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2019年11月27日更新
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バリュエーション(企業価値評価)の方法・手法

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

企業価値を評価する上で重要なバリュエーション(企業価値評価)。その方法・手法は複数あり、メリット・デメリットもあります。投資やM&Aにおいてバリュエーションは必要不可欠です。簿価純資産法、時価純資産法に代表されるコストアプローチによるバリュエーション方法、DCF法、配当還元法に代表されるインカムアプローチ方法、類似会社比較法(マルチプル法)と市場株価法、類似取引比較法に代表されるマーケットアプローチによるバリュエーション方法があります。

目次
  1. バリュエーション(企業価値評価)の方法・手法
  2. バリュエーションとは
  3. バリュエーション方法・手法
  4. M&Aにおけるバリュエーションの重要性
  5. まとめ

バリュエーション(企業価値評価)の方法・手法

バリュエーションはM&AやTOBにおいて欠かせないプロセスの一つです。

その企業の価値を正しく評価する上で重要なバリュエーションですが、その方法は複数あり、それぞれ会社の事情に合わせて使用する必要があります。

またバリュエーションの方法にはそれぞれメリット・デメリットもあるため、適切に把握しておくことも重要です。

今回は企業におけるバリュエーションの重要性やバリュエーションの代表的な方法についてお伝えしていきます。

バリュエーションとは

バリュエーションは企業価値評価とも呼ばれるものです。

一般的に「企業の価値」というと株式の価値、つまり株価を連想するかと思いますが、バリュエーションは単純に株価を評価するわけではありません。

バリュエーションにおいては文字通り企業全体の価値を評価していくことが重視されます。

より正確に言うと、長期的にキャッシュフローを獲得する事業の価値を指し示す事業価値、その事業価値に事業外資産を加えることで企業全体の価値を評価した企業価値、負債や投資家の取り分を企業価値から差し引いた株主価値といった様々な企業に関する価値を評価していくものです。

つまり企業価値はその企業の事業や資産、収益性などその企業を構成するあらゆる要素を総合的に吟味した上で評価されるものでもあります。

そのためバリュエーションで評価される企業価値はイコール株価というわけでなく、より多角的に企業のディティールを分析しながら評価していきます。

バリュエーションで評価された企業価値は投資を実施するか、M&Aの際にどれだけの価格をオファーするかの指針となる重要なものです。

その意味では投資やM&Aの際にバリュエーションを行うことは必要不可欠だといっても過言ではないでしょう。

しかしバリュエーションは経営のみならず会計や税務など様々な専門的知識に長けていなければできないものであり、経営者が行うことはなかなか難しいものです。

そのため実際にバリュエーションを行う場面では経営コンサルティング会社や税理士事務所、会計士事務所などといった専門的な機関に委ねていくことになります。

バリュエーションを依頼した際の報酬は依頼した機関によって異なりますが、中には割安な金額で受け取ってくれるところもあり、M&A全体の仲介をしていく過程でバリュエーションもサービスの一環として請け負ってくれる機関もあるので、よく探してみることがおすすめです。

バリュエーション方法・手法

バリュエーションの方法は複数あり、基本的には評価したい企業の最も適切な企業価値が評価されるように併用して使うことが一般的です。

もちろんバリュエーションの方法の中には使用頻度が高いものもありますが、どの方法にも一様にメリットとデメリットがあり、それらを踏まえ複数の方法を併用してバリュエーションを行った方が評価のクオリティは上がります。

