2020年2月26日更新業種別M&A

ホテル・旅館における事業売却とは?メリット・デメリットや事例を解説

ホテル・旅館業界は需要が増えている一方で、競争も激化しています。ニーズ変化への対応やIT導入など、中小や零細ホテル・旅館にはさまざまな課題があり、苦戦を強いられるでしょう。そのようなときに、事業売却は有効的な手段となり得ます。

目次
  1. ホテル・旅館における事業売却とは
  2. ホテル・旅館業界の現状
  3. ホテル・旅館の事業売却におけるメリット・デメリット
  4. ホテル・旅館の事業売却における注意点
  5. ホテル・旅館の事業売却の事例
  6. ホテル・旅館の事業売却をM&A仲介会社の専門家に相談する理由
  7. まとめ
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ホテル・旅館における事業売却とは

M&Aが一般的な経営手法として定着して久しいですが、今では中小規模・零細規模の企業でも当たり前に行われるようになっています。日本のM&A件数は年々増加しており、今後もさまざまな目的で業界・業種を問わずにM&Aが行われることが予想されます。今回はホテル・旅館業界における事業売却についてご紹介します。

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ホテル・旅館業界の現状

まずはホテル・旅館業界の現状、主に外的要因やニーズの変化についてお伝えします。

国際的なイベントの恩恵を得る

ホテル・旅館業界は国際的なイベントの恩恵にあずかり、現在もその影響で業界全体が徐々に拡大しています。とりわけ2020年の東京オリンピック、2025年の大阪万博の影響は大きく、訪日外国人の増加が期待されます。

日本政府も訪日外国人観光客を増やすために多様な取り組みを行っており、その結果客室が不足しているため、ホテル・旅館のニーズがかなり高まっています。この状況もホテル・旅館業界にとっての追い風になっています。

かつては東日本大震災やリーマンショックといった出来事の影響をダイレクトに受けてしまい、縮小が進んでいたホテル・旅館業界ですが、現在はすっかり回復しています。

ニーズの変化への対応が課題

ニーズの変化への対応はホテル・旅館業界にとって重大な課題といえます。昨今は不景気の影響もあって旅行スタイルが変化しており、「近場で」「より安く」「期間を短く」旅行をすませるという人が増えています。

そのため、遠方の観光地にあるホテル・旅館は宿泊客が減少傾向にあり、価格競争に勝てなければ苦境に立たされることになります。加えて最近はインターネットでさまざまなホテル・旅館の比較ができる仲介サイトが増えており、宿泊客の口コミなどがそのホテル・旅館の評価にダイレクトに影響するようになっています。

このような状況で生き残るには、どのようなサービスをどれだけの価格で提供できるかがカギであるといえます。中小規模のホテル・旅館ではこの競争に勝ち残ることは難しいものです。どのような経営戦略を立てられるかが、より一層経営者に求められます。

競争の激化

オリンピックや万博のような国際的なイベントの開催によって外国人観光客や、求められる部屋数は増加しています。もちろん追い風にはなりますが、同時にしれつなまでの競争激化も招いています。都心部のホテル・旅館にとって競争の激化は乗り越えなければならない局面といえるでしょう。

都心部の部屋不足に応じて全国にホテルを持つ大手のホテルチェーンが次々とホテルを建設し、エリアを拡大しているため、中小規模・零細規模のホテル・旅館は不利な状況に陥っています。それだけでなく、外資系のホテルチェーンの参入も目立つようになり、ホテル・旅館の数はさらに増加しています。

加えて、ホテル・旅館のような宿泊施設に関する規制が緩和されたことにより、異業種もホテル・旅館業界に参入しやすい状況にもなっています。カプセルホテルや民泊のような零細規模の進出も目立っており、中小規模・零細規模の競争の激化も予想されます。

一方で、宿泊施設の多様化によって旅館は徐々に数を減らしており、代わりにリゾートやショッピングモールと一体化した統合型のホテルが増加しています。これもしれつな競争を生き残るための適応化の一端といえるでしょう。

ITの導入

今後のホテル・旅館業界の発展において、重要な課題の1つであるといえるのがITの導入です。宿泊客からの予約の管理や広範な販促など、多種多様な業務を効率的に進めるうえでITの導入は欠かせないものとなりつつあります。

予約サイトや宿泊客管理のシステムで一歩リードできるかどうかが、同業他社との競争の結果を左右するといっても過言ではありません。ただ、ITの導入はノウハウや資金が必要となるものであり、決して簡単ではありません。

