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2019年7月11日公開
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ザイリンクスの買収とは?事例や今後の動向などをご紹介

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

ザイリンクスは、今後ますます多様な事業展開を進めるものと思われます。株式取得や事業譲渡といったM&A・買収の手法を把握しつつ、海外事例も含めた実際のM&A事例も参考に、様々な視点からM&A・買収の理解を深めることが大切です。

目次
  1. 買収とは
  2. 買収の意味とは?
  3. 買収の種類
  4. ザイリンクスとは?
  5. ザイリンクスのM&A事例
  6. 買収は専門家に相談
  7. まとめ

買収とは

M&Aは、後継者不足問題の解決や経営基盤の安定化のほか、事業の強化・拡大、新規事業への参入など、様々な目的のために行われます。近年は日本企業の間でもM&Aに積極的な姿勢が広まっていますが、特に海外企業は日本企業よりも積極的にM&Aを行う傾向が見られます。

さて、こうしたM&Aですが、その代表的な手法として「買収」が挙げられます。海外企業はもちろん、近年は日本企業が積極的に買収を行うケースも増えています。このような状況においては、海外企業の買収事例を知っておくことも、日本企業が事業戦略を策定するうえで大いに役立つのです。

さて、この記事では、海外企業の買収事例として、ザイリンクスによる買収事例、そしてザイリンクスの事業内容や今後の動向についてご紹介していきます。ただ、その前に、そもそも買収とは何を意味するのか、その仕組みについて整理しておきます。

買収の意味とは?

買収とは、字の通り「買い取る」という意味で、企業が他の企業を買い取ることを意味します。買収は、基本的には他社を支配する目的で行われます。ただ、支配するというのは、もちろん悪い意味だけではありません。確かに「敵対的買収」と呼ばれるようなケースもありますが、一般的な買収は、買収側にも売却側にもメリットがあります。

例えば、資金面で事業継続が難しい企業が、資金の豊富な大手企業に買収されれば、安定した経営基盤のもとで事業を継続できるのです。この場合、事業継続をしたいと考える売却側の企業にとっては、買収されることには大きなメリットがあるはずです。また、買収側にとっても、買収した会社のノウハウやサービス体制を活かす形で、自社の事業強化・拡大などを図ることができます。

このように、買収は各当事者がメリットを享受できる手法となり、近年は特に活発化している傾向が見られます。

買収の種類

次に、買収の種類についてご紹介します。後ほどご紹介するザイリンクスの買収事例は、海外企業の事例となりますが、まずは日本国内の買収の種類について一度整理しておきましょう。海外事例を分析するうえでも、日本における買収の仕組みを知っておいて損はありません。今後は海外企業と日本企業間の買収が活発化する可能性もあるからです。

買収の手法

買収の手法には、「株式取得」と「事業譲渡」があります。また、株式取得には「株式譲渡」「新株引受」「株式交換」「株式移転」が、事業譲渡には「全部譲渡」「一部譲渡」があります。以下、それぞれの特徴と仕組みをご紹介していきます。

株式取得の仕組み

株式取得の仕組みを知ることは、会社の経営権を考えるうえで非常に重要です。まずはその仕組み・特徴から整理しておきます。

株式取得は、株式を取得して経営権を得ることを意味します。株式には原則として議決権がありますが、株主は株主総会で経営に関する様々な内容を決議することができます。つまり、議決権を持つということは、会社の経営に関わることを意味するのです。そのため、どのくらい株式を取得できるかが、経営権を左右する重要な問題となるわけです。

具体的には、議決権のある株式の過半数を持っていれば、株主総会の普通決議を議決できます。また、もし株式の100%を取得することができれば、その会社の経営権を全て取得することになります。以下、株式取得の手法として「株式譲渡」「新株引受」「株式交換」「株式移転」をご紹介しますが、いずれも経営権の取得につながるという仕組みは同じです。

株式譲渡

株主が保有する株式を第三者に譲渡することを、株式譲渡といいます。買収の手法としては最も一般的で、株式の100%を譲渡して経営権を完全に移転させるというケースも多いです。また、一般的には株式を売買する形で譲渡が行われます。

新株引受

第三者に新株の割り当てを受ける権利を与えることを、新株引受(第三者割当増資)といいます。新株引受を実施すると、新たに株式を取得した株主と既存の株主が共同で経営を行うという形になります。株式を全て譲渡するケースのように、経営権を全て移転させるわけではありません。

例えば、A社が新たに株式を発行し、それをB社が取得したとします。この場合、株主はA社とB社になるので、両社が共同で経営を行うという状態になります。B社がA社の株式を全て取得するわけではありません。