より確度の高い企業価値を見出すことができるでしょう。

ここではバリュエーションの方法で代表的なものを3種類ご紹介すると共に、それぞれのメリット・デメリットもお伝えしていきます。

①コストアプローチによるバリュエーション方法

コストアプローチとはバリュエーションの方法の1つであり、別名「ネットアセット・アプローチ」や「ストックアプローチ」とも呼ばれています。

コストアプローチ方法

コストアプローチは会社の純資産を基準にして企業価値を評価する方法です。

いうなれば「評価対象となる企業はその時点でどれだけの資産を持ち、どれだけの利益をあげているのか」を目安にして企業価値を評価するという方法ともいえます。

コストアプローチには代表的なものとして2つの手法があり、「簿価純資産法」と「時価純資産法」が挙げられます。

両者の違いはその名の通り純資産を算定する際に「簿価」を使うか「時価」を使うかです。

簿価であるなら帳簿につけられている数字でそのまま計算すればいいですが、時価で資産や負債を計算し直す場合には再調達原価法、清算価値法のいずれかを使って行う必要があります。

再調達原価法と清算価値法はそれぞれコストアプローチにおける時価の考え方であり、前者は企業の資産・負債を現時点で取得し直した際の金額を利用する方法、後者は企業を清算した際に株主が得ることができる金額を時価として利用する方法です。

コストアプローチのメリット・デメリット

コストアプローチのメリットはスピーディーに企業価値を評価できる点です。

基本的にコストアプローチは帳簿上の数字の計算で完了するため、余計な手間がかかりません。

とりわけ簿価純資産法は貸借対照表があれば成立するため、非常に簡単な方法でもあります。

また帳簿上の数字が正確だったり、時価の算定方法が適切であれば客観的な企業価値を評価することが可能になります。

ただ、コストアプローチは良くも悪くも帳簿の数字に依拠するため、帳簿上の数字が不正確であればバリュエーションの結果が大きく狂っていきます。

とりわけ帳簿上は会計の原理で数字が計算されているため、実際の資産や負債の価値と食い違う可能性があるため注意が必要です。

またコストアプローチは企業が事業を継続していることを前提に置いた方法ではないため、企業の将来性は評価に加味されません。

そのためコストアプローチ単体で評価した企業価値が正確だとは言い難いでしょう。

②インカムアプローチによるバリュエーション方法

インカムアプローチはある意味ではバリュエーションで最もメジャーな方法であり、後述するDCF法に関しては一番多用されるものです。

インカムアプローチ方法

インカムアプローチは評価対象となる企業に期待される将来的な利益から将来的に発生し得るリスクを差し引くことで企業価値を評価するという方法です。

インカムアプローチは評価対象の企業の事業計画を踏まえたうえで将来的なキャッシュフロー、収益性を加味した評価を行うため、コストアプローチとは対照的に企業の持続性を企業価値に反映させることができます。

インカムアプローチには将来のキャッシュフローを算定して行うDCF法と株主が受け取る配当額から評価する配当還元法といった手法があります。

この中でもDCF法はバリュエーションで最も多用される方法です。

インカムアプローチのメリット・デメリット

インカムアプローチの最大のメリットはやはり企業の将来性を企業価値に反映させられる点でしょう。

その将来性には事業の成長性や新事業を展開した際の利益なども含まれるため、企業の評価すべきポイントを余さず企業価値に反映させることができます。

ただ、将来性を重視するインカムアプローチのスタンスは裏を返せばデメリットにもなり得るものです。

インカムアプローチにおいて将来のキャッシュフローや収益性などはいずれも事業計画に依拠して算出されることになります。

いってしまえばそれは未来予想に過ぎず、かなり主観的なものであるため、事業計画を作った企業の独りよがりに陥ってしまうリスクは充分にあり得ます。

もし事業計画の精度が低ければ、正確に評価されるべき企業価値がその企業の希望的観測になってしまう恐れもあるでしょう。

そのためインカムアプローチでは正確性の高い事業計画を作成する必要がありますが、それが難しい企業はインカムアプローチの使用は難しくなるでしょう。

③マーケットアプローチによるバリュエーション方法

マーケットアプローチは先述したコストアプローチやインカムアプローチとは少々毛色の違う方法です。

マーケットアプローチ方法

マーケットアプローチは評価対象となる企業を類似した企業や業界などと比較することによって企業価値を算定するという方法です。

マーケットアプローチには類似会社比較法(マルチプル法)と市場株価法、類似取引比較法があります。

類似会社比較法は評価対象となる企業の類似会社を上場会社の中から選別し、その企業の市場株価、純資産、利益などといった財務指標から算出された倍率を評価対象となる企業に適用するというもの方法です。

