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2019年12月3日更新
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グリーンメーラーとは?事例や買収防衛策を解説

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

村上ファンドやライブドアの買収劇にて、グリーンメーラーとい言葉が話題となりました。会社や株主にとって脅威となるグリーンメーラーに対しては、徹底的な対策が必要です。裁判でも防衛策の行使が認められている為、迅速な対応を心がけなくてはいけません。

目次
  1. グリーンメーラー
  2. グリーンメーラーとは?
  3. グリーンメーラーの由来
  4. グリーンメーラーと四つの類型(高裁四類型)
  5. グリーンメーラー対策としての買収防衛策
  6. グリーンメーラーの事例(スティール・パートナーズ)
  7. グリーンメーラーの事例(トヨタ)
  8. 村上ファンドはグリーンメーラーだったのか?
  9. まとめ

グリーンメーラー

村上ファンドやライブドアの買収の際、グリーンメーラーという単語を聞いた経験があるかもしれません。
株式会社にとって脅威の存在であるグリーンメーラーとは、一体何でしょうか?
経営権の取得ではなく、多額の売却益獲得を目的として株式を買い占める点が特徴です。
この記事では、グリーンメーラーについて分かりやすく解説します。

グリーンメーラーとは?

まず初めに、グリーンメーラーとは何なのかを解説します。
グリーンメーラーとは、グリーンメール行為を行う投資家を意味します。
グリーンメールとは、高値で相手会社の経営陣に買い取らせる目的で、ターゲット企業の株式を買い集める行為です。
つまりグリーンメーラーとは、株式を大量に買い占めて、その株式を発行する企業の経営陣や関係者に高値で買わせる投資家です。
経営権の取得ではなく、最初から多額の売却益獲得を目的として株式を買い占める点が特徴です。
経営権支配を目的としてTOBを仕掛けた買収者が、敵対的買収が失敗した事を契機に、途中からグリーンメーラーとなるケースもあります。
実際の資産価値と比べて株価が割安に推移している企業は、グリーンメーラーのターゲットになり易いです。
株式の買い集めで株主総会での影響力を持つ様になり、トラブルを発生させる事が可能となります。
グリーンメーラーは会社に対する影響力を武器に、半ば脅迫の形で高値で株式を買収させます。

グリーンメーラーの由来

この項では、グリーンメーラーという名前の由来について解説します。
「グリーンメーラー」という特徴的な名前には、どの様な由来があるのでしょうか?
グリーンメーラーはドル紙幣の色である「グリーン」と、脅迫状を意味する「ブラックメール」を組み合わせた造語と言われています。
「ブラックメール」として保有株式を用い、脅迫まがいに相手企業から「グリーン」のドル紙幣を奪い取るイメージが由来となっています。
最初からお金を奪う目的である為、会社側から見ると純粋な敵対的買収者よりも厄介な存在です。
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グリーンメーラーと四つの類型(高裁四類型)

グリーンメーラーは非常に厄介な存在であり、会社側は対抗措置として買収防衛策を講じる必要があります。
経営者自身の保身として見なされる場合が多い為、買収防衛策の正当性は認められないケースが多いです。
相手企業がグリーンメーラーである等、ある一定の要件に該当する案件であれば、買収防衛策の正当性が認められます。
買収防衛策が認められる四つの類型は「高裁四類型」と呼ばれており、グリーンメーラー相手の防衛策も認められています。
この項では、買収防衛策の行使が認められる四つの類型を詳しく解説します。

⑴買収者がグリーンメーラーである

グリーンメーラーに敵対的な買収を仕掛けられた際には、買収防衛策の行使が認められています。
最初から脅し目的で株式を買い集めている為、買収防衛策を行使しても経営陣の保身とは見なされません。
買収者がグリーンメーラーである事を理由に、防衛策の行使が裁判で認められた事例が現に存在します。

⑵焦土化経営が目的である

焦土化経営とは、買収した企業が保有する経営資源を他社に移転させる事で、著しく企業価値を下げる経営手法です。
相手企業を廃れさせる目的で買収を仕掛けてきた相手に対しては、防衛策の行使が認められています。
既存株主や経済全体に悪影響をもたらし得る為、焦土化経営目的の買収者には徹底的な対抗が必要です。

⑶対象会社の資産を債務弁済の原資としたM&Aである

相手企業の資産を自社の債務弁済の為に用いる目的で、M&Aを仕掛けてくる買収者も存在します。
その様な買収者に対しても、防衛策を実行できます。

⑷解体型の買収である

解体型の買収とは、買収した企業の資産売却により多額の売却益を得る目的で行う買収です。
解体型の買収も既存株主に悪影響が生じる為、防衛策の実施が認められます。
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グリーンメーラー対策としての買収防衛策

四つの類型にある通り、グリーンメーラーに対しては買収防衛策の行使が認められます。
この項では、グリーンメーラ対策として利用できる買収防衛策を2つ解説します。

⑴ポイズンピル

ポイズンピルとは、グリーンメーラーが一定以上の株式を取得した際に、他の既存株主に対して新株予約権を発行・交付する対策手法です。
この対策により、グリーンメーラーの持ち株比率が低下する効果が期待できます。
グリーンメーラーには、コストをかけてさらに株式を買い集める必要が生じる為、買収を諦めさせる事が出来ます。
新株予約権を用いたグリーンメーラー対策は、日本国内の事例でも実際に活用されています。

