2021年4月29日更新事業承継

相続税申告における提出書類

相続税申告の際には多くの提出書類を揃える必要があり、事業承継税制により相続税の納税猶予や免除を受ける場合はさらに提出書類が増えます。また、相続税申告を間違っていた場合は更正や修正申告のため書類の提出を求められます。それぞれのケースにおける提出書類を解説します。

目次
  1. 相続税申告における提出書類
  2. 相続税申告とは
  3. 相続税申告における提出書類
  4. 相続税の納税猶予または免除を受ける際の提出書類
  5. 相続税における更正の請求に必要な提出書類
  6. 相続税の修正申告に必要な提出書類
  7. まとめ
  • 今すぐ買収ニーズを登録する
  • 公認会計士がM&Aをフルサポート まずは無料相談

【※メルマガ限定】プレミアムM&A案件情報、お役立ち情報をお届けします。

相続税申告における提出書類

親族が亡くなると、その相続人は相続手続きをする必要があります。一定以上の財産を相続する場合は相続税課税が発生しますので、相続税申告を行わなくてはなりません。この相続税申告では多くの提出書類を揃える必要があります。

また、相続税の納税猶予や免除を受ける場合は、別途揃えなければならない提出書類が増え、相続税申告が間違っていた場合は更正や修正を行うために書類の提出を求められます。

この記事では、相続税申告を行うケースや相続税申告を行う際の提出書類を紹介していきます。

※関連記事
相続における必要書類一覧

相続税申告とは

まずは、相続税申告が必要となるケースについて紹介します。

相続税申告の必要性と基礎控除額

相続人として財産を相続した場合、必ず相続税申告が必要となるわけではありません。相続税は相続財産価額から基礎控除額を差し引いて残った部分に対して税金が発生します。そのため、相続財産価額が基礎控除額を上回らない場合は相続税が発生しないため相続税申告が不要となります。

ただし、小規模宅地等の特例などの特例や控除を受けて初めて相続財産価額が基礎控除額を下回る場合には、結果として相続税課税が生じませんが、相続税申告が必要となります。

相続税の基礎控除額は、以下の計算式で求められます。

基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人数

このように、相続税の基礎控除額は法定相続人の人数によって変わるため、単純に法定相続人が多いほど基礎控除額も多くなります。

多くの家庭では、相続財産価額が基礎控除額を下回るため相続税は発生せず、相続税申告が不要となることがほとんどです。

しかし、被相続人が会社の経営者であった場合や多額の財産を保有していた場合は相続税が発生する可能性が高く、それに伴って相続税申告が必要となる可能性も高くなります。

相続財産(不動産等)の調査

相続税を計算するためには、まず相続する財産の総額を調査する必要があります。この際、すべての財産が現金や預金などであればわかりやすいのですが、不動産などの価値を簡単に評価することはできません。そのため、税理士などの各種専門家に調査を依頼して価値を評価してもらいます。

不動産を調査する際は登記事項証明書や固定資産評価証明書などを、株式を調査する際は売買報告書や銘柄一覧表などを取得する必要があります。

※関連記事
相続税の節税

相続税申告における提出書類

相続税申告を行うケースについて紹介したところで、ここから相続税申告の際に必要となる提出書類を紹介していきます。まずは、相続税申告で必須となる提出書類をお伝えします。なお、相続税申告では提出書類のほかに所定の申告書などの書類を作成して提出する必要があります。

様式は国税庁のホームページで確認・ダウンロードできます。チェックリストのような形式となっていますので、相続税申告を行う際は必要に応じて入手して順番に並べながら提出書類に漏れがないかもチェックできます。

なお、国税庁のホームページには個人が自分で相続税申告を行えるように、申告書の書き方などを記載した記入例もありますので、それを参考に相続税申告を行うことも可能です。

国税庁ホームページ「相続税の申告書等の様式一覧」

被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本

相続税申告を行う必要性、特に基礎控除額を把握するために、まず相続人の範囲を確定しなくてはいけません。相続人の範囲は、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取得すれば明らかとなります。本籍地の移動が過去にある場合には、それぞれの本籍地のある市町村役場で戸籍謄本を取得します。

なお、被相続人が死亡した事実は、死亡しておよそ10日後でないと戸籍謄本に反映されませんので、被相続人の死亡の記載がある戸籍謄本を取得する際には注意が必要です。
また、この他にもすべての相続人の住民票なども必要となります。