こちらは上場しておらず、市場株価を確認することができない非上場会社でよく使われる方法です。

対して市場株価法は上場会社で使われる手法であり、企業価値が反映される1ヶ月~3ヶ月分の市場株価を参照して評価額とする方法です。

そして類似取引比較方法は比較対象の企業と類似した企業やその業界で行われたM&Aの取引実態を参照していく方法です。

マーケットアプローチのメリット・デメリット

マーケットアプローチは必ず類似している企業や業界の動向を参照し、分析する方法です。

そのためインカムアプローチのような主観性に囚われた状況には陥りにくく、ある程度客観性を担保させた状態でバリュエーションを進めることができます。

しかしマーケットアプローチはさきほどお伝えした通りそれぞれの手法にデメリットがあります。

まず類似会社比較法は類似している会社を選別する際にどうしても恣意性が入ってしまうことです。

恣意性が入ってしまうと結果的に評価対象の企業に有利な結果になる企業を選別してしまうことになり、正確な企業価値を評価することができなくなります。

また、企業によってはそもそも参照が可能で類似している企業を見つけること自体難しいでしょう。

市場株価法は市場株価と言う客観的な数字をベースにする手法であるため客観性は高そうですが、M&Aによるシナジー効果や経営改善効果、経営権の価値などが加味されてない数字であるため、M&Aに使う企業価値としてそのまま流用することはできません。

そして類似取引比較法は中小企業のバリュエーションには使いづらいデメリットがあります。

そもそも中小企業のM&A取引や財務指標は公開されている例が少なく、情報源が少ないため、類似している事例を探し出すこと自体が困難です。

M&Aにおけるバリュエーションの重要性

冒頭でも述べましたが、M&Aにおいてバリュエーションは非常に重要なものです。

端的に言ってしまうとバリュエーションによって導き出された企業価値はそのままその企業の価格になるといっても過言ではありません。

だからこそバリュエーションにおいて重要なのは正確さであり、その企業の本来的な価値を正確に表していることが重要です。

しかし企業価値は株価のように変動しやすいものであり、将来性を加味すると企業価値の捉え方はあいまいなものになってしまいます。

その企業価値を評価するためのバリュエーションの方法は多種多様であり、どの方法を選択したかによって当然結果も変わってきます。

そのためどのバリュエーションの結果が評価対象の企業の現状に一番合致しているかを適切に判断することもまた重要だといえるでしょう。

ただし、注意しておきたいことは、仮にバリュエーションで正確な企業価値を評価できたとしても、その企業価値をベースにした価格通りにM&Aが進むとは限らない点です。

M&Aが企業や事業を用いた取引である以上、当然ながら買い手と売り手間による価格交渉は発生します。

その際、買い手側は少しでも安く、売り手側は少しでも高く価格がつくように交渉するものです。

例えば「M&Aの結果移転する従業員の退職金制度を引き継ぐから代わりに価格を下げる」、「負債を肩代わりするからその分価格を下げる」といった形で交渉が進み、実際の企業価値をベースにした価格とは異なる価格に変わる可能性は充分に考えられます。

そして交渉の結果、思わぬ価格で会社が取引されたという事例は決して少なくありません。

ただバリュエーションをいかに正確に、緻密に行っているかによって交渉の精度は変わるものです。

単なる価格判定としてバリュエーションを使うというより、自社の企業の魅力、企業価値をより深く理解し、分析するためにバリュエーションを使うという認識を持っておいた方がいいでしょう。

まとめ

バリュエーションは企業価値評価を行う上で必要不可欠なプロセスであり、専門家に依頼し進めていくことをおすすめします。

また繰り返しになりますが、バリュエーションは複数の方法があり、いずれか一つだけを使うということは少なく、複数の方法を同時に使うことでより説得力のある結果を導きだすことができます。

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