&Aで補完します。もちろんM&A以外でも補完する方法はありますが、シナジー効果などが見込まれるのはM&Aしかありません。
4.M&Aの実現に必要な論点を具体化する
M&Aの実現を図るためには以下のポイントを検討する必要があります。
- 買収の前提条件・基本方針
- M&Aの買収対象
- スキーム(株式譲渡、事業譲渡、合併、会社分割、第三者割当増資など)
- 経営統合の将来設計
- 会計・税務上のリスク
- 実務上の必要プロセス
これらはM&Aを行うにおいて欠かせない事柄です。これらを決めつつM&Aの実現に近づいていきましょう。
5.シナリオプランニングを行う
ここでいうシナリオプランニングとは、5~10年後の長期的な未来に起こりうる出来事を複数想定し、それらをもとに事業のプランニングを行うことをいいます。
未来は不確実なものではあるのですが、いくつか想定できることもあります。シナリオを用意して環境変化がどのように市場に影響を与えるのかを考えます。これにより優先順位をつけることでM&Aを行うべきかそうではないのかがより明確になるでしょう。
6.対象事業領域を絞り込む
シナリオが想定できれば、対象となる事業領域を決めていきます。
M&Aを行う目的や戦略などを踏まえて領域をどんどん絞り込んでいきましょう。そして、絞り込んだ後は候補先企業を20~30社ほどリストアップします。リストアップしたものをロングリストと言いますが、ロングリストから徐々に企業数を減らしショートリストを作成するのが一般的な流れです。
7.財務や会計を踏まえて最終確認を行う
M&Aにおいて注意すべきことは「のれん」です。
「のれん」とはM&A業界で一般的に使われている言葉で、財務諸表には記載されない脳は編集記事や顧客情報などの経営資源に対して支払われる対価をいいます。M&Aが行われた後は最大で20年間かけて償却される仕組みです。M&Aがうまくいかなかった際には減損処理が必要になってくるため、財務や会計を踏まえた上で最終確認を行ってください。
8.相手先企業へ打診をする
最後に、相手先企業へ打診しましょう。
相手先企業へは直接アプローチを行うこともできますし、M&A仲介会社を利用して間接的にアプローチすることもできます。自社に適したアプローチ方法で相手先企業と取引しましょう。
事業拡大におけるM&A戦略
M&Aの目的と聞いて、まずイメージするのが「事業規模の拡大」でしょう。事業規模の拡大によって、人員の増加、設備の充実、顧客の拡大、間接費の削減などを実現できます。事業規模を拡大する際には、株式譲渡や合併などのM&A手法が用いられます。
実行すべきM&A戦略は、「自社の既存事業とのシナジー効果の発揮」です。そのためには、「他社分析」と「自社の強みの把握」を行うのが有効です。ではM&Aの際に、具体的に遂行すべき戦略を解説します。
他社分析
効果的なM&Aを実施するには、他社や業界の分析を徹底的に実行する必要があります。手に入れられるリソースや、獲得できるシナジー効果をある程度明確にしましょう。他社分析の際には、下記3点に注意しましょう。
①資産や債務
株式譲渡や合併では、相手企業の不要な資産や負債などまで取り込んでしまいます。M&A戦略を立案する際には、簿外資産や不要な資産の存在を確認しましょう。あらかじめリスクなどを把握することで、現実的なM&A戦略を立てられます。
②非公式株式の現金化
売り手側は、M&Aによって得られる対価についても確認しましょう。現金が対価の場合には、問題ありませんが、対価を株式として受け取る場合には注意が必要です。株式が非公開になっている場合、現金化には煩雑な手間がかかります。
株式を現金化したい場合には、公開企業とM&Aを実施しましょう。もしくは対価を現金でもらえるように、M&Aを戦略的に実施するのも大切です。
③M&Aのシナジー効果
M&Aを実行すると、異なる価値観や文化を持った企業同士が一つになります。そして、会社の業績を伸ばすためにシナジー効果を期待します。シナジー効果とは、日本語で相乗効果といいます。2社以上の会社が一緒になることで成果が残せたときに、シナジー効果があったといえるでしょう。