遺言書の写しまたは遺産分割協議書の写し

相続の場面では、遺言書または遺産分割協議により各々が相続する財産を決定します。相続税申告の際には、遺言書や遺産分割協議した際に作成する遺産分割協議書の写しを提出します。

相続人全員の印鑑証明書

印鑑証明書とは、その印鑑が本人のものである旨を証明する書類です。相続の提出書類として、相続人全員の遺産分割協議書に用いた印鑑証明書が必要です。

被相続人および相続時精算課税適用者の戸籍附票の写し(相続時精算課税適用者がいる場合)

多額の財産を生前のうちに分配しておくことや事業承継対策などにより、相続時精算課税制度を利用している方がいる場合、被相続人および相続時精算課税適用者の戸籍附票の写しが必須となります。こちらの書類は、相続開始日以降に作成されたものを準備しましょう。

※関連記事
相続と印鑑証明
事業承継とは?方法や事業承継税制・補助金、M&Aでの活用について解説

相続税の納税猶予または免除を受ける際の提出書類

事業承継により非上場株式を後継者が相続する場合、多額の相続税が課税されます。ひと昔前までは多額の相続税を理由に事業承継を円滑に実行できない中小企業が多くありました。

しかし、現在では事業承継を行う中小企業は、生前に円滑化法の認定を受けておく必要がありますが、相続税や贈与税の納税猶予や免除を受けることができるようになりました。

相続税の納税猶予や免除を受けるためには、相続税申告の際に別途提出書類を揃える必要があります。

事業承継税制に関する認定書の写しおよび申請書の写し

事業承継税制の活用が認められた証明として、認定書と申請書の写しを提出書類として揃えます。具体的には、事業承継税制に関する法律施行規則第7条第4項の経済産業大臣の認定書の写しおよび同条第3項の申請書の写しです。

事業承継税制を利用するためには手間だけでなく専門知識が必要となるため、M&A仲介会社などの専門家に依頼するのがよいでしょう。

事業承継税制を活用して事業を引き継ぎたいとお考えの場合は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。

M&A総合研究所には知識と経験が豊富なM&Aアドバイザーが在籍しており、これまで培ったノウハウを活かしてフルサポートいたします。ご相談は無料ですのでお気軽にご相談ください。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所

会社の定款の写し

定款とは会社の運営に必要な規則を定めたものであり、事業承継税制の対象会社であることを証明するために必要です。

会社の貸借対照表および損益計算書

会社の貸借対照表と損益計算書も提出書類として必要であり、こちらも事業承継税制の対象会社であることを証明するために必要です。

会社登記事項の証明書

会社登記事項の証明書も事業承継税制の対象会社であることを証明するために必要な書類であり、その会社がきちんと登記が行われている会社かどうかを証明します。

その他特例の適用要件を確認する書類

上記書類のほかに、相続税の納税猶予や免除の適用要件を確認するための書類がある場合には、別途提出書類として必要です。

担保提供関係書類

事業承継税制を利用する際、担保を提供するケースがあります。株式を担保としている場合には、供託書の正本が要求されます。また、出資持分を担保設定する際には「質権設定の承諾書」や「対象会社が自社の持分に質権を設定される旨を承諾した事を証する書類」を提出書類として準備します。

※関連記事
事業承継税制とは?事業承継税制の要件やメリット・デメリットを解説

相続税における更正の請求に必要な提出書類

申告した相続税額があとになって過大だったと判明した場合に、相続税の還付を請求できます。この手続きが更正の請求であり、原則として相続税の申告期限から5年以内が期限となっています。更正の請求では、以下の書類が必要となります。

更正の請求書

相続税の更正の請求書においても、記事前半に記載している国税庁のホームページから入手できます。更正の請求書には、相続税の還付を受ける理由を記入して提出します。

更正の請求の妥当性を証明する証拠書類

更正の請求書のみでは相続税を課題申告したという証拠が不十分であるため、妥当性を証明する書類も提出します。具体的には、土地や株式価額の評価が記載された書類などです。

