M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2022年10月18日更新会社・事業を売る
親族経営の会社とは?メリット・デメリットを解説
親族経営の会社には、経営権を奪われるリスクの軽減や後継者確保の面で有利なメリットなどがある一方で、公私混同が起きやすいなど深刻なデメリットも存在します。役職に私情が含まれたり相談できる場所がなかったりして、従業員から好まれないケースも多いため注意が必要です。
親族経営の会社
一般的な会社では重役になるほど責任が大きくなるため、こうした役職には能力の高い人材を配置します。責任の大きさに伴って、給与額を上げていくのが基本的です。とはいえ、上記の考え方とは異なる方法で人材を配置する会社も存在します。
経営者が信頼できる人材を重役に配置する方法です。この配置方法を採用する多くの経営者は、信頼できる親族を自分の側に配置して経営を支えてもらうのが一般的です。
このような配置方法を採用する会社のことを、親族経営の会社と呼びます。今回は、日本に多く存在している親族経営の会社を解説します。
親族経営の会社とは
親族経営の会社とは、特定の親族が支配・経営を実施する会社のことであり、ビジネスの分野ではファミリー経営・同族経営・家族経営の会社などとも呼ばれています。日本の法人税法上では、親族経営の会社は「株主が親族で固められている会社」であると定義されています。
法人税法によると、親族経営の会社に該当するのは、全株式の半分以上を経営者の親族が持つ会社です。こうした会社では、経営者・社長・部長・専務などの重役がすべて同じ苗字の人物であるケースが珍しくありません。その一方で、株式を法定どおりに保有していなくても、家族で事業を実施してさえいれば親族経営の会社と捉えられるケースもあります。
上記のことは、株式会社以外の会社であっても同様です。親族による会社経営の定義には、あいまいな部分があるため注意が必要です。
親族経営の現状
中小企業庁によると、後継者が決まっている会社のうち、小規模法人の90%以上・個人事業者の95%以上が親族内に後継者がいると回答しています。このことから、小規模事業者の9割以上で家族経営が行われている状況です。
日本における親族経営の会社は、それほど悪いイメージがついていません。その背景には、老舗企業の伝統を末永く後世に伝承する日本特有の考え方も関係しているとされています。
しかし、その一方で、親族経営を問題視する経営者も存在しています。こうした経営者は、もともと親族経営の系譜を持つ会社であっても親族を重要な役職につけることはせず、外部の人物を後継者に指名することで親族経営からの脱却を図ることが多いです。
親族経営の会社を見分ける方法
親族経営は、会社のWebサイトや社内の様子から判断できることがあります。例えば、以下のような特徴を持つ会社は、親族経営を行っている可能性があります。
- 社名に社長の名前が入っている
- 一部の役員と社長の名字が同じ
- 従業員の数が少ない
従業員の数が少ないことは一概に親族経営とは判断できないものの、小規模企業では親族が大部分の株を所有していて親族経営の会社であるケースが多いです。また、親族経営の会社には、以下のような特徴がみられることがあります。
- 人間関係が仕事の評価に直結しやすい
- 組織が複雑化し権力が分散している
- 有能な人材が不足している
- 経営者が会社のお金を私物化している疑いがある
- 経営者の周囲にイエスマンしかいない
親族で会社経営するメリット
ここまで親族経営の会社の概要を紹介しましたが、親族で会社経営を実施するとさまざまなメリットが獲得できます。親族で会社経営するメリットは、主に以下のとおりです。
- 経営権を奪われるリスクを軽減できる
- 大きな利益を獲得しやすい
- 後継者を選ぶ手間が省ける
- 節税効果が期待できる
それぞれのメリットを順番に解説します。
①経営権を奪われるリスクを軽減できる
株主を第三者ではなく親族で固めれば、安心感が得られます。なぜなら、親族が会社の株式を半分以上保有しておけば、他者に経営権を奪われてしまうリスクを軽減できるためです。
これにより、株主の意見に左右されずに親族内で自由に経営できる点が大きなメリットといえます。株主の圧力などで短期の経営成果を求めがちな経営を回避でき、長期的な視点で見た経営方針を実施することも可能です。
②大きな利益を獲得しやすい
親族で会社経営していると、大きな利益の獲得が期待できます。特に会社が上場している場合は、事業の拡大に伴って大きなリターンを受けやすいです。こうしたリターンの多くは親族内で獲得できるため、結果的に大きな収入が見込めます。
多くの利益を会社経営に携わる親族のなかで留めておけることは大きなメリットです。
③後継者を選ぶ手間が省ける