ITの導入は大手を中心に積極的に行われておりますが、中小規模・零細規模のホテル・旅館でもいかに対応できるかが課題となります。

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ホテル・旅館の事業売却におけるメリット・デメリット

ここでは、ホテル・旅館の事業売却におけるメリット・デメリットをお伝えします。

ホテル・旅館の事業売却のメリット

ホテル・旅館の事業売却のメリットは買い手・売り手によって異なります。

買い手のメリット

買い手にとって、事業売却をしているホテル・旅館を買収することは、効率的な事業展開やエリアの拡大の実現につながります。

ホテル・旅館を新たに創設するには設備の導入や従業員の確保だけでなく、顧客の獲得などさまざまな手間がかかってしまいます。しかし、事業売却のようなM&Aを行えば、既存のホテル・旅館を買収することによって新たに創設する手間を省けます。

現状、客室数が足りずにホテル・旅館へのニーズが高まっていますが、M&Aを駆使して効率的に事業展開をしていけば、その需要を取り込むことができるようになります。もちろん、規模を拡大することによってスケールメリットを得られるようになることも大きな利点となります。

売り手のメリット①:ホテル・旅館が存続できる

やはりホテル・旅館の存続を実現できることが事業売却の最大のメリットでしょう。地方のホテル・旅館は宿泊客のニーズの変化もあって苦境に立たされているところが多く、経営が赤字状態になっているケースも少なくありません。

ホテル・旅館は光熱費や水道費、人件費などといった固定費の負担が大きく、経営状態が悪化するとそれをまかなうことすら難しくなります。しかしホテル・旅館を事業売却し、大手に買収されることができれば大きな資本の傘下に入ることができます。そうなれば経営基盤を強化できるため、経営状態の改善が容易になるでしょう。

また、昨今中小企業を中心に重要な経営課題となっている事業承継に関しても、事業売却は役立ちます。経営者が高齢化し、引退を迎えようとしているケースは増加傾向にあり、廃業を選択肢に入れているケースは少なくありません。しかし事業売却を行えば、第三者に経営を委託してホテル・旅館を存続できるようになります。

売り手のメリット②:新たなノウハウの導入と既存ITシステムの活用

事業売却を行えば、新たなノウハウの導入も容易になります。ホテル・旅館はITの導入が課題の1つとなっていますが、これを行うにはコストや技術が必要となります。しかし、すでにITを導入している大手のホテル・旅館に買収されることができれば、ITシステムをそのまま活用できます。

そうすれば、新たに導入する手間が省けるでしょう。また、大手のホテル・旅館の経営のノウハウやサービス、ブランドを使えるようになれば宿泊客の増加にもつなげられます。

売り手のメリット③:異業種とのコラボ

事業売却を行えば、異業種とコラボできることもメリットといえます。飲食店やゴルフ場など、ホテル・旅館と相性がいい事業は多く、それらとM&Aを通じて経営統合を行えば、新たなサービスを提供できるきっかけになります。また、新たな客層を開拓できるようにもなるでしょう。

ホテル・旅館の事業売却のデメリット

ホテル・旅館の事業売却のデメリットは「人材が流出しやすい」という点です。これはホテル・旅館に限らず、あらゆるM&Aにおいて人材流出のリスクは避けては通れないものです。

M&Aはいうなれば経営者や経営環境を劇的に変える経営手法であり、経営統合を行えば、労働環境や労働条件が大きく変わる可能性があります。そのため、働いている従業員の中にはこれを望まない者がいても不思議ではありません。

とりわけホテル・旅館は「老舗」といえるほど長く経営していることが多く、古くから仕える従業員であるほど、環境の変化を望ましく思わない傾向にあります。また、経営者が変わることによって業務自体が変わってしまう可能性もあり、その場合は従業員の負担増加に直接つながります。

そして、事業売却を行う際の手法である「事業譲渡」は、雇用契約を含めたさまざまな契約が白紙になってしまうという難点があります。雇用契約が白紙になったタイミングで、従業員が続々と離職してしまうことになり兼ねません。

実際M&Aを行った会社の中には、経営統合の直後に従業員が大量に離職してしまい、結果として大失敗に終わってしまったケースもあります。もし事業の中核を担う人材が流出するようなことになれば、多大な損失を被ることになります。

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ホテル・旅館の事業売却における注意点

ホテル 旅館のM&A・事業承継
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ホテル・旅館の事業売却における注意点は「手間」です。事業売却は「事業譲渡」という手法を使って行いますが、この手法はかなり手間がかかります。いろいろな契約が白紙に戻ってしまうため、改めて一から締結しなければならないだけでなく、許認可もリセットされてしまうため、再び申請を出す必要も出てきます。