相続税の修正申告に必要な提出書類

申告した相続税額があとになって少なかったことが判明した場合に、それを正規の相続税額に修正しなければなりません。

この手続きを修正申告といい、納税期限から時間が経つほどペナルティとして延滞税が加算されますので、相続税の不足が判明した場合は一刻も早く修正申告を行いましょう。

なお、税務調査により相続税額の過少申告が判明した場合には、延滞税に加えて加算税も生じます。修正申告では、以下の書類が必要となります。

相続税の修正申告書

更正の請求と同様に、こちらも国税庁のホームページで修正申告書を入手できます。修正申告書には相続税総額や各人の納付税額を記入して提出します。

相続税額の計算書

相続税額の計算書は、その名のとおり相続税額を計算するための書類です。なお、修正申告で必要な提出書類は年度で変わることもあります。そのため、修正申告を行う際は念のため国税庁ホームページを確認しましょう。

また、相続税の更正請求や修正申告は発生しないことが望ましいため、相続の際には専門家の起用をおすすめします。特に相続税申告においては税理士が適任ですので、不安がある方は最初から専門家に頼ることを考えましょう。
※関連記事
相続に強い税理士とは?
相続における専門家の重要性

まとめ

今回は、相続税申告の提出書類をご紹介しました。通常の相続税申告でも申告書などの様式に加えて多くの書類が必要となります。それにくわえて、事業承継税制を活用して相続税の納税猶予や免除を受ける場合はさらに多くの提出書類が必要となります。

また、自分で相続税申告を行った場合には、あとになってから更正の請求や修正申告が必要となる場合もあります。この場合も提出書類を揃えなくてはなりませんので、国税庁のホームページで確認するようにしましょう。

相続税の申告は個人だけでもできますが、相続に関する知識が必要であり手続きも煩雑です。事業承継の場合はさらに煩雑な手続きと高度な知識が必要となるため、少しでも不安がある場合は専門家を起用して手続きの代行などでサポートを受けることをおすすめします。

M&A・事業承継のご相談なら24時間対応のM&A総合研究所

M&A・事業承継のご相談は成約するまで無料の「譲渡企業様完全成功報酬制」のM&A総合研究所にご相談ください。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴をご紹介します。

M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴

  1. 譲渡企業様完全成功報酬!
  2. 最短49日、平均6.6ヶ月のスピード成約(2022年9月期実績)
  3. 上場の信頼感と豊富な実績
  4. 譲受企業専門部署による強いマッチング力
>>M&A総合研究所の強みの詳細はこちら

M&A総合研究所は、M&Aに関する知識・経験が豊富なM&Aアドバイザーによって、相談から成約に至るまで丁寧なサポートを提供しています。
また、独自のAIマッチングシステムおよび企業データベースを保有しており、オンライン上でのマッチングを活用しながら、圧倒的スピード感のあるM&Aを実現しています。
相談も無料ですので、まずはお気軽にご相談ください。

>>【※国内最安値水準】M&A仲介サービスはこちら

【※メルマガ限定】プレミアムM&A案件情報、お役立ち情報をお届けします。

あなたにおすすめの記事

M&Aとは?手法ごとの特徴、目的・メリット、手続きの方法・流れも解説【図解】

M&Aとは?手法ごとの特徴、目的・メリット、手続きの方法・流れも解説【図解】

近年はM&Aが経営戦略として注目されており、実施件数も年々増加しています。M&Aの特徴はそれぞれ異なるため、自社の目的にあった手法を選択することが重要です。この記事では、M&am...

買収とは?用語の意味やメリット・デメリット、M&A手法、買収防衛策も解説

買収とは?用語の意味やメリット・デメリット、M&A手法、買収防衛策も解説

買収には、友好的買収と敵対的買収とがあります。また、買収に用いられるM&Aスキーム(手法)は実にさまざまです。本記事では、買収の意味や行われる目的、メリット・デメリット、買収のプロセスや...

現在価値とは?計算方法や割引率、キャッシュフローとの関係をわかりやすく解説

現在価値とは?計算方法や割引率、キャッシュフローとの関係をわかりやすく解説

M&Aや投資の意思決定するうえでは、今後得られる利益の現時点での価値を表す指標「現在価値」についての理解が必要です。今の記事では、現在価値とはどのようなものか、計算方法や割引率、キャッシ...

株価算定方法とは?非上場企業の活用場面、必要費用、手続きの流れを解説

株価算定方法とは?非上場企業の活用場面、必要費用、手続きの流れを解説

株価算定方法は多くの種類があり、それぞれ活用する場面や特徴が異なります。この記事では、マーケットアプローチ、インカムアプローチ、コストアプローチといった株価算定方法の種類、株価算定のプロセス、株...