M&A戦略を立てる際には、この点を意識しなくてはいけません。M&Aの後に、従業員の間で摩擦が生じる場合がある可能性があります。そうなった場合、予想していたM&Aのシナジー効果が得られない恐れもあります。戦略的にM&Aを成功させるうえで、従業員の理解は不可欠です。
自社の強み把握
M&Aによってシナジー効果を得るためには、自社の強みを念入りにチェックしておくのも重要です。
自社のゴールやリソース、実現させたい将来像を確立させることで、効率的な戦略を遂行できます。自社の強みを理解したうえで戦略を立案すれば、M&Aにより最大限シナジー効果を享受できます。
事業拡大におけるM&A戦略を考えた際に、M&Aの経験が少ないとこれらの事柄に気を配ることは難しいでしょう。そのようなときはM&A仲介会社のサポートを受けることがおすすめです。
技術・機能確保を目的としたM&A戦略
機能の確保とは、生産や調達、アフターケア、企画など、自社が欲しい機能を得ることです。最近では技術確保を目的に、戦略的なM&Aを実践するケースが増加しています。もともと日本企業は生産から流通、販売までを自社で実行する風潮がありました。しかし、全てのラインを確保するには、相当な労力と費用が必要です。
全てを自社のみで実行するのは、効率的な経営戦略とはいえません。醸成した技術・テクノロジーを持つ事業や会社を、M&Aで取り込むのは効率的です。時間を節約したうえで、経営戦略を実現可能となります。
機能確保が目的の場合には、事業譲渡と呼ばれるM&A手法を用いるのが一般的です。次項からは、具体的なM&A戦略と、戦略立案に際しての注意点をご紹介します。
具体的なM&A戦略
機能確保が目的の場合、下記のM&A戦略が有効です。
- 特定の地域へ進出するための足掛かりを作り、その地域の企業をM&Aで取り込む
- 新規事業への多角化を図り、その事業で成果を出している企業をM&Aで買収する
M&Aの注意点
機能確保が目的の場合、事業譲渡を用いてM&Aを実行しますが、注意点があります。まず1点目は、税務面です。事業譲渡によるM&Aでは、法人税や消費税が課されます。株式譲渡と比べて、課される税負担は重くなる傾向があるでしょう。M&A戦略を立案する際には、節税対策なども意識しなくてはいけません。
2点目は、統合面です。技術・テクノロジー確保のためにM&Aを実施する場合、全く異なる価値観を持つ従業員を受け継ぐ場合が大半です。M&A後に環境や自社の従業員に適応できない可能性があります。
その結果、せっかくの技術やテクノロジーが生かせない場合もあります。M&Aを実行する際には、従業員の統合にも気を配りましょう。
再建・規律確保を目的としたM&A戦略
業績が停滞している自社を再建したい、規律確保を徹底する目的でM&Aを実施するケースもあります。 この場合、主に売り手側の意図で実施される場合が多いです。例えば「業績が悪化している部門を切り離したい」「他社に買収される形で会社を延命させたい」ケースといえます。
M&A戦略面で重要なのは、「希望条件で売却できる可能性の向上」です。ここでは、再建・規律確保を目的としたM&A戦略を3つご紹介します。
企業価値の把握
まずは、自社の価値を分析したうえで、把握するのが大前提です。M&Aで多い失敗は、自社の価値を見誤ることです。自社の適正価値がわからないために、M&Aの交渉がうまくいかない事例は多くあります。規模の拡大目的のM&Aと同様に、まずは自社の価値を綿密に分析・把握しておく必要があるでしょう。
企業価値の評価方法は、上場企業の場合は株価がすでに市場に公表されているため、1株当たりの株価と株式数で時価総額が企業価値となります。上場していない非上場企業の株価は基準とされる株価がないため、評価が難しくなります。
非上場企業の場合は、その算出方法がさまざまであり、現在の経営状況やその企業が持っている事業の特性、成長ステージなど総合的に判断することになります。
企業価値の磨き上げ
M&A戦略の際、自社の価値を高めるのも非常に大事です。M&Aでは、売り手企業の将来性や無形資産も評価されます。将来性や無形資産の価値は、のれん代としてM&Aの買収金額に上乗せされます。よって、M&A戦略を構築する際には、同時に企業価値の磨き上げにも取り組みましょう。
具体的には、自社の強みとなるノウハウや技術力を高めるのが効果的です。強みをさらに強化すれば、高い価格でM&Aを遂行できる可能性があります。売り手側にとって、「磨き上げ」は最も重要なM&A戦略です。