⑵MBOによる上場廃止

MBOによる上場廃止も、グリーンメーラー対策として効果的です。
MBOとは自社の株式を経営陣が買い取る手法であり、上場企業がMBOを実施すると基本的に上場廃止となります。
上場廃止により市場に株式が出回らなくなる為、グリーンメーラーの脅威を完全に排除する事が可能です。
グリーンメーラー対策としては非常に効果的ですが、資金調達面や情報発信力等の面でデメリットも生じます。
※関連記事
MBOのメリット・デメリット

グリーンメーラーの事例(スティール・パートナーズ)

さらに理解を深める為に、この項と次項ではグリーンメーラーの事例をご紹介します。
まず初めに、スティール・パートナーズがグリーンメーラーとして認められた事例について解説します。
2007年にアメリカの投資ファンド「スティール・パートナーズ」は、ソース会社である「ブルドックソース」に敵対的買収を仕掛けました。
ブルドックソースは敵対的買収への対策として、新株予約権を用いた防衛策を行使しようとしました。
「スティール・パートナーズ」はこの防衛策行使を不当であるとし、差し止めを求めて裁判を起こしました。
東京高裁はブルドックの防衛策を容認した訳ですが、その際にスティール・パートナーズはグリーンメーラーであると認定されました。
今回の事例で、スティール・パートナーズがグリーンメーラーであると認定された理由は下記二つです。

  • 過去にグリーンメーラーの様な投資回収を行なっていた
  • 買収後の経営方針を明確にしておらず、株主を不安にさせている

以上二つの理由から経営権取得を目的とした買収ではないと判断され、ブルドックソースの防衛策の実行が認められました。

グリーンメーラーの事例(トヨタ)

この項では、トヨタが絡んだグリーンメーラーの事例をご紹介します。
数あるグリーンメーラー事例の中でも、ブーン・ピケンズ氏によるトヨタへのグリーンメール行為は非常に有名です。
1989年ブーン・ピケンズ氏は、トヨタ自動車の系列会社であった小糸製作所の株式を買い集めて、取得した株式をトヨタに買い取らせようと試みました。
この際ピケンズ氏は、日米経済問題等の政治問題への発展をネタに、脅迫まがいにトヨタにグリーンメール行為を行いました。
当時の日本経済全体を巻き込む大騒動となりましたが、結果的には裁判にて小糸製作所が全面勝利しました。
グリーンメーラーとして悪名高いピケンズ氏が日本企業に手を伸ばした事例として、今なお日本の経済史に色濃く残っています。

村上ファンドはグリーンメーラーだったのか?

最後に、村上ファンドについて取り上げます。
村上ファンドとは、「もの言う株主」として数多くの上場企業に影響を与えた村上世彰氏が立ち上げたファンドです。
当時村上ファンドは上場企業の株式を買い集め、積極的に株主提案を行なったり、経営陣への批判を繰り返す事で有名でした。
ライブドア事件でインサイダー取引に関わった村上世彰氏が逮捕された事で、村上ファンドの快進撃は幕を閉じました。
株式の買い占め行為やインサイダー取引への関与等を踏まえて、「村上ファンドはグリーンメーラだった」と考える方は多いです。
「コーポレートガバナンスを機能させる為の投資」を主張していたり、経営権の取得を目的とした事例がある事を踏まえると、村上ファンドは本来の意味でのグリーンメーラではないでしょう。
経営陣に対して積極的に要求を突きつけていた事実もある為、経営に関心のないグリーンメーラーとは根本的に異なります。
村上ファンドがグリーンメーラーかどうかは、最終的には各個人の判断となる点にはご注意ください。
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経営権

まとめ

今回は、グリーンメーラについて解説しました。
会社や株主にとって脅威となるグリーンメーラーに対しては、徹底的な対策が必要です。
裁判でも防衛策の行使が認められている為、迅速な対応を心がけなくてはいけません。
要点をまとめると下記になります。

  • グリーンメーラーとは

→株式を大量に買い占めて、その株式を発行する企業の経営陣や関係者に高値で買わせる投資家

  • グリーンメーラーの由来

→ドル紙幣の色である「グリーン」と、脅迫状を意味する「ブラックメール」が由来

  • 四つの類型(高裁四類型)とは

→敵対的買収者に対する買収防衛策が認められる4つのケースであり、「買収者がグリーンメーラーである」等が該当する

  • グリーンメーラー対策としての買収防衛策

→ポイズンピル、MBOによる上場廃止など

  • グリーンメーラーの事例(スティール・パートナーズ)

→米スティール・パートナーズとブルドックソースの買収防衛策を巡る裁判で、スティールはグリーンメーラーと認定された

  • グリーンメーラーの事例(トヨタ)

→ブーン・ピケンズ氏が、小糸製作所の株式をトヨタに買い取らせた事例

  • 村上ファンドはグリーンメーラーだったのか?

→経営権取得も視野に入れていた点やコーポレートガバナンスを機能させる目的での投資と主張していた点を踏まえると、グリーンメーラーとは言い難い

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