M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2021年4月23日更新会社・事業を売る
中小企業の株式譲渡とは?メリット・デメリットや手続きを解説
中小企業にとって、株式譲渡は身近なものとなっています。しかし、会社を売るという手続きを適当に行ってしまうと後々大きなトラブルを引き起こす場合も多いです。この記事では、メリット・デメリットを中小に税金や株式保有割合といった重要な点についてご紹介します。
目次
中小企業の事業承継と株式譲渡
近年では、中小企業が事業承継などを目的にM&Aを実施するケースが増加しています。
そのために行われる株式譲渡という手続きは中小企業にとって、会社経営に大きく関わる出来事です。
しかしそれに伴い、中小企業が株式譲渡を行う際に、様々なトラブルが発生しています。
株式譲渡でトラブルが発生してしまうと、今後の中小企業経営に悪影響が発生する恐れも考えられるので注意が必要です。
そこで今回は、中小企業が株式譲渡を実施する上で、知っておくべき事柄をいくつかご紹介します。
中小企業の会社経営者の方は株式譲渡について理解し、うまくM&Aを行いましょう。
株式譲渡とは?株式譲渡の意味
まずは、中小企業が株式譲渡を実施する前に、最低限知っておくべき知識を解説します。
基本的な内容なので、是非とも参考にしてください。
- 株式の保有数と経営権
- 株式譲渡とは何かという定義
⑴株式の保有数と経営権
中小企業に関わらず、株式会社は必ず株式を発行しています。株式会社は、事業の運営資金を確保するために、出資してくれた投資家に対して株式を発行します。
基本的に、株式会社では株式の保有数が多いほど、その会社に対しての権限が強くなります。特に全株式のうち過半数以上を保有すると、会社の根幹に関わる部分を自分1人で決定できるようになります。
さらに、3分の2以上の株式を保有すると、社名の変更やM&Aの実行など、企業の根幹に関わる部分を決定できます。このように、株式の保有数と経営権は密接に関係しています。
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⑵株式譲渡とは何かという定義
株式譲渡とは、前述した株式会社のシステムを用いて、事業承継やM&Aを実行する手法です。
経営者が保有する株式を第三者に譲渡し、自社の経営権を売却します。そして、対価として買い手側から企業価値に相当する分の現金を受け取ります。
どのような目的のM&Aかに関係なく、中小企業の株式譲渡では、保有する全株式を譲渡するケースが大半となっています。
しかし、株式譲渡の手続きは専門家でなければ難しいので、単に会社経営者というだけではわからないことも少なくありません。
株式譲渡の手続きに不備があればトラブルになりかねないので、専門家に相談した方が良いでしょう。
株式譲渡の実施をご検討の際は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所では、M&Aに豊富な知識と経験を持つアドバイザーがフルサポートいたします。
料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)
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中小企業が株式譲渡でかかる税金
株式譲渡を用いたM&Aでは、他の手法と同様に税金が課税されます。
税金について意識していなければ、後々高額な納税額に戸惑う可能性もあるので注意しておくことが必要です。
株式譲渡の際に課税される税金は、売り手の株主が個人か法人かによって違います。
個人の株主が株式譲渡を行った際には、譲渡所得に対して20.315%の税金が課されるのです。
ほとんどの中小企業では、経営者個人が株を保有しているため、このケースに該当します。
譲渡所得とは売却して得た金額から、様々な費用を引いた金額です。
費用には、その株式を取得するために要した費用や、株式譲渡の実行に要した費用が含まれます。
- 譲渡所得=売却価格−諸費用(株式取得費用+株式譲渡に要した費用)
この譲渡所得に対して、所得税15.315%と住民税5%が課税されます。
- 税金=譲渡所得×20.315%
一般的には、上記のプロセスで税額を計算できます。
ただし時価とかけ離れた金額で、M&Aを実施した場合には注意です。
具体的には、時価の2分の1以下の金額で譲渡すると、時価によって売却したとみなされます。
これを知らないと、予想外に多額の税金が課されてしまう恐れがあるので気をつけなければなりません。
しかし、時価の判断はとても難しいです。
自分では適正価格だと思っていても、時価の2分の1以下の金額だと判断された場合、高額な税金が課されるかもしれません。
中小企業の株式の時価を算出するのは特に困難です。
中小企業の多くは非上場なため、市場価格がないというのが理由と言えます。
ハッキリとした株式の市場価格がない以上、信頼できる専門家に株価の査定をしてもらうべきです。
思わぬトラブルを避ける為にも、中小企業の会社経営者が株式譲渡を行う際は、専門家からアドバイスを受けるのをオススメします。
ちなみに、株式譲渡時の税金についてもっと詳しく知りたいのであれば、以下の関連記事も読んでみてください。
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中小企業における株式譲渡後の社員
中小企業が株式譲渡を行うと社員はどうなるのかが気になるという会社経営者も多いはずです。
今まで自分の会社で働いてくれた社員の今後は、いろいろ気になるでしょう。
株式譲渡を行うと、売り手の会社の社員は買い手の会社の傘下に入ることになるというのが答えです。
基本的に株式譲渡は売り手となる会社が存続し、買い手の会社の支配下に入ることで、その会社の子会社になるという流れになります。
そのため買い手の会社の傘下に入ることにはなりますが、会社にいる従業員の所属自体は変わりません。
ただ買い手となる会社の傘下に入るため、人事異動などで所属部門や部署が変わることはあります。
株式譲渡の際に気を付けておきたいのが人材の流出です。
株式譲渡に限らず、M&Aは異なる会社同士が経営統合を行うため、社内の環境が大きく変わる可能性があると言われています。
また買い手と売り手という関係性が生まれるため、派閥が生まれ、売り手となる会社の社員が人間関係のストレスを抱えることになるケースも少なくありません。
そのためそれがきっかけで社員が現状に不満を抱き、次々と離職することがあります。
もし事業の中核を担っているような社員が離職するようなことになれば、想定されていたシナジー効果がなくなってしまうことになるのです。
シナジー効果とは相乗効果のことで、事業を組み合わせることで得られる効果を指します。
中小企業の会社経営者に限らず、M&Aを行う会社経営者は、シナジー効果を意識して経営戦略を考えていることが少なくありません。
そもそもM&Aは基本的に情報を秘匿しながら進めるため、プロジェクトに関わっていない社員にとっては寝耳に水になることが多いものです。
もし情報を公開した段階で社員の理解が得られないようであれば、流出するリスクは一気に高まるでしょう。
社員の流出を防ぐためにも、M&Aを行う意義や説得できる材料をきちんと用意したうえで関係者に情報を公開するようにしておきましょう。
中小企業が株式譲渡を行う目的
中小企業の会社経営者が株式譲渡を行うのには、様々な目的があります。
例えば、事業承継や、経営戦略としてのM&Aです。
それぞれの目的について、順番に見ていきましょう。
⑴事業承継
現在多くの中小企業では、経営者の高齢化に伴い、事業承継のタイミングが訪れています。
事業承継とは、後継者に対して経営権や資産等を引き継ぐ行為です。
事業承継では、後継者に対して株式も引き継ぎます。
M&A手法としての株式譲渡とは少々毛色が異なるものの、これも株式譲渡と言えるでしょう。
一般的には、現経営者が亡くなったタイミングで事業承継を行う中小企業が多いです。
つまり、相続の一環として実行されます。
この際、中小企業を引き継ぐ後継者に対して相続税が課税されるので注意しておかなければなりません。
全株式を引き継ぐ為、相続税が高額になりがちです。
そのため、相続税対策が必要となります。
中小企業の場合、事業承継税制を活用すれば、相続税対策に繋がるでしょう。
また、事前に株式を贈与する方法で事業承継をすることもできます。
どちらの方が特になるのかは経営している中小企業の状況によって異なるので、専門家に相談するのが安心です。
⑵M&A
経営戦略としてのM&Aも株式譲渡の目的になります。事業承継のタイミングが訪れているものの、事業承継できない中小企業は少なくありません。
何故なら、親族や従業員に後継者となる人物がいないからです。そこで近年、M&Aを活用して株式譲渡をし、さらなる発展を目指す中小企業が増加しています。
前述しましたが、中小企業のM&Aでは株式譲渡が多用されているのが現状です。簡便な手続きや創業者利潤の獲得など、中小企業にとってメリットが多い手法だからでしょう。
しかし、デメリットも存在します。それは、「会社全部を売却する必要がある点」です。
一部の不採算事業のみを売却したい場合、この手法は活用できません。とはいえ、中小企業が株式譲渡を用いる目的は、事業承継がほとんどです。
ですので、このデメリットが中小企業の足かせになるケースは、そこまでありません。ただ、M&Aは買い手が条件の良い売り手と巡り会えるかが重要です。
中小企業が株式譲渡を用いるメリット・デメリット
ここからは、中小企業の会社経営者が株式譲渡を用いるメリットやデメリットを見ていきましょう。まずは、中小企業における株式譲渡のメリットから確認していきます。
中小企業における株式譲渡のメリット
中小企業が株式譲渡を選ぶ最も大きなメリットは、他のM&A手法と比べて、手続きが迅速かつ簡便に完了する点です。
中小企業にとって、事業承継やM&Aの期間が長引くのは、コストや労力面から見て好ましくありません。
迅速かつ簡潔に終わるのは、中小企業にとっては大きなメリットです。
そのため、中小企業のM&Aでは最も好まれる手法となっています。
また、中小企業の経営者が多額の現金を獲得できる点も、株式譲渡のメリットです。
株式譲渡を用いて事業承継すれば、老後の資金を獲得できます。
加えて、株式譲渡ではあくまで経営者が変わるだけで、会社の中身は変わりません。
そのため、従業員の雇用や取引先との契約をそのまま引き継げます。
株式譲渡は、中小企業の経営者のみならず、関係者にとってもメリットがある手法です。
中小企業における株式譲渡のデメリット
中小企業が株式譲渡を用いる際には、さきほどお伝えしたのと別のデメリットにも留意しておく必要があります。
M&Aで株式譲渡を行う場合、注意しておきたいのは包括的承継になってしまうという点です。
包括的承継とは買い手が売り手の会社の全てを承継することです。
株式譲渡は株式を相手に譲渡することで経営権を渡すことであるため、売り手の会社全てを手中に収めることになります。
その際、売り手の会社の事業や従業員、資産などはポジティブなものはもちろん、負債や訴訟などネガティブなものも引き継ぐことになるはずです。
そして引き継がれたネガティブなものがトラブルの要因になりやすくなります。
ある程度事前に把握できている負債などはまだいいですが、簿外債務や表立って公表されていない訴訟など、会社が把握しきれないリスクがあった場合、事前に認識しているかいないかに関わらず、それらも引き継ぐことになってしまうのです。
そのため、株式譲渡をした後に簿外債務や訴訟、不要な資産などが発覚して経営統合の支障になったり、トラブルに発展するケースは少なくありません。
最悪な場合、買い手側がM&Aを取り消すこともあり得るでしょう。
また、決して多いケースではありませんが、株式譲渡を成功させるために虚偽の財務報告を行うケースもあり、これもトラブルの要因になっています。
事業譲渡のような手法なら契約の範囲内で事前に承継したくないものを選別することができますが、株式譲渡のような手法はそうはいきません。
包括的承継を行う手法は株式譲渡の他にもありますが、この点には注意したうえで事前の協議をしっかり行っておくことが重要です。
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中小企業が株式譲渡を用いる際の注意点
中小企業が株式譲渡を実施する際には、前述した事項に加えて、いくつか注意すべきポイントがあります。
中小企業では、大企業とは違う面もあるので気をつけなければなりません。
その為、株式譲渡を行う際にも、いくつか相違点があります。
- 中小企業の株式譲渡は丁寧に
- 株券の発行有無について確認
- 譲渡制限についても確認
- 有限会社の株式譲渡
- みなし承認規定
- 事業承継目的の株式保有率
⑴中小企業の株式譲渡は丁寧に
日本の中小企業の大半は、家族経営や親族経営の会社です。
その為、事業承継する際、実際には株主総会を開かずに、議事録等の書類だけを作って済ませる場合もあります。
親族間が良好な関係であれば、それでも基本的には問題ないです。
しかし、遺産相続等で揉めた場合、株式譲渡の方法が争点になる可能性もあります。
適切な手続きを実施していないと、株式譲渡の可否を争い泥沼の展開になる可能性もゼロではありません。
したがって、家族経営や親族経営の中小企業であっても、株主総会をしっかりと開き、厳格に手続きを実施した方が無難です。
また、M&A手法として株式譲渡を用いる際にも同様となります。
法務局への申請が不要なため、中小企業の会社経営者は手順を省略しがちです。
しかし、いい加減に手続きを実施してしまうと、後々相手企業とのトラブルに発展する可能性があります。
多くの中小企業は、業務に追われながら株式譲渡の手続きを行う為、どうしてもおざなりになるので気をつけなければなりません。
仲介会社や税理士等の専門家に業務を依頼すれば、円滑に手続きを実施できるのでオススメです。
⑵株券の発行有無について確認
後述しますが、株券の発行有無によって、株式譲渡の手続きが異なります。
平成18年の法改正によって、原則株式会社は株券の発行が不要、発行する場合は定款で定める事になりました。
その為、現在多くの中小企業では、株券を発行していません。
自社が株券の発行会社かどうか確認する為には、登記事項証明書を確認しましょう。
「当会社の株式については、株券を発行する」と記載されている場合には、実際に株券を発行していない中小企業でも、株券発行会社となります。
株券を発行している中小企業の場合、株式を相手に交付すれば、株式譲渡の効力が発生します。
しかし、発行していない中小企業の場合にはそうはいきません。
株券交付の代わりに、株主名簿の名義書換えを実施する必要があります。
以上の通り株券の発行有無は、株式譲渡の効力発生を左右する重要事項です。
必ず株式譲渡に取り掛かる前に株券について確認しましょう。
⑶譲渡制限についても確認
中小企業が株式譲渡を行う際、株券の発行有無以外にも事前に確認すべき事項があります。
それは、株式の譲渡制限です。
自社にとって好ましくない者が株主となるのを防ぐ為に、株式譲渡に制限をかけられます。
殆どの中小企業は、株式に譲渡制限をかけているはずです。
譲渡制限の有無によって、株式譲渡の手続きが異なる為、必ず確認しましょう。
譲渡制限がある場合には、後述する譲渡承認手続きを行わなくてはいけません。
手続きを経ずに株式譲渡を実施しても、効力は発生しません。
当然ながら、中小企業の経営権も移転しなくなります。
ちなみに譲渡制限の有無については、定款で確認可能です。
株式譲渡の制限について詳しく知りたいのであれば、以下の関連記事を読んでみてください。
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⑷有限会社の株式譲渡
現在、有限会社の株式譲渡にはすべて譲渡制限がついています。
何故なら、平成18年にできた会社法で有限会社が廃止されたからです。
これにより法が施行する前から存在した有限会社は、「特例有限会社」となりました。
特例有限会社は原則として、株式の譲渡制限があらかじめ設定されています。
中小企業の中でも、有限会社の株式譲渡は特殊なケースなので、注意が必要です。
⑸みなし承認規定
後述しますが、株式譲渡の承認決議を経たら、中小企業側は二週間以内に結果を通知する必要があります。
その手続きを行わないと、株式譲渡を承認したとみなされるのです。
また不承認の場合も、40日間以内に株式を買い取る旨を通知する必要があります。
しなかった場合にも、株式譲渡は認証されたとみなされるので覚えておきましょう。
これをみなし認証規定と呼びます。
大手企業だと、株式譲渡に関してはしっかりとした執行機関があるので、この点が問題となるケースは稀です。
しかし、中小企業では執行機関が十分で無いことも多く、この点を見落としがちになっています。
みなし承認規定をあらかじめ把握した上で、中小企業の株式譲渡を行いましょう。
⑹事業承継目的の株式保有率
親族内で事業承継を行う際、後継者の株式保有率には注意しましょう。
前述した通り、中小企業等の株式会社では、株式の保有数によって経営権の強さが決定します。
その為、安定した経営を行う為には、自社株式の過半数以上である、最低51%の株式を保有しなければなりません。
なぜなら、51%以上の保有によって、株式総会の決定権を握れるからです。
さらに円滑に経営する為には、役員の解任、資本額の減少、事業全部譲渡、事業全部譲受、合併承認等を実施できる67%の株式保有が必要となります。
ただし中小企業の場合には、100%の株式譲渡が望ましいと言われているのが現状です。
中小企業の会社経営者が株式譲渡を検討するなら、割合について冷静に考えるべきでしょう。
中小企業における非上場会社の株式譲渡価格
株式譲渡を行う際、株式譲渡価格が会社の買取価格に直結することになりますが、非上場会社が多い中小企業にとっては、これが厄介なことになりがちです。
上場会社のように市場で取引されている株式であれば、市場価格を目安にして株価を設定し、そこから株式譲渡価格を算定することができます。
しかし非上場会社の株式は公開されておらず、中小企業であれば株価の算定をこれまでやったことがないというケースもあるため、株価を一から算定しなければなりません。
株価の算定は企業価値評価(バリュエーション)というプロセスで行われるものです。
そして企業価値評価には様々な手法があり、代表的なものではコストアプローチ、インカムアプローチ、マーケットアプローチというものが挙げられます。
コストアプローチは純資産額を目安にして企業価値を算定する方法、インカムアプローチは将来的な収益やキャッシュフローを参照して企業価値を算定する方法、マーケットアプローチは類似した取引事例を参照して企業価値を算定する方法です。
基本的に企業価値評価はいずれかの手法だけを使うわけではなく、会社の実情やそれぞれの手法のデメリットに合わせて複数の手法を組み合わせて使うことが多くなっています。
ただ、企業価値評価による株価の算定は会社の資産や事業の将来性など様々な要素を踏まえて考える必要があり、素人ではなかなか難しいものです。
そのため公認会計士など財務の知識に明るい専門家の協力が不可欠となります。
また会社によっては株式譲渡価格を理想的な価格にするため、株式の数を操作して株価を圧縮することもあるので覚えておきましょう。
ここからは、中小企業の会社経営者が株式譲渡を行う際の手続きについて見ていきます。
中小企業が株式譲渡を行う際の手続き
実際に中小企業が株式譲渡を実施する際には、どのような手続きが必要なのか疑問に思っている会社経営者も多いはずです。
殆どの中小企業は、株券が不発行かつ株式に譲渡制限を設けています。
ここからは、そのケースを想定して手続きの流れを見ていきましょう。
手順1:株式譲渡承認の請求
まずは、株式を売却する株主が中小企業に対して、譲渡承認請求を実行します。
この手続きを経ないと、株式譲渡の効力は発生しないので必ず行いましょう。
一般的には、株式譲渡承認請求書と呼ばれる書類に、以下の事項を記載して提出します。
- 譲渡する株式の数と種類
- 買い取る側の相手の氏名と住所
ただし、多くのケースでは事前に中小企業側と株主が話し合い、株式譲渡について承諾されています。
その為、重要な手続きであるものの、あくまで形式的な手続きです。
手順2:株式譲渡の承認に関する決議
次に、会社側で株式譲渡を承認するかどうかを決定します。
なお、取締役会を設置している中小企業では、取締役会で決議することになるでしょう。
一方で取締役会が設置されていない中小企業では、株主総会で決議します。
手順3:決定内容の通知
手順2で決定した内容について、譲渡する株主に対して通知します。
前述した通り、2週間以内に通知しなければいけません。
手順4:株式譲渡契約の締結
上記の決議の結果株式譲渡が認められれば、その旨が譲渡人に通知されます。
その後、デューデリジェンスや買収価格の交渉等を経るのです。
売り手買い手が合意したら、株式譲渡契約を正式に締結します。
株式譲渡契約では、対価の支払い方法や譲渡日、売却価格等を定めます。
また後々のトラブルに備え、損害賠償に関する事項についても、決定しておくことが必要です。
手順5:株主名簿の書き換え請求
株券を発行している中小企業であれば、手順4で一通り手続きが完了します。
しかし、株券不発行の中小企業の場合、株主名簿の書き換え請求を行わないといけません。
さもないと、中小企業か大企業に関係なく、株主の交代を第三者に主張できないからです。
その結果、配当を受け取れなかったり、議決権を行使出来ない事態に陥る可能性があります。
そのため、中小企業の株式譲渡では、この手続きは非常に重要です。
売り手側の中小企業に対して、譲受人一人、あるいは譲渡人と譲受人の二人共同で株主名簿の書き換えを要求します。
手順6:株式名簿記載事項証明書の交付請求
株式名簿の書き換え完了後、譲受人は名簿記載事項証明書の交付を請求しましょう。
この後、売り手側の中小企業は証明書を買収する側に発行します。
これで、中小企業の株式譲渡手続きは完了します。
株式譲渡の手続きについてもっと詳しく知りたいのであれば、以下の関連記事を読んでみてください。
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まとめ
中小企業の会社経営者にとって、株式譲渡はメリットが多く使いやすい手法です。
しかし同時に、中小企業ならではの注意点があるのも忘れてはいけません。
中小企業が株式譲渡を実施する際、手続きが大企業とは若干異なるため注意しましょう。
特に、株券の発行や譲渡制限の有無、株式の保有率には特に注意が必要です。
この点を意識するかどうかで、中小企業の株式譲渡が成功するかどうかが左右されます。
中小企業の会社経営者が株式譲渡を行いたいなら、専門家のサポートを得ながら手続きを進めるのがおすすめです。
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