買い手探し
M&Aで自社の買い手を探すそうと決めたとしても、どのような企業が買収してくれるのかのイメージができないことも多いでしょう。買い手企業を探す方法は大きく2つあります。
身近な知り合いや取引先で探す方法、あるいはM&Aの仲介会社、金融機関など外部の機關を利用する方法です。いずれにしても適切な方法で買い手企業を探し、アプローチできなければせっかくの機会を失ってしまう可能性があります。
M&A戦略策定における課題と問題点
M&A戦略を策定する際には、以下に挙げられるような課題や問題点とぶつかることが少なくありません。
手法の選択とスキームの設計
まず、M&Aを行ううえで当事者となる会社の内情に合った手法の選択、スキームの設計をしっかりと決めましょう。M&Aスキームとは、M&Aの基本的な構想、計画を示すものであり、どのような流れでM&Aを行うかの設計をすることです。
M&Aの手法は多種多様であり、それぞれプロセスや効果、メリットとデメリットが異なっています。どのM&Aの手法を選択するかによって、M&Aのスキームも変わります。M&Aのスキームに影響されるM&A手法の種類は、以下の5つです。
- 株式譲渡
- 株式交換
- 株式移転
- 合併
- 会社分割
リスクの存在
買い手であれば売り手の会社の、売り手の会社であれば自身の会社が抱えているリスクがM&A戦略の策定の妨げになることがあります。M&Aにおいて、簿外債務や訴訟、不要な資産などは経営統合の妨げや無用なトラブルの原因になります。
M&Aにおけるリスクは法務、税務、財務などさまざまな種類のものが存在しており、いずれも見過ごすことのできるものではありません。買い手・売り手のいずれにせよ、リスクの洗い出しや対策はM&A戦略の策定の段階から行ったほうがいいでしょう。
情報の守秘
M&A戦略における情報の守秘は、非常に重要なことです。そもそもM&Aを実施する情報は当事者となる会社、とりわけ売り手となる会社に大きな動揺を与えることがあります。従業員や関係する取引先など、M&Aを実施する情報はさまざまな立場の人たちに影響を与えます。
最悪の場合、競合他社が先手を打ってより有利な条件を提示してM&Aを仕掛けてくることもあり得るでしょう。そのため、M&A戦略を策定していることも含め、しかるべきときまでM&Aに関する情報は一切漏らさないようにしておくのが大切です。
M&Aを実施する情報を開示するタイミングについても、戦略の過程で決めておくようにしましょう。
M&A戦略策定における注意点
M&A戦略における注意点は、「M&Aが最適な戦略なのか」という点です。そもそもM&Aは経営戦略の一つにすぎず、企業が抱える問題を解決するうえでM&A以外の経営戦略が適切なケースもあります。M&Aは成功率が3割~5割程度といわれており、決して簡単な戦略ではありません。
成功するための手間やコスト、時間もかかることを踏まえると、M&Aを行うべき目的や意義を明確にしてから戦略を策定すべきでしょう。当然、M&A以外の経営戦略が有効的と判断された場合はすぐに切り替え、別の経営戦略に着手したほうがいいでしょう。
M&A総合研究所は専門的な知識を持ったアドバイザーが在籍しており、培ったノウハウを活かしM&Aをサポートいたします。
料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談をお受けしておりますので、M&Aをご検討される際には気軽にご相談ください。
中小企業のM&A戦略
中小企業が経営戦略の一環として、M&Aを活用する意義を考えましょう。M&Aの重要性を知らなければ、戦略的にM&Aを実行できません。経営戦略の一環としてM&Aを活用する場合、いくつかのメリットを享受できます。
時間削減
自社のリソースのみを利用してM&Aを実行する場合、経営戦略の実現には相応の時間を要します。例えば、「事業規模の拡大」といった経営戦略を実現する場合を想定しましょう。事業規模を拡大するには、M&Aを活用するケースが多いです。
工場を新しく建て、販路拡大のために営業人員を増やす施策が考えられます。しかし、経営戦略の効果が発揮されるまでには、かなりの時間がかかります。工場の新設には、早くとも半年はかかり、販路拡大に関しても、効果が発揮されるまでは時間を要するでしょう。