親族内で会社を経営していると、現経営者の子息・子女に事業承継するケースが大半です。いうなれば親族内承継が実施されるため、多くの候補者のなかから後継者を選ぶ手間が省けます。
円滑に後継者が決まることから、後継者教育の時間を十分に確保できるうえに承継準備を早期の段階で進めることも可能です。事業承継後も前経営者がアドバイザーなどの立場につきやすく、引き続き親族会社の経営に携われるメリットも存在します。
④節税効果が期待できる
親族で会社を経営する場合、会社経営で得た収入を親族の個人に分配することが可能です。その結果として、節税効果が期待できます。なぜなら課税対象となる所得は、個人単位で算出されるためです。企業全体として得られる収入を減らさずに、所得税や法人税の課税額を減らすことが期待できます。
親族で会社経営するデメリット
これまでさまざまなメリットを紹介しましたが、親族経営にはデメリットも存在するため把握しておく必要があります。親族で会社経営するデメリットは、以下のとおりです。
- 公私混同してしまうおそれがある
- 外部からの意見を取り入れなくなるリスクが生じる
- 世代交代により株主も交代してしまう
- 後継者の能力不足が問題となることがある
- 後継者不足に悩まされることがある
それぞれのデメリットを順番に解説します。
①公私混同してしまうおそれがある
親族で会社を運営していると、どうしても会社とプライベートの区別がしにくくなります。例えば、生活費の一部を経費として計上したり気に入らない従業員を解雇してしまったりと、公私混同してしまいがちです。
これによって親族のみが在籍する会社であれば大きな影響はないものの、第三者の従業員が在籍する会社の場合には働きにくい環境を生み出してしまうデメリットがあります。
②外部からの意見を取り入れなくなるリスクが生じる
株主の大半が親族であれば、株主総会の議決権も親族が半分以上を占めることになります。そこで親族における会社運営では、親族間で大きな問題を発生させる事態はなるべく避けたいとの理由から、各株主が経営者の方針に無条件に賛成してしまう可能性が高いです。
特に経営者が強大な権力を保持している場合、会社から追放されることをおそれるために経営者の独占的な思考判断による企業運営を加速させてしまいます。このように外部からの意見をまったく取り入れない点は、健全な企業運営の観点からも大きなデメリットです。
③世代交代により株主も交代してしまう
はじめは自分に近い親族を株主として迎えて会社を自由に運営できていたとしても、世代交代するにつれて株主の交代も発生してしまいます。相続を繰り返していくうちに、最初は仲の良い親族であった株主が関係の遠い親戚に交代するおそれもあります。
その結果として、親族経営の基盤が不安定になって会社の存続が危ぶまれる事態に陥るケースも少なくありません。このように親族での会社経営を継続していると、外部からの風通しが悪くなって視野が狭くなるデメリットがあります。
④後継者の能力不足が問題となることがある
多くの親族経営の会社では、現経営者の子息や子女などに事業承継されます。このときに後継者が会社の代表となる素質を持っていれば問題ありませんが、必ずしも適任となる人物に会社を引き継げるとは限りません。なぜなら、親族内承継における後継者候補の数は限られているためです。
もしも後継者の能力が著しく低いと、これまで働いてきた従業員のモチベーションを低下させることにつながります。これまで取引していた企業との取引が打ち切られてしまうおそれもあります。
そのため、後継者の能力が低いと会社にさまざまな悪影響を及ぼす点も、親族経営のデメリットの1つです。
⑤後継者不足に悩まされることがある
親族経営の会社では、深刻な後継者不足の課題を抱えがちです。例えば、現代表者が結婚していなかったり、後継者候補に事業承継する意向がなかったりする事態に陥れば、すぐさま会社の存続が危ぶまれます。しかし、長きに渡って親族内で会社を経営していると、従業員から後継者を探すのは非常に困難です。
なぜなら、親族のみで経営してきた会社に、積極的に後継者として入り込む従業員は少ないためです。
後継者不足を解決するならM&Aによる事業承継が有効
親族経営の会社で後継者不足の問題に直面したときには、M&Aによる第三者への事業承継が有効策となり得ます。M&A(正式名称:Mergers and Acquisitions)とは、経営戦略の1つであり、合併と買収を意味する言葉です。
M&Aを活用すれば第三者に事業承継できるため、親族や従業員に最適な後継者がいない会社にとって最適な方法です。M&Aでは念入りに相手を探して交渉したうえで引き継ぎ先を決められるため、今後も末永く事業を継続してもらえる可能性も十分にあります。
これまで働いてきた従業員の雇用維持や懇意にしてきた取引先との関係維持なども望めます。さらにはM&Aでは会社自体をまとめて売却するため、売却利益を獲得する可能性も高いです。M&Aで得た売却利益を引退後の生活資金などに充てることも可能です。