株式交換

株式交換は、ある会社が発行する株式の全部を、他の会社(株式会社または合同会社)に取得させるという手法です。株式を全て取得させるので、株式交換を実施すると完全親会社と完全子会社の関係が発生します。

株式移転

株式交換と似た手法ですが、株式移転というものもあります。株式移転とは、1または2以上の株式会社が、発行する株式の全部を新たに設立する株式会社に取得させる手法です。株式交換と同じように、株式の全てを取得させるので、完全親会社と完全子会社の関係が生まれます。

一方で、株式移転の場合、完全親会社として新しく会社を設立するという点に特徴があります。

事業譲渡

事業譲渡は、ある会社の事業の全部または一部を譲渡することをいいます。そのため、全部譲渡と一部譲渡に分類されます。

事業譲渡の大きな特徴は、全てを譲渡する必要はないということです。例えば、採算事業は残しておき、不採算事業だけを譲渡するといった方法も可能です。採算事業に投資を集中させたい場合など、事業の一部譲渡は大きなメリットがあるわけです。

また、事業譲渡のもう一つの特徴は、事業を譲渡しても基本的に株式は移転しないという点です。これは株式取得との大きな違いです。株式取得の場合は、株式の割合によって経営権も変わります。一方で、事業譲渡は株式が移転しないので、経営権は事業ごとに判断します。

譲渡した事業の経営権は移転し、譲渡しなかった事業の経営権は移転しないというように、株式ではなく事業単位で経営権が決まります。特に株式取得の一つである株式譲渡は、事業譲渡と言葉が似ているので、両者の仕組みの違いはしっかりとおさえていくことが大切です。

ザイリンクスとは?

それでは、買収事例の一つとして、ザイリンクスを取り上げてご紹介します。具体的な買収事例は後ほど触れますが、まずザイリンクスの事業内容や特徴から整理しておきましょう。

ザイリンクスの歩み

ザイリンクスは、プログラマブル・ロジック・デバイスの開発などを手がけるアメリカの半導体関連企業で、1984年に設立されました。

プログラマブル・ロジック・デバイス(PLD)とは、利用者が内部の論理回路を変更できる集積回路のことをいいます。通常の集積回路は、一度製品が完成すると利用者が内部の論理回路を変更することはできません。一方で、プログラマブル・ロジック・デバイスの場合、内部の論理回路の構造を再構成することができるのです。大まかな定義になりますが、「利用者が自由に機能を変更できる」と考えると、イメージしやすいかと思います。

さて、このプログラマブル・ロジック・デバイスにおける技術に「FPGA」というものがありますが、このFPGAを初めて開発した企業がザイリンクスです。FPGAは、プログラマブル・ロジック・デバイスの中でも特に大規模で複雑なものとなり、回路規模は数万ゲート以上に及びます。ザイリンクスはFPGAの発明により、半導体業界に革新的な影響を与えることになりました。

最近のザイリンクスの事業動向

ザイリンクスが発明したものは、FPGAのほか、ハードウェアプログラマブルSoC、ACAPなどがあります。特に最近では、マルチコアヘテロジニアス演算プラットフォームとなるACAPを重要な柱としています。今後のザイリンクスは、引き続きFPGAなどを中核事業としつつ、より多種多様なテクノロジーの提供を行うものと思われます。

特に最近では、サムスン電子との提携強化が大きな注目を集めています。2019年2月、ザイリンクスとサムスン電子は、世界初の5G New Radio(NR)の商用展開を可能にする提携強化を発表しました。5G NRは韓国で実施されるほか、今後は世界各国に展開するとされています。

このように、ザイリンクスはFPGAベンダーの枠を超え、多様な事業展開の歩みを進めています。

ザイリンクスの日本法人

ザイリンクスには日本法人もあります。日本法人は「ザイリンクス株式会社」という会社名で、1989年に設立されています。ザイリンクス株式会社もFPGAやSoCなどを事業内容とし、販売代理店はアヴネット株式会社、新光商事株式会社、株式会社PALTEKとなっています。

ザイリンクスの株価見通し

ザイリンクスの2019会計年度では、四半期ごとの売上が前期比で増加するケースが目立ちました。市場予想を上回る結果を出し、売上高の見通しの上方修正も行われ、まさに記録的な業績であったと言えます。こうした好調な決算を踏まえ、ザイリンクスの株も上昇しています。