従来日本企業は、独自で上記経営戦略を実現していました。近年は、こうした地道な戦略実行が通用しにくくなっています。高齢化による国内市場の縮小により、企業間の競争が激化しているのが一因です。
競争が激化しているため、悠長に戦略を計画、実行していては他社に先を越されてしまいます。また、製品寿命(流行り)の短命化が進んでいるのも、一つの要因です。数年かけて事業規模を拡大しても、すでにその市場は衰退している恐れがあります。
以上の理由から、現代はスピーディーな経営戦略の実行が必要とされています。スピーディーな経営戦略を実現する手段として、M&Aは最適です。M&Aは、しばしば「お金で時間を買う」行為といわれます。M&Aを戦略的に活用すれば、欲しい経営資源をすぐに手に入れられます。
リスク回避
製品寿命の短命化や国内市場の縮小に伴い、低リスクで事業を拡大させる経営戦略も求められるようになりました。自社のリソースのみで戦略を実現する場合、時間のみならずリスク面でもデメリットがあります。
事業規模を数年かけて拡大した結果、市場が衰退していた場合、それまでかけた時間や費用、労力が全て水の泡となります。事実上、経営戦略の失敗を意味します。しかしM&Aを活用すれば、低リスクで検証することが可能です。
例えば、新規市場への進出が目的としましょう。「すでに市場で成功している企業の買収」を、M&A戦略として実行します。その企業を取り込むことで、リスクを回避することが可能です。むしろ、有利な立場で新規事業を始められます。
売り手側もM&Aによって、低リスクの戦略実行を実現できるでしょう。例えば、自社内に採算が取れていない事業があったとします。その事業を売却してすることで、事業継続によって生じうる、資金繰り悪化のリスクを回避できます。
以上の通りM&Aは、効率的な経営戦略を実現するうえで、必要不可欠なツールです。
目的の初志貫徹
M&Aを成功させるには、最初に決めた目標を達成することが鍵です。契約を結ぶことや事業の譲渡を行うことは、あくまでその手段です。
しかし、M&Aの取引は複雑で時間がかかるため、時には本来の目的を見失いがちです。小さな条件の交渉にこだわるあまり、大きな目標を見失う「木を見て森を見ない」状態になることもあります。
だからこそ、交渉を進める中で、何度も目標を思い出し確認することが大切です。そうすることで、M&Aを成功に導くことができます。
ベンチャー・スタートアップ企業のM&A戦略
ベンチャー・スタートアップ企業におけるM&A戦略において、方針とされやすいものは「財務基盤の強化」です。ベンチャー・スタートアップ企業は、潜在的な成長性や事業やアイディアの斬新さが強みでしょう。
しかし規模が小さく、実績にも乏しいため社会的信用性が低いことから融資などが受けにくく、ベンチャー・スタートアップ企業は財務基盤が不安定になりがちです。そのため、状況を打開するためにM&A戦略を策定することが多くなっています。
しかし成長性はあっても、リスクが多いベンチャー・スタートアップ企業とのM&Aを躊躇(ちゅうちょ)する会社は少なくありません。実際にベンチャー・スタートアップ企業がM&A戦略を策定する際には、ベンチャーキャピタルなどの協力を得ることが多いです。
M&Aの戦略まとめ
今回はM&Aの戦略について紹介しました。迅速な経営戦略が求められる現在、M&Aの活用はとても賢い選択肢です。M&Aを利用すれば、「お金で時間を買う」ことが可能です。本来ならば時間がかかるところを、はるかに短時間で戦略を実行できます。
現代の経営者にとって、M&Aの活用は無視できない選択肢です。M&Aの戦略を考える際、まずはM&Aを行う目的を明確にする必要があります。M&Aの目的が不明瞭であると、実行すべきM&A戦略がわかりません。目的によって、実施すべき戦略や用いるべきM&A手法は異なります。
まず初めに、M&Aの目的を明確化しましょう。目的が明確になったら、自社の目的に合わせてM&A戦略を実行します。M&A戦略の立案は、思い立ってすぐにできるものではなく、今後を左右する重大な局面なので、入念に戦略を構築するのが大事です。
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