ところが、さまざまなメリットが期待できるものの、M&Aにはデメリットも存在するため把握しておく必要があります。そのなかでも最大のデメリットは、M&Aの成功確率が低い点です。M&Aの成功を目指す場合は、M&A仲介会社などの専門家にサポートを依頼することが効果的です。
M&A総合研究所には、M&Aの専門的な知識や経験が豊富なM&Aアドバイザーが在籍しており、これまでに培ってきたノウハウを生かしてフルサポートいたします。料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談をお受けしておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
親族経営の会社が従業員から好まれない理由
基本的に親族経営の会社は、親族以外の従業員からは好まれません。こうした従業員からは、場合によってはブラック企業と捉えられているケースもあります。親族経営の会社が従業員から好まれない理由は、主に以下のとおりです。
- 能力よりも私情で役職が決められやすいため
- 経営者一族との関係性によって不当な扱いを受けやすいため
- 頼りになる相談先がないため
①能力よりも私情で役職が決められやすいため
親族で経営する会社では、俗にいうコネが利用されているケースが多くあります。例えば、経営者の友人が部長を務めていたり、代表者の友だちの息子を試験なしで入社させていたりする事例が挙げられます。
親族経営の会社では、親族であることを理由に役員となっている人物が多くの給料を貰っているケースも見受けられます。コネそのものを悪しきものであると断定できませんが、コネの存在によって他の従業員が出世できない問題が発生している場合には注意が必要です。
なぜなら、こうした状況を問題視した従業員が自分の能力を見てくれる会社に移動してしまう可能性があるためです。
②経営者一族との関係性によって不当な扱いを受けやすいため
会社には私情を持ち込まないのが一般的ですが、親族内で会社を運営していると私情が持ち込まれるケースが多いです。例えば、経営者や会社内の親族との関係性が悪化した従業員が不当な扱いを受けることがあります。
このように、経営者一族が単純に気に入らないというのみでさまざまな不利益を被る可能性がある会社は従業員から好まれません。
③頼りになる相談先がないため
会社内に不満を感じたら、人事や総務課などに相談することで改善を図るのが基本的です。しかし、会社内が親族で固められていると、人事や総務も経営者一族が運営している可能性が非常に高いです。たとえ従業員が会社に不満を感じたとしても、頼りになる相談先がありません。
上記の点が、親族経営の会社がブラック企業と捉えられてしまう理由の1つです。親族経営の会社は、他の従業員にとって働きにくい環境になる可能性が高いです。もちろん平等に従業員を評価する会社であれば、親族経営の会社であっても問題ありません。
とはいえ、親族で営んでいる会社に入社すると上記の問題に直面する可能性が高いため、従業員から避けられることが多いです。
M&Aを活用すれば風通しの良い会社を目指すこともできる
ここまで親族経営の会社が従業員から好まれない理由を紹介してきましたが、そのいずれもが会社内の風通しの悪さが原因の1つとされています。そのため、従業員から好まれる会社を目指すならば、風通しの良い会社に変えていくことが大切です。
おすすめなのは、M&Aを活用して外部からの意見を取り入れる仕組みを作ることです。M&Aの手法には株式譲渡や事業譲渡のほか、資本提携や業務提携なども挙げられます。資本提携や業務提携を活用すれば相手先企業の資本を活用しつつ意見も取り入れられるため、風通しの良い会社作りが目指せます。
M&Aを活用した経営戦略を検討している場合は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。専門的な知識や経験が豊富なアドバイザーが、ご相談からクロージングまでをしっかりサポートいたします。M&A総合研究所ではスピーディーなサポートを実践しており、成約まで最短3カ月の実績があります。
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親族経営の会社まとめ
親族で会社を営むことは決して悪いことではありませんが、従業員にとって働きにくい環境を生み出す可能性があります。親族で会社内を固めていることで悪い印象を抱かれないようにするためには、親族と従業員の双方を平等に扱わなければなりません。
それに加えて、外部からの意見を取り入れる環境を作っておけば、広い視野を持って会社を運営できます。自分や親族の利益だけではなく、会社全体の利益を考えることが会社を永続きさせるための秘訣です。
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。