最も大変なのは資産や負債の承継です。事業譲渡は事業譲渡契約の範囲内で、買い手が承継するものを当事者同士が自由に設定できるという特徴があります。もちろん、これは買い手が承継したくない負債や資産をあらかじめ除くことができるというメリットがありますが、裏を返せば当事者同士で負債や資産などの扱いについて一つひとつ協議する必要があるということでもあります。

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ホテル・旅館の事業売却の事例

ここでは、実際にあったホテル・旅館の事業売却の事例についてお伝えします。

アゴーラ・ホスピタリティー・グループ×難波・ホテル・オペレーションズ

2019年8月、アゴーラ・ホスピタリティー・グループは、難波・ホテル・オペレーションズの全株式を取得しました。

アゴーラ・ホスピタリティー・グループは「ホスピタリティ事業」と「その他投資事業」を主軸とし、地域や施設規模の多様な宿泊施設を運営しています。また、宿泊施設の新規開発について、自社開発や共同投資家との協業による開発など、各種可能性の検討を行っていました。

今回、大阪の難波地区でホテル(約200室)を運営する難波・ホテル・オペレーションズの買収を実行することにより、宿泊事業の拡充を図るとしています。

また、難波・ホテル・オペレーションズはより安定した基盤のアゴーラ・ホスピタリティー・グループ傘下となることで、新たなノウハウやサービス・システムを取り込むことが可能になります。

アールビバン×大江戸温泉物語

アールビバンは2018年に、子会社が所有する「タラサ志摩ホテル&リゾート」を大江戸温泉物語に売却しています。もともとタラサ志摩ホテル&リゾートは客単価や宿泊客数が低下傾向にあり、損失が増えていました。この事業売却は、タラサ志摩ホテル&リゾートの建て直しを図ったものといえます。

星野リゾート×Fosunグループ

全国規模でホテル・旅館を展開している星野リゾートは、2015年に北海道の「星野リゾートトマム」を中国のコングロマリットであるFosunグループに事業売却しています。

一見すると星野リゾートが星野リゾートトマムをFosunグループに明け渡したように見えるかもしれません。しかし、そもそも星野リゾートトマムはアメリカ系の投資会社が所有しており、この事業売却はその所有者が変わるだけのものです。

ただ、このように中国系の会社がホテル・旅館を買収するケースは増えており、今後の業界のM&Aの主流になる可能性もあります。

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ホテル・旅館の事業売却をM&A仲介会社の専門家に相談する理由

実際に事業売却を行うのであれば、M&A仲介会社に相談することがおすすめです。では、その理由を具体的に見てみましょう。

M&Aに関する専門的な知識・経験を要する

基本的にM&Aは短くても半年、長ければ1年半以上時間をかけることもあり、おまけに成功率が3割~5割程度と、簡単なものではありません。またM&Aはデューデリジェンスやバリュエーションといった、法務・税務・財務などの専門的な知識が必要になるプロセスもあります。

交渉や契約締結の場では経験値が重要になるため、M&Aの経験や知識が豊富なM&A仲介会社のサポートは必要不可欠といえるでしょう。

M&Aの成功率が上がる

最近は、特定の業界・業種に特化しているM&A仲介会社も増えています。ホテル・旅館業界のM&Aに特化しているM&A仲介会社や経営コンサルティング会社も多いです。業界の事情に精通している業者の力を借りることができれば、事業売却が成功する確率をぐっと引き上げられます。

ただ、M&A仲介会社に依頼するとなると、報酬の負担が心配になるでしょう。しかし、最近のM&A仲介会社はリーズナブルな料金でサポートを請け負ってくれる仲介会社が増えており、想像以上に手軽な金額で依頼できる可能性があります。

料金が安い上に業者のM&A仲介・アドバイザリーの技量も高いとは限らないため、専門家を選ぶ際には実績や評判をしっかり調べておくことをおすすめします。

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まとめ

ホテル・旅館業界はニーズが増えている一方で、なかなかそれに対応できない経営者が多くいます。また大手や外資系が競合相手となるため、競争に勝ち残ることが難しいのが現状です。

さらにニーズの変化への対応やITの導入など、いろいろな課題があるため、中小規模・零細規模のホテル・旅館は苦戦を強いられるでしょう。そのようなときに、事業売却は有効的な手段になり得ます。ぜひ経営手法の選択肢の1つとして検討してみてください。

もしM&Aで会社の売却を検討したい場合には、M&A総合研究所までお気軽にお問い合わせください。M&A総合研究所は、公認会計士も在籍するM&A仲介会社です。経験・知識豊富な専門家が金額の算出や条件交渉など、少しでも会社を高く売れるよう、M&Aの成功を全力でサポートしています。

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