一方、ザイリンクスに限らず、最近では半導体関連の銘柄全体の上昇も目立ちます。これは、同じく半導体関連企業であるテキサス・インスツルメンツ(TI)とラムリサーチの業績が好調であることも影響しています。2019年1月に発表されたザイリンクス、テキサス・インスツルメンツ、ラムリサーチの決算は、市場予想を上回る好調な結果を示しており、半導体関連の株の上昇につながっています。

今後のザイリンクスの株価の見通しは、こうした半導体関連の銘柄全体の動きも踏まえ、予想されるものと思われます。
 

ザイリンクスのM&A事例

それでは、ザイリンクスのM&A事例について、代表的なものをご紹介します。それぞれのM&Aの背景や流れ、目的など、事例の分析に役立ててみてください。

DeePhi Tech社の買収

ザイリンクスは2018年7月、ディープラーニング技術の開発などを行う中国のDeePhi Tech社を買収したことを発表しました。特に米中の貿易戦争が話題になる中、ザイリンクスによるDeePhi Tech社の買収は大きな注目を集めています。

DeePhi Tech社は、清華大学とスタンフォード大学の研究者によって2016年に設立された新しい会社です。清華大学とスタンフォード大学は、機械学習における研究や、世界各国でのAIに関する会議での論文発表などで、それぞれ高い実績を誇っています。この両大学の研究者が設立し、ディープラーニング技術の開発などを手がけるスタートアップ企業として誕生したのがDeePhi Tech社です。

こうした背景を持つDeePhi Tech社は、その事業展開の中でディープラーニング学習のリーディングカンパニーとして認知されるようになり、DeePhi Tech社のチームがFPGA2017 の最優秀論文賞を受賞するなど、確かな実績を積み上げています。

さて、このDeePhi Tech社には、MediaTekやSamsung、そしてザイリンクスなどが出資を行っていました。ザイリンクスがDeePhi Tech社への投資を発表したのは2017年5月で、DeePhi Tech社はザイリンクスデバイスの機械学習に対するアーキテクチャ面での利点の活用、そしてエッジからクラウドまでの推論プラットフォームの提供などを通じ、AI製品・サービスの将来的な動向に備える形となりました。

両社は早い段階から結びつきが深く、技術面をはじめそれぞれの強みを活かした事業展開が行われていましたが、翌年2018年にザイリンクスがDeePhi Tech社を買収することになりました。買収後も、ザイリンクスは引き続きDeePhi Tech社に投資を行い、クラウドおよびエッジにおける機械学習アプリケーションの展開を進めるとしています。

買収は専門家に相談

買収というのは、買収に至るまでの背景、目的など、それぞれのケースで様々な事情が関係しています。ザイリンクスがDeePhi Tech社を買収した事例を見ると、もともと投資をしていたDeePhi Tech社を最終的に買収した形になります。これまで結びつきのなかった会社を買収するケースもありますが、結びつきが深かった会社を買収する場合もあるわけです。

これは、ザイリンクスの買収事例に限った話ではありません。例えば、これまでの投資では事業上のメリットが少ないと判断したら、株式を多く取得して対象企業を子会社化し、一体化した経営環境で効率的に事業を進めるなど、様々な事情が考えられます。

さて、こうした判断を自社だけで行うケースもありますが、M&Aがより多様化した現在では、専門家に相談しつつ戦略を練ることも重要です。M&A仲介会社・M&AアドバイザリーなどのM&Aの専門家は、M&Aの手法だけでなく、各業界の事情や展望にも精通しています。業界動向も踏まえたアドバイスを提供してくれるので、M&Aの専門家に相談することは大きなメリットがあります。

もちろん、株式譲渡や事業譲渡など、買収の様々な方法から最適なスキームを選択するためにも、専門家への相談は大きな意味があります。こうした理由もあるので、買収は専門家にしっかりと相談するようにしましょう。

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まとめ

ザイリンクスは、今後ますます多様な事業展開を進めるものと思われます。FPGAなどを中核事業としながらも、サムスン電子との提携強化など、より視野を広げた展開に注目されています。また、DeePhi Tech社の買収に見られるように、事業強化のためのM&Aも今後加速する可能性があります。

こうしたM&Aは、もちろんザイリンクスに限った話ではありません。近年は様々な企業がM&Aを積極的に行う傾向も強まっています。もちろん日本企業も例外ではありませんが、海外企業に比べるとまだM&A事例は少ないと言えるでしょう。株式取得や事業譲渡といったM&A・買収の手法を把握しつつ、海外事例も含めた実際のM&A事例も参考に、様々な視点からM&A・買収の理解を深めることが大切です。

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