赤字になったら会社はつぶれる?赤字経営のメリット・デメリット、赤字決算について解説

赤字になったら会社はつぶれる?赤字経営のメリット・デメリット、赤字決算について解説

法人税を節税するために、赤字経営をわざと行う会社も存在します。しかし、会社は赤字だからといって、必ず倒産する訳ではありません。逆に黒字でも倒産するリスクがあります。赤字経営のメリット・デメリット...

関連する記事

管工事会社の事業承継の動向や事例を徹底解説!メリットや費用相場・注意点は?

管工事会社の事業承継の動向や事例を徹底解説!メリットや費用相場・注意点は?

管工事会社業界は将来的な需要増加が見込める半面、人材不足や後継者不在といった問題が深刻です。当記事では、過去の事例を取り上げながら、管工事会社(管工事業界)の事業承継について解説します。事業承継...

小売業界における事業承継の動向は?成功事例からメリット・相場まで徹底解説!

小売業界における事業承継の動向は?成功事例からメリット・相場まで徹底解説!

近年は小売業界においても後継者不在や労働力不足による倒産・廃業の動向を避けるため、積極的に事業承継に取り組む企業が増加しています。本記事では小売業界における事業承継の動向を解説し、成功事例やメリ...

M&Aでの売却手続き方法を徹底解説!価格の算出方法やメリット・デメリットは?

M&Aでの売却手続き方法を徹底解説!価格の算出方法やメリット・デメリットは?

M&Aを実施する企業が増加傾向にあり、今後も多くの業界でM&Aが活発になっていくことが予想されています。 そんなM&Aの売却手続きの方法や売却価格の相場、メリット・デメ...

有限会社のM&Aを徹底解説!株式会社との違いや手法・注意点は?

有限会社のM&Aを徹底解説!株式会社との違いや手法・注意点は?

有限会社も株式会社と同様にM&Aで売買することができるため、有限会社を保有している方は参考にしてみてください。 有限会社のM&Aについてあまり詳しくない方は多くいるため、今回は...

ガス会社の事業承継の現状や動向は?メリット・デメリット・事例も紹介!

ガス会社の事業承継の現状や動向は?メリット・デメリット・事例も紹介!

ガス会社はガス業界の需要の縮小や高齢化などに伴い年々減少傾向にあるため、事業承継を行うガス会社が多くなっています。 ガス業界は日本社会を支えている重要な産業でもあるため、ガス会社の事業承継の現...

印刷会社の事業承継とは?手続き方法から動向・事例・メリットまで徹底解説!

印刷会社の事業承継とは?手続き方法から動向・事例・メリットまで徹底解説!

印刷会社を取り巻く業界では、デジタルブックの普及による経営悪化や競争激化といった状況から脱却を目指すため、事業承継を行う会社が見られます。当記事では、事業承継のメリットを踏まえながら、印刷会社で...

介護事業の事業承継を徹底解説!流れや成功事例・メリット・デメリットは?

介護事業の事業承継を徹底解説!流れや成功事例・メリット・デメリットは?

介護事業を取り巻く業界では、各企業で事業承継を検討・実施するケースが増加しています。当記事では、介護事業で事業承継が増えた理由を確認した上で、基本的な手続きの流れや事業承継の成功事例、メリットや...

クリニック・医院の事業承継の手続き方法を徹底解説!費用や相場・注意点は?

クリニック・医院の事業承継の手続き方法を徹底解説!費用や相場・注意点は?

クリニック・医院では、院長の高齢化による後継者不在の問題が深刻化しており、業界内で事業承継を目指す動きが見られるようになりました。当記事では、手続きの流れや費用相場、注意点に触れながらクリニック...

歯科医院の事業承継とは?手続き方法から費用・相場・メリットまで解説!

歯科医院の事業承継とは?手続き方法から費用・相場・メリットまで解説!

歯科医院では、院長高齢化により廃院せざるを得なくなるケースが顕著です。そんな中、事業承継で歯科医院存続を目指す事例が目立つようになりました。当記事では、手続き方法や費用相場、メリットとデメリット...

M&Aコラム
人気の記事
最新の記事

【※メルマガ限定】プレミアムM&A案件情報、お役立ち情報をお届けします。

ご相談はこちら
(秘